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2015

  • 2015年12月号 ブログ・アウトサイドストーリー114

    レゴを使って効率を学ぶ~第19回ブロサミ開催報告 こちら中小企業総務部 不破茂夫

     こんにちは、「こちら中小企業総務部」の不破茂夫です。私は9月12日に開催された、第19回「税務会計系ブロガーサミット」(以下、ブロサミと略します)で幹事を務めました。今回のリレーエッセイでは、そのブロサミの開催報告を書きます。

    2回目の幹事

     

     今年3月に富山で開催されたブロサミに参加したときに、幹事の坂野上先生から次回の幹事に指名されました。3年前にも幹事を引き受けましたので、今回が2回目の幹事となります。

     前回私が幹事を務めたのは3年前の9月で、私の地元岐阜市で開催した第13回のブロサミです。そのときは、税理士でない者がメインの幹事を務めた最初のケースになりました。私自身が第1回から参加していることもあり、初心に帰って参加者同士が交流できる場を提供するという目的で開催しました。

     タイムテーブルは交流が中心ではありましたが、東京の安田先生に臨時でペーパーレス化のプレゼンをやっていただいたこともあり、最終的には税務会計らしい集まりとなりました。懇親会も大いに盛り上がりました。

    今回は税務会計系らしいテーマにしたかった

     

     前回の幹事のときは、特に税務会計系らしいテーマを最初から出すことがなかったので、さすがに今回は、事前案内の段階から税務会計らしいテーマを出そうと思いました。とはいえ、自分では税理士の皆さんを相手に講師はできないだろうから、誰か講師をできる人はいないか考えました。そのときに真っ先に思い浮かんだのが、今回講師を引き受けてくださった、株式会社テムストの森 哲也さんです。

     森さんは私と同じように会社の採用担当をされています。地元の企業説明会で何度もお会いしています。その森さんは、3年前から岐阜県経営者協会の監督者向け講座で講師を担当されていて、参加者に仕事の生産性を向上させるために効率の重要性を教えています。森さんが効率を教えるためのツールが、なんとレゴブロックなのです。

     実は、昨年の春に森さんの研修を受講しました。事前に森さんからレゴブロックで効率を学ぶ研修(以下、レゴ研修と略します)の案内をいただき、以前から興味があったので、いいチャンスだと思い参加しました。約3時間の研修でしたが、レゴからいろいろなことを学ぶことができました。一方的に講師の話を聞く研修ではなく、体を、手を動かして、講師からヒントをもらい、再度、体を、手を動かす。もちろん、寝ている暇もない実践的な研修でした。

     ブロサミの幹事となって、森さんのレゴ研修をブロサミのテーマとして取り入れたときに、税理士の先生方がどのような反応をするのか、とても興味がありました。数字を使って経営指導することが得意な税理士の先生方がレゴ研修を体験して、どんな感想を持たれたのか聞いてみたかったのです。それは講師の森さんも思っていたことでしょう。

    ㆑ゴを使って効率を学ぶ

     

     今回のブロサミの会場は私の地元岐阜ではなく、参加者が集まりやすい名古屋にしました。

    日帰りで関東・関西へ帰れるよう、会場はJR名古屋駅の近くに確保し、懇親会も会場近くの居酒屋にして、早く開始して早く終われるようにしました。

     さて、ブロサミ当日になりました。レゴ研修参加者は税理士6名、税理士事務所勤務者1名、協賛企業担当者3名の計10名。3名、3名、4名の3つのグループに分かれて席に座ってもらいました。本当は5名のグループも作って結果を比べながらやりたかったのですが、とにかく集まった人数で研修スタートです!

     この研修のルールは、各グループがレゴブロックを使って、指定された形のモノをそれぞれ指定された数量作り、全部完成させるまでのタイムを競い合うという単純なものです。

     いよいよ1回目の製作スタートです! 普段モノを作ることが少ない参加者の皆さんが、必死になってレゴを組み立てています。グループ内で役割分担をしたり、リーダーが声を出して指示したり、いかに早く完成させるかを考えながら組み立てています。私はレゴ研修の経験者なので、今回は参加しないで、写真を撮りながら外から研修の様子を見ていました。参加者の皆さん必死でしたよ!

     全チームが指定されたモノを完成させました。Aチーム○秒、Bチーム●秒、Cチーム△秒と各チームのタイムが出ました。そこで講師の森さんから、いくつかの指摘をしてもらいました。○○のやり方はどうだったのだろうか。当たり前だけど、あっと思うような指摘を受けて、参加者の皆さんはこうすれば効率が上がるということを確認できたと思います。

     森さんの指摘をひととおり聞いた後は作戦タイム。各チームが自分たちはどのようにレゴを組み立てていたかを振り返り、2回目には1回目よりいいタイムを出すにはどうしたらいいか、グループ内で話し合いました。2回目が始まる前に各グループの目標タイムも発表しました。

     さぁ、2回目の製作がスタートしました。参加者の皆さんがまたまた必死になってレゴを組み立てています。1回目よりは早く組み立てられるようになってきて、どのチームもタイムがよくなりそうです。やり方やリーダーの指示の出し方が、1回目とは断然変わってきました。まさにカイゼンの効果ですね。

     時間が経過し、Bチーム、Aチーム、Cチームと次々に指定のモノが完成しました。どのチームも1回目よりタイムがよくなりました。ここで休憩タイムです。皆さんレゴの組み立ておつかれさまでした。

     休憩後、講師の森さんが効率の大事なポイントについて、レゴを組み立てる作業での状況を振り返りながら説明しました。レゴを組み立てる○○の作業のときにこうしたらよかったのではないか。具体的に説明を受けると、実際に手を動かして体験したことを思い出し実感できます。

     その一方で、製造業では当たり前のことですが、サービス業では普段の仕事で効率をあまり意識していないのではないかとの厳しい指摘もありました。

     この研修を税理士の先生方が体験されて、いろいろなことを感じられたと思います。経営数字を使ってただ説明するだけではなく、こうしたら仕事の効率がよくなり、業績もよくなるということを指導できるのではないかと思いました。今回のブロサミで取り入れてよかったと幹事の私は思いました。欲を言えば、もう少し参加者が多かったらもっとよかったです。

    次に向かって

     

     ブロサミはこの後、恒例の協賛企業様のPRタイム。そして、会場の片づけをして入室時の状態に戻して終了です。この後は会場近くの居酒屋で懇親会を開きました。列車の時間があるので途中で退席された方もありましたが、お酒を飲みながら、おいしいものを食べながらの楽しい懇親会になりました。一部有志の方とは引き続き2次会でさらに交流を深めました。準備などは大変でしたが、今回もブロサミの幹事をやってよかったです。ありがとうございました。

     最後に、次回のブロサミですが、懇親会で(東京開催の後は富山、名古屋だったので)今度は関西で開催したらどうだろうかとの意見が出ました。最終的には今回の幹事の私が次回の幹事を指名して決定しますが、来年3月に関西(大阪、京都、神戸、それとも?)で開催する予定です。次は第20回のブロサミです。皆さん楽しみにしていてください。

    不破 茂夫(ふわ・しげお)

    岐阜県岐阜市生まれ。

    現在、岐阜県内の従業員120名の中小企業の総務部に勤務。総務の仕事だけでなく、経理・労務・人事の仕事も担当。

    現在、社会保険労務士と行政書士の資格取得のため勉強中。資格取得により実務能力のさらなる強化を目指す。税務会計系ブロガーサミットには第1回から参加。

     

    □livedoorブログ「こちら中小企業総務部」

     

    □Facebook

  • 2015年11月号 ブログ・アウトサイドストーリー113

    今から振り返る、ブロガーサミットの舞台裏(第3回名古屋編) 加藤厚税理士事務所 代表 税理士 加藤 厚

     今回が2回目のリレーエッセイの投稿となります。前回が第5回、2006年の10月号ですので、丸9年が経過したわけです。

     私がブログを開設したのは2004年1月3日です。当時は毎日の日記を更新していました。その累積アクセス数が約140万アクセスです。リレーエッセイを執筆された同業者で、10年以上同じSNSを継続している人は皆無でしょう。たぶん、このリレーエッセイを書かれている執筆者の中で、最初にブログを開設したと思います。そのブログの投稿数は約4300日。1日の平均アクセス数は約350。一時期は、士業の中で日本一のアクセス数を集めたブログとなっていました。これは本当に感謝しかありません。

     9年前のエッセイにも綴りましたが、ブログ開設当初には考えもつかない全ての数字が、今の自分の支えにもなっています。まさか12年も続けているとは、不思議なものです。「継続は力なり」という言葉をモットーに生きてきましたが、この人生で、一番誇れるもののひとつが、この継続しているブログです。創設当初は毎日更新を決めごとにして進めてきました。

     今は、あえて遅れて更新をかけています。毎日更新することを、断腸の思いでやめました。これは、税理士会や地元の組織の役職につき、当初の状況とは違うので、無理して続けて質のよくないブログを更新しても、かえってよくないと判断したからです。あくまで続けることが大切であり、更新できなくなったらよい印象を持たれません。

     その代わりというわけではありませんが、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムなども併せて使用するようになりました。いろいろな媒体を使い分けていくのも新しい試みですね。

     ブロガーサミットも、以前はブログを開設している者のみという参加条件でしたが、このようにSNSが発展しているので、枠が広がりを見せました。先日、名古屋で開催されたブロガーサミットで19回目を数えました。

     私は東京の銀座で開催された初回に参加させていただきました。そして、平成19年3月17日に、初めての名古屋開催となった第3回ブロガーサミットで幹事を務めることができました。そのときにパネルディスカッションを企画しました。過去2回のブロガーサミットではこのようなイベントはなく、懇親会とその後のカラオケ大会のみでした。私や一緒に幹事をしていただいた一柳 毅さんもそうだったし、他のブロガーさんたちも同じ思いがあったでしょう。それは、単なる飲み会という形式のままではいけないと……。

     そこで私が考えたのが、このパネルディスカッションだったのです。

     そう、私の独断と偏見で企画された「誰でも出来る商業出版のウラオモテ」です。そのようなことを思いついたのは、まず自分は何ができるのかということ。そのようなとき、たまたま第2回ブロガーサミット参加者の屋宮久光さんの著書「南の島のたったひとりの会計士」(扶桑社)を頂いたのです。

     「これだ!」と思い、私は「わかりやすい相続税・贈与税と相続対策」(成美堂出版)という書籍を出版しました。他のブロガーサミット参加者の仲間も、商業出版に携わっている。そのノウハウや経験をみんなで共有しない手はない。

     ごく普通の職業会計人でも、チャンスさえあれば執筆することが可能なのだということを、みんなに知ってもらいたい。そして、これをきっかけに多くの書籍がこの世に送り出されることがあれば、こんな素晴らしいことはありません。

     ですから4人の豪華メンバーを選出させていただいたのでありました。その選考基準には、私なりの狙いがあったのです。パネルディスカッションを1時間30分程度と考えていましたので、あまりパネラーが多くてもいけない。せっかくですから中身の濃いものにしたいので、パネラーを4人にしようと思いました。

     まず、埼玉は草加市の吉澤 大さん。第1回のブロガーサミットからの参加者です。選考の時点で既に2冊の書籍を出版されていました。いわゆる何もないところからスタートして、あらゆる営業をかけ、出版に至ったモデルケースといえるでしょう。彼の商業出版に関する小冊子は、まさにこのパネルディスカッションそのものです。第2回の大阪大会のときは、お互い出版についていろいろ情報交換させていただきました。

     続いて大阪の日野上達也さん。彼も第1回からの参加者です。しかも、私のブログを見てブログを開設されたということで、第1回の東京大会のときに、わざわざその旨を教えていただきました。日野上さんの出版の特徴は、LLPという組織で出版したこと。共著という点ですね。私も11名の士業のメンバーで出版の経験がありますから、そのメリットや大変さを伝えてほしいと思いました。

     続いて第2回から参戦した前述の奄美大島の屋宮さん。実は、この時点ではお話ししたことがなかったのです。私も第2回の大阪大会には参加していましたが、ご挨拶する機会がありませんでした。そのようなとき、あのタイトル、あの表紙の書籍が、私のもとに送られてきたのです。思わず本を手にした時点で、買ってしまおうと思わせるインパクト。マスコミへの露出度も半端じゃありません。そして何より、内容が小説なのです。この点が、他の3名と全く異なる点です。

     最後に、この名古屋大会から参加される千葉は船橋の山本憲明さん。実は彼とはサミット開催より2年以上前からのお付き合いなのです。彼が独立する前に、楽天ブロガー同士であるわれわれは、名古屋で会っているのです。独立開業するにあたり、話が聞きたいと。いろいろ私が経験したことを隠すことなくお話ししました。そして独立開業。その後の彼の活躍はいうまでもありません。そのような彼が出版にこぎ着けたのが、他の皆さんとは違ったアプローチだったのです。しかも、税理士の受験に関するテーマでした。その書籍も1万部を突破しまして、第2弾の予定もあるとか。税理士事務所の勤務経験がほとんどない彼が、ココまでできるというよいメッセージになるでしょう。

     このようにして、それぞれの特徴があるパネラーさんを思い描いたのです。そして、私はこの思いを膨らませ、平成18年の12月にパネラーの一人の吉澤さんに会いに行く決意をしたのでありました。

     まずは、名古屋で行うブロガーサミットにおいて、新にパネルディスカッションを行うことに賛同していただきました。過去2回は〝飲み会〞だけで終わっていたので、今後続けるにあたり、何かをしないと参加者はついてこないだろうという共通の認識で一致しました。そして肝心のパネラーの役も、快く引き受けてくれました。他の3名の方にも、早々に連絡させていただき、承諾を得ることができたのです。

     このように、ブロガーサミットの目玉企画としてパネルディスカッションができることになったことは、とても大きいと思います。当初、参加表明する人の出足が鈍かったのですが、このことを告知したあとは一気に参加者が増え、19回の中でも最高の49名の集客に成功したのです。

     パネルディスカッションは、4つのテーマについて話してもらいました。

    1.商業出版までの経緯

    2.特別に取ったPR手法

    3.本がもたらした成果

    4.気づいたこと・アドバイスなど

     このサミットでは、この4名のパネラーの出版経験者プラス私の5名以外に、参加者の中に私が知っているだけで5名の出版経験者がいました。今では、このブロガーサミットに参加された多くの税理士が出版をしています。このとき自分が企画立案したものは、決して間違った方向ではなかったと思っています。今後も、ブロガーサミット参加者の中から、若くて生きのいい多くの職業会計人が、この業界を席けんすることを願っています。

     ブログはこれからも更新し続けます。新たな出会いを求めて、全国各地の素敵な方々に逢うために、ブログを通じて自分を発信し続けます。

    これからも「金儲けより人儲け」の精神を通じて、社会貢献していきたいと思っています。

    加藤 厚(かとう・あつし)

    1968年生まれ。2001年に勤務事務所から独立開業。暖簾分けなし、2世でもなく、まさにゼロからのスタートを切る。現在、中京大学非常勤講師を務める傍ら、「わかりやすい相続税・贈与税と相続対策」(成美堂出版)等を出版する。講演活動・執筆活動にも力を入れ、テレビ・ラジオにも不定期に出演中。

    ■加藤厚税理士事務所

     住所: 〒458-0801名古屋市緑区鳴海町字砦1番地2 AKビル2F

     TEL:052-629-3177 FAX:020-4624-2823

     URL:http://akoffi ce.jp/

    公式ブログ

  • 2015年10月号 ブログ・アウトサイドストーリー112

    ブログとSNSのポジショニングとは? 近藤学税理士事務所 代表 税理士 近藤 学

     私は2004年からライブドアでブログを書き始め、2006年の第2回大阪がブロサミ初参加でした。地元の支部などでお会いする税理士と話すときには通じない、ITやマーケティング系の言語が通じるのが、とても心地よく感じられたのを覚えています。以来、ここで多くの仲間と出会いました。

    ブロサミは出版への近道

     

     初期のメンバーにはすでに書籍の出版を経験されている方もおられました。吉澤 大さん、山本憲明さんのようなビジネス書の世界では今やベストセラー作家と呼んでもよいくらいの部数を刷られている方も、最初の頃は参加されていました。私も彼らに刺激を受け、これまで4冊の本を出版することができましたし、ブロサミ発起人の大林茂樹さん、木村聡子さんもそれぞれ好著を出されています。

     第3回の名古屋サミットは出版がテーマで、出版経験者のパネルディスカッションが行われました。前述の吉澤さん、山本さんと、相続に強い加藤厚さん、南の島のたったひとりの会計士・屋宮久光さん、私をブロサミに誘ってくれた日野上達也さんがパネラーでした。

     そのほか私が記憶している出版経験者は、最近共著でベストセラーを出されているウエスタン安藤さん、その共著メンバーのひとりである柳澤賢仁さん、確定申告の本を書かれている佐藤亜津子さん、私が勝手にブロサミ作家第二世代と呼んでいる不動産投資専門税理士の叶 温さん、資金調達に強い松波竜太さん、多彩な本を出版されている井ノ上陽一さん等々多士済々です。身近に本を出している人がいるおかげで、われわれの出版に対する心理的ハードルが低いことも、著者を多く輩出する要因ではないかと考えています。きっとこれからも、多くのブロサミ作家が生まれてくることでしょう。

    ブロサミメンバーはやさしい

     

     私は、左脳よりも右脳がかなり強いため、本業の税理士では大した成果は出せませんが、ここ数年、確定申告などで左脳が脳死状態になったときに右脳が働きはじめ、新しいことにチャレンジしています。そんな私の実験台にいつもなっていただく主要メンバーが、ブロサミメンバーです。

     6年ほど前、マインドマップというノート術と思考法のインストラクター資格を取り、多くのブロサミメンバーの方に受講していただきました。

     3年前、アメリカの高名な中小企業や起業家向けコンサルタント、マイケル・E・ガーバー氏のもとに行き、日本でセミナーを開催できる資格を得てきました。調子に乗ってガーバー氏の本を自力で翻訳して出版しました。そのセミナーの練習にも付き合っていただきました。

     2年前は、「あきんど®」というビジネスボードゲームを開発して、試作品の鉛筆手書きの双六遊びを嫌な顔もせずやっていただきました。昨年から今年にかけては、「こがねむしシリーズ」というエクセルのVBAで開発した資金繰り表作成ソフトのテストをして、アドバイスをいただいています。

     心やさしいブロサミメンバーにはいつも感謝しています。

    ブログの将来性

     

     ここ数年、ツイッターやフェイスブックなどのSNSに押されて、ブログの存在感がやや薄くなっている感は否めません。私自身の文章アウトプットもフェイスブックが主戦場となっています。しかしここにきて、ブログとSNSのポジショニングのようなものが少し見えてきました。

     先日「フェラーリの減価償却費が損金として認められるのか?」という内容の記事をブログに掲載し、その記事をフェイスブックでシェアしたところ、2日で約1万件のアクセスがブログに集まりました。調べるとほとんどがフェイスブック経由でした。普段は1日数十件のアクセスしかないので、これは一大事件です。

     穂口大悟さんという、士業やサロンのホームページを作成されているコンサルタントの方が、著書で「ホームページは『分身』、ブログは『蓄積』、SNSは『拡散』、メルマガは『フォロー』」と解説されています。この説に従うと、ブログに有用な記事を蓄積し、フェイスブックやツイッターで拡散すると、ブログ単体では考えられないような影響力を持てる可能性があるのかもしれません。

     またその伝でいくと、アメブロやライブドアブログのような他社サービスの利用がこれまでは一般的でしたが、自分の分身であるホームページにブログを組み込むサイト内ブログのほうがこれからはよいのではないかと考えています。分身であるホームページを、できるだけグーグルなどの検索エンジンで上位表示したいわけですが、その手法はSEO対策と呼ばれています。ホームページの中にブログのページを作ってフェイスブックで拡散し、アクセスを集めることはSEO対策的にもかなり有効であることを自分で試してみて実感しました。

     そういうことで、まだまだブログの存在意義はありますので、一時は存続が危ぶまれたブロガーサミットですが、古株のメンバーと新しいメンバーがうまく融合し、これからも地元の税理士会に居場所のないような税理士たちのリゾートとしてゆるく長く続いていくことを期待しています。

    近藤 学(こんどう・まなぶ)

    京都府郊外で税理士事務所を開業。マインドマップの創始者トニー・ブザンと世界No.1の起業コンサルタント、マイケル・E・ガーバーという2人の世界的な知の巨人に師事。その教えを基に、最近では、日本の中小企業経営者が正しい経営判断をできるよう、ExcelのVBAを研究し資金繰り表作成ソフトを開発・販売している。

    ■著 書: 一番楽しい! 会計の本(ダイヤモンド社)

    ■翻訳書: あなたの中の起業家を呼び起こせ!

    (マイケル・E・ガーバー著、エレファントパブリッシング)

    事務所ホームページ

  • 2015年9月号 ブログ・アウトサイドストーリー111

    SNSによるコミュニケーションの利点の検証 友松悦子税理士事務所 代表税理士 友松悦子

    はじめに

     

     このコーナーは「税務会計系ブロガーサミット・リレーエッセイ」である。そもそも「税務会計系ブロガーサミット」とは、「ブログ」を利用している税理士などの会計人が集まり、勉強したり、懇親を深めたりする企画である。その参加者がほぼ強制的に、順番に執筆者に仕立て上げられているのである。

     ところで、最近では「ブログ」をはじめ、インターネットを介して世界中の人々とコミュニケーションを取ることができる。フェイスブックやツイッターなど、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下「SNS」という)と呼ばれている。

     当初は「ブログ」を利用していることが条件であった「税務会計系ブロガーサミット」も、今では「ブログ」の利用がなくても「SNS」を利用していれば参加が可能となっている。

     本来は「ブログ」は「SNS」に含まれないようであるが、上記のような経緯も踏まえ、ここでは「ブログ」を「SNS」に含めたうえで、SNSによるコミュニケーションの利点について検証してみる。

     なお、内容は論じることもなく、結論もない、非常にゆる〜いものであるため、あえて、文章は「論文調」の堅い感じでまとめることを補足しておくこととする。

    SNSでの出逢い

     

     SNSでは、現実に会うことが難しい遠方の人や、何の接点もない人と知り合うことができる。例えば同業であっても、関東に住んでいる税理士とは、なかなか会う機会がない。また近くに住んでいる人でも、仕事や趣味が違えば、何の接点もなく、近所のスーパーでカートがすれ違うことはあったとしても、仲良く会話するような関係として知り合う機会は少ない。そういった方々とSNS上で何らかの接点ができれば、毎日のようにコミュニケーションを取ることができる。これがSNSの大きな利点のひとつであろう。

     さらに知り合ってからも、毎日のように「おはよう」の挨拶から始まり、今日は「お昼ご飯にコレを食べた〜♪超・美味しい!」といっては写真を投稿し、それを見ている他のユーザーは「どこにあるお店?」「美味しそう♪」などのコメントを入れる。理不尽なことや、腹の立つことが起こると、「私って不幸……」と言わんがばかりの自慢投稿をする。とにかくネタになるような出来事があれば、「よっしゃー! おいしいネタもろた!」と心の中で叫びながら、写真や動画付きで投稿し、話題を提供する。他のユーザーからの「コメント」や「リツイート」、「いいね!」の多さに喜び、またよいネタを仕入れようと心に誓う。

     このように自分の言動をネットに晒すことにより、毎日「一緒に住んでる?」「仕事してる?」かのようなコミュニケーションを手軽に可能にするということにも、SNSの利点を見いだすことができる。

     なお毎日、投稿された記事に関係なく「おはよう!」の挨拶だけをすることは、ユーザーの中には好ましく思わない方もいるので、こちらについては十分留意する必要がある。せっかくのコミュニケーションツールでウザがられては、元も子のないことを認識すべきであろう。

    リアルへの展開

     

     SNSを介して知り合った方々と交流を深め、その後に実際にお会いすることも現在では少なくないであろう。筆者もブロガーサミットに参加したことをはじめとして、SNSを介して知り合った多くの方と、今までに実際にお会いしてきた経緯がある。

     税理士試験を同時期に受けていた方や、遠方の税理士の先輩や、また関西に在住の方、そして旅行先では、近くに住んでいらっしゃる方にわざわざ連絡して会うということも少なくない。会おうと思うポイントは、やはり気が合うかどうかである。SNSで気が合っていて、実際にお会いするとそうでもなかったということはあまりない。「あまり」ということは、皆無ではなかったということであるが、差し障りがあるといけないので、今後の研究とさせていただく(今後の研究ってあるのか?)。

     またまだお会いしていないが、どうしても会いたいと思える方もある。そのひとり(1匹?)が、タイ在住のシャム系の猫様である「なーむっとくん」である。彼は、猫でありながら、猫とは思えない仕草や行動、表情をお持ちで、大変にファンの多い方である。彼はタイ人のお父様と日本人のお母様と一緒に暮らして(飼われて)いる。英語が苦手で、ましてやタイ語は全くできない筆者でも、お母様が日本人であるから彼と知り合うことができた。彼の写真や行動がフェイスブックに投稿され、それを見聞きするうちに、次第に彼の魅力の虜になっていったのである。

     お会いしたことはないが、彼がマーキングをすることや、食いしん坊であること、ささみとエビが好きであること、やきもち焼きであること、お父様が大好きであること、子猫の頃は白猫だったのに、成長とともにタイの強烈な日差しに日焼けして(?)、こげ茶猫に変化したこと、小さい頃にトカゲにあごを嚙まれた、ちょっとどんくさいところがあること、本名は「チャップリアンⅢ号」であること、本名から「なーむっと」に変わったのは、おじい様(お父様のお父様)が白猫から顔が黒く変化していくのを見て「顔が黒い」というタイ語から名づけられたのだということ、猫背でなく体をまっすぐ伸ばして寝ることができること、などを知っている。

     まだ会ったこともないタイ在住の猫様のことを、これほどまでに知ることができたのも、まさにSNSのおかげといえる。なーむっとくんにお会いできれば、まさに何でも知っている恋人のようにして接することができるのである。

     SNSを利用していなければ、きっと知り合うことがなかった方々と知り合い、交流を深め、実際に会った時には、初対面でも旧知の仲のような関係で接することができる可能性こそが、SNSの最大の利点であると断言できよう。

    おわりに

     

     過去においても、そしてこれからも、SNSを介して知り合った方の中で、実際に会ってみたいと思う方とは、積極的にお会いするよう努めたい。上述のなーむっとくんに会うことが、当面の筆者の目標である。これには、「猫に会うために旅費と時間を使ってわざわざタイに行く」ということの意義を、家族(特に夫)に理解させねばならない。解決すべき極めて大きな障害であることは否めないが、今後も説得を続けていくこととしたい。

    友松悦子(ともまつ・えつこ)

    <略歴>

    昭和42年10月 京都市生まれ

    平成20年12月 税理士試験合格

    平成21年6月 税理士登録

    平成22年1月 友松悦子税理士事務所 設立

    一般社団法人事業承継学会 一般会員

    日本税法学会 会員

    <著書>

    「経営に役立つ 中小企業会計要領の実務対応」共著 ぎょうせい(平成24年)

    「中小企業の会計に関する指針ガイドブック」共著 清文社(平成25年)

    「事業承継マップ」中央経済社(平成27年9月末発売予定)

  • 2015年8月号 ブログ・アウトサイドストーリー110

    『ふんわり』使うインターネット 宮原裕一税理士事務所 代表税理士 宮原裕一

     こんにちは! 東京の三鷹というところに事務所を構えております、宮原です。三鷹を知らなくても、吉祥寺の近くといえば伝わりますか?

     さて、このたびリレーエッセイを3年ぶりに書かせてもらうことになりました。せっかくの機会ですので、以前の記事を読み返してみると、ブログやSNSについて書いていました。そこで、前回からの3年間で私のインターネットとの付き合い方がどんなふうに変わってきたのかを、ブログやSNS事情などを通じて確かめてみたいと思います。なお、この記事に出てくるサービス名や用語については、『ふんわり』検索してみてくださいね。

    3年前までのおさらい

     

     まずは3年前のおさらいです。今から遡ること6年前、開業に向けてさあ何をしようかと、それこそネットでいろいろな情報にふれていました。そして、『ブログで情報発信して自分を知らしめるのだ〜!』とブログを立ち上げ、あわせて開業しました。しかし、勢いで立ち上げたブログです。何を発信するかがブレブレで、大したアクセス数も得られないまま挫折した2009年でした。

     2010年には140文字以内で気軽に発信できるツイッターが流行ります。慣れない『なう』を使いながら、税務会計系のちょっとしたつぶやきを続けてみました。しかし、ツイッターでの交流という面で、滝のように流れていくタイムラインに追いつくこともできず、匿名であるが故のちょっと「イヤ」なことなど、いわゆる『つぶやき疲れ』になってしまいました。また挫折!

     つぎは2011年、映画「ソーシャルネットワーク」ヒットの後押しもあり、フェイスブックの利用者が急増しました!

     実名登録が前提で、個人の交流用のページと情報発信に向いているページがあるらしい。付き合っていくのにはよさげだな〜、とフェイスブックを始め、『いいね疲れ』することなく2012年に至る、というところでした。

    その後の3年間

     

     2012年に入ると、急激にLINE利用者が伸びてきました。設定の状態によっては勝手に知らない人とつながってしまったり、中高生の「既読スルー」によるいじめ問題、ストーカー被害などがニュースになったりしていました。SNSとのかかわり方について考えさせられることが多くなったのもこの頃だったように思います。他にもGoogle+やLinkedInなど、いろいろなサービスがあって選択肢は増えましたが、私の場合、それぞれの登録はしたものの、フェイスブックだけで精いっぱい、他のサービスは利用していないという状況にもなっていました。

     さて、ここで少しSNSなどからは離れてしまいますが、2013年はクラウド会計サービスが世に知られていった年でしたね。会計データがクラウド上にあるというだけじゃなく、インターネットにあるさまざまなサービスと連携し、取引データを取得してきてくれる。それは、預金口座の取引履歴であったり、クレジットカードの利用明細であったり、レジアプリの売上明細であったり。さらには、サービスそのものが派生していって、給与計算サービス、請求管理サービス、経費精算サービスなども選べるようになり、いわゆるバックヤード業務は相当の省力化が実現したと思います。どのサービスがよいかなどは別として、お客さまに対応していけるよう、最新のサービスにアンテナを張っていきたいですね。

     2014年になると、インスタグラムなど画像や動画を扱うSNSが盛り上がってきました。今のところインスタグラムは個人的な楽しみでやっている感じです。ユーチューブなどでは税務会計系の動画を配信されている方も多くいらっしゃるようですね。いつかは動画配信してみたいと思っています。

    ネットは仕事に役立った?

     

     ここまでは挫折話が多かったですが、インターネットは役に立たなかったのかというとそうではありません。実際のところ、インターネットを使った情報発信をしていたおかげで、私は廃業せずに済んだのじゃないかとさえ思っていますよ。

     何よりの証拠に、ブログやツイッターにさわっていたことで、この税務会計系ブロガーサミットメンバーと出会うことができ、こうして原稿まで書かせてもらっていますし♪

     集客という部分では、一度はブログに挫折したわけですが、二度目はホームページを情報サイトのような形にして、ブログのようにコンテンツをどんどん書いて載せていきました。そうすると、誰かは見ていてくれるのですね。発信した情報と、その情報を欲している人とがうまくかみ合うと、よい評価をもらえるようです。例えば知恵袋のようなサイトから参考としてリンクを張ってもらっていたり、ツイッターでリツイートしてもらったり。

     ある程度のコンテンツを出し続けたら、特定のキーワードで検索結果のトップページに自分のホームページが並ぶようになりました。結果、そのキーワードでの執筆やセミナーの依頼が来るようになり、またその情報がメディアと連動して……という流れで、どんどん意図しなかった露出が進んでいったように思います。

     また、ホームページを見ていただくのは特定のキーワードでたどり着いた方なので、ある程度の覚悟(?)を持ったお問い合わせをいただきます。ですから、実際にお会いしてからの成約率はよいほうではないかなと思います。

     業務の部分でも、この6年の間にビデオチャットやリモートコントロール、オンラインストレージなどのクラウドサービスが充実してきました。事務所にいながらにして、ネット越しに相手の顔を見て話すことができたり、資料のやりとりを行えたりと、業務にかかる時間やコストをかなり節約できたと思います。

    おわりに

     

     ブログ・SNSの変遷を6年ほどたどってみて、自分のSNSへのかかわり方もだいぶ『ふんわり』したな〜と思います。開業当初は『何とかして仕事につなげないと』という焦りもあって、プロフ画像からして気合が入っていたんですね。

     最近は、力を抜いて普段は仕事以外のことを『ふんわり』と、たま〜に税務会計系をというような投稿になっています。6年の間に人と人とのリアルのつながりが充実してきたこともあり、仕事じゃない自分を出して親近感を深めたいと思っています。それもあって、今のプロフ画像はがっつりと趣味丸出しになっちゃってますね。まあ、当初の画像からは加齢と加重により、本人と分からなくなってしまったということもありますが……。

     最後に、開業時と現在のプロフ画像比較で笑っちゃってください♪

    宮原裕一(みやはら・ゆういち)

    1972年鹿児島生まれ。やぎ座のB型。

    市販で人気の会計ソフト「弥生会計」に精通した税理士として、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」は好評を博している。

    著書・監修に「個人事業主・フリーランスのための青色申告」「黒字会社はここが違う」など。

     

    事務所ホームページ

    弥生マイスターホームページ

  • 2015年7月号 ブログ・アウトサイドストーリー109

    熱狂の神戸・運命の2008年 冨岡弘文税理士事務所 代表税理士 冨岡弘文

     税理士業界の風雲児を数多く輩出してきたブロガーサミット。私は、第9回横浜サミットの幹事を務めたり、また本コーナーでは、趣味のトライアスロンの宣伝をしたりしてきました。

     今回は、初めて参加した第6回神戸サミットの時のことを書こうと思います。あれから7年の月日がたちましたが、私には昨日のことのように思い出されます。それほどまでに強烈かつ、熱狂!の一日だったのです。

    白い衝撃

     

     初めて神戸の街を訪れた私は、「神戸といえば異人館とか、港とか……」なんて未練を抱きつつ、独りオフィス街を彷徨っていました。

     「若い先生が多いだろうけど、ジャケットでよかったかな?」

     なんてことも気にしつつ探し当てたビルで、受付嬢のすてきな笑顔にホッとしたのを覚えています。

     早めに着いたので手持ちぶさた。知り合い不在の寂しさを、資料を眺めて紛らわしていると、長身の男性が隣に立つ気配がしました。挨拶しようと目を向けると、純白のシャツに、ブルージーンズ。

     でっかいバックルに気を取られつつ、見上げた私の目は、男性の顔を超え、頭の上にくぎ付けになりました。

      「えっ?」「テンガロンハット⁉」 ドレッシーな長袖のワイシャツがまぶしい。

     それに負けずに白く、美しい山が頭上にそびえていたのです。

     「オレ、部屋を間違えたかな??」

     資料には、税務会計系ブロガーサミットとあるので、乗馬クラブやカウボーイの集会ではないようです。参加者名簿をたどってみると、「ウエスタン安藤」と。

     隣のハットは、「ウエスタン」だったのです。

     うわ〜! すごい人の隣になった〜!

     でも、ナゼに?ウエスタン?

     不惑をとっくに超えたオヤジにとって、「白い衝撃」となったこの出会いから、人生を変えた2008年9月の神戸サミットは始まりました。

    きんと雲に乗る

     

     ウエスタンさんが、乗馬が上手で、ステーキが主食で、ロールケーキも好物だというような情報は、「ひと」に興味があれば自然に入ってくるものです。私にとっては、「ナゼに『ウエスタン』?」よりも、「税理士だって『ウエスタン』でいいんだ!」と、意識改革できたことが大収穫。

     衝撃から醒めると、「税理士かくあるべし」というアタマを締める輪のとれた孫悟空の気分。

    「どこへだって、雲に乗って飛んでいけるかも」と嬉しい気持ちでウキウキしました。自分のスタイル、自分のイメージをつくるって楽しそう! 別名って、わが身の自由を世間に宣言しているみたい。

     だって、ラッシャー板前、ドクター中松……。皆さん、個性的かつ自由ですよね。

     「そうか、税理士だって自由になれるんだ!」

     私だったら……。

     結局「マイケル富岡」が邪魔をして、このリングネーム計画は成立しませんでしたが。

    走る税理士のブログ

     

     初参加のブロガーサミットで、嬉しかったことがもうひとつ。ウエスタン安藤さんに、「走る税理士のブログ」のタイトルが素晴らしいと褒めてもらったのです(この際、中身は問題ではない?)。

     ここで少し、自分のブログのストーリーを紹介しようと思います。

     私がブログを始めたのは2006年8月。1986年に創刊された雑誌「Tarzan」を見て、当時26歳だった私はトライアスロンのアイアンマンに憧れました。でも税理士試験の受験を控えた身では、夏がシーズンのトライアスロンなんて別世界の出来事。ようやく税理士登録が成って、距離の短いトライアスロンの大会へ出場を果たしたのが2004年。44歳になっていました。

     2006年に、憧れだったアイアンマンジャパンに挑戦し、当時の制限時間15時間の7分前にゴール。最後は本当に時間との闘いでしたが、「ここで諦めなければ、ゴールできたら、きっと自分に自信を持った人間に生まれ変われるはず!」と、最後は根性で頑張りました。なんとか粘ってリタイアしない。ドンくさくても成果は出せる。短い人生、楽しんだ者勝ち!

     こんなトライアスリートとしてのモットーも込めて名付け、始めたのが、このブログなのです。

     誰にでも、コンプレックスはあると思います。自分に自信が持てなかったり、周囲や相手に気後れしたり、引け目を感じたり。私自身も、暗記力や計算力のなさに絶望しそうになったり、最近の複雑怪奇な税法を前にして、理解力のなさに途方に暮れたりすることがあります。でも自分の弱さを知れば、そこから精進を続ける意志が生まれるものです。トライアスロンを通じて、他人との競争ではなく自分自身との闘いに勝つことの意味を実感して以来、目の前の相手が誰であれ、気後れすることがなくなりました。

     トライアスロンという競技は、スイム3・8キロ、バイク180・2キロ、ラン42・2キロで構成されています。確かにクレージーな挑戦です。でも準備さえすれば、運動神経に関係なく、誰でも完走できます。根性よりも準備が大事なわけです。

     ブロガーサミットという、若くて優秀そうな人たちの集まりに飛び込むパワー、気の若さもトライアスロンのおかげということです。

    2008年9月 第6回神戸サミット

     

     さて、初めて参加したブロガーサミットに話を戻します。

     そもそも、集まる人は、会ったことはもちろん、電話で話したこともない人たちですから、申し込みには勇気が必要でした。でも勇気を奮って新幹線に乗ってきただけの甲斐は十分にありました。

     ウエスタンさんとの出会いも有意義でしたが、実は会いたかった方がいました。「税金まにあ」ブログの木村聡子さんです。税務会計のネタを分かりやすく、深く書かれて、しかも楽しい! ご本人は写真以上にお美しく、しかも気さくで、ますますファンになりました。

     また、神戸サミットは、特徴ある活動をしている税理士がそれぞれ発表した後に、パネルディスカッションをするという趣向。ここでも、私にとっては驚愕の内容が展開されました。

    ビックリ人間大集合

     

     神戸の岩佐さんは、経営者のお金をいかに残すかという切り口で、執筆や講演、ラジオ出演までされている方で、素人?の私にはビックリの活躍ぶり。

     北海道の前島さんも、セミナー活動を通じて顧客開拓を図るという、私には未知の活動を披露。

     ブロサミの父とも言われる川越の大林さんは、ドラッカー税理士を標榜し、ドラッカーの他にカーネギーを紹介。恥ずかしながら、それまで私はドラッカー先生のことを知りませんでした。その後、私がドラッカーに心酔したのは、大林さんの熱心さが伝わったからです。税理士としての視野を広げることができたのは、この時の衝撃のおかげだと思っています。

     京都の近藤さんは、マインドマップについて。これまた恥ずかしながら、この日までマインドマップを知りませんでした。マインドコントロールされるとやだな〜、みたいな印象。この後、近藤さんのマインドマップ勉強会にも参加し、事務所の事業計画や職員の意識改革にも活用させていただきました。

     富山の坂野上さん、実家がご近所の徳留さんなど、かけがえのない仲間ともたくさん知り合うことができました。馬主で今やベストセラー作家の山本さんには、岐阜の不破さんたちと深夜2時まで盛り上がったカラオケで、ネタを教わることもできました。

     地元神戸の幹事さんたちも、タダ者ではありませんでした。叶さんは、勤務時代にフルローンで不動産投資を始め、今では不動産投資専門税理士として全国区の活躍ですし、木村さん、前田さん、大末さんの3人はブログ仲間で税理士事務所を立ち上げるという画期的な取り組みをされた方々です。

     参加者全てを紹介はできませんが、こんなビックリな税理士さんたちに一日で出会えるなんて! ブログを通じ、地域を越えるってすごいことだと感動しました。

    情報を発信する人に情報は集まる

     

     もしも、自分がこの時のブロガーサミットに参加していなかったらと思うと不思議な気がします。今とは全く違う税理士の自分がいただろうと思うからです。

     決算業務や申告書をつくることは同じかもしれませんが、「それ以外」が全然違う人生になっていたと思います。そもそも「それ以外」に何があるのか?を想像しないままだっただろうと思うのです。

     今の自分の取り組みが最善ではないかもしれない。時間や予算の使い方は常に試行錯誤の連続です。でもこの7年間、いつも面白いことを探し、チャレンジを続けてきました。何か壁にぶつかって思い悩む時に考えるのは、ブロサミ仲間、あの人だったらどうするか?ということです。常日頃、会っているわけではありません。でも、ネットにつなげば、すぐ隣に存在を感じられる仲間たち。人との出会いが、仕事を、そして人生を変えるのです。

     ブロガーサミットに参加される方々には、共通の認識があります。それは、「情報は、情報を発信する人にこそ多く集まる」ということです。

     「私は、こんな取り組みをしています。」

     「こんな楽しいことがありました。」

     「こんな成果を得られました。」

     狭い地域で、一方的に話したら、なんだか自慢話に取られたり、目立ってやだなと思うかもしれない。でもネットを通じて全国規模でつながる仲間に、そのような「ムラ社会」の気遣いは無用です。

     私は現在54歳。なんと!サザエさんの波平さんと同じ年齢! だけど、「まだまだこれからだ〜」としか思えません。最近、髪の毛と老眼が気になりますが、自分のことを「わし」とは呼びませんしね。

     昭和と平成では価値観も人生観も変わっています。幸福の中身も違うかもしれない。

     昭和世代の税理士も、平成の時代に仕事をするなら、変化に対応しなければ生き残れません。

     自由に、しなやかに仕事に向き合いたい。 何よりも、カラフルな毎日を過ごしたいものです。

     ブログなどで情報を発信すること。SNSなどで人とつながることの価値は無限大です。それらを通じて、次のブロガーサミットで実現する「リアル」が、皆さんにとっての運命の「熱狂の日」となりますように!

    追伸

     

     この「熱狂の神戸」以降の出会いの数々が、私の税理士人生に与えた影響は計り知れず、私を導いてくださった方々には、いくら感謝しても感謝しきれません。

     もちろん初サミット後も度々顔を合わせているわけですが、会って伝えるのも照れくさいので、この場を借りて感謝申し上げます。

     本当にありがとうございます。

    冨岡弘文(とみおか・ひろふみ)

    冨岡弘文税理士事務所代表税理士。昭和35年10月生まれ、てんびん座のO型。神奈川県相模原市出身。

    平成15年、相模原支部で第一号となる税理士法人を設立し代表就任。平成17年、パートナー(父)の死亡により、東京地方会で初の税理士法人解散。小規模事務所ながら税理士登録者を輩出し続けているのが特徴。仕事・遊び・勉強を、カラフルに充実させる事務所運営がモットー。

     

    現職

    東京地方税理士会相模原支部 電子業務推進部長

    相模原税務署管内納税貯蓄組合連合会 副会長

     

    事務所HP

    走る税理士のブログ

  • 2015年6月号 ブログ・アウトサイドストーリー108

    二たび、富山県でブロサミを開催しました! 坂野上満税理士事務所 坂野上 満

    はじめに

     

     去る平成24年3月に富山県高岡市で第12回税務会計系ブロガーサミットin高岡を開催させていただき、ここに寄稿して以来となります。

    今回、この欄に寄稿させていただくのは、3月28日に「第18回税務会計系ブロガーサミットin富山」の幹事を仰おおせつかったことによるものです。

     前回、高岡市でブロサミを開催したときは、もう富山県で開催することはないだろうとタカをくくっていましたが、幸か不幸か、今年は北陸新幹線が長野から金沢まで開業したこともあり、新しい新幹線に乗りたい人もいるだろうという趣旨のもと、富山で開催することになったようです。

    場所決めとテーマ策定

     

     前回、高岡で開催したときに困ったのは、高岡駅から歩いて行ける範囲に適当な会議室がないことでした。また、新幹線のかがやき号は新高岡には(臨時列車を除いて)停車しないことから、今回は地元の高岡ではなく、県都の富山市で開催することとなりました。

     ところが、ここでも困ったことが。やはり、なじみのある土地柄ではないので勝手が分からないことと、テーマを何にしようかということです。会場は高岡と違っていろいろあるのですが、如何せん、人数も分からなければ借りる手はずも分からない。ある会議室に電話したところ、「国際交流の目的以外ではお貸しすることができません」などと言われる始末。へー、県都ではこういう使用目的を厳しく問われることもあるんだ……、と田舎者は感心するやらあきれるやら。

     で、富山城の真向かいにある富山国際会議場で開催することに。これも、数少ない富山市在住の知人からいくつか紹介されたうちのひとつでした。ここなら路面電車の停留場の真ん前だし、参加者が迷うことはないだろうと即決。会場費もお手頃でした。教えてくれたIさん、ありがとう!

     場所が決まればテーマ。やはり、鉄ちゃん歴がやがて40年となる私にとって、地元に新幹線が開通するのは一生の一大事。新幹線をテーマの真ん中に据えようと思ったのですが、考えてみれば、首都圏や中京圏、関西圏から来られる参加者にとって、新幹線自体は全く珍しいものではなく、ただ、新しい行き先が増えただけ。

    であれば、新しい新幹線に乗って、リラックスして来てもらおうということにしました。しかも、今までのブロサミではやったことのないことをして。ブロサミの幹事も2回目になると、こういった思い切ったことを平気で考えられるようになるのです(笑)。

     そして、テーマは富山県の観光ポスターのコピーをそのまま頂いて、「富山で休もう」にしました。本当は、新幹線に2時間余り揺られて(北陸新幹線に使われているE7系、W7系はあまり揺れませんが……)くる参加者は休みに来るというよりも、来ること自体が重労働だったりするのでしょうが、それでも着いてからは非日常の世界を楽しんでいただきたいという趣向で段取りさせていただきました。

     まずは、北陸新幹線の黒部宇奈月温泉駅の真ん前に本社機能の一部を移転させた世界のYKKにヒントを得て、地方の実情に詳しい実務経営サービスの板垣常務に、「会計業界と地方」に主眼を置いて講演をお願いしようと考えました。明治以来、中央集権に力を入れてきたわが国の歴史の転換点になるかもしれない安倍内閣の地方創生プロジェクトにも沿う話なので、都会と地方を行き来しておられる方に、時代の移り変わりとともに我々会計業界の進むべき方向性のヒントになればという意図があったのです。

     また、私の同級生にテレビマンがいて、テレビの裏側や苦労話、ドキュメントを話してもらうようお願いしてみました。それが、地元チューリップテレビの松井克仁ディレクターでした。

    松井ディレクターとは一緒に地元のスポーツを盛り上げる活動をしていることもあって、二つ返事でOKをもらいました。やはり持つべきものはよき友だなぁと、このときつくづく思いました。

     そして、ラストは「非日常の極みを」と思い、マジシャンの友蔵さんをお招きして、テーブルマジックをみんなで楽しむことにしました。友蔵さんは以前から知っていたのですが、実は、テーブルマジックを今回のブロサミでやってみようと考えたのは、ある意図が働いていました。今回の参加者は人数が少なくなることが予想されたため、なかなか少人数では味わう機会がなく、かつ、少人数だと「トクした感」が大きくなるものをと考えたのです。それがテーブルマジック。テーブルマジックはご案内のとおり、大掛かりな舞台や仕掛けが不要で、それこそトランプやコインを中心に観客参加型で楽しめる

    ものです。これをみんなでやりたかったのです。

    開催準備

     

     今回、ブロガーサミットを楽しみにしていらっしゃるお馴染みメンバーの方々に謝らなければならないことがあります。それは日程のことです。例年、3月のブロサミは確定申告が明けてすぐの土曜日に開催するのが習わしとなっていますが、今年は私のちょっとした思い込みから1週間ずらして開催したため、皆さんが思っていらっしゃった日程ともずれてしまい、参加することができなかった方が続出してしまいました。申し訳ありませんでした。

     開催2週間前になっても思っていた以上に参加者が少なく、何か悪あがきをしなければいけないなと思って作ったのが、「富山駅新幹線改札口から会場までの道案内動画」でした。以前、大阪サミットのときにもやっておられたアイデアをそのまま拝借させていただきました。出演するのは私よりは集客の可能性がある、わが事務所きっての美人さん(ということにしてください……)にお願いし、私はケータイで動画を撮影。悪あがきといっても、確定申告期末期の身とあって、こんなことくらいしか思い浮かびませんでした(汗)。しかし、新幹線の改札口から路面電車に乗って最寄り駅で降り、会場まで若い女子の後ろをケータイで撮影しながら歩く姿をはたから見たら、まるで公然ストーカーのような感じだっただろうな、と。通報されなくてよかったです……。そんなこんなで、この美人さんにも当日のお手伝いをしてもらうことにして、準備が進んでいきました。

    サミット

     

     サミット当日は、誠にサミット日和の快晴となり、参加者の皆さんを歓迎するかのような天候となりました。恐らく、参加者の皆さんの日頃の行いがよかったのでしょう。

     15時に開会宣言。続いて板垣常務の基調講演です。将来残る職業と消える職業という怖ーい話の最後に、願いごとが叶うコツを教えていただきました。仕事に関すること5個と、仕事以外のこと5個を紙に書いて、毎朝それを繰り返し見るだけだそうです。これにより、書いてあることが潜在意識の中に刷り込まれ、行動が変わっていくのだとか。ここでは、「人間の行動は潜在意識で決まる」という言葉が深く印象に残りました。残念ながら、板垣常務が今、紙に書いていらっしゃる内容は教えていただけませんでしたが(笑)。私もその後早速やってみましたけど、やはり意識が変わりますね。ひょっとしたら人生の分岐点になるかもしれない、すごい技術を教えていただきました。

     続いて、チューリップテレビの松井ディレクター。富山県のマスコミ各社が追ってきた内容を、2000年とやま国体のあたりから時系列で解説してもらいました。もちろん、今年の北陸新幹線開業のことも。私が全く知らなかったのは、九州新幹線の開業のとき、途中駅である熊本が埋没の危機感から「くまモン」を世に出し、成功したということ。今の富山と同じ状況に置かれていた熊本県が県のアピールキャラクターとして、今では誰もが知る「くまモン」を生み出した秘話と、そこに隠された人間模様に驚かされました。一旦、北陸新幹線開業フィーバーは落ち着いて、次は2020年の東京オリンピック関係の話題に移っていくようです。彼のライフワークで、2000年とやま国体から連綿と続く「富山のスポーツ」を、テレビマンの目で鋭く追っていこうとする姿勢が印象的でした。

     サミットの最後を飾るのはテーブルマジック。昔、「だまされて喜ぶものってなーんだ?」というなぞなぞに出くわしたことがありましたが、それが目の前で繰り広げられました。総参加者(司会、お手伝いを含めて)11人の面前で、全員参加で行われるのはブロサミ史上初の試みです!

     まず、コイン。出たり消えたり移動したり……。ある人の手に握らせたコインが息を吹きかけると隣の人の手に移動するなど、参加者一同、「えーっ???」。トランプもあるはずのところにない、ないはずのところから……。無造作に選んだはずのトランプが、なぜかそれだけ裏返しになって現れたり……。テーブルマジックとあって、テーブルが勝手に上へ下へと空中浮揚……。これ、私が相方をしていたのですが、本当に分からなかったデス。そんなこんなで、あっという間に50分が経過し、サミットが終了。参加者の中からは「今までで一番楽しいサミットだった!」との言葉を頂き、友蔵さんとその言葉を分かち合って喜びました。

    懇親会

     

     ここからは参加者の役得タイム、懇親会をこれまた数少ない富山の友人の店で開催しました。なぜ役得タイムかって? プロのマジシャンから宴会で使えるマジックのタネを教えてもらえるからですよ、タダで(笑)。爪楊枝を2本使って、通るはずのないところを通す技を教えてもらいました。

     大盛り上がりで終わった第18回税務会計系ブロガーサミットでしたが、次回は9月に名古屋か岐阜で開催されます。今回お会いできなかったメンバーとも楽しい時間をシェアすることができることでしょう。楽しみにしています。

     本当に至らぬ点が多かった第18回サミットでしたが、参加していただいた方々、各講師の方々、そして協賛各社の皆さん、本当にありがとうございました。また秋に元気でお会いしましょう!!!

     なお、掲載した写真は加藤暁光さんから拝借しました。ありがとうございました。

    坂野上 満(さかのうえ・みつる)

    昭和45年1月富山県高岡市生まれ。

    平成4年3月明治大学商学部商学科卒業。

    平成4年4月富山県小矢部市のプラスチック製造会社に就職。

    平成7年10月退職し、税理士試験勉強に専念。

    平成9年9月富山県射水市の税理士事務所に入所。

    平成10年12月税理士試験本合格。

    平成11年11月税理士登録。

    平成14年4月富山県高岡市に税理士事務所を開業。

  • 2015年5月号 ブログ・アウトサイドストーリー107

    ブロサミ男の合格報告(^_-)/ ウエキ税理士法人 徳留新人

    やっとできた報告

     

     「徳留君、私はガンになってしまったようだ……」

     平成26年度の税理士試験からまだ1カ月も経っていない9月初旬にかかってきた一本の電話。

    その電話で、私は事務所の所長である植木がガンになったことを知りました。平成14年6月に入所して以来、いつか植木に恩返しをしたいと思っていた私にとっては衝撃の事実でした。

     植木のガンは上咽頭がんのステージⅣ、すぐに入院の手続きをとって治療が始まりました。放射線と抗がん剤を併用して行う治療はとてもつらいようで、仕事復帰のめどは全く立っていません。そのような治療には約3カ月の期間を要するようで、治療の回数が増える後半は副作用もきつく、一番つらい時期になるようです。そのような一番つらい時期であろうと思われる12月12日に、平成26年度の税理士試験の合格発表がありました。

     入院前、冗談交じりに「徳留君の合格報告が一番の薬になる」と言っていた植木の顔を、官報合格を見るまでの間、何度思い返したか分かりません。税理士試験には12年という長い時間を費やしてしまいましたが、最終的にこうしたタイミングで合格させてもらい、治療で大変な時にもかかわらず、笑顔で合格を一緒に喜んでくれた植木の顔を見たとき、全ての苦労が報われました。

    ブロサミと私

     

     無事に税理士試験に合格できた私ですが、税務会計系ブロガーサミットとの縁は深いものがあります。このリレーエッセイ連載は、ちょうど8年前の平成19年5月号に続いて、2度目の寄稿になります。私がブロガーサミットに参加したのは、平成18年3月に東京で開催された第1回ですが、そのブロガーサミットも平成27年3月の富山開催でちょうど10年。こうして振り返ると、月日の流れの早さを感じるとともに、私の受験時代は、ブロガーサミットで出会った多くの先生方に支えられて過ごしたといっても過言ではありません。

     まだ税理士試験の受験生である身で参加したブロガーサミットでの体験は、私にとって宝物となっています。通常、税理士事務所の職員が知っている税理士といえば、事務所の所長だけということが多いと思います。ですので、よくも悪くも「税理士=所長」という図式が必然的にでき上がり、志高く業界に足を踏み入れたものの、ソリの合わない所長のもとで働くことによってモチベーションが下がったり、業界自体に失望したりする話を私自身も働き始めた当初はよく耳にしました。思春期に初めて恋した相手を異性の全てだと勘違いするかのごとく……(笑)。

     私の場合は、多くの先生と知り合うことによって、2つの効果がありました。ひとつは、以前の寄稿でも述べているように、試験へのモチベーションが上がったことです。ブロガーサミットには個性豊かな先生が多く、話を聞いていて勉強になることがたくさんありました。こうした生の体験談を聞くことができるのは、受験生としてはとても貴重ですし、いつか自分も税理士になって活躍したいとの気持ちを高く持つ、いいキッカケになりました。

     もうひとつは、自分が働いている事務所を客観的に見ることができたことです。他事務所の先生と話すことで、自分の事務所や所長のよい点や至らない点など、比較対象を持つことによって発見できたことも多くありました。

     ブロガーサミットに参加した人は名刺がよく変わると昔はいわれていましたが、自分は第1回の開催時から事務所が法人化した以外は何ひとつ変わっていません。これも、多くの比較対象を持つことによって、今いる事務所のよさに気づき、あらためて誇りを感じながら仕事ができているということも少なからず影響していると思います。

    受験時代に受けた励まし

     

     私は、税理士試験は5年で合格、遅くても30歳までには合格している予定でした。ただ現実は厳しく、受験勉強を始めてから12年間もかかってしまったのです。こうして文章にすればあっという間のように感じますが、毎日仕事が終わってから学校に行き、手応えを持って臨んだ試験でも不合格が続くと、精神的にも厳しい状態になります。実は、こうした時に手を差し伸べてくださったのも、ブロガーサミットで知り合った先生方でした。ある先生は試験前になると必ず、ご自分の職員へお守りを買ったついでに私の分も購入して送ってくださったり、試験後には打ち上げと称して大阪まで会いに来て食事をご馳走してくださったり、不合格の結果通知直後に飲み屋をはしごして連れ回してくださったり……。

     私自身もこうしたご好意に対して、早く合格という結果で恩返しがしたいと思っていましたが、現実は厳しく、なかなか合格を手にすることができませんでした。こうした状況で試験勉強自体を諦めてしまう受験仲間もたくさんいる中で、私自身が最後まで受験を続けられたのは、ブロガーサミットで知り合ったとある先生から頂いた言葉があったからです。

     同じ科目に6年連続で不合格だったその年の発表後に、「試験の負け犬になっても、人生の負け犬にならないことを期待しています」というメールを頂きました。自分の事務所の職員でもない私を遠くから気遣ってくれるその気持ちがうれしく、いつか必ず合格の報告をすると胸に誓ったものです。

    今後の抱負

     

     税理士受験生は、受験時代には合格という明確な目標がありますが、いざ合格するとそこで目標がなくなり、燃え尽きてしまう人が多いと聞きます。私の場合は、ブロガーサミットで知り合った多くの先生方から受けた刺激がありますので、幸い燃え尽きるようなことはなさそうです。資格を取ったらすぐに独立したほうがよいとよく耳にしますが、所長がガンを患った現状を考えると、すぐに独立することは考えていません。ただ、今の所長や事務所から受けてきた恩を、いずれ次世代へ送れたらと思っています。

     実は、この寄稿は「望郷と訣別を」のモデルとなった石井次郎さんに会いに深圳に来ている途中で書いています。石井さんは「お礼というのは、恩になった人だけに返すものではない。返すのは誰にでもいい。困った人がおれば、救いの手を差し伸べなさい。差し伸べるのは順送りなんだ」という教えを若い時にコペンハーゲンで助けてもらった老紳士から教えてもらい、今日までそれを実践してきた方です。実際にお話をしてみて、私自身も税理士として将来的に自分が受けた恩を送る方法を今から考えていきたいと思っています。

    最後に

     

     所長の植木が元気になって帰ってくるまで、今の事務所を盛り上げるのが私の当面の役割です。ですので、独立するまでには少し時間があると思います。その間、受験中にお世話になった先生方へのお礼巡業でもしようかと思っています。その際は、ぜひお付き合いくださいませ(微笑)。

    徳留新人(とくどめ・あらと)

    昭和53年神奈川県厚木市生まれ。

    県立座間高校、阪南大学経済学部卒業。

    平成14年6月、植木保雄税理士事務所入所。

    平成27年12月、日本で一番税理士の友達が多い受験生を卒業。

  • 2015年4月号 ブログ・アウトサイドストーリー106

    新しい刺激を求めて──ブロガーサミットと私 藤原会計事務所/さいとう社労士事務所 所長 税理士 藤原千穂

    はじめに

     

     山梨県の甲府市で事務所をやっております、藤原千穂と申します。事務所自体はとても古く、祖父が60年以上前に始めたということだけは聞いているのですが、基本的にいい加減な性格の一家で、本当のことはよく分かりません……。その後父が会計士となって後を継ぎ、父の死去に伴って偶然にも資格を持っていた私が継いだ次第です。

     もともと、祖父は町歌舞伎の役者の一族だったのらしいですが、なんとなく税理士になったみたいなので、うちの一家はすべて成り行きで進んできて、いつのまにか長いこと会計事務所をやっていたことになります。

    インターネットと私

     

     私はブロガーサミットに参加しているのですが、実はブログを書いていません……。フェイスブックも個人としては活用しているのですが、仕事としては使っていません。ただ、パソコンというものに触れて、パソコン通信というものを始めたのはとても古く、もう25年以上も前になります。当時はもちろん、インターネットなどない時代です。うっかり夢中になると、パソコン通信代が10万を超えてしまうような、そんな時代でした。そのときは学生でしたので、通信代を見てびっくりしたことが何度もあります。

     当時、一緒に通信をしていたメンバーは今でも仲がよく、そんな時代にパソコンをいじって仲間をつくっていただけあって、やはりちょっと特殊な仕事の人が多かったです。キャラクター的にも、とても個性的な面白い人が多かったです。

     今考えると、私はパソコン通信からインターネットを経て、人生のかなりの割合をこのパソコンというものでつながって生きてきたのだと思います。

     今も友人のほとんどはパソコンを通じて知り合った人たちですし、逆にパソコンを使わないでどうやって友人と知り合えばいいのか、よく考えたら分からないようになっていました。

    ブロガーサミットと私

     

     私は自分の日常を発信するのは嫌いではないのですが、自分の専門分野である税金のことに関して、外に発信するのがあまり得意ではありません。なぜなら、書いた文章が独り歩きしてしまうのと、誤解がないように文章を書くことがあまり得意ではないからです。

     このブロガーサミットには、私が苦手な「発信」を得意とする人がたくさんいると聞きまして、ぜひ、実際に会っていろいろ話をしたいと思ったのと、仲良くなってその人の書いた上手な文章をシェアしちゃおうww、というノリで参加しました。

     参加してみると、さすが発信好きで、かなり初期のころからブログを活用していただけあって、新しいものが大好きで、ちょっと愉快な人たちがたくさん参加していました。いつの時代も、新しいもの好きな人は面白い人が多いです。

    これが、私がこの会に参加したきっかけです。発信も受信も得意な人が多いグループです。

    今後、進みたい方向

     

     現在、わが事務所では全員にタブレットを持ってもらっています。今まで、事務所に帰って調べなければならなかったことも、やらなければならない作業も、今は出先で簡単に行えるようになりました。

     ただ、ウェブ上にはいろいろな情報があふれていますので、自分にとって有用で正しい情報はどうやって探すのかが問題になってくると思います。会計事務所のスタッフにもそのような発信・受信の能力が必須になってきたと思います。

     また、いろいろな会社を訪問しているわけですから、弊社の仕組みをクライアント先に「それいいね〜」と言っていただけるような、そんな姿を求めて、日々、スタッフ一同で考えています。

     そんな目標を目指す私たちにとって、ブロガーサミットに参加している新しい物好きな同業者の皆さんは非常に大きな刺激になっています。毎回、いろいろな新しい情報を持ってきてくれます。今後も、ぜひ全国から集まる楽しい仲間と交流して、目新しい情報をどんどん取り入れていこうと思います。

    藤原千穂(ふじはら・ちほ)

    藤原会計事務所/さいとう社労士事務所所長。税理士。山梨県甲府市を拠点としている60年以上続く老舗事務所の三代目として活躍中。

     

    藤原会計事務所/さいとう社労士事務所

    〒400-0811 山梨県甲府市川田町アリア203

    TEL:055-220-1770

    FAX:055-220-1774

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  • 2015年3月号 ブログ・アウトサイドストーリー105

    拡大志向から業務品質志向へ──夢のある業界づくりのために 小嶋税理士事務所 所長 税理士 小嶋公志

    ブロガーサミットとの出会い

     

     私が開業したのは平成18年8月。自宅事務所でのゼロからのスタートでした。開業してから半年ほどはとにかく暇で、しかも自宅が事務所なので、息子の保育園の送り迎えをきっちりやっていたほどでした。

     開業当初は営業の柱として、ホームページでの集客を考えていました。当時、会計事務所のホームページは集客力が低いものが多かった気がします。ですから、しっかりつくり込めば集客できると思い、一生懸命レイアウトを考えました。

     税理士は一般の人にとって敷居が高いと思われがちなので、ネット上でも人柄や柔らかさを前面に出したいと思い、ホームページを補完する意味でブログを始めました。その中でブロガーサミットに出会いました。独立して初めての確定申告が終わった直後に、ブロガーサミットin名古屋に参加しました。知らない人ばかりで、あまり記憶に残っていることはないのですが、先輩方に「あなたは必ず伸びるから、その調子で頑張りなさい」という言葉を頂いて、勇気がわいてきたのを覚えています。

    開業直後は営業一筋 しかし……

     

     開業から3年ほどは、とにかく受注件数を増やすことに専念しました。始終集客のことを考えていた気がします。かなり広告費もかけましたし、失敗もたくさんしました。今まで投資した金額を計算すると寒気が走ります。その結果(?)、幸いにしてある程度の成果が得られ、スタッフも雇い、駅前に事務所を構えることができました。

     しかし、本当の戦いはここからでした。

     価格戦略を実行することで集客できるということを覚えましたが、受注後の業務フローを構築することを甘く考えていたのです。しかも開業当初は、自分が中心となって実務業務を行っていましたが、事務所の規模が拡大すると、業務の中心はスタッフに移行していきます。スタッフが育つ環境を整えないと、事務所の成長が止まってしまうことに、その頃は気づいていませんでした。しかも、新規案件は得てして投下時間が多くなってしまう傾向にあります。拡大をしながら業務品質を上げていき、スタッフも育てていくという神業をこなしていかなければならないのです。どんどんスタッフの不満がたまっていきました。

     会計事務所向けのマーケティング会社はたくさんありますが、大抵は集客に関することがメインです。その後の業務をどうすればよいかについては、所長である自分が考えなければいけません。そのことに気がつくのにもだいぶ時間がかかりました。

    拡大志向から業務品質志向への移行

     

     開業してから3年たったあたりで、考え方を180度転換しました。一度拡大をやめて、業務品質向上への転換を図ろうと思ったのです。しかし、これは集客以上に大変なことでした。

     まずは無理な拡大をやめました。そして料金改定を行い、納得のいく方としか契約しない形にしました。そして大変だったのは、既存のお客様に対する対応です。会計ソフトの変更をお願いしたり、値上げ交渉を行ったりしました。記帳代行についても、自計化に移行する形をとっていきました(現在は約8割が自計化のお客様です)。

     その結果、顧客数は6割程度まで減少しました。これはとても厳しい状況でした。業務を整えるためにスタッフを多めに雇っていましたので、件数が減るのは本当に痛い。借り入れもたくさんしました。その他、業務品質構築に関して行ったことは、報告書・日報管理、会計ソフトの統一、初期指導マニュアルの作成、巡回監査マニュアルの作成、さまざまな研修の実施などなど……、話しだしたらきりがありません。

     なかでも一番大変だったのは、やはりスタッフに関することです。組織の方向を転換するというのは、ものすごくエネルギーが必要です。人は今までのやり方をそのままやり続けたいと考えます。昨日の価値観を変えていくというのは本当に難しい。事務所内で衝突が何度となく生じました。結局意見が合わずに辞めていく人もかなり出てしまいました。

     「事務所が追い求めるものは何なのか?」

     「会計人が行う理想の業務は何なのか?」

     「所長は何をすべきなのか?」

     問題が起きるたびに自問していました。

     今年、事務所は開業9年目を迎えています。売上もおかげさまで毎年伸びており、端から見ると順調に見えているようですが、本当に回り道をしたなぁというのが私の実感です。でも、それが無駄だったとは思っていません。何度もスタッフと意見を交換してつくり上げた形だからこそ、壊れにくい組織ができていると思っています。

     今、自分の事務所のウリは何ですか?と聞かれたら、間違いなく「スタッフ」と「スタッフの業務品質」と答えます。

    業界の価格破壊について

     

     激安事務所の影響というのは、かなりのものがあると考えています。当たり前のように月々○○千円という広告がインターネット上に載っています。税理士はすっかり普通の商売になってしまったなぁと実感しています。

     もともと、税理士は経営者にとって役に立つ情報を持っていったり、日々の意思決定に影響を与えたりすることが業務の中心だと考えています。「税理士はサービス業」というフレーズが、私が開業した平成18年あたりから言われるようになってきました。このスローガンの意味するところは、今までの「殿様商売」や「ホスピタリティ精神の低さ」「お役人的」な対応を改めていこう、というようなものであったと思います。それには全面的に賛成です。しかし、我々のような後発組で、このような殿様商売の姿勢でお客様対応を行っている人は少ないのではないでしょうか。皆、それ相応の丁寧さと誠意を持ってお客様と対峙しているはずです。

     今ではサービス業という言葉が独り歩きを始めてしまい、強烈な価格圧力まで受けてしまっています。原価計算の得意なはずの我々が、よくよく考えたら原価割れをしている案件をたくさん受注しています。

     その結果が何か? 私は、この原価割れ案件受注の先にあるのは「スタッフの酷使」であり、さらには「業界の疲弊」につながっていくのではないかと考えています。

     ある意味で、顧問料制度とはよくできた制度だと思います。何もイレギュラーが起きなければ、月々の顧問料はひょっとしたらお客様にとっては高いものかもしれませんが、ひとたび問題事項が発生して、相談時間が倍になったとしても、その分をチャージする文化は我々にはなかなかなじまないのではないでしょうか。相場で月3万円からというのが、私のスタッフ時代の習慣として染みついていて、この3万円というのが最低料金であったと認識しています。個人的にはやはり、このあたりの金額を最低でも守っていきたいと考えています。

     今、私の事務所は平均値でこの金額よりも高い金額を推移しています。ただ、これは単に高めの金額で契約しているということではありません。前記したようなしっかりした品質の業務をお客様に提供することにより、その対価として適正額を頂いています。

    これからの税理士業界

     

     これから先、どんどん二極化が進むと思われます。クラウド会計の導入により、入力すらしなくて済む世界がもう始まっています。自計化そのものにはもう、価値がなくなってきているのかもしれません。ただ、帳簿は簡単につくれるようになったとしても、それが本当に正しい内容で、融資に耐えうるだけの担保力を有するのかは、第三者のハンコがないとできません(私の事務所は、毎月監査済みの試算表に「監査済印」を押しています)。また、でき上がった試算表をどのように経営に活かしていくかは、ソフトにはできないことです。人が言葉で説明しなければなりません。つまり、専門家として助言することは、今後もなくならないと考えています。

     私は常々、10年後、20年後の会計業界のことや、自分の事務所のことを考えます。どのようなインフラでスタッフが活躍しているのか。「10年たったら今の若手社員も家庭を持って、住宅ローンも抱えているだろうなー」などと考えると、きちんと付加価値のある業界と事務所をつくっておかないと、お互いに納得のいく雇用関係を続けることはできないでしょう。

     若手スタッフや、これから税理士業界を目指す方々にも、夢のある業界づくりをしていきたいと強く願っています。

    小嶋公志(こじま・まさし)

    昭和49年北海道函館市に生まれる。大学卒業後、光通信に入社し携帯を販売。退社後、税理士を目指す。都内の会計事務所に6年間勤務。平成18年、東京都立川市に小嶋税理士事務所を開業。現在スタッフ7名。法人案件の他、専門分野は、事業承継・相続に関する事案。特に、相続発生前の対策(自社株対策、生前贈与等)に積極的に対応している。相続税に関する講演活動や相談会も数多く実施している。年間講演回数は約70件。著書「みんなの相続税」。TKC全国会会員。

    【事務所の経営理念】

    お客様の問題解決に全力を尽くす

    【業務における信念】

    お客様である社長の意思決定にいかに影響を及ぼすことができるかが、会計事務所の価値だと強く思っています。

    【事務所スタッフに求めること】

    明るい挨拶ができること

    勉強好きで成長志向であること

    素直であること

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  • 2015年2月号 ブログ・アウトサイドストーリー104

    弁護士業界と税務会計業界の連携について 弁護士・公認会計士 藤井 寿

    はじめに

     

     弁護士・公認会計士の藤井 寿と申します。

     現在、弁護士業務を中心としている私が、税務会計に関するリレーエッセイを執筆してよいのか疑問ではありますが、今回は私が担当する運びとなりましたので、この場をお借りしまして、弁護士業界と税務会計業界の連携などについて、私が考えているところを綴ってみたいと思います。抽象的な話になりますし、目新しい話ではないかもしれませんが、お付き合いいただければ幸いです。

    弁護士業界と税務会計業界の連携について

     

     弁護士・公認会計士・税理士の有資格者は毎年かなりのペースで増加しているものの(ここ数年、司法試験、公認会計士試験の合格者数は減少しつつありますが)、相変わらずほとんどの事務所では、弁護士は法律事務所、公認会計士・税理士は公認会計士事務所(会計事務所)、税理士事務所に所属するといった形態を取っているのがほとんどです。

     弁護士法、公認会計士法、税理士法で各資格者の業務の範囲が厳格に定められていること、各資格者間での報酬・費用負担等の取り決めが難しいことなどもその背景にあるのですが、少なくとも現状では、弁護士業界と税務会計業界の連携はあまり進んでいないと感じています。

     個人レベルでは、異業種交流会などで異なる資格者とのつながりをつくっていこうと活動されている方々もいますが、あくまで個人レベルにとどまり、それぞれの業界としては、まだまだそのような取り組みが主体的・積極的になされているとは言い難い状況です。

     また、有資格者の増加の帰結として、以前と比較して業務の専門化が深化しており、総花的に何でもできるというのではなく、ある業務について専門的に質の高いサービスを提供するという差別化を行い(縦方向の掘り下げ)、その事務所の「売り」をホームページ等で全面的に打ち出すことにより、集客を図っている事務所が多い傾向にあります。

     有資格者の専門化にはプラスの面が大変多いことは否定できませんが、その一方で、異なる業種の専門家が横断的に連携することにより、顧客にワンストップでサービスを提供するという横のつながりについては、今のところあまり重視されていないように感じています。

     実際、私の業務としても、両方の資格が生きるような仕事はあまり多くはなく、ほとんどの仕事は片方の資格者として受任したものとなっています。両方の資格が直接生かせるのは、金融商品取引法違反(粉飾決算)の事案など、限られたものとなっています。

     私と知り合いの弁護士・公認会計士の両方の有資格者(全国に100名以上はいるようです)が集まって情報交換をするときも、「なかなか両方の資格を同時に生かせる仕事はないね」などという話になることが多く、皆少なからず同じようなことを感じていて、両方の資格を横断的に生かす方法をそれぞれ模索している状況です。

     

     

     

     

     

     

     

     

     しかしながら、企業再編・企業再生・不動産取引・倒産・離婚・相続などの分野をはじめとして、法律と税務会計の両方だけでなく、さらに他の専門家のサービスを必要とする分野も数多くあります。

     例えば、相続の分野において必要となるサービスと、それを提供することができる各専門家との関係を大まかな表にすると上の表のようになり、各専門家の関与が必要とされています。

     また、外部の専門家同士とその都度提携する場合と比較すると、共同事務所等で業務処理を1カ所で行うほうが、業務の効率化・迅速化のメリットがあります。また、業務の共同処理を行うことで、ひとつの業務についての全体像や流れを具体的に把握することが可能となるとともに、同種業務のノウハウが蓄積され、良質な総合的なサービスの提供も可能となると考えられます。

     各専門家の共同事務所等による一体的なサービス提供が、ブルーオーシャンとまでいえるかはまだ分かりませんが、ワンストップサービスとして業務を提供する潜在的なニーズは多く、今後開拓の余地が大いにあることは間違いないと考えています。

     私自身、お客様から企業再編や相続などのご相談をいただいた際に、その分野に詳しい税理士や会計士が同じ職場にいれば、すぐに適切なアドバイスやサービスが提供できるのに、と感じたことは数多くあります。

     異なる分野の資格者が一体となってサービスを提供するための第一歩として、公認会計士、税理士、司法書士などの異なる資格者と一般社団法人を設立し、コンサルティングサービス等を提供することを現在企画しているところです。

    おわりに

     

     弁護士業界と税務会計業界の連携については、これまで述べたとおり、業界としても手探りの状態で、具体的な方向性や方策を模索しているところです。したがって、ほとんど具体的なお話をすることもできませんでしたが、今回のエッセイで問題提起だけはさせていただきます。また、よいお知恵があればぜひお貸しいただきたいと思います。

     取りとめもない話になりましたが、最後までお読みくださり、どうもありがとうございました。

     今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

    藤井 寿(ふじい・ひさし)

    昭和55年神奈川県生まれ。

    弁護士(平成23年登録)、公認会計士(平成18年登録)、法科大学院客員教授。

    大手監査法人勤務を経て、現在は東京都港区内の法律事務所勤務。弁護士としては不動産法務・企業法務(各種契約・債権回収・労務問題等)・家事事件・刑事事件等、公認会計士としては、地方自治体の包括外部監査等に従事している。

  • 2015年1月号 ブログ・アウトサイドストーリー103

    「第15回ブロガーサミット in グランフロント大阪」に参加して TAXDESIGN ASHIYA Head 税理士 宮本直樹

     平成25年9月21日(土)に開催された「第15回ブロガーサミットinグランフロント大阪」は、幹事3名(秋山和久税理士、菊水浩税理士、白川浩税理士)、「ワールドカフェ」発案者の近藤学税理士、他参加メンバー皆様のお陰様で大いに盛り上がりました。

     今回のテーマは「中小企業に対する私たちの役割」と題して、税理士、他士業の方、士業以外の方とコミュニケーションを図ったことで、参加メンバーの皆様がクライアントに真摯に向かい合っていることを強く感じました。

     今後も益々ブロガーサミットが発展するように祈念し、また、私もブロガーサミットに力添えして盛り上げていくことができれば幸いです。

    税務会計系ブロガーサミットに参加したきっかけ

     

     税務会計系ブロガーサミットに参加したきっかけは、第15回ブロガーサミットinグランフロント大阪で幹事を務めた菊水浩税理士が私と高校の同級生で、フェイスブック上でブロガーサミットのイベントにお誘いいただいたのがご縁でした。

     フェイスブックのイベントの良い点は、イベントが始まる前にも参加メンバーの顔触れやバックボーンを見ることが出来る点です。書籍やブログを拝読し一度お会いしたかった、全国的に有名な方々がいらっしゃったことを理由に参加を決めました。そういった方々からたくさんの刺激を受けたい、事務所経営や実務についても情報交換をしたい、という気持ちです。

     ITにも税務・会計にも精通しているという共通認識があることから、間違いなく、お互いに切磋琢磨できるものと今も確信しています。

    SNSについて

     

     税務会計系のブロガーのサミット、ブロガーサミットという名称ですが、現在主流のコミュニケーションツールはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)です。ブロガーサミットに参加したメンバーとフェイスブック友達になり、仕事やプライベートの現況報告を行うといった非常に緩やかな相互の繫がりを続けています。

     個性的、刺激的、行動的な方々の集まりであるということが、ブロガーサミットに参加した後のフェイスブックのタイムラインを拝見するとよく分かりました。もちろん、ブログも要チェックです。というのも、情報の有用性や信頼性のおける参加メンバーからの情報発信ツールと認識しているので、欠かせないツールと思っています。

    私の事務所のITやSNSの活用法

     

     ITやSNSを有効に使いこなしておられる参加メンバーから大いに刺激を受け、大変勉強になっています。参考になることばかりですので、いいとこどりやテクニックの吸収をどんどんしていきたいと考えています。

     翻って、私の事務所はどんなツールをどうやって活用しているか?ということですが、情報発信は、左記の4つを主に利用しています。

    1.フェイスブック

     プライベートについて情報発信をしています。ほぼ、福岡出張、東京出張時のグルメ便りになっていますが。

    2.フェイスブックページ

     事務所の日々のミーティング、事務所のお知らせやクライアントに関する情報発信をしています。

    3.ホームページ内併設ブログ

     経営学・ビジネス書等の読書備忘録、事務所近辺の芦屋市や神戸市の飲食店グルメの情報発信、事務所のお知らせやクライアントに関する情報発信をしています。

    4.ツイッター

     気になるウェブ上の最新記事やブログの抜粋・紹介、フェイスブックページと同内容のリンクによる情報発信をしています。

     また、通常業務は、左記の3つを主に利用しています。

    1.クラウドサービス(オンラインスト㆑ージ)

     リアルタイムで会計・経営・税務データをクライアントのPCと同期させています。

    2.Skype(スカイプ)

     電話ではなかなか十分に伝わりにくい内容の場合、遠方のクライアントとのミーティングや、リアルタイムで会計・経営・税務データ授受を行っています。

    3.フェイスブックメッセージ

     チャット機能やデータ添付機能によってスピーディーに会話や会計・経営・税務データ授受を行っています。

     これらのツールを利用することで得られる利点は、関東・福岡・海外といった遠方のクライアントに対しても、リアルタイムかつスピーディーに業務を行うのが可能なことです。これらのITツールは最新ではありながら、一般にも浸透しており、しかもローコスト(究極、ノーコストのケースもあります)という理由で、中小企業や個人事業主には大変親和性があります。

     従前の税理士事務所の業務スタイルである、毎月訪問して仕訳のチェックをする手間もなく、旅費交通費削減や情報遅延や作業中のミスをなくすことに注力しています。

     参加メンバーと税務・会計だけの情報交換だけではなく、税理士業界という同業他社が一体今、どんなことを行っているのか?といった情報交換や切磋琢磨をしながら、これからも、日々進化するITを駆使して、効率性・即時性・実効性・生産性・安全性を高めていく挑戦と努力を継続していこうと考えています。

    宮本直樹(みやもと・なおき)

    TAXDESIGN ASHIYA Head。NPO法人近畿遺言相続サポートセンター理事。税理士。1974年長崎市生まれ。

    東京及び大阪で、会計事務所3社、信託銀行プライベートバンク部門を経て独立。中小企業、個人事業主、富裕層を対象とした会計・経営・税務コンサルティングに従事。

     

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