SPECIAL BRANDING INTERVIEW

組織としての 成長を目指す会計事務所の ブランディング戦略

税理士法人巻田会計事務所

代表

巻田佳樹

STEP.01

ブランディングとの出会い

老舗事務所に求められる変化

―― 老舗事務所でありながら、ブランディングによって、若く新しい事務所へと生まれ変わった巻田会計事務所。本日は、そのブランディング戦略について巻田所長にお伺いします。まずは、巻田会計事務所の沿革と、巻田先生が事務所を引き継がれた経緯についてお話しください。

巻田 巻田会計事務所は今年で創業58年になります。私の父である先代が、昭和33年3月に横浜の鶴見で開業したのが始まりです。

 私がこれを引き継いだのが平成18年、45歳のときでした。大学を卒業してすぐこの業界に入りましたから、20年近く修行を積んだわけです。その間、他の会計事務所で5年ほどお世話になり、巻田会計に戻ってから10年、本格的に2代目として厳しい教育を受け、事業承継に至りました。

 承継後、父は事務所経営に一切タッチしなくなりました。口も出さなければ、金も出さない。そのときは正直、重責に押しつぶされそうな気分になったこともあります。

―― 2代目に就任されたとき、どのようなことを考えていましたか。

巻田 このままでは生き残れないという危機感はありました。数年後にはなくなっていると思われる顧問先さんも何社かありましたので、尻すぼみになっていくのが目に見えたのです。そこで、新しいものを取り入れていかなければならないと思い、経営計画やブランディングなどに取り組み始めました。

―― では、事業承継と同時にCIデザインに取り組まれたのですか。

巻田 方向性としては考えていましたが、実際に取り組み始めたのは、引き継いで4年後に法人化した平成22年頃からです。個人事務所から法人になりました。そこでブランディングの必要性にあらためて気づいたのです。CIデザインが組織化へのヒントを与えてくれました。

STEP.02

ブランディングの導入

作り込んだクレドは事務所のバイブル

―― ブランディングはどのように進めていったのですか。

巻田 CI戦略については、専門家である株式会社セルディビジョンの岩谷社長のアドバイスを受けながら進めていきました。

 まずは、CIは全社で取り組むべきと考え、スタッフ一人ひとりの意見を聞くことから始めました。その際、岩谷社長に相談しながら5~6項目のアンケートを作成しました。巻田会計をどんな事務所にしていきたいのか、全社員の思い、考えの結晶を形にしたものが名刺であり、クレドということになります。

―― 名刺には「年輪」を表したロゴマークが刻まれています。これにはどのような意味が込められているのですか。

巻田 以前の名刺が白地に黒で事務所名が記されたシンプルなものでしたので、会計事務所のイメージを一新するためにも、ナチュラルな明るいグリーンのカラーリングで「年輪」をデザインしていただきました。

 この「年輪」には、巻田会計が50有余年積み重ねてきた時間と信頼、そして日々成長する意思が込められています。私たちが第一に考えるべきお客様を「芯」とし、積み重ねた時間を「積層」、そして、歴史は古いけれども第一線で活躍する若手を「表皮」。これらを3層の色で表しています。

―― 顧客の反応はいかがですか。

巻田 「変わっているね」と言われたりもします。しかし大事なのは、そのときにどれだけロゴの意味を相手に伝えられるかです。そのためには、担当者自身が当事務所の理念、信条をしっかりと理解していなければなりません。

―― そこで重要な役割を果たすのがクレドということになりますね。

巻田 はい。理念を実現するための行動指針が細かく書かれています。このクレドの作り込みが一番大変でしたが、楽しくもありました。クレドはいうなれば当事務所のバイブルです。それが皆のデスクにそれぞれ置いてある。新しい社員が入ってくるとまずクレドを渡して、当事務所の考え方を納得してもらう。そうやって、社員全員で理念を共有しています。

―― その理念について簡単にご説明ください。

巻田 簡単にいえば、「お客様を大切にしよう」ということです。自分のことよりもまずお客様のことを考える。人生も仕事も選択の連続ですが、なぜ、その選択肢を選んだのか。それはお客様のためである。そんなふうに考えられるようになるのは簡単ではありません。だからクレドが必要なのです。常に目の見える所、手の届くところにクレドがあれば、常に理念が頭の片隅にある。それだけでも対応は変わってくると思います。

STEP.03

ブランディングの効果

CIデザインを人材育成に生かす

―― クレドを作ったことで、社員の方々にどのような変化がありましたか。

巻田 自発性が養われてきていると実感しています。言われてやるのではなく、自分で考えて行動できるようになってきました。以前は私が中心になって進めていた朝礼も、今では新人も含め、持ち回りで司会をするようになりましたし、会議にしても、私抜きでも、きちんとできるようになっています。

―― 採用・教育面におけるブランディングの効果はいかがですか。

巻田 採用面接では必ずCI戦略の話をします。クレドを見せて理念を伝え、最初の3年間はかなり厳しく指導するという話もします。入所する人は、それを承知のうえで覚悟を持って入ってきますので、長続きします。

 もちろん、厳しいだけではありません。その先に夢や希望も持ってもらいたい。3年頑張れば税務会計だけでなく、コンサル業務など仕事の幅も広がります。経営計画をやってみたいと思えば、そっちを選ぶこともできる。その選択肢を用意しています。しかし、そこまでいくには、いろいろな試練に耐えてもらわなければならないのです。

―― 人材育成では何を重視されていますか。

巻田 やはり、人間性の部分ですね。仕事における研鑽ももちろん大事ですが、それ以前に倫理やマナー面での向上が重要だと考えています。

 ゴミを見たら拾う。当たり前のことですが、それができない人は少なくありません。見て見ぬふりをする。それが仕事に現れてくる。そのような小さなことから大事にしていけば、必ずよい仕事につながると思います。社員には当事者意識を持ち、相手の立場に立って考えられるようになってもらいたいと思います。私自身がそのような教育を受けてきましたから。

―― その教育方針もしっかり継いでいるということですね。

巻田 それは確実にあります。一本芯の通った教育を若い人たちに伝えていきたい。その手法としてこのCIを活用しているということだと思います。それがCIの存在意義ではないでしょうか。

ABC Branding Project

ABCブランディングプロジェクトとは

ブランディングの効果を、もっと世の中に。 各分野のプロの全面サポートによる新しいプロジェクトがスタートしました!

中小企業こそ日本経済のエンジンである。しかし、社会のスピードと複雑化によって多くの中小企業は、 この厳しい社会構造についていくだけで精一杯になり、 エンジンどころか振り落とされてしまう結果が生まれています。 だからこそ出来るアドバイスの領域があります。 経営に寄り添う存在だからこそ、そう気づいている職業会計人が増えています。 だからこそ、私達はそのワンピースを埋めるためにブランディングプロジェクトを新たに発足したのです。 「みえない価値をみえる価値に」をスローガンとして、 もっと中小企業支援へと突き進み価値ある情報を発信し続ける”実務経営サービス” ブランディングデザインのプロ”セルディビジョン” この3つの共同体が、「日本の中小企業のブランディング」に本気で取り組みます。 この共同体が中小企業の価値をつくり、高め、広めるのです。 それは、今までの互いの領域を越えていく瞬間です。

Celldivision

セルディビジョンとは

ブランディング事例は、400社以上。 セルディビジョンがあなたの理念をカタチに

株式会社セルディビジョンは、「価値をつくり、たかめ、ひろめる」の経営理念の元、クライアント様の先のお客様と、ご依頼頂いたクライアント様、そして創り手である自身の三者が、心から満足できるモノ創りとお客様の求めている以上の満足と、常にお客様に驚きと感動を与えるための+αのサービスを提案しています。また、セルディビジョンが手がける「ブランディング」は、綿密なヒアリングに始まり、ロゴマーク・コーポレートカラー・名刺・封筒といったツールや、会社の指針となる理念を具現化したクレドなどをブランディングの基礎部分(CI Design)としてご提案しています。これまでも先進の会計事務所と、実務経営サービスとの3つが連携をとりながら、数多くのブランディングを通じて企業の価値をつくり、たかめ、ひろめることで、日本全国の人たちを元気に、そして笑顔にしてきました。そんな心強い存在がクリエイティブ面を全面サポートいたします。

Produced by