ブロガーサミット.ai

税務会計系ブロガーサミットは、2006年3月に東京で産声を上げたインターネットを活用する会計人のコミュニティーです。全国から会計人が参加しており、定期的に各地で勉強会や親睦会を開いています。「月刊実務経営ニュース」では、税務会計系ブロガーサミットの参加者の皆様に毎号エッセイを執筆していただいています。

税務会計系ブロガーサミット

税務会計系ブロガーサミット・リレーエッセイ

2015

第108回 二たび、富山県でブロサミを開催しました!

第108回 二たび、富山県でブロサミを開催しました!
      坂野上満税理士事務所 坂野上 満

はじめに
 去る平成24年3月に富山県高岡市で第12回税務会計系ブロガーサミットin高岡を開催させていただき、ここに寄稿して以来となります。今回、この欄に寄稿させていただくのは、3月28日に「第18回税務会計系ブロガーサミットin富山」の幹事を仰せつかったことによるものです。
 前回、高岡市でブロサミを開催したときは、もう富山県で開催することはないだろうとタカをくくっていましたが、幸か不幸か、今年は北陸新幹線が長野から金沢まで開業したこともあり、新しい新幹線に乗りたい人もいるだろうという趣旨のもと、富山で開催することになったようです。

場所決めとテーマ策定
 前回、高岡で開催したときに困ったのは、高岡駅から歩いて行ける範囲に適当な会議室がないことでした。また、新幹線のかがやき号は新高岡には(臨時列車を除いて)停車しないことから、今回は地元の高岡ではなく、県都の富山市で開催することとなりました。
 ところが、ここでも困ったことが。やはり、なじみのある土地柄ではないので勝手が分からないことと、テーマを何にしようかということです。会場は高岡と違っていろいろあるのですが、如何せん、人数も分からなければ借りる手はずも分からない。ある会議室に電話したところ、「国際交流の目的以外ではお貸しすることができません」などと言われる始末。へー、県都ではこういう使用目的を厳しく問われることもあるんだ……、と田舎者は感心するやらあきれるやら。
 で、富山城の真向かいにある富山国際会議場で開催することに。これも、数少ない富山市在住の知人からいくつか紹介されたうちのひとつでした。ここなら路面電車の停留場の真ん前だし、参加者が迷うことはないだろうと即決。会場費もお手頃でした。教えてくれたIさん、ありがとう!
 場所が決まればテーマ。やはり、鉄ちゃん歴がやがて40年となる私にとって、地元に新幹線が開通するのは一生の一大事。新幹線をテーマの真ん中に据えようと思ったのですが、考えてみれば、首都圏や中京圏、関西圏から来られる参加者にとって、新幹線自体は全く珍しいものではなく、ただ、新しい行き先が増えただけ。であれば、新しい新幹線に乗って、リラックスして来てもらおうということにしました。しかも、今までのブロサミではやったことのないことをして。ブロサミの幹事も2回目になると、こういった思い切ったことを平気で考えられるようになるのです(笑)。
 そして、テーマは富山県の観光ポスターのコピーをそのまま頂いて、「富山で休もう」にしました。本当は、新幹線に2時間余り揺られて(北陸新幹線に使われているE7系、W7系はあまり揺れませんが……)くる参加者は休みに来るというよりも、来ること自体が重労働だったりするのでしょうが、それでも着いてからは非日常の世界を楽しんでいただきたいという趣向で段取りさせていただきました。
 まずは、北陸新幹線の黒部宇奈月温泉駅の真ん前に本社機能の一部を移転させた世界のYKKにヒントを得て、地方の実情に詳しい実務経営サービスの板垣常務に、「会計業界と地方」に主眼を置いて講演をお願いしようと考えました。明治以来、中央集権に力を入れてきたわが国の歴史の転換点になるかもしれない安倍内閣の地方創生プロジェクトにも沿う話なので、都会と地方を行き来しておられる方に、時代の移り変わりとともに我々会計業界の進むべき方向性のヒントになればという意図があったのです。
 また、私の同級生にテレビマンがいて、テレビの裏側や苦労話、ドキュメントを話してもらうようお願いしてみました。それが、地元チューリップテレビの松井克仁ディレクターでした。松井ディレクターとは一緒に地元のスポーツを盛り上げる活動をしていることもあって、二つ返事でOKをもらいました。やはり持つべきものはよき友だなぁと、このときつくづく思いました。
 そして、ラストは「非日常の極みを」と思い、マジシャンの友蔵さんをお招きして、テーブルマジックをみんなで楽しむことにしました。友蔵さんは以前から知っていたのですが、実は、テーブルマジックを今回のブロサミでやってみようと考えたのは、ある意図が働いていました。今回の参加者は人数が少なくなることが予想されたため、なかなか少人数では味わう機会がなく、かつ、少人数だと「トクした感」が大きくなるものをと考えたのです。それがテーブルマジック。テーブルマジックはご案内のとおり、大掛かりな舞台や仕掛けが不要で、それこそトランプやコインを中心に観客参加型で楽しめるものです。これをみんなでやりたかったのです。

開催準備
 今回、ブロガーサミットを楽しみにしていらっしゃるお馴染みメンバーの方々に謝らなければならないことがあります。それは日程のことです。例年、3月のブロサミは確定申告が明けてすぐの土曜日に開催するのが習わしとなっていますが、今年は私のちょっとした思い込みから1週間ずらして開催したため、皆さんが思っていらっしゃった日程ともずれてしまい、参加することができなかった方が続出してしまいました。申し訳ありませんでした。
 開催2週間前になっても思っていた以上に参加者が少なく、何か悪あがきをしなければいけないなと思って作ったのが、「富山駅新幹線改札口から会場までの道案内動画」でした。以前、大阪サミットのときにもやっておられたアイデアをそのまま拝借させていただきました。出演するのは私よりは集客の可能性がある、わが事務所きっての美人さん(ということにしてください……)にお願いし、私はケータイで動画を撮影。悪あがきといっても、確定申告期末期の身とあって、こんなことくらいしか思い浮かびませんでした(汗)。しかし、新幹線の改札口から路面電車に乗って最寄り駅で降り、会場まで若い女子の後ろをケータイで撮影しながら歩
く姿をはたから見たら、まるで公然ストーカーのような感じだっただろうな、と。通報されなくてよかったです……。そんなこんなで、この美人さんにも当日のお手伝いをしてもらうことにして、準備が進んでいきました。

サミット
 サミット当日は、誠にサミット日和の快晴となり、参加者の皆さんを歓迎するかのような天候となりました。恐らく、参加者の皆さんの日頃の行いがよかったのでしょう。15時に開会宣言。続いて板垣常務の基調講演です。将来残る職業と消える職業という怖ーい話の最後に、願いごとが叶うコツを教えていただきました。仕事に関すること5個と、仕事以外のこと5個を紙に書いて、毎朝それを繰り返し見るだけだそうです。これにより、書いてあることが潜在意識の中に刷り込まれ、行動が変わっていくのだとか。ここでは、「人間の行動は潜在意識で決まる」という言葉が深く印象に残りました。残念ながら、板垣常務が今、紙に書いていらっしゃる内容は教えていただけませんでしたが(笑)。私もその後早速やってみましたけど、やはり意識が変わりますね。ひょっとしたら人生の分岐点になるかもしれない、すごい技術を教えていただきました。
 続いて、チューリップテレビの松井ディレクター。富山県のマスコミ各社が追ってきた内容を、2000年とやま国体のあたりから時系列で解説してもらいました。もちろん、今年の北陸新幹線開業のことも。私が全く知らなかったのは、九州新幹線の開業のとき、途中駅である熊本が埋没の危機感から「くまモン」を世に出し、成功したということ。今の富山と同じ状況に置かれていた熊本県が県のアピールキャラクターとして、今では誰もが知る「くまモン」を生み出した秘話と、そこに隠された人間模様に驚かされました。一旦、北陸新幹線開業フィーバーは落ち着いて、次は2020年の東京オリンピック関係の話題に移っていくようです。彼のライフワークで、2000年とやま国体から連綿と続く「富山のスポーツ」を、テレビマンの目で鋭く追っていこうとする姿勢が印象的でした。
 サミットの最後を飾るのはテーブルマジック。昔、「だまされて喜ぶものってなーんだ?」というなぞなぞに出くわしたことがありましたが、それが目の前で繰り広げられました。総参加者(司会、お手伝いを含めて)11人の面前で、全員参加で行われるのはブロサミ史上初の試みです!
 まず、コイン。出たり消えたり移動したり……。ある人の手に握らせたコインが息を吹きかけると隣の人の手に移動するなど、参加者一同、「えーっ???」。トランプもあるはずのところにない、ないはずのところから……。無造作に選んだはずのトランプが、なぜかそれだけ裏返しになって現れたり……。テーブルマジックとあって、テーブルが勝手に上へ下へと空中浮揚……。これ、私が相方をしていたのですが、本当に分からなかったデス。そんなこんなで、あっという間に50分が経過し、サミットが終了。参加者の中からは「今までで一番楽しいサミットだった!」との言葉を頂き、友蔵さんとその言葉を分かち合って喜びました。

懇親会
 ここからは参加者の役得タイム、懇親会をこれまた数少ない富山の友人の店で開催しました。なぜ役得タイムかって? プロのマジシャンから宴会で使えるマジックのタネを教えてもらえるからですよ、タダで(笑)。爪楊枝を2本使って、通るはずのないところを通す技を教えてもらいました。
 大盛り上がりで終わった第18回税務会計系ブロガーサミットでしたが、次回は9月に名古屋か岐阜で開催されます。今回お会いできなかったメンバーとも楽しい時間をシェアすることができることでしょう。楽しみにしています。
 本当に至らぬ点が多かった第18回サミットでしたが、参加していただいた方々、各講師の方々、そして協賛各社の皆さん、本当にありがとうございました。また秋に元気でお会いしましょう!!!
 なお、掲載した写真は加藤暁光さんから拝借しました。ありがとうございました。

坂野上満.jpg■坂野上 満(さかのうえ・みつる)
昭和45年1月富山県高岡市生まれ。平成4年3月明治大学商学部商学科卒業。平成4年4月富山県小矢部市のプラスチック製造会社に就職。平成7年10月退職し、税理士試験勉強に専念。平成9年9月富山県射水市の税理士事務所に入所。平成10年12月税理士試験本合格。平成11年11月税理士登録。平成14年4月富山県高岡市に税理士事務所を開業。

第107回 ブロサミ男の合格報告(^_-)

第107回 ブロサミ男の合格報告(^_-)

ウエキ税理士法人 徳留新人

やっとできた報告
 「徳留君、私はガンになってしまったようだ……」
 平成26年度の税理士試験からまだ1カ月も経っていない9月初旬にかかってきた一本の電話。その電話で、私は事務所の所長である植木がガンになったことを知りました。平成14年6月に入所して以来、いつか植木に恩返しをしたいと思っていた私にとっては衝撃の事実でした。
 植木のガンは上咽頭がんのステージⅣ、すぐに入院の手続きをとって治療が始まりました。放射線と抗がん剤を併用して行う治療はとてもつらいようで、仕事復帰のめどは全く立っていません。そのような治療には約3カ月の期間を要するようで、治療の回数が増える後半は副作用もきつく、一番つらい時期になるようです。そのような一番つらい時期であろうと思われる12月12日に、平成26年度の税理士試験の合格発表がありました。
 入院前、冗談交じりに「徳留君の合格報告が一番の薬になる」と言っていた植木の顔を、官報合格を見るまでの間、何度思い返したか分かりません。税理士試験には12年という長い時間を費やしてしまいましたが、最終的にこうしたタイミングで合格させてもらい、治療で大変な時にもかかわらず、笑顔で合格を一緒に喜んでくれた植木の顔を見たとき、全ての苦労が報われました。

ブロサミと私
 無事に税理士試験に合格できた私ですが、税務会計系ブロガーサミットとの縁は深いものがあります。このリレーエッセイ連載は、ちょうど8年前の平成19年5月号に続いて、2度目の寄稿になります。私がブロガーサミットに参加したのは、平成18年3月に東京で開催された第1回ですが、そのブロガーサミットも平成27年3月の富山開催でちょうど10年。こうして振り返ると、月日の流れの早さを感じるとともに、私の受験時代は、ブロガーサミットで出会った多くの先生方に支えられて過ごしたといっても過言ではありません。
 まだ税理士試験の受験生である身で参加したブロガーサミットでの体験は、私にとって宝物となっています。通常、税理士事務所の職員が知っている税理士といえば、事務所の所長だけということが多いと思います。ですので、よくも悪くも「税理士=所長」という図式が必然的にでき上がり、志高く業界に足を踏み入れたものの、ソリの合わない所長のもとで働くことによってモチベーションが下がったり、業界自体に失望したりする話を私自身も働き始めた当初はよく耳にしました。思春期に初めて恋した相手を異性の全てだと勘違いするかのごとく……(笑)。
 私の場合は、多くの先生と知り合うことによって、2つの効果がありました。ひとつは、以前の寄稿でも述べているように、試験へのモチベーションが上がったことです。ブロガーサミットには個性豊かな先生が多く、話を聞いていて勉強になることがたくさんありました。こうした生の体験談を聞くことができるのは、受験生としてはとても貴重ですし、いつか自分も税理士になって活躍したいとの気持ちを高く持つ、いいキッカケになりました。
 もうひとつは、自分が働いている事務所を客観的に見ることができたことです。他事務所の先生と話すことで、自分の事務所や所長のよい点や至らない点など、比較対象を持つことによって発見できたことも多くありました。
 ブロガーサミットに参加した人は名刺がよく変わると昔はいわれていましたが、自分は第1回の開催時から事務所が法人化した以外は何ひとつ変わっていません。これも、多くの比較対象を持つことによって、今いる事務所のよさに気づき、あらためて誇りを感じながら仕事ができているということも少なからず影響していると思います。

受験時代に受けた励まし
 私は、税理士試験は5年で合格、遅くても30歳までには合格している予定でした。ただ現実は厳しく、受験勉強を始めてから
12年間もかかってしまったのです。こうして文章にすればあっという間のように感じますが、毎日仕事が終わってから学校に行き、手応えを持って臨んだ試験でも不合格が続くと、精神的にも厳しい状態になります。実は、こうした時に手を差し伸べてくださったのも、ブロガーサミットで知り合った先生方でした。ある先生は試験前になると必ず、ご自分の職員へお守りを買ったついでに私の分も購入して送ってくださったり、試験後には打ち上げと称して大阪まで会いに来て食事をご馳走してくださったり、不合格の結果通知直後に飲み屋をはしごして連れ回してくださったり……。
 私自身もこうしたご好意に対して、早く合格という結果で恩返しがしたいと思っていましたが、現実は厳しく、なかなか合格を手にすることができませんでした。こうした状況で試験勉強自体を諦めてしまう受験仲間もたくさんいる中で、私自身が最後まで受験を続けられたのは、ブロガーサミットで知り合ったとある先生から頂いた言葉があったからです。
 同じ科目に6年連続で不合格だったその年の発表後に、「試験の負け犬になっても、人生の負け犬にならないことを期待しています」というメールを頂きました。自分の事務所の職員でもない私を遠くから気遣ってくれるその気持ちがうれしく、いつか必ず合格の報告をすると胸に誓ったものです。

今後の抱負
 税理士受験生は、受験時代には合格という明確な目標がありますが、いざ合格するとそこで目標がなくなり、燃え尽きてしまう人が多いと聞きます。私の場合は、ブロガーサミットで知り合った多くの先生方から受けた刺激がありますので、幸い燃え尽きるようなことはなさそうです。資格を取ったらすぐに独立したほうがよいとよく耳にしますが、所長がガンを患った現状を考えると、すぐに独立することは考えていません。ただ、今の所長や事務所から受けてきた恩を、いずれ次世代へ送れたらと思っています。
 実は、この寄稿は「望郷と訣別を」のモデルとなった石井次郎さんに会いに深圳に来ている途中で書いています。石井さんは「お礼というのは、恩になった人だけに返すものではない。返すのは誰にでもいい。困った人がおれば、救いの手を差し伸べなさい。差し伸べるのは順送りなんだ」という教えを若い時にコペンハーゲンで助けてもらった老紳士から教えてもらい、今日までそれを実践してきた方です。実際にお話をしてみて、私自身も税理士として将来的に自分が受けた恩を送る方法を今から考えていきたいと思っています。

最後に
 所長の植木が元気になって帰ってくるまで、今の事務所を盛り上げるのが私の当面の役割です。ですので、独立するまでには少し時間があると思います。その間、受験中にお世話になった先生方へのお礼巡業でもしようかと思っています。その際は、ぜひお付き合いくださいませ(微笑)。

徳留.jpg■徳留新人(とくどめ・あらと)
昭和53年神奈川県厚木市生まれ。県立座間高校、阪南大学経済学部卒業。平成14年6月、植木保雄税理士事務所入所。平成27年12月、日本で一番税理士の友達が多い受験生を卒業。

第106回 新しい刺激を求めて──ブロガーサミットと私

第106回 新しい刺激を求めて──ブロガーサミットと私
     藤原会計事務所/さいとう社労士事務所 所長 税理士 藤原千穂

はじめに
 山梨県の甲府市で事務所をやっております、藤原千穂と申します。事務所自体はとても古く、祖父が60年以上前に始めたということだけは聞いているのですが、基本的にいい加減な性格の一家で、本当のことはよく分かりません……。その後父が会計士となって後を継ぎ、父の死去に伴って偶然にも資格を持っていた私が継いだ次第です。
 もともと、祖父は町歌舞伎の役者の一族だったのらしいですが、なんとなく税理士になったみたいなので、うちの一家はすべて成り行きで進んできて、いつのまにか長いこと会計事務所をやっていたことになります。

インターネットと私
 私はブロガーサミットに参加しているのですが、実はブログを書いていません……。フェイスブックも個人としては活用しているのですが、仕事としては使っていません。ただ、パソコンというものに触れて、パソコン通信というものを始めたのはとても古く、もう25年以上も前になります。当時はもちろん、インターネットなどない時代です。うっかり夢中になると、パソコン通信代が10
万を超えてしまうような、そんな時代でした。そのときは学生でしたので、通信代を見てびっくりしたことが何度もあります。
 当時、一緒に通信をしていたメンバーは今でも仲がよく、そんな時代にパソコンをいじって仲間をつくっていただけあって、やはりちょっと特殊な仕事の人が多かったです。キャラクター的にも、とても個性的な面白い人が多かったです。
 今考えると、私はパソコン通信からインターネットを経て、人生のかなりの割合をこのパソコンというものでつながって生きてきたのだと思います。
 今も友人のほとんどはパソコンを通じて知り合った人たちですし、逆にパソコンを使わないでどうやって友人と知り合えばいいのか、よく考えたら分からないようになっていました。

ブロガーサミットと私
 私は自分の日常を発信するのは嫌いではないのですが、自分の専門分野である税金のことに関して、外に発信するのがあまり得意ではありません。なぜなら、書いた文章が独り歩きしてしまうのと、誤解がないように文章を書くことがあまり得意ではないからです。
 このブロガーサミットには、私が苦手な「発信」を得意とする人がたくさんいると聞きまして、ぜひ、実際に会っていろいろ話をしたいと思ったのと、仲良くなってその人の書いた上手な文章をシェアしちゃおうww、というノリで参加しました。
 参加してみると、さすが発信好きで、かなり初期のころからブログを活用していただけあって、新しいものが大好きで、ちょっと愉快な人たちがたくさん参加していました。いつの時代も、新しいもの好きな人は面白い人が多いです。これが、私がこの会に参加したきっかけです。発信も受信も得意な人が多いグループです。

今後、進みたい方向
 現在、わが事務所では全員にタブレットを持ってもらっています。今まで、事務所に帰って調べなければならなかったことも、やらなければならない作業も、今は出先で簡単に行えるようになりました。
 ただ、ウェブ上にはいろいろな情報があふれていますので、自分にとって有用で正しい情報はどうやって探すのかが問題になってくると思います。会計事務所のスタッフにもそのような発信・受信の能力が必須になってきたと思います。
 また、いろいろな会社を訪問しているわけですから、弊社の仕組みをクライアント先に「それいいね〜」と言っていただけるような、そんな姿を求めて、日々、スタッフ一同で考えています。
 そんな目標を目指す私たちにとって、ブロガーサミットに参加している新しい物好きな同業者の皆さんは非常に大きな刺激になっています。毎回、いろいろな新しい情報を持ってきてくれます。今後も、ぜひ全国から集まる楽しい仲間と交流して、目新しい情報をどんどん取り入れていこうと思います。

藤原千穂.jpg■藤原千穂(ふじはら・ちほ)
藤原会計事務所/さいとう社労士事務所所長。税理士。山梨県甲府市を拠点としている60年以上続く老舗事務所の三代目として活躍中。
■ 藤原会計事務所/さいとう社労士事務所
〒400-0811
山梨県甲府市川田町アリア203
TEL:055-220-1770
FAX:055-220-1774
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第105回 拡大志向から業務品質志向へ──夢のある業界づくりのために

第105回 拡大志向から業務品質志向へ──夢のある業界づくりのために
      小嶋税理士事務所 所長 税理士 小嶋公志

ブロガーサミットとの出会い
 私が開業したのは平成18年8月。自宅事務所でのゼロからのスタートでした。開業してから半年ほどはとにかく暇で、しかも自宅が事務所なので、息子の保育園の送り迎えをきっちりやっていたほどでした。
 開業当初は営業の柱として、ホームページでの集客を考えていました。当時、会計事務所のホームページは集客力が低いものが多かった気がします。ですから、しっかりつくり込めば集客できると思い、一生懸命レイアウトを考えました。
 税理士は一般の人にとって敷居が高いと思われがちなので、ネット上でも人柄や柔らかさを前面に出したいと思い、ホームページを補完する意味でブログを始めました。その中でブロガーサミットに出会いました。独立して初めての確定申告が終わった直後に、ブロガーサミットin名古屋に参加しました。知らない人ばかりで、あまり記憶に残っていることはないのですが、先輩方に「あなたは必ず伸びるから、その調子で頑張りなさい」という言葉を頂いて、勇気がわいてきたのを覚えています。

開業直後は営業一筋 しかし……
 開業から3年ほどは、とにかく受注件数を増やすことに専念しました。始終集客のことを考えていた気がします。かなり広告費もかけましたし、失敗もたくさんしました。今まで投資した金額を計算すると寒気が走ります。その結果(?)、幸いにしてある程度の成果が得られ、スタッフも雇い、駅前に事務所を構えることができました。
 しかし、本当の戦いはここからでした。
 価格戦略を実行することで集客できるということを覚えましたが、受注後の業務フローを構築することを甘く考えていたのです。しかも開業当初は、自分が中心となって実務業務を行っていましたが、事務所の規模が拡大すると、業務の中心はスタッフに移行していきます。スタッフが育つ環境を整えないと、事務所の成長が止まってしまうことに、その頃は気づいていませんでした。しかも、新規案件は得てして投下時間が多くなってしまう傾向にあります。拡大をしながら業務品質を上げていき、スタッフも育てていくという神業をこなしていかなければならないのです。どんどんスタッフの不満がたまっていきました。
 会計事務所向けのマーケティング会社はたくさんありますが、大抵は集客に関することがメインです。その後の業務をどうすればよいかについては、所長である自分が考えなければいけません。そのことに気がつくのにもだいぶ時間がかかりました。

拡大志向から業務品質志向への移行
 開業してから3年たったあたりで、考え方を180度転換しました。一度拡大をやめて、業務品質向上への転換を図ろうと思ったのです。しかし、これは集客以上に大変なことでした。
 まずは無理な拡大をやめました。そして料金改定を行い、納得のいく方としか契約しない形にしました。そして大変だったのは、既存のお客様に対する対応です。会計ソフトの変更をお願いしたり、値上げ交渉を行ったりしました。記帳代行についても、自計化に移行する形をとっていきました(現在は約8割が自計化のお客様です)。
 その結果、顧客数は6割程度まで減少しました。これはとても厳しい状況でした。業務を整えるためにスタッフを多めに雇っていましたので、件数が減るのは本当に痛い。借り入れもたくさんしました。その他、業務品質構築に関して行ったことは、報告書・日報管理、会計ソフトの統一、初期指導マニュアルの作成、巡回監査マニュアルの作成、さまざまな研修の実施などなど……、話しだしたらきりがありません。
 なかでも一番大変だったのは、やはりスタッフに関することです。組織の方向を転換するというのは、ものすごくエネルギーが必要です。人は今までのやり方をそのままやり続けたいと考えます。昨日の価値観を変えていくというのは本当に難しい。事務所内で衝突が何度となく生じました。結局意見が合わずに辞めていく人もかなり出てしまいました。
 「事務所が追い求めるものは何なのか?」
 「会計人が行う理想の業務は何なのか?」
 「所長は何をすべきなのか?」
 問題が起きるたびに自問していました。
 今年、事務所は開業9年目を迎えています。売上もおかげさまで毎年伸びており、端から見ると順調に見えているようですが、本当に回り道をしたなぁというのが私の実感です。でも、それが無駄だったとは思っていません。何度もスタッフと意見を交換してつくり上げた形だからこそ、壊れにくい組織ができていると思っています。
 今、自分の事務所のウリは何ですか?と聞かれたら、間違いなく「スタッフ」と「スタッフの業務品質」と答えます。

業界の価格破壊について
 激安事務所の影響というのは、かなりのものがあると考えています。当たり前のように月々○○千円という広告がインターネット上に載っています。税理士はすっかり普通の商売になってしまったなぁと実感しています。
 もともと、税理士は経営者にとって役に立つ情報を持っていったり、日々の意思決定に影響を与えたりすることが業務の中心だと考えています。「税理士はサービス業」というフレーズが、私が開業した平成18年あたりから言われるようになってきました。このスローガンの意味するところは、今までの「殿様商売」や「ホスピタリティ精神の低さ」「お役人的」な対応を改めていこう、というようなものであったと思います。それには全面的に賛成です。しかし、我々のような後発組で、このような殿様商売の姿勢でお客様対応を行っている人は少ないのではないでしょうか。皆、それ相応の丁寧さと誠意を持ってお客様と対峙しているはずです。
 今ではサービス業という言葉が独り歩きを始めてしまい、強烈な価格圧力まで受けてしまっています。原価計算の得意なはずの我々が、よくよく考えたら原価割れをしている案件をたくさん受注しています。
 その結果が何か? 私は、この原価割れ案件受注の先にあるのは「スタッフの酷使」であり、さらには「業界の疲弊」につながっていくのではないかと考えています。
 ある意味で、顧問料制度とはよくできた制度だと思います。何もイレギュラーが起きなければ、月々の顧問料はひょっとしたらお客様にとっては高いものかもしれませんが、ひとたび問題事項が発生して、相談時間が倍になったとしても、その分をチャージする文化は我々にはなかなかなじまないのではないでしょうか。相場で月3万円からというのが、私のスタッフ時代の習慣として染みついていて、この3万円というのが最低料金であったと認識しています。個人的にはやはり、このあたりの金額を最低でも守っていきたいと考えています。
 今、私の事務所は平均値でこの金額よりも高い金額を推移しています。ただ、これは単に高めの金額で契約しているということではありません。前記したようなしっかりした品質の業務をお客様に提供することにより、その対価として適正額を頂いています。

これからの税理士業界
 これから先、どんどん二極化が進むと思われます。クラウド会計の導入により、入力すらしなくて済む世界がもう始まっています。自計化そのものにはもう、価値がなくなってきているのかもしれません。ただ、帳簿は簡単につくれるようになったとしても、それが本当に正しい内容で、融資に耐えうるだけの担保力を有するのかは、第三者のハンコがないとできません(私の事務所は、毎月監査済みの試算表に「監査済印」を押しています)。また、でき上がった試算表をどのように経営に活かしていくかは、ソフトにはできないことです。人が言葉で説明しなければなりません。つまり、専門家として助言することは、今後もなくならないと考えて
います。
 私は常々、10年後、20年後の会計業界のことや、自分の事務所のことを考えます。どのようなインフラでスタッフが活躍しているのか。「10年たったら今の若手社員も家庭を持って、住宅ローンも抱えているだろうなー」などと考えると、きちんと付加価値のある業界と事務所をつくっておかないと、お互いに納得のいく雇用関係を続けることはできないでしょう。
 若手スタッフや、これから税理士業界を目指す方々にも、夢のある業界づくりをしていきたいと強く願っています。


小嶋 プロフィール用画像.jpg■小嶋公志(こじま・まさし)
昭和49年北海道函館市に生まれる。大学卒業後、光通信に入社し携帯を販売。退社後、税理士を目指す。都内の会計事務所に6年間勤務。平成18年、東京都立川市に小嶋税理士事務所を開業。現在スタッフ7名。法人案件の他、専門分野は、事業承継・相続に関する事案。特に、相続発生前の対策(自社株対策、生前贈与等)に積極的に対応している。相続税に関する講演活動や相談会も数多く実施している。年間講演回数は約70件。著書「みんなの相続税」。TKC全国会会員。
【事務所の経営理念】
お客様の問題解決に全力を尽くす
【業務における信念】
お客様である社長の意思決定にいかに影響を及ぼすことができるかが、会計事務所の価値だと強く思っています。
【事務所スタッフに求めること】
明るい挨拶ができること 勉強好きで成長志向であること 素直であること
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第104回 弁護士業界と税務会計業界の連携について

第104回 弁護士業界と税務会計業界の連携について

弁護士・公認会計士 藤井 寿

はじめに
 弁護士・公認会計士の藤井 寿と申します。
 現在、弁護士業務を中心としている私が、税務会計に関するリレーエッセイを執筆してよいのか疑問ではありますが、今回は私が担当する運びとなりましたので、この場をお借りしまして、弁護士業界と税務会計業界の連携などについて、私が考えているところを綴ってみたいと思います。抽象的な話になりますし、目新しい話ではないかもしれませんが、お付き合いいただければ幸いです。

弁護士業界と税務会計業界の連携について
 弁護士・公認会計士・税理士の有資格者は毎年かなりのペースで増加しているものの(ここ数年、司法試験、公認会計士試験の合格者数は減少しつつありますが)、相変わらずほとんどの事務所では、弁護士は法律事務所、公認会計士・税理士は公認会計士事務所(会計事務所)、税理士事務所に所属するといった形態を取っているのがほとんどです。
 弁護士法、公認会計士法、税理士法で各資格者の業務の範囲が厳格に定められていること、各資格者間での報酬・費用負担等の取り決めが難しいことなどもその背景にあるのですが、少なくとも現状では、弁護士業界と税務会計業界の連携はあまり進んでいないと感じています。
 個人レベルでは、異業種交流会などで異なる資格者とのつながりをつくっていこうと活動されている方々もいますが、あくまで個人レベルにとどまり、それぞれの業界としては、まだまだそのような取り組みが主体的・積極的になされているとは言い難い状況です。
104回.jpg また、有資格者の増加の帰結として、以前と比較して業務の専門化が深化しており、総花的に何でもできるというのではなく、ある業務について専門的に質の高いサービスを提供するという差別化を行い(縦方向の掘り下げ)、その事務所の「売り」をホームページ等で全面的に打ち出すことにより、集客を図っている事務所が多い傾向にあります。
 有資格者の専門化にはプラスの面が大変多いことは否定できませんが、その一方で、異なる業種の専門家が横断的に連携することにより、顧客にワンストップでサービスを提供するという横のつながりについては、今のところあまり重視されていないように感じています。
 実際、私の業務としても、両方の資格が生きるような仕事はあまり多くはなく、ほとんどの仕事は片方の資格者として受任したものとなっています。両方の資格が直接生かせるのは、金融商品取引法違反(粉飾決算)の事案など、限られたものとなっています。
 私と知り合いの弁護士・公認会計士の両方の有資格者(全国に100名以上はいるようです)が集まって情報交換をするときも、「なかなか両方の資格を同時に生かせる仕事はないね」などという話になることが多く、皆少なからず同じようなことを感じていて、両方の資格を横断的に生かす方法をそれぞれ模索している状況です。
 しかしながら、企業再編・企業再生・不動産取引・倒産・離婚・相続などの分野をはじめとして、法律と税務会計の両方だけでなく、さらに他の専門家のサービスを必要とする分野も数多くあります。
 例えば、相続の分野において必要となるサービスと、それを提供することができる各専門家との関係を大まかな表にすると上の表のようになり、各専門家の関与が必要とされています。
 また、外部の専門家同士とその都度提携する場合と比較すると、共同事務所等で業務処理を1カ所で行うほうが、業務の効率化・迅速化のメリットがあります。また、業務の共同処理を行うことで、ひとつの業務についての全体像や流れを具体的に把握することが可能となるとともに、同種業務のノウハウが蓄積され、良質な総合的なサービスの提供も可能となると考えられます。
 各専門家の共同事務所等による一体的なサービス提供が、ブルーオーシャンとまでいえるかはまだ分かりませんが、ワンストップサービスとして業務を提供する潜在的なニーズは多く、今後開拓の余地が大いにあることは間違いないと考えています。
 私自身、お客様から企業再編や相続などのご相談をいただいた際に、その分野に詳しい税理士や会計士が同じ職場にいれば、すぐに適切なアドバイスやサービスが提供できるのに、と感じたことは数多くあります。
 異なる分野の資格者が一体となってサービスを提供するための第一歩として、公認会計士、税理士、司法書士などの異なる資格者と一般社団法人を設立し、コンサルティングサービス等を提供することを現在企画しているところです。

おわりに
 弁護士業界と税務会計業界の連携については、これまで述べたとおり、業界としても手探りの状態で、具体的な方向性や方策を模索しているところです。したがって、ほとんど具体的なお話をすることもできませんでしたが、今回のエッセイで問題提起だけはさせていただきます。
また、よいお知恵があればぜひお貸しいただきたいと思います。
 取りとめもない話になりましたが、最後までお読みくださり、どうもありがとうございました。
 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

藤井寿氏.jpg■藤井 寿(ふじい・ひさし)
昭和55年神奈川県生まれ。弁護士(平成23年登録)、公認会計士(平成18年登録)、法科大学院客員教授。大手監査法人勤務を経て、現在は東京都港区内の法律事務所勤務。弁護士としては不動産法務・企業法務(各種契約・債権回収・労務問題等)・家事事件・刑事事件等、公認会計士としては、地方自治体の包括外部監査等に従事している。

第103回 「第15回ブロガーサミット in グランフロント大阪」に参加して

第103回 「第15回ブロガーサミット in グランフロント大阪」に参加して

TAXDESIGN ASHIYA Head 税理士 宮本直樹

 平成25年9月21日(土)に開催された「第15回ブロガーサミットinグランフロント大阪」は、幹事3名(秋山和久税理士、菊水浩税理士、白川浩税理士)、「ワールドカフェ」発案者の近藤学税理士、他参加メンバー皆様のお陰様で大いに盛り上がりました。
 今回のテーマは「中小企業に対する私たちの役割」と題して、税理士、他士業の方、士業以外の方とコミュニケーションを図ったことで、参加メンバーの皆様がクライアントに真摯に向かい合っていることを強く感じました。
 今後も益々ブロガーサミットが発展するように祈念し、また、私もブロガーサミットに力添えして盛り上げていくことができれば幸いです。

税務会計系ブロガーサミットに参加したきっかけ
 税務会計系ブロガーサミットに参加したきっかけは、第15回ブロガーサミットinグランフロント大阪で幹事を務めた菊水浩税理士が私と高校の同級生で、フェイスブック上でブロガーサミットのイベントにお誘いいただいたのがご縁でした。
 フェイスブックのイベントの良い点は、イベントが始まる前にも参加メンバーの顔触れやバックボーンを見ることが出来る点です。書籍やブログを拝読し一度お会いしたかった、全国的に有名な方々がいらっしゃったことを理由に参加を決めました。そういった方々からたくさんの刺激を受けたい、事務所経営や実務についても情報交換をしたい、という気持ちです。
 ITにも税務・会計にも精通しているという共通認識があることから、間違いなく、お互いに切磋琢磨できるものと今も確信しています。

SNSについて
 税務会計系のブロガーのサミット、ブロガーサミットという名称ですが、現在主流のコミュニケーションツールはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)です。ブロガーサミットに参加したメンバーとフェイスブック友達になり、仕事やプライベートの現況報告を行うといった非常に緩やかな相互の繫がりを続けています。
 個性的、刺激的、行動的な方々の集まりであるということが、ブロガーサミットに参加した後のフェイスブックのタイムラインを拝見するとよく分かりました。もちろん、ブログも要チェックです。というのも、情報の有用性や信頼性のおける参加メンバーからの情報発信ツールと認識しているので、欠かせないツールと思っています。

私の事務所のITやSNSの活用法
 ITやSNSを有効に使いこなしておられる参加メンバーから大いに刺激を受け、大変勉強になっています。参考になることばかりですので、いいとこどりやテクニックの吸収をどんどんしていきたいと考えています。
 翻って、私の事務所はどんなツールをどうやって活用しているか?ということですが、情報発信は、左記の4つを主に利用しています。
1. フェイスブック
 プライベートについて情報発信をしています。ほぼ、福岡出張、東京出張時のグルメ便りになっていますが。
2. フェイスブックページ
 事務所の日々のミーティング、事務所のお知らせやクライアントに関する情報発信をしています。
3. ホームページ内併設ブログ
 経営学・ビジネス書等の読書備忘録、事務所近辺の芦屋市や神戸市の飲食店グルメの情報発信、事務所のお知らせやクライアントに関する情報発信をしています。
4. ツイッター
 気になるウェブ上の最新記事やブログの抜粋・紹介、フェイスブックページと同内容のリンクによる情報発信をしています。
 また、通常業務は、左記の3つを主に利用しています。
1. クラウドサービス(オンラインスト㆑ージ)
 リアルタイムで会計・経営・税務データをクライアントのPCと同期させています。
2. Skype(スカイプ)
 電話ではなかなか十分に伝わりにくい内容の場合、遠方のクライアントとのミーティングや、リアルタイムで会計・経営・税務データ授受を行っています。
3. フェイスブックメッセージ
 チャット機能やデータ添付機能によってスピーディーに会話や会計・経営・税務データ授受を行っています。
 これらのツールを利用することで得られる利点は、関東・福岡・海外といった遠方のクライアントに対しても、リアルタイムかつスピーディーに業務を行うのが可能なことです。これらのITツールは最新ではありながら、一般にも浸透しており、しかもローコスト(究極、ノーコストのケースもあります)という理由で、中小企業や個人事業主には大変親和性があります。
 従前の税理士事務所の業務スタイルである、毎月訪問して仕訳のチェックをする手間もなく、旅費交通費削減や情報遅延や作業中のミスをなくすことに注力しています。
 参加メンバーと税務・会計だけの情報交換だけではなく、税理士業界という同業他社が一体今、どんなことを行っているのか?といった情報交換や切磋琢磨をしながら、これからも、日々進化するITを駆使して、効率性・即時性・実効性・生産性・安全性を高めていく挑戦と努力を継続していこうと考えています。

宮本直樹氏.jpg■宮本直樹(みやもと・なおき)
TAXDESIGN ASHIYA Head。NPO法人近畿遺言相続サポートセンター理事。税理士。1974年長崎市生まれ。東京及び大阪で、会計事務所3社、信託銀行プライベートバンク部門を経て独立。中小企業、個人事業主、富裕層を対象とした会計・経営・税務コンサルティングに従事。
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2014

第102回 第17回税務会計系ブロガーサミット 協同経理事務所(加藤公認会計士・税理士事務所) 加藤暁光

第102回 第17回税務会計系ブロガーサミット
      協同経理事務所(加藤公認会計士・税理士事務所) 加藤暁光

 2006年2月に始まった税務会計系ブロガーサミットも、第17回を迎えました。といっても、私は2012年に監査法人を辞めて独立しましたので、第14回からの参加です。にもかかわらず、幹事のお役目が回ってきました。というわけで、このリレーサミットも2回目になります。
 私事はこのくらいにして、9月20日に盛大に行われたサミットの模様のご報告に移りましょう。今回は、弥生株式会社の岡本浩一郎社長様、石田博昭様、吉岡伸晃様、堀川貴政様ほかの皆様に大変お世話になりましたので、この場を借りて御礼申し上げます。また、実務経営サービスの板垣様にもご協賛をいただき、誠にありがとうございました。
 なお、ブロガーサミット専用ブログ(http://blog.livedoor.jp/akirakokimura/)にて、同様に記載しております。

午前の部 クルージング
 午前の部として、特別企画のクルージングを行いました。参加者は12名でした。日本橋を出発し、三越で買い込んだお弁当を食べながら水道橋や御茶ノ水を経由し、永代橋、清洲橋までをめぐるコースです。やはりハイライトは、広い隅田川に出た後のスカイツリーを遠望できる風景でした。
 船頭の小倉さんによる、江戸から昭和までの歴史を踏まえた軽妙洒脱な解説も楽しかったです。江戸城の旧外堀を中心に通ったため、江戸城築城時のエピソード(例えば石垣に大名家の家紋が残っているなど)が印象的でした。こちらも発案、予約とも弥生様に行っていただきました。ありがとうございました。

午後の部 ブロサミ会議
 クルージングに続いて、ソラマチを散策した後、ブロサミ会議が始まりました。午後は松波先生、岡本社長も合流し、参加者は弥生の開発担当の方も含めて18名になりました。
 まず、B-LABO(銀行対策ラボ)を主宰されている松波先生から、特別プログラムとして「弥生会計を使ったキャッシュフロー計算書のつくり方」と題する講演がありました。いつもJDLで楽につくっている私としては、弥生でつくるコツはピンとこなかったのですが、弥生を利用されている事務所の皆様には大変参考になるお話だと思いました。
 次に弥生の岡本社長から、「弥生の取り組みについて」と題した講演がありました。弥生のこれからの取り組みについて、ここでしか聞けないお話も飛び出し、大変有意義だったと思います。九州からわざわざ戻ってきていただいた岡本社長には感謝の言葉もありません。重ね重ねありがとうございました。

夜の部 神田散策、懇親会
 会議が終わり、参加者16名で神田明神にお参りに行きました。だいぶ暗くなっていましたが、久しぶりに来た人、初めて来た人(松山や富山、大阪からもご参加者がありました)もいて、新鮮な体験でした。
 懇親会は、新しくできたビル(御茶ノ水ソラシティ)の「きやり」というソバのお店で、居酒屋フードも交えて和気藹々と行われ、21時過ぎにお開きとなりました。
 次回は久しぶりに富山で(以前は高岡)、開通直後の北陸新幹線で行くブロガーサミットと銘打って行います。これをお読みの先生方、次回はぜひともご参加ください!

加藤暁光氏.jpg■加藤暁光(かとう・あきみつ)
公認会計士、税理士、システム監査技術者、M&Aスペシャリスト、事業再生スペシャリスト、そして資金調達相談士(銀行対策ラボの資格!)です。某監査法人を早期退職し、さいたま市桜区にて開業しております。事務所自体は創立41年ですが、私が関わりだしてからは16年です。ホームページはこちらです。よろしくお願いします。
http://www.kdokeiri.com/

趣味は自主チャートづくりで、三十数年やっています。ホームページ「チャート梁山泊(りょうざんぱく)」を19年間続けており、2015年で20年目に突入します。チャートマニアの方からのご連絡もお待ちしております。
http://www.os.rim.or.jp/~katokiti/

第101回 「ブロガーサミット」を通じた「つながり」 アイル会計事務所 税理士 中川純一

第101回 「ブロガーサミット」を通じた「つながり」
      アイル会計事務所 税理士 中川純一

はじめに
 もう1年ほど前の話になりますが、「第15回税務会計系ブロガーサミットinグランフロント大阪」に、初めて参加させていただきました。ブログもツイッターもやっていないのにいいの?と思ったのですが、白川浩先生よりお誘いがあり、フェイスブックをやっていたらOKというご連絡をいただき、気軽に参加させていただきました。

ブロガーサミット当日
 会場は昨年の春にオープンしたばかりのグランフロント大阪。会場の雰囲気と、初参加ということもあり緊張していましたが、幹事の方々のスムーズな進行と、参加されている方々に気さくに話しかけていただけたので、徐々に緊張も和らいでいきました。
 私のように独立して1人で事務所運営(経営というほどのものではないです……)をしていると、意識して自分から行動しないと、人とのご縁や情報が入ってこないので、業界の先輩であり、事務所経営の先輩でもある先生方のお話が聞けるのはよい機会でした。

ブロガーサミットに参加してみて
 みなさん情報感度が高く、一歩も二歩も進んでいる方々なので、参考になるお話が聞けること、また、開業されている方、勤務されている方など、いろいろな方が参加されているので、グループワークでも、さまざまな意見が出て参考になりました。
 個人的にはITに強い方もいらして、ITに弱い私としては参考になりっぱなしの、情報をいただくばかりで申し訳なかったです。また、懇親会ではお酒も入り、気さくな方たちばかりだったので、ざっくばらんに話せて楽しく過ごせました。

SNSならではの「つながり」
 フェイスブック等のSNSの活用としては、距離に関係なく、つながった方の近況などが分かるので、ゆるいつながりですが、関係性が持続できる点は長所だと思います(自分自身は、全然発信できていませんが……)。イベントに参加しても、名刺交換をしておしまい……、というパターンが多いと思われますが、このゆるいながらもつながりが継続することにより、コミュニケーションがとりやすくなるのではないでしょうか。また、コミュニケーションがとりやすくなることにより、実務で疑問に思ったことについて質問を投げかけると、つながっている先生からアドバイスや回答がいただけたりするのも、SNSならではのよさだと思います。

WEBにおける情報の取捨選択
 これだけインターネットから洪水のように情報が流れている現在では、インターネットの情報というのはまさしく玉石混交状態です。もちろん、書籍や資料からも情報を仕入れますが、ネットからの情報を仕入れる機会も増えている現在、「情報の質」という面では、まだまだ取捨選択(目利き)が必要な感じがします。というのも、検索をかけるといろいろな情報が出てきますが、前提条件が違ったり、法律の改正前の情報だったり等々、自分で情報をきちんと吟味しないと使えないかな……、というのが正直な感想です。
 その点、ブロサミでつながった方々の情報は、キッチリしていて情報発信に長けている方が多いので、参考になると思います。そのような意味では、人との「つながり」によってこそ、情報を的確に受け取ることが可能な時代なのかなぁ……と思います。

情報の信頼度=人の信頼度
 「ブロガーサミット」ということで、「ブログ」についてですが(何度も言いますが、自分は「ブログ」をやっていません……(汗))、佐々木俊尚氏の「キュレーションの時代」という著書に以下のような文章があります。

 「ネットで活動するということは、つねに自分の行動が過去の行動履歴も含めてすべて透明化され、検索エンジンにキーワードを一発放り込むだけでだれにでも簡単に読まれてしまう。そういう自分をとりまくコンテキストがつねに自分についてまわってしまう世界なのです。
 これはテレビのコメンテーターのような無節操な人たちには恐ろしい世界に映るでしょう。でも逆に考えれば、きちんと真っ当なことを言って世界観を一貫させて語っていれば、つねに自分の信頼をバックグラウンドで保持できる安定感のある世界であるということも言える。」(注1)

 ブロガーサミットに参加されている方々は、個性的な方たちで、その方の個性がブログに出ていて、その方独自のフィルターを通したモノの見方で世界観は一貫されていると思います。
 また、以下のような文章もあります。

「『人』を視座とする情報流通は、いまや圧倒的な有用性を持つようになり、私たちの前に現れてきているということでもあるのです。」(注2)

 佐々木氏はこの「視座」を提供する人を「キュレーター」、そしてキュレーターが行う「視座の提供」を「キュレーション」と言っています。
 そう考えると、WEBからの情報を選択する際には、その情報を流している「人」の信頼度から、ある程度その情報の信頼度をおしはかることができるように思います。
 そのような意味では、ブロガーサミットに参加されている「ブロガー」の方たちが流している情報は、信頼できるといえるのではないでしょうか。
 そのような個性的な方々に出会える「ブロガーサミット」は、大変勉強になり、参加してよかったと思います。

〈参考〉
• 佐々木 俊尚「キュレーションの時代―『つながり』の情報革命が始まる」筑摩書房(ちくま新書)2011年
〈引用〉
• 注1 佐々木 俊尚、前掲書、2011年、208〜209ページ
• 注2 佐々木 俊尚、前掲書、2011年、210ページ

9月25日締切用(プロフィール写真).jpg■中川純一(なかがわ・じゅんいち)
昭和43年大阪府生まれ。大阪市内の資産税を得意とする会計事務所、民事再生を得意とする公認会計士事務所を経て、管理会
計・相続事業承継を得意とする会計事務所に勤務後、独立。平成23年大阪市西区に事務所を移転し、現在に至る。
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第100回 ブログを通じた出会い 税理士 井上岳彦

第100回 ブログを通じた出会い
      税理士 井上岳彦

 はじめまして、こんにちは。
 大阪市内の税理士事務所で補助税理士として働いています、井上岳彦と申します。昨年、大阪の梅田で開催されたブロガーサミットに初めて参加した際、大林先生にお声をかけていただいたのがきっかけで、今回リレーエッセイに執筆させていただくことになりました。
 「さて、何のテーマで書こうかな?」と考えたときに頭の中に浮かんだのが、ブロガーサミットの名前の由来である「ブログ」でした。ブログを通じた人との出会いからブロガーサミットへの参加、ブログに対する現在の思いについて書いてみたいと思います。

ブログとの出会い
 ブログとの出会いは、私が税理士試験の受験勉強を始めたころでした。
 当時、税理士試験の学習記録をブログに書いている人が多く、私は勉強方法などを参考にしていました。次第に私も自分の学習記録をブログに書くようになると、誰からかコメントやメッセージをもらうようになり、自然とブログ上に多くの受験生仲間ができるようになりました。ついにはオフ会で実際に会って、お互いに情報交換をするようにもなりました。このような経験は初めてであり、ブログの力はすごいなと実感しました。
 その当時書いていたブログは、自らの合格体験記を最後に更新はしていないのですが、毎年本試験直前期になるとアクセス数が急激に伸びています。今でも見てくれる人がいるのだと思うと、何だかうれしいですね。

ブロガーサミット参加のきっかけ
 ブロガーサミット参加のきかっけは、秋山先生のブログ、フェイスブックです。
 税理士試験の受験が終わってからよく読むようになったのが、開業されている先生方のブログでした。その中でも、秋山先生の補助税理士時代から独立開業までの道のりを書かれたブログは、補助税理士として働く私にはリアルな体験談がとても刺激的で、非常に興味深く読ませていただきました。
 あるときブログでフェイスブックのことを書かれておられたので、私のほうから友達申請をさせていただきました。そして昨年の夏ごろ、フェイスブックで大阪開催のブロガーサミットで共同幹事をされていることを書かれておられたので、「ブロガーサミットってどのようなイベントですか?」と質問したのがきっかけでお誘いをいただき、参加をすることになりました。

ブロガーサミットに参加
 昨年のブロガーサミットの会場は、春にオープンしたばかりのグランフロント大阪のナレッジキャピタル。ブロガーサミットの参加もさることながら、ナレッジキャピタルに入るのも初めてで、少し緊張しながら向かいました。会場に入ると、とてもアットホームな雰囲気で、緊張もすぐに和らぎました。
 その日は「ワールドカフェ」という、本物のカフェのようにリラックスした雰囲気の中、メンバーを変えながら少人数でのグループディスカッションでしたので、初参加の私でもその場にすんなり入ることがきました。テーマは「中小企業に対する私たちの役割」という、この業界で働く者にとって避けて通れないようなテーマで、さまざまな意見が飛び交い、皆さんの意見を聞いてあらためて考えさせられました。
 ブロガーサミット後の懇親会や2次会を通じて多くの方と話をすることができ、非常に有意義な体験をすることができました。本当に参加してよかったです。ありがとうございました。

ブログは素晴らしい!
 このように税理士試験の受験生時代から今日まで、ブログというツールを通じて多くの方と知り合い、出会い、交流を深めることができました。あらためてブログは素晴らしいツールだなと思います。
 最近はブログよりフェイスブックなどのSNSが主流になりつつありますが、ブログとフェイスブックなどのSNSでは、目的が異なるように思います。
 フェイスブックなどのSNSは、身近な出来事を発信することで、普段あまり連絡を取り合わない相手とも身近に感じることができますし、また人と人とのつながりで多くの人に発信することができます。
 一方、ブログは自らの考え・興味・関心事を発信し、それがどんどん蓄積されていきます。そこがSNSとの大きな違いです。蓄積された情報が徐々に共有され、書籍等のように読者に何らかの影響を与える可能性をもっているものだと思います。またブログにコメントやメッセージを送ることで、ブログ上でつながりを持つことも可能です。
 このように目的はそれぞれ異なりますが、どちらかというと私はブログのほうが好きです。好きなブログは何度も読み返しますし、今でもフェイスブックなどのSNSよりブログを読んでいる時間のほうが長いです。
 最近はもっぱら読み手側の私ですが、以前のようにブログをしてみようかな……。
最後に リレーエッセイにふさわしい内容かどうか分かりませんが、思いつくまま書かせていただきました。最後まで読んでいた
だき、有り難うございます。
 今後もブロガーサミットのようなイベント、ブログ・フェイスブックなどのSNSを通じて、さまざまな出会いやつながりを大切にしいていきたいと思います。

プロフィール写真.jpg■井上 岳彦(いのうえ・たけひこ)
昭和48年奈良市生まれ、和歌山大学卒業。大阪市在住。20代後半になって税理士を目指し、働きながら8年目でようやく合格。現在は大阪市内の税理士事務所で補助税理士として働いています。お客様と共に成長していける税理士になることを目指しています。
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第99回 ブロガーサミット参加で感じたフェイスブックの可能性 佐々会計事務所 所長 税理士 佐々高秀

第99回 ブロガーサミット参加で感じたフェイスブックの可能性
       佐々会計事務所 所長 税理士 佐々高秀

 大林先生にお声がけいただき、リレーエッセイに執筆をさせていただくことになりました。
大阪の税理士の佐々と申します。ブロガーとはほど遠いですが、ブロガーサミット参加までの経緯は、松波先生の書籍購入から始まりました。

ブロガーサミット参加のきっかけ
 弊社事務所の内部管理について、もう少し新しい視点を持ちたいと考え、松波先生の事務所見学会に申し込みをしていました。初めてお会いするので、事前に松波先生の著書も拝読しておいたほうがより先生の考えを理解できるだろうと思い、書籍を購入いたしました。後にこの書籍購入が、ブロガーサミット参加のきっかけになります。
 それから数日後。大学の会計人OB会の懇親会で、白川先輩(第15回サミット幹事)とお隣になりました。いつも多方面にわたり相談に乗っていただいているので、今度は私から情報提供をしようと思い、おもむろに松波先生の書籍を取り出し、今この本を読んでいて、事務所見学会へも参加する旨を話したところ、先輩はびっくり顔で「えっ、松波さん? 俺、知ってるよ」。
 はい。ここでつながりました。さらにありがたいことに、お2人とも参加されるというブロガーサミットへお誘いいただきました。ブログもしていない私が参加して大丈夫なのか?と自問しましたが、フェイスブック利用を理由に、厚かましくも何でも体験してみようの精神で参加させていただくことに決めました。

ブロガーサミット当日
 会場には、雑誌やネット等でお見かけしたことのある著名な先生方や個性的な方がチラホラ。私が参加した回は、カードを引いて座席を決めるパターンだったので、初参加者にはありがたかったです。また、少人数でのテーブルディスカッション形式、かつ、話しやすいテーマであったため、緊張ピークの私でもスムーズに参加することができました。ここは幹事さんの企画力に救われました。
 始まってみれば、皆様の会話力で場は盛り上がり、あっという間に時間は過ぎました。サミット後には懇親会もあり、地元大阪での開催だったので、2次会、3次会と最後まで参加させていただき、非常に有意義な時間を過ごすことができました。

ブロガーサミットに参加してみて
 参加して思ったことは、著名な先生方も含め、第一線で活躍されている方々と、ざっくばらんにお話しさせていただける貴重な体験ができるということ。そして、何より皆さんが温かく迎え入れてくださる雰囲気があり、初参加者にはありがたかったです。また、参加者の方々は非常にパワフルで、刺激的でした。イメージは、職員時代に感じていたこの業界に対する違和感に対し、新しい目線で真っ向から立ち向かっている感じです。
 経営者のサポーターである我々が元気でなければ、お客様が元気になれるわけないですもんね。少し壁にぶつかっていた時期だったので、あらためて根本の答えをいただくことができました。どのステージの方でも、参加されると有意義な時間を過ごすことができると思います。

フェイスブック利用と現状
 ブロガーサミットの参加を決めた唯一のツール、フェイスブックですが、実名でつながることに安心と魅力を感じ、2010年に軽い気持ちで始めました。当初はプライベート利用だったのですが、お客様や社員さんとのつながりが増えてきました。これはうれしい誤算でした。
 当初は写真をUPしたり、友達がどんどんつながっていくのを楽しんでいましたが、現在は恥ずかしながら、友達の皆さんの投稿を楽しみにしているほぼ受け身利用となっています。

フェイスブックの可能性
 当たり前の話ですが、私たちはお金を取り扱う仕事である以上、お客様との信頼関係や距離感はとても重要だと思っています。毎月お会いするのがベストですが、お客様によっては時間的制約やコストニーズもあり、電話・メールを多用する状況へと少しずつ変わってきています。
 この変化に対する弊社の取り組みとして、まず私自身を知っていただく必要があるので、距離感を補う意味もあり、紙ベースでの事務所だよりを発行しています。また過去の経験から、税務調査によってお客様との距離感が縮まるので、書面添付は実施しておりません。
 ただ、このたびブロガーサミット参加者の皆様の発信力を目の当たりにして、自分を知っていただくという意味では、あらためてフェイスブックは素晴らしいツールだと感じました。もちろん発信者の方々が素晴らしいからですが、仕事に限らずプライベート発信も頻度が多く、そして何より面白いです。初対面でつながりを持たせていただき、発信を見ていると距離感がぐっと近づいた気がします。こういう人だと理解したうえで、お会いするのは安心ですしね。
 もちろん到底マネできるレベルではありませんので、楽しみながら拝見しつつも、少しずつつぶやく程度から発信していきたいと思います。
 今日も帰りの電車でこっそり見てみよっと。(っておい。発信しろよ‼ )

プロフィール写真.jpg■佐々高秀(ささ・たかひで)
昭和51年10月31日生まれ。京都府出身。4歳より大阪育ち。龍谷大学経営学部卒。大阪市内の会計事務所勤務を経て、佐々会計事務所を開業。お客様の状況に合わせたシンプルかつ合理的な経理仕組みづくりが得意。モットーは「一生懸命咲いている花はどんな花でも美しい」。
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第98回 シンガポール進出を振り返って Henry Investment Services Pte., Ltd. 代表 石田秀明

第98回 シンガポール進出を振り返って
      Henry Investment Services Pte., Ltd. 代表 石田秀明

 ブロガーサミットに初めて参加したのは、2009年9月19日の第8回京都会場でした。以来、第9回横浜、第10回大阪、第11
回埼玉と第14回東京に参加しました。
 この間、私の状況は大きく変化しました。世界経済、日本経済も大きく変貌しました。ブロガーサミットの参加履歴と私の業務を時系列に並べると、次ページの表のようになります。
 私がシンガポールに会社設立を準備していた2008年5月から8月は、シンガポールでは投資熱が高まり、新規会社設立が多くて、シンガポールの会計事務所もコンサルタント会社も笑いが止まらない、そんないい時代でした。マリーナベイサンズも工事中で、建設にも拍車がかかっていました。
 ところが、設立登記を完了した9月にリーマンショックが起こりました。ラッフルズプレイスの金融街のビルには、チェーンでドアが施錠されたテナントの抜け殻が多く見られ、マリーナベイサンズの工事も一時ストップしました。
 最悪のところから、私のシンガポール事業はスタートしたわけです。そこからシンガポール経済は起死回生の回復を遂げるのです。その大きな要因は東南アジアのエマージングマーケットの成長とともに、インフラが充実していたシンガポールが、しっかりとハブ機能を持っていたことです。これを活かした事業統括法人はシンガポールに多くあります。日系シンガポール法人も、タイやマレーシアというアジアへのピンポイント投資から、シンガポール法人を事業統括法人としてそこからさらに孫会社を各アジア拠点に設けるといった、面で捉える投資に転向してきました。これにはタックスヘイブン対策税制の制度変更も大きいといえるでしょう。
 その他、大手法律事務所が三角合併スキームをシンガポール法人に絡めて提案するところが出てきたりしました。マリーナベイサンズが完成して(2011年9月)、シンガポール国家自体がホットな話題となってきたのも2011年末頃からです。
 シンガポールの会社で初めて現地ローカルスタッフを雇用したのは、2011年11月です。このときは、だんだんと雇用ビザ(employment pass 、省略してEP)の取得が難しくなり、スタッフの給与水準を引き上げないと取得できなくなるといわれていました。それでも月給3000シンガポールドル(S$)でEPが取得できるレベルでした。当時為替もS$1=60円程度の時代でしたから、月給18万円で日本語、英語、中国語が話せるトリリンガルで、専門職を勉強した新入社員を募集できるという点で、とても感動しました。と同時に、日本の学生はこういうアジアの学生に就職戦線で勝てるのか?と心配もしたのです。

ブロガーサミットの参加履歴と業務時系列一覧
ブロガー98.jpg

 そういった事情も、今はさらに大きく変わってきております。2013年から2014年、円が弱くなってきました。2013年にはBernankeアメリカ連邦準備理事会(FRB)議長の無制限量的金融緩和政策の発表でエマージングマーケットへの投資資金が戻入れして先進国市場に流入、東南アジアマーケットも資金が縮小しています。
 シンガポールは、これまでの外国資本依存型による経済成長から脱皮し、自国民による国内需要の創出や雇用の確保といった政策に転換してきています。特に雇用については、EPの申請許可基準の月給水準を引き上げるだけでなく、2014年途中から小規模事業体を除き、シンガポール人または永住者を先行して人材を募集しなければ外国人労働者を募集できないなど、外資系企業にとっては、ビジネスがやりにくくなってきています。インフレで物価も上がり、世界一、駐在員生活コストの高い国となりました。
 また、経済的観点だけでなく、離れて住んでみて分かった、日本のよさをしみじみと感じています。日本のホスピタリリティ(お・も・て・な・し)は世界一です。時間や約束についても日本は裏切りません。混雑したレストランでお客様が席を探しているという場面で、レストランの店員数名が席を確保して食事を交代でとっていたり、暇になれば、店員がお客様の横でカードゲームをするなどの光景も日本では目にしません。
 また、たくさん並んでいるコンビニで、やっと自分のレジ精算の順がまわってきたときに、日本では「お待たせしました、次の方どうぞ(笑顔)」です。決して、指で「Next」のしぐさを面倒くさそうにするだけということもありません。
 このようなことを踏まえ、日本から海外への進出というOut Bound型のコンサルテーションではなく、今では日本のいいものや海外で評価されるモノ、人に注目してプロデュースするという事業コンサルテーション、せっかく外国人、外国企業と接してきましたので、日本のいいモノを海外に売るIn Bound型投資コンサルテーションに取り組んでいます。
 こうして文章を進めてきましたが、そもそも個人の税務会計事務所を廃業した私が、このブロガーサミットの連載をしてよいのか?という疑問がありました。そのうえ、税務会計以外のことをこれ以上書いていてはいけないと思いますので、最後に私の経験から得たことを2点ご紹介して、皆様の参考にしていただきたいと思います。
 「エンタメ税理士は面白かった。(今でも一部継続しています)でもそんなに数はない」
 誰もやらないニッチというだけではブルーオーシャンではない。私は、逃げても戦わなくていい事業経営というものを目指しておりました。競争のない・少ないマーケットで一人勝ちはいいが、果たして需要があるのか? ここを考えなくてはなりません。税務会計事務所は、どんどん専門分野の分業が進んでいくでしょう。その一方、何でもよろず相談という町医者的中小企業相談者というパターンもあるでしょう。どのポジションをとるにせよ、どこかでオンリーワンになれてその分野で特色を出せても、需要がきちんとある、マーケットがなければならないということです。そう考えると、専門分野というより業種特化など顧客ターゲットで絞り込み、その業種の税務会計、経営のことならなんでも相談にのれるよ、というスタンスがよいかもしれません。

 「正直、コンサルティングのほうが単価を上げられた」

 税務会計事務所というアプローチで営業を行っていたときには、顧客マーケットの税理士業界に対するイメージが帳簿作成などの労働集約型の産業に思われているということです。税務会計事務所として活動しているときは、顧客が持つ業界のイメージを払拭したいとか、税理士を社長の参謀として活用するように認識する顧客を創造することに一生懸命になっていました。しかし、税務会計事務所の看板を下ろし、コンサルティング企業の社長の顔として営業するようになり、名刺からも税理士を外しました。すると同じようなことをしていても、税理士のときと同じ発言をしても、単価を上げることができたのです。そのことがいいとか悪いとかを議論するつもりはありません。そうだったという事実です。
 さて、私はブロガーサミットの参加メンバーとして継続してもいいのでしょうか(笑)。
 ありがとうございました。


ヘンリー石田氏.jpg■石田秀明(ヘンリー石田)
大学卒業後、ノンタイトルの間、室田会計事務所に勤務し、ひと通りの税務を経験。
税理士資格取得後、プライスウオーターハウス会計事務所にて、外資系企業や外国人に対する税務サービスに従事。独立して個人の税務会計事務所を15年経営した後、事業を他の税理士法人に譲渡。シンガポールに移住し、事業進出コンサルタント会社、研修セミナー会社、投資相談、飲食業コンサルティング、シンガポール競走馬事業など多面的展開をしている。
■主な出稿・取材
「企業実務No.617」2006年9月特集記事
「非常勤役員の給与の税務処理はここがポイント!」(日本実業出版社刊)
週刊SPA! 2012年8月7日号
「金融資産一億円以上大金持ち最新投資先を大公開」(扶桑社)
Yen SPA! 2013年1月6日号
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第97回 「正常進化してきたブロガーサミットの歩み」われわれの業界に夢や希望を与え続けるために 大林税務会計事務所 代表 税理士 大林茂樹

第97回 「正常進化してきたブロガーサミットの歩み」
         われわれの業界に夢や希望を与え続けるために
              大林税務会計事務所 代表 税理士 大林茂樹

正常進化してきたブロガーサミットの歩み
 平成26年3月22日、埼玉県川越市で開催された第16回税務会計系ブロガーサミットで、幹事を担当させていただきました。
 平成18年3月に産声を上げた第1回税務会計系ブロガーサミットの共同幹事として、木村聡子先生と拙者は名を連ねておりますが、もともとは同業者同士の確定申告の打ち上げという位置づけでしたので、第1回は懇親会だけで研修会はなしという、とてもシンプルなものでした。
 当時はひと晩飲み明かすという、若さに物を言わせるスタイルが売り物でした。とはいえ、第1回ブロガーサミットの開催当時、アラフォーだった拙者も、いつしかアラフィフになってしまいました。いつまでも飲み明かすというスタイルを続けるわけにはいかないですよね。
 税務会計系ブロガーサミットも懇親会を中心とするスタイルから、研修会を売り物にするスタイルに変貌し、懇親会も参加者同士の親睦を図りながら、午前様にならないうちに帰るというスタイルへ正常進化していきました。
 このように正常進化してきたブロガーサミットですが、ブログを取り巻く環境は急激に変化しました。フェイスブックやラインなどのSNSが急激に台頭し、ブログが情報発信の主役とはいい難い存在になってしまったように感じます。また参加者も、そもそもブログをやったことがないという方が増えてきました。
 「ブロガーサミット」という、ブログを主役に据えたネーミングで本当によいのか悩ましいところですが、このネーミングを考案した木村聡子先生のセンスが素晴らしく、また個人的には愛着もあります。
 とはいえ、時代の流れに則したもっとふさわしい名称があれば、拙者の後を引き継ぐ幹事の権限で、気兼ねすることなく変えてもらっても構わないと思います。ブロガーサミットの名前が変わったとしても、営利目的がなく、ユルいネットワークを維持しながら参加者同士が親睦を図り、多くの気づきを得るような場が、特にこれから独立開業する方や独立して間もない方には必要ではないかと感じるところがありますので、どのような形であれ、進化を続けてほしいと思います。
 これからわれわれの業界に飛び込んでくる人たちに、夢や希望を与え続けるような存在になってくれたら、発起人のひとりとしてうれしい限りです。

今回のテーマの選定と日程選び
 第1回の幹事に名前だけ連ねていたということで、ブロガーサミットの生みの親のひとりと紹介されることもありますが、前回は懇親会のみでしたので、幹事としては実質1年生のようなものです。
 まず、企画を考えることからスタートしました。有名な講師を招いて講演をしてもらうというスタイルでもよいのですが、ブロガーサミットでは、グループワークをしながら参加者同士の親睦を図り、多くの気づきを学んでいくというスタイルが主流となっていました。講演会形式でもなく、懇親会だけでもなく、全員参加のグループワークを通して親睦を図ることが、他の同業者同士の集まりや異業種交流会との差別化になると思えてきました。
 そこで、今回もグループワーク形式を踏襲することにしました。とはいえ、価値観も経験値も異なる参加者を束ねるわけですから、グループワークの題材選びは慎重に考えました。実務に直結する内容を議論する方向にもっていくと、開業したばかりの参加者は発言しづらくなり、経験値のある方の独演会になってしまいがちです。かといって、実務に全く関係のない内容だと何も得るものがなくなってしまいますので、バランスを取らなくてはいけません。
 参加者が平等な立場で話し合い、少しは実務に役立ちそうなグループワークの題材として、心理学の実験で実際に使われた問題を出題して、参加者の反応を探ってみることにしました。
 こうして決まったテーマが、「なぜ、われわれは判断をあやまるのか?」です。心理学の実験で実際に使われた問題を出題して、人間の持つ思考回路のクセ(認知バイアス)を学んでいただき、間違った判断をしないための一助になればというのが狙いでした。
 日程として選んだのは3月22日です。もともと3月の個人の確定申告の打ち上げということで産声を上げたのが、税務会計系ブロガーサミットです。この日しかないと思って設定しましたが、実は3連休のど真ん中だったんですね。そのことに気がついたのが、なんと開催日の前日でした。なにも、3連休のど真ん中を狙わなくてもよかったかなと思いましたが、そのようななかで参加表明してくださった皆様には感謝いたします。

川越蔵の街散策と前代未聞の酔っぱらい幹事
 第1部は、せっかく川越に来ていただいたので、川越の観光地をご案内しました。
 国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定され、江戸の町家形式の建築が今なお残る川越蔵の街を散策しました。「コエドビール」という地ビールを飲みながらの散策です。
 第2部は、「なぜ、われわれは判断をあやまるのか?」ですから、参加者にビールを振る舞って酔わせておき、第2部で出題する問題を思惑通りに間違えてもらおうという狙いもありました(笑)。
 そのような罠を仕掛けていたとはつゆ知らず(?)、参加者の皆様はほろ酔い気分で散策を楽しんでくれたようです。
 ところが、幹事である拙者も思わず酔っ払ってしまい、顔を真っ赤にして司会を担当する羽目になってしまったのは全く想定外の出来事でした。参加者の方に失礼なので、できるだけ平静を保っていたつもりですが、時折睡魔が襲いかかり、壇上に立っているのが結構つらかったですね。
 酔っ払っていたので、いろいろと不手際等があったかもしれませんが、笑って許してくださった参加者の皆様に感謝する次第です。

士業はかなり違った物の見方をするという衝撃
 さて、本題の「なぜ、われわれは判断をあやまるのか?」。
 心理学の実験で定評のある問題を、一部手を加えましたが、大半はそのまま出題しました。参加者が事前にビールで酔っ払っていることも手伝って、ほぼ本に書いてある実験結果と同じ結果が出るだろうと予想していたのですが、結果は全く予想に反するものでした。
 今回の結果だけで判断するのはあまりにも早計かもしれませんが、どうやら士業の方は、かなり違った物の見方をする可能性があるようですね。日頃、リスクに関わる業務に携わっているからなのでしょうか? 問題文に仕掛けた罠をカンタンに見破られることが多く、普通ならスルーするような箇所を深読みして掘り下げようとする傾向が見受けられました。
 われわれ士業は中小企業のよき相談相手として期待されていますが、少なくとも今回参加された皆様は、よき相談相手としてふさわしい方ばかりだったということでした。もし、経営者の方が判断に迷われたのであれば、事前にひと言相談するだけの価値はあるメンバーだったと思います。
 士業の人間は経営が分からないから相談しても無駄だという意見もあるようですが、決してそのようなことはないということをあらためて確認できたような気がします。
 確かに、われわれ士業は経営全般に必ずしも精通しているわけではありません。また、従業員100名以上の会社を実際に経営した経験のある士業も、ほとんどいないといっていいでしょう。
 とはいえ、少なくとも今回参加された方は、事前に酔わせていたにもかかわらず、冷静沈着に問題を判断する傾向がとても強く、周囲の意見や環境に流されない、ブレない軸を持っている方たちでした。
 経営者の方と異なった視点で物事を捉える可能性が高いということですね。異なる視点で物事を見るということは、今まで気がつかなかったメリットやデメリットが浮かび上がってくる可能性が十分あります。これだけでも、経営者の方にとっては大きなメリットがあるといえるのではないでしょうか? 経営のことが分からないという理由だけで相談相手として無視するには、あまりにももったいない話ですね。
 今回のテーマで取り上げた内容は、現段階ではまだ仮説も多く、研究が進むことで異論が出たり、仮説が覆ったりする可能性もありますが、われわれが無意識のうちに陥ってしまうさまざまな思考回路のクセ(認知バイアス)を理解し、間違った判断をしないための一助になってくれたら、幹事の喜ぶところであります。

懇親会と協賛していただいた方への感謝
 さて、第3部はスペイン亭での懇親会です。本場スペインのパエリアコンテストで優勝した実力店で、オーナーシェフ手づくりの豪華な内装も一見の価値ありです。ブロガーサミット史上最高の豪勢な食事だったと自負していますが、ダイエッターにとっては、ボリュームがありすぎて、かなり酷だったかもしれませんね。
 参加者同士の親睦を図ったところで、無事解散。
 ブロガーサミットに協賛金を出していただいた弥生株式会社および株式会社実務経営サービスの皆様には、この場を借りまして心より厚くお礼申し上げます。
 われわれが参加者と一緒に学ぶ機会を与えていただき、親睦を図れるのも、ブロガーサミットの趣旨を理解し、陰で支えてくださる協賛企業のおかげなんですね。今まで頭では理解していましたが、実際に幹事として予算や会計を担当してみると、あらためてその存在の大きさに感謝する次第です。
 さて、次回は東京で開催予定です。今回ご参加いただいた方はもちろんのこと、残念ながら今回ご参加いただけなかった方ともお会いできるのを今から楽しみにしています。


大林.jpg大林茂樹(おおばやし・しげき)
東海銀行( 現三菱東京UFJ銀行) を経て、1999年7月開業。中小企業のよき相談相手として「企業家の意思決定に勇気を与え、社会を変え人を変えるために貢献します!」を経営理念とする。顧客サービスの一環として「早い・わかりやすい・頼みやすい」を掲げているが、白髪が増えると同時に、「早い」がかなり怪しくなっている。ブログを始めてから、もうすぐ10年。その間、新聞・テレビ・ラジオの取材多数。ドラッカーをテーマにしたメルマガで読者数は日本最大級であるが、毎週1本配信するノルマにひと苦労している。著書に「セレブな決算書、メタボな決算書」(九天社)、「税務事例コース・実践 証券業務コース」(共著)(経済法令研究会)など。ドラッカー学会会員。川越木鶏クラブ会員。
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第96回 ブログによる「営業」からブログによる「採用情報」へ 税理士法人TOTAL 代表社員 税理士 高橋寿克

第96回 ブログによる「営業」からブログによる「採用情報」へ
        税理士法人TOTAL 代表社員 税理士 高橋寿克

ブログを書くまで
 私がブログを始めるきっかけになったのは、山本憲明先生のブログです。もう、今から10年近く前の話です。ブログのサービスも始まったばかりで、「ブログ=ウェブの日記かな」くらいにしか社会的にも認知されていませんでした。
 開業「準備」時代を綴った彼のブログは、ブログを商用で使うという発想も当時としては画期的で、会計事務所経験がないにもかかわらず開業前から見込み客が列をつくり、開業1年でお客様がブログ経由で50件にもなっていました。ホームページは持っていましたが、ブログを知らなかった私には、同じ船橋市に住む彼は衝撃的でまぶしかった。何とかついていかないとと彼のブログを読むことから始めました。

ブログによる「営業」
 遅ればせながら見よう見まねで「開業日記」を書き始めました。今から思うと「いい時代」で、ポツリポツリですが、ブログを見たお客様からの問い合わせが増え始めました。
 私がブログによる「営業」に力を入れていたころのスターブロガーが、ブロガーサミットの発起人でもある木村聡子先生と大林茂樹先生でした。昨年、久しぶりにブロガーサミットでお2人にお会いして、戦友と再会するような、なつかしさを(一方的に?)感じました。特に木村先生の「税金まにあ」(KIMUTAXカフェの前身)には内容では最初から勝てないと思いましたね。圧倒的な質・量で勝負にもなりません。内容で勝てないなら、テクニカル勝負でブログランキングをいじって天狗になったりと、若気の至りで、今から思うと恥ずかしいこともしていました。
 最初のうちは、頑張れば毎日のようにブログ記事を書けますが、やがてその頻度は週1、隔週となり、月1回になると熱もだいぶ冷めてきます。もともと飽きっぽい性格ですし、「営業」で使うブログはもういいかなと。幸い、組織で営業できていたので、ブログで私自身を売る必要はなくなってきてもいました。以後、開業日記は忘れたころに更新し、お客様にも「更新しないの?」とプレッシャーをかけられる始末です。

ブログによる「採用情報」
 当事務所は、7〜8年前は年率50〜60%くらいの成長が続くという異常な状態で、営業力に人の採用が追いつかない状態でした。私自身も、採用や労務管理が苦手で、どんな人をどう採用すべきか、どうフォローするのがよいのか手探りの状態でした。
 たくさんの就職希望者の方と面接させていただき、たくさんの方を採用しました。そして、たくさんの失敗をしてきました。特に、事務所とのミスマッチのために辞められた方も多かった(最近ではだいぶ定着率が上がってほっとしているところです)。
 税理士業界は、就職希望者と会計事務所がうまくマッチングできていない。会計事務所未経験者に厳しく、上手に育てられていない。こんな問題意識からつくったのが、「税理士事務所・就職転職マニュアル」というブログです。
 税理士事務所は入社しないと内容が分からない。所長次第のロシアンルーレットみたいなもの。でも、それでは困ります。ミスマッチが起こるのは会計事務所側の情報発信不足、就職希望者側の情報収集能力・分析力不足によるでしょう。ミスマッチ解消に貢献できれば……。
 最近まで税理士業界は人が採用しやすかったので、結構いい加減な姿勢の事務所も多く、就職希望者・会計業界のためにと思って書き続けていました。
 就職希望者からの質問を受け付けているのですが、真摯に回答するうちに彼らの悩みがよく分かり、人を見る目を養うきっかけにもなりました。こちらも7年目になり、おかげさまで、就職希望者はもとより、税理士の方にも読んでもらうことが増え、業界内での知名度は上がりました。
 以前は、会計事務所の就職情報を詳しく書いてあるサイトやブログはあまりなかったのですが、最近では、だいぶ増えてきました。私のブログがコピーされたり、引用されることも。それに伴い就職希望者は、以前に比べると情報・知識も増えてきました。他方、会計事務所は採用難もあり情報発信を積極的にしたり労働環境の改善を目指すところも出てきました。多少は税理士業界に貢献できているのかな?
 その一方で、より上手に、より巧妙に(事実の一断面を切り取ったり、統計のマジックを使う)採用広告をする会計事務所も出てきました。そういった広告に負けることなく、公平で、役に立つ情報をお届けできればと思っています。

税理士と今後について
 税理士試験はつらくて大変な試験です。一定期間の下積みも必要です。仕事と勉強・家庭の両立も大変です。そして、税理士事務所は荒稼ぎできる商売ではありません。
 それでも税理士は地域のベンチャー起業家、経営者、資産家といったお客様に感謝され、お客様の成長を一緒に喜べる、やりがいのある仕事です。自分の心にうそをついて仕事をしたり、無理にセールスする必要もない。社会的にも「先生」として一定の評価をしてもらえる。
 正しいことを正しくすすめてお客様に、「ありがとう」と感謝される。私はこの仕事が大好きです。仕事は楽しいですよ。
 残念ながら、税理士業界参入者の減少が続いています。ひとりでも多くの方に素晴らしい会計人になってもらいたいものです。会計業界がよい業界になるよう、業界に入ってくれた若者を失望させることが減るように願っています。
 今年も、税理士法人TOTALはたくさんの新入社員を迎えることになるでしょう。受験・家庭と仕事の両立、そして資格を取り、または子育てが終わったら、より成長して自己実現をできるのかが課題になります。そのような働く人々の思いを形にし、明るく楽しい税理士事務所・税理士業界にするにはどうしたらいいのか。そのようなことを考えながら、ブログを今後とも書き続けていきたいと思っています。
 私もいつのまにか50歳が近づいてきています。ブログも、ライブドアからアメブロに、そして、ワードプレスを使うとホームページとブログを区別する意味がなくなり、さらに、フェイスブックをはじめとするSNSの発展と続き、媒体は時代とともに変わっていきます。LINEのあわただしさについていけず、年齢のせいかな、なんて弱気の虫も。いえいえ、気持ちだけは少年のころとあまり変わらないつもりですし(髪や体形はだいぶ……)、若い税理士の皆さんと話すのも楽しみです。いつかブロガーサミットでお会いしましょう。


syotyou_01.jpg高橋寿克(たかはし・ひさかつ)
昭和40年生。千葉県船橋市出身。農家の12代目。早稲田大学政経学部卒。
平成11年9月開業。平成19年7月より税理士法人TOTAL代表社員。
■事務所HP
■税理士高橋寿克の日記(「開業日記」日々の雑感を綴ったブログ)
■税理士事務所・就職転職マニュアル(就職情報ブログ)
■facebook

第95回 前回寄稿してからの近況報告 中井税務労務事務所 税理士 社会保険労務士 行政書士 中井良一

第95回 前回寄稿してからの近況報告
     中井税務労務事務所 税理士 社会保険労務士 行政書士 中井良一

はじめに ~寄稿に至った経緯~
 前回投稿させて頂いてから、3年が経ちました。
 ブロガーサミットの主宰者である埼玉県の大林先生から、再度寄稿のお誘いを受けました。
 私自身、若輩税理士であり、大した事務所経営もできてはいませんが、前回投稿から、自分への反省・反芻の意味も込めまして、現時点で振り返ることも悪くないと思い、このたび、承諾することにしました。

大きな転機
 ちょうど寄稿してから数カ月後、事故により生死をさまよう大けがをして、長期間入院をしました。日常生活に支障がないレベルに戻るまで、1年間かかりました。
 この1年間に、さまざまな方の支援を受けて、ようやく元通りに近い状態まで回復することができ、事務所のオペレーションも元通りになりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
 それからは、この生かされた命を大事に、一日一日を大事に、精一杯生きることを自分に課してきました。そして、この事故を教訓に、今後の自分自身の方向性を考えるようになりました。
 まず、私がエースで4番で監督のようなワンマン事務所だったのを、できるだけ組織としてシステム化していかなければならないと考えるようになりました。
 そこで、アメリカの著名な経営コンサルタントであるマイケル・E・ガーバー1のメソッドを参考に、さらに、コンビニエンスストア本部に在籍していた経験を生かして、システム化を模索するようになりました。また、税理士事務所IT化コンテストで最優秀賞に輝いた、東京の安田先生の事務所見学会にも参加させて頂き、研鑽を重ねてきました。
 そしてついに、経済産業省が主催する「中小企業IT経営力大賞2014」2で、IT経営実践認定企業に認定されました。これも、ITを活用して企業の効率化を図り、経営に関する諸問題を解決するためのツールとしてITを有効活用することにより、システム化を促進していこうという思いから申し込みました。私の実力が今どのあたりにあるのか、会計事務所の枠を飛び越えて、すべての業種のなかで、どこまで通用するのか、ひとつの試金石として挑戦するに至りました。今回の認定で、「田舎の事業所やからこそITを頑張らなあかん」という私の姿勢が、クライアントや従業員に伝わってくれるとうれしいです。
 また、地元地域経済の活性化を強く意識する
ようになりました。
 弊事務所のモットーとして、「地元奈良県経済の活性化」を掲げていますが、そのためには、①事務所の付加価値・存在価値を高め、システム力を磨いてサービスの安定供給をできる体制にする、②事務所を大きく発展させていくことにより存続性を高める、③地元の雇用を増やすことにより、地元経済に発展したい、と強く考えるようになりました。③については、日本の伝統工芸を元気にしようと日々奮闘し、多くの会社を再生させてきた地元奈良県の株式会社中川政七商店3の中川淳社長を参考に模索しています。
 IT経営実践認定企業に挑戦するに至ったのも、私の住む奈良県は伝統産業を中心にブランド力があり、人件費も安いので、ITを活用すれば情報格差等による大都会の企業との溝を埋められるのではないかと考えたからです。
 そして、ライフワークバランスをより強く意識するようになりました。大けがをするまでは、日本の企業戦士よろしく、事務所を軌道に乗せるためにおろそかにしてきた家族、プライベート、地域とのつながりも大事にしていかなければならない、すべてのバランスが大事であると考えています。そして、自己の健康も大事にしていかなければ、いざというとき戦えないし、迷惑をかけないようにと強く意識するようになりました。

前回寄稿から3年間の経緯
 事故のあった平成24年1月からの1年間は、事務所の体制を立て直すことで精一杯でした。
 十分なサービスができなかったことで、顧問先も若干去っていきましたが、ここで大きな助けになったひとつが、前回寄稿時にも書きましたが、大けがをする前に構築していたホームページとブログでした。
 ほとんど更新もしていないし、SEO対策会社に成果報酬を支払っているわけでもないにもかかわらず、奈良県の会社経営系のキーワードではトップ3に入っています。若干ではありますが、そこからの問い合わせが、顧問先の減少を食い止め、増加につながっています。
 私が事務所を開業した平成16年は、公共機関が開催するホームページ作成講座やSEO対策講座に参加して、業者に頼まずに自分でIT対策をしただけでも、反応があった時代です。そして、そのときに取った相互リンクなどの原始的な対策は、今となっては検索エンジン上「信用」がついており、現在の検索エンジン対策でも、かなり強力なようです。つまり、「過去の頑張りによる財産」に救われたということです。
 あとは、身体の回復とともに、既存の顧問先からの口コミ・紹介も増えてきました。そのような「過去の頑張りによる財産」があるにもかかわらず、差し引きで顧問先が微増にとどまっているのは、私自身の不甲斐なさに尽きるの一言です。
 私の事務所は、税理士業だけでなく、社労士業、行政書士業も運営しています。
 税理士業だけでもシステム化は難しいかもしれませんが、構築していきたいと思っています。
それが、スタッフの定着化につながってくれるものと考えています。
次に、「地元奈良県経済の活性化」のために何ができるかを考えて対応してきたのが、次の3点です。

スタッフの雇用
 「スタッフの雇用」については、事務所の維持・発展のために、そして地域経済のお役に立てるという思いから、顧問先を増やすことや、顧問先へコストパフォーマンスの高い良質なサービスを提供することと同じくらいの優先度で、取り組んできました。ただ、私の甲斐性のなさや、この業界特質の転職性の高さがあって人員の変動もありましたが、3年前の前回寄稿時から、若干数増えています。

奈良県の起業支援
 「奈良県の起業支援」ですが、前回寄稿時には、私のような若手税理士が生き残るための差別化戦略として考えたのが、「地区特化」「業務特化」の方向性でした。
 今考えているのは、トータルサポート事務所として幅のある対応力と、コストパフォーマンスの高い良質なサービスを提供することが地元奈良県経済の活性化につながり、その立ち上げた企業の発展が、雇用の増大につながるのではないかということです。

奈良県への行政協力
 「奈良県への行政協力」ですが、地域包括支援センターの登録専門家として相談業務に協力したり、地元奈良のビジネスコンテストの審査員を務めたり、経済産業省主催のイベントで行政協力したりと、地元税理士会や商工会の税務相談に携わることで、少しでも地元の方のお役に立つことができているのではないかと思っています。

今後の目標
 大けがをしたとき、奈良県の医療機関の現場の方を含め、様々な方に助けて頂いたので、私のできることで、その恩返しが少しでもできたらよいなと、強く思うようになりました。
 ライフワークバランスについては、週1日は完全に休むようにしています。家族と向き合う時間を作らなければいけないと考えているからです。そして、今ではマラソンを完走できるまでになりました。ベスト更新を今年中にできたらいいなと考えています。
 また、もっと奈良県の素晴らしさを他府県の方に知ってもらいたいと、奈良県のご当地検定である「奈良まほろばソムリエ検定」4の勉強もしています。
 家族、関係者、ビジネス、地域との共存を意識しつつ、生かされた命を大事に、日々完全燃焼していきたいと思います。
 基本的に、現時点では前述したとおり、事務所運営のことで精一杯で、IT・ブログは前回寄稿時と比べてあまり進化がございませんが、私の情報収集・配信ツールとして、SNSは多用するようになりました。
 これからの課題として、システム化をさらに成熟させ、人員を増強していくことにより、事務所経営を考える時間を作っていきます。そして、本年中に、7年ほどほったらかしにしているサイト刷新に着手していきます。
 先輩方の活躍・ご意見を参考に、今年から新たに事務所経営をする気持ちで、貪欲に取り組んでいきますので、その節はよろしくお願いいたします。最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

【参考】
⒈マイケル・E・ガーバー
http://michael-e-gerber.jp/
⒉中小企業IT経営力大賞2014
http://www.it-keiei.go.jp/award/2014/announcement.html
⒊株式会社中川政七商店
http://www.yu-nakagawa.co.jp/
⒋奈良まほろばソムリエ検定(奈良商工会議所主催)
http://www.nara-cci.or.jp/narakentei/


syoumeisyasin.jpg中井良一(なかい・りょういち)
昭和46年生まれ。甲南大学経営学部卒業。セブン-イ㆑ブン・ジャパンに入社。店舗オペ㆑ーションを経験した後に、税理士を志す。平成16年8月に独立開業する。税理士だけでなく、社会保険労務士、行政書士、CFP等の複数の資格を活用し、経営をトータルサポートできるのが持ち味である。
■ 奈良限定! 会社設立・起業支援専門サイト
■事務所HP

第94回 ブロガーサミットのすすめとSNS・ブログの活かし方 税理士法人第一会計 税理士 菊水 浩

第94回 ブロガーサミットのすすめとSNS・ブログの活かし方

税理士法人第一会計 税理士 菊水 浩

大阪のブロガーサミットで幹事初体験!

 かれこれ半年前の話になりますが、昨年9月21日、大阪の新しいランドマークとなったグランフロント大阪のナレッジキャピタルにて、「第15回 税務会計系ブロガーサミットinグランフロント大阪」を開催しました。
 白川浩税理士、秋山和久税理士と私の3名で、ブロガーサミットでは珍しい(初?)共同幹事を務めさせていただきました。メイン企画に「ワールドカフェ」を据え、企画段階から税理士の近藤学先生にご協力いただき、盛況のうちに1次会から4次会(?)まで無事終えることができました。
 企画・場所の選定などの経緯については第92回の秋山税理士、「ワールドカフェ」については第91回の白川税理士のエッセイにそれぞれ書かれていますので、そちらをご覧いただくとして、ここでは実際に幹事を経験して感じたことなどを書きたいと思います。

共同幹事のありがたさ、参加された方への感謝
 振り返ってみると、準備から本番まで共同幹事のお二方に助けられてばかりでした。今更書くと言い訳になりますが、当時平日の日中は時間の調整が難しく、会場の予約から備品の購入まで、打ち合わせと当日の運営以外、ほとんどを頼ってしまいました。通常、幹事はおひとりで行われていることを考えると、私ひとりではとてもここまでのブロガーサミットは開けなかったと思います。
 また、今回は「ワールドカフェ」という、全員参加型の企画もよかったと思います。全員が必ず発言をしますので、グループ内では自然と話が盛り上がります。本番ではタイムキーパーをしましたが、時間終了時に話し合いをやめていただくのは大変でした(笑)。あとでいろいろな方からご感想をいただきましたが、皆様の満足度は高かったのではないかと思います。
 皆様のおかげで、このような充実したイベントになりました。あらためてこの場を借りてお礼申し上げます。共同幹事のお二方とはまた何かやりたいですね。

私が税務会計系ブロガーサミットから得るもの~ブロサミに参加しよう!
 私が税務会計系ブロガーサミットに参加するのは、この第15回が4回目でした。初めての参加は大阪開催の第10回で、それ以降は年に1回のペースで参加しています。あらためて、なぜブロガーサミットに参加しているのかを考えてみると、次の3つに集約されます。
①イベントを楽しむため!
②業界のナマの情報を得るため
③同業や関連先のつながりをつくるため
 ①についてはもちろんですよね。まずはメインの企画を楽しんでこそ「なんぼ」です。今回私たちが「ワールドカフェ」を行ったように、毎回幹事になった方が会場から企画内容まで決定されます。当然内容は多種多様になりますので、毎回新たな経験を楽しみにしています。
 ②については、特にブロガーサミット懇親会以降、多く得られるものです。参加される方は開業税理士の方の割合が高いですが、開業、勤務の税理士、他士業の方、会社の総務・経理の方など、税務会計に関わる方を中心に、いろいろな方がいらっしゃいます。十人十色とはよくいったもので、人それぞれ考え方も違えば環境も違います。業務の進め方ひとつにしても、全く考えたこともなかったワクワクする方法を実践されている方もいます。話をすればするほどためになることばかりです。気になることをぶつけたり、自分のことを話したり、ほかの方が話されていることを聞いたり(たまに割り込んだり)……。
 コンピュータの設定から経営方針まで、ここで得られることはその後の自分自身の仕事の進め方に少なからず影響しています。私もほかの方に少しでも影響を与えられているとよいのですが、こればかりは自分では分かりません。
 そして、③についても納得していただけるのではないでしょうか。普段は、特別な活動をしなければ、全国の同業の方や関連する事業をされている方となかなか直接の付き合いはできません。ブロガーサミットに参加すれば、全国各地から集まる方々と知り合いになり、話ができます。そこでできたつながりは何に生かしてもよしです。
 つまり、これはブロガーサミットに参加するしかない! ということではないでしょうか。

SNS・ブログをどう使うか?
 しかし、「イベントに参加しても、そこで名刺交換するだけで、あとはほとんど会うことがなければ、つながりをつくるのは難しい」ことが、これまでの全国型イベントの問題でした。
 現状、それをうまく打破しているのが、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)です。今はフェイスブックを使われている方が多いでしょうか。
 イベントに参加して、参加した方同士がSNS上でつながりをつくっておくと、そのつながりを持った方の発信した内容が画面に流れてきて、確認することができます。もちろん逆に自分が発信した内容は、相手が確認することになります。発信する内容には特にルールがないため、仕事に関係する真面目な話から、食事の写真、ふと思ったことなど、本当にさまざまです。
 このつながりをつくっておくとどうなるか? それは、「普段全然会わない人でも、会っていない気がしなくなる」、そして、「ちょっとしたことでコミュニケーションがとれる」のです。
この感覚はとても大きいです。何か他の方に用事があるとき、名刺交換をしてから何の音沙汰もない人とは、連絡をとるのにそれなりのエネルギーが必要ですが、つながりがあれば、簡単に再度つながることができるのです。
 かつてはブログのみでブロガーサミットの開催案内等をしていましたが、今回はフェイスブックでも案内をして、参加表明はほぼ全員がフェイスブック経由でした。
 数年前まではツイッターが席巻していましたが、今はフェイスブック全盛という現状を見ると(今後もずっとフェイスブックがSNSのメインになるのかどうかは分かりませんが)、インターネットを使った現実の知人・友人とのつながりは、今後もコミュニケーションの要になっていくのではないでしょうか。
 しかし、「税務会計系ブロガーサミット」は、「ブロガー」のサミットです。皆様ブログはされていますでしょうか。そして今後どうなっていくのでしょうか。
 よく「ブログは終わった」などといわれますが、私は個人的にはそうは思いません。確かにSNSは、簡単なことでも投稿でき、見る人も見やすいため、とても盛り上がります。しかし、やはりインターネット上で自分の考えを発信していけるのはブログだろうと思います。
 何より大きいのは、見る人にとって一度見た情報が時間とともに流れ、発見されにくくなってしまうSNSに比べて、ブログには内容が蓄積されていくことです。会計事務所でも個人でも、続けていくことでブランディングにつなげることができます(もちろん内容により、よくも悪くもなりますが)。
 そう書いている私ですが、実態は仕事上ではSNSもブログもほとんど活用していません。フェイスブックでは仕事に関わる方とつながってはいますが、本格的な活用はまだこれからです。ウェブ戦略についてはすでに進んでいる方が多数いらっしゃるため、皆様から学びながら実践に移していきます。

おわりに
 以上、気の向くままいろいろ書きました。
 税務会計系ブロガーサミットのようなイベント、そしてSNS、ブログの融合により、まだまだわれわれ税務会計の業界にもチャンスが広がっていると思います。それらを生かすも殺すも自分次第。できるところから一歩ずつ踏み出し、進んでいくことが大事です。
 このように肝に銘じて、これからもさまざまなつながりを楽しんでいきたいと思います。


菊水浩氏.jpg菊水 浩(きくすい・ひろし)
昭和49年広島県生まれ。大阪在住。大学卒業後、6年間にわたりプログラマー、システムエンジニアを経験。在職中に税理士を志し、2年間の専念期間を経て合格。平成17年、税理士法人第一会計に入社。中小企業の経営安定と繁栄に貢献することをモットーに奮闘中。平成19年税理士登録。社会保険労務士、行政書士としても活動している。
■事務所HP

第93回 ご縁は拡がる! どこでつながるか分からないご縁 おおやひとえ税理士事務所 税理士 AFP 大谷一江

第93回
ご縁は拡がる! どこでつながるか分からないご縁
       おおやひとえ税理士事務所 税理士 AFP 大谷一江

はじめに ~寄稿に至った経緯~
 本誌に寄稿できたご縁に感謝いたしますとともに、ここに至った経緯についてお話しします。
 2012年9月、税理士の見田村元宣さん(私が出会った税理士の皆様を、親しみを込めて「さん」と呼ばせていただきます)が主宰しているメーリングリストの懇親会に参加しました。
 参加するにあたり、開業間もないのに参加しても問題ないだろうか、知り合いもいないし、どんな話をすればよいのだろうかとかなり躊躇しました。悩んだ末、既に業界で活躍している方々と同じ空気を吸えるチャンスと考えを切り替え、思い切って参加を決意しました。
 この懇親会で税理士の佐藤亜津子さんに出会い、実務の話をいろいろ伺うことができました。
 その後、佐藤さんからフェイスブックでブロガーサミットにお誘いいただき、2013年3月、初めてブロガーサミットに参加しました。
 会場に到着すると、独特の雰囲気。初参加でも受け入れてもらえるのかドキドキ。思い切って最前列を確保したところ、税理士の松波竜太さんにお声をかけていただき、無事に溶け込むことができました。
 第2部では、皆さんお酒が入ったせいか、終始和やかな雰囲気で過ごすことができました。この時に、税理士大林茂樹さんより寄稿のお誘いを受けました。初めての経験でしたが、これも何かのご縁と思い、即決しました。
 さて、お引き受けしたものの、執筆など一度も経験のない私にとって、テーマを決めることがとっても大変でした。悩んだ末、「ご縁」をテーマに、そして、「キッカケ」をキーワードにお伝えすることにしました。

業界に入ったキッカケ
 人見知りで、幼い頃から人と接するのが苦手です。そうは見えないとよくいわれますが……。
公務員だった父の転勤で転校を繰り返していたことも影響しているかもしれません。今思えば、この業界に入ったキッカケは、遡ること小学校3年生。親に習わせてもらった珠算だったと思います。
 社会人になり、初めて就職した外資系製薬会社で、珠算ができるからとのよく分からない理由で経理部に配属されました。簿記は全く知らない世界だったので、専門学校に入学。通学しているうちに専門学校の講師に憧れ、製薬会社を退職して簿記講師に。自然の流れで税理士を目指すようになりました。珠算が縁で、この業界に入るとは思ってもいませんでした。
「点と点はバラバラに見えていても、いつか必ずつながる」。故スティーブ・ジョブズ氏の言葉を思い出しました。

北海道オホーツクに合同会社Gainを立ち上げたキッカケ
 合同会社Gainの本店は、東京ではなく北海道大空町女満別です。
 女満別と聞いて、場所が思い浮かぶでしょうか。網走刑務所や世界遺産・知床の最寄りの空港が女満別空港です。羽田空港から直行便で2時間弱。女満別空港から車で5分ほど走ると、会社を一緒に立ち上げたパートナーのオホーツク司法書士事務所があります。東京から移住し、開業して12年になる中学の同級生です。
 数年前から、オホーツク司法書士事務所の顧問をするようになりました。遠方であるがゆえに、コミュニケーションは当初、電話がほとんどでした。その後、テレビ電話を導入してみたところ、予想を遙かに超えて、オホーツク司法書士事務所のスタッフとも、遠方でありながらコミュニケーションをとることができるようになりました。
 彼は、もともとパートナーとなる税理士を地元で探し続けていましたが、なかなか気の合う方が見つからなかったようで、私に声がかかりました。お客様にとって、税理士は近くにいるほうがよいのではと考えていた私は、なかなかよい返事ができずにいました。
 しかし、オホーツク司法書士事務所で利用を開始したマイクロソフト社のOffi ce365というサービスに含まれているLyncというオンライン会議システムを利用すれば、お客様とも十分なコミュニケーションがとれることを確信しました。
 2013年1月、これも何かのご縁と思い、遠隔地の異業種パートナーとして、オホーツク地域で今後事業を展開することを決意しました。そうはいっても、税理士事務所は東京、司法書士事務所は女満別です。業務上何かと不都合な点もあるので、共同出資による会社を立ち上げることとなりました。
 社名は、たくさんの候補が出ましたが、最終的に合同会社Gain(読み方は「ゲイン」)にしました。お客様に対してもゴリヤクがあるようにとの願いも込めています。

セミナー開催のキッカケ
 会社をオホーツク地域の事業者に認知していただくために、2013年11月に設立記念として「事業承継」をテーマにセミナーを開催することになりました。
 当初は、自前で講師をする予定でしたが、せっかくだから、会社の目的にも掲げている「事業承継」や「MQ会計」に関する著書や多くのセミナーを開催している税理士、牧口晴一さんにお願いしようということになりました。
 そうはいっても、人口8000人の大空町女満別に来ていただけるのだろうか、一抹の不安がよぎります。
 そもそも、私と牧口さんが出会ったキッカケは、2012年7月、「非公開株式譲渡の時価」という2日間のセミナーでした。セミナーを受講しているというより、ショーを見ているようでした。その後も、牧口さんのセミナーを積極的に受講するようになりました。
 2013年2月のセミナー後の懇親会の際、牧口さんに北海道女満別でのセミナー講師を依頼したところ、ご快諾いただきました。
 当初は、テーマを「事業承継」にお願いしましたが、「そもそも後継者が継ぎたくなる会社になっているのか、企業はまず儲からなきゃあかん」とのご意見をいただきました。
 その後パートナーと何度も協議した結果、テーマを「99%の経営者が知らない利益アップの秘策」に変更し、経営者や社員全員に知っていただきたい大切な考え方が書かれている牧口さんの著書「6%の売上UPで利益が2倍になるワケ」をテキストに使用することになりました。
 開催が決まれば集客です。目標を30名と設定しました。セミナーを開催する一番の目的は、「お客様に有益な情報を知ってもらいたい」ですが、有益かどうかの判断はお客様がするもので、主催者が決めるものではありません。人の価値観はそれぞれで、主催者が絶対に有益と思っても、それを押しつけることはできません。そこで、チラシやポスター、特典など、精いっぱい工夫しました。牧口さんも集客についてご心配くださり、たくさんのアイデアを頂戴したことに大変感謝しています。
 しかし、残念ながら、目標の30名には到達できませんでした。北海道オホーツク地域では、有料のセミナーはあまり開催されておらず、自費で学ぶという機会が少なかったことが原因かもしれません。
 さて、セミナーの効果はどうだったのでしょうか。セミナー終了後に記入していただいたアンケートによれば、全員の参加者にご満足いただけたようでした。
 主催者としては、情報を伝えただけでホッとしてしまいがちですが、参加者にとっては、セミナー参加後、具体的にどう行動するかが課題です。せっかく「実行してみよう」「経営に役立てたい」という想いがあっても、なかなか実行に移せないのが現実です。合同会社Gainでは、セミナー参加後のさまざまなサポートも実施していく予定です。
 このサポートの一環として、セミナーの翌日に、参加した数名の方とお会いしました。どの参加者も、ホワイトボードに描かれた牧口さんのイラストが強烈に印象に残っているようでした。「あの絵にもあったけど」「例のイラストにもあったけど」と「共通語」が生まれたのは収穫でした。「共通語」ができることにより、話題を共有でき会話がはずみます。その後の会話では、経営者の真の悩みや不安をお伺いすることができました。
 普段、専門用語を易しく分かりやすく説明することを心がけているつもりでも、ついついリスク回避のためか保守的になり、お客様が求めていないような細かいことまで説明し、自己満足に陥ってしまうことがあります。お客様の言葉の先にどんな想いがあるのか、お客様の質問の奥にある本当の想いや悩みを聞くことができるよう、今後も「共通語」探しを続けながら自分を磨いていきたいと思います。
牧口先生セミナーの様子.jpg
おわりに
 人とのご縁は不思議なもので、必要なタイミングで必要な方に出会っているように感じます。
本稿でご紹介した方々だけでも、たくさんの出会いがありました。すべてが私の貴重な財産となっています。
 北海道のオホーツク地域で仕事をさせていただけることに感謝し、また、税理士はサービス業であると心得て、「また会いたい」と思われるように、お客様に対して何ができるだろうと問いかけをしながら、心の筋肉も鍛えていきます。手は抜かず、たまに気を抜き、誠実に、ご縁を大切に今後も提案してまいります。今回の寄稿をキッカケに新たな出会いがあることにワクワクしつつ、ブロガーサミットにまた参加させていただこうと思っています。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


大谷一江氏.jpg大谷一江(おおや・ひとえ)
税理士。AFP。1970年宮城県栗原市生まれ。射手座のA型。2007年より税理士である父の事務所に勤務。2009年税理士試験合格。
2012年8月東京都新宿区におおやひとえ税理士事務所開業。2013年11月北海道オホーツクに合同会社Gainを設立。お客様とそのご家族が笑顔になれるよう、受け身ではなく提案型事務所を実践し好評を得ている。好きな言葉は「疑いを持って考え抜く」。
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第92回 「第15回税務会計系ブロガーサミットinグランフロント大阪」を終えて 税理士事務所トライズパートナー 代表 税理士 秋山和久

第92回 「第15回税務会計系ブロガーサミットinグランフロント大阪」を終えて
       税理士事務所トライズパートナー 代表 税理士 秋山和久

はじめに
 ここにエッセイを寄稿させていただくのは、光栄なことに昨年に引き続き2度目になります。
 平成25年9月21日(土)、「第15回ブロガーサミットinグランフロント大阪」が開催され、白川浩先生、菊水浩先生、そして私、秋山和久の3名が、(おそらく)ブロサミ初の「3名共同幹事」を務めさせていただきました。
 今回のリレーエッセイでは、前回の白川先生に引き続き、この「第15回ブロガーサミットinグランフロント大阪」についてお話しいたします。
 メインイベントの「ワールドカフェ」の詳細は、前回白川先生よりお話しいただいたので、今回は開催実現に至るまでの過程や会場決定などの背景、幹事のなかでの私の役割、そして当日の感想などをまとめてみたいと思います。

幹事を引き受けた経緯
 ことの発端(?)は、1年前の「第13回ブロガーサミットin岐阜」への参加でした。ブロガーサミットでは、開催時に次回、次々回の開催地と幹事を決定するのが慣例になっています。第15回の開催地が大阪に決定し、大阪からの参加者であったわれわれ3名を幹事にという、想定していなかった流れに……?
 意外に私のブロガーサミット歴は長く、平成18年秋開催の第2回が初参加です。勤務時代はなかなか継続して参加ができず、2度目の参加は独立準備を始めていた平成22年秋開催の第10回と、再び初参加に等しい状態でした。そして岐阜でのサミットが4度目の参加。白川先生、菊水先生の参加回数も、その時点でおそらく同じくらい。かつて、これくらいの参加歴の人物がこの一大イベントの幹事を務めたことがあったのだろうか……。そのとき、私の頭の中にはこのような思いが駆け巡りました(笑)。
 しかし、「共同幹事」というのが心強くもあり、また、「まだ1年後だし……」という先延ばしの思考(?)もあり、「よし、やってみよう!」とお引き受けして……、はっと気付けばあっという間にもう開催3カ月前(笑)。本当に不安だらけのスタートでした。

どんなサミットにする?
 スタートからすでに7年以上、第15回を数えるこの一大イベント。せっかくこのような会の幹事を務めさせていただくわけで(しかもブロサミ史上初の3名共同幹事)、これまで幹事を務めてこられた諸先輩方の流れをくみつつ、これまでとは異なったコンセプトを取り入れて、インパクトのある新しいブロガーサミットを作ってみたい!と、私たち3名で考えました。
 何度も打ち合わせを重ねて出した方向性は、講演形式、パネルディスカッション形式のように聞くだけではなく、参加者全員が「『発言者』であってほしい!」「主役として参加できる会にしよう!」というものでした。
 じゃあ、何をするか。いろいろ検討しましたが、「これ!」というものはなかなか思いつきませんでした。そのようななかで、われわれ幹事陣にこれぞという企画を発案してくださったのが近藤学先生でした。そのメイン企画の内容が、「ワールドカフェ」。詳細な内容については、前回白川先生にまとめていただいたので今回は割愛しますが、とにかくワールドカフェとは参加者全員が発言することにより、一部の方だけではなく、全員でひとつのテーマを自由に話し合い、模造紙に書き込んで形にしていこうというもの。
 そしてテーマにしたのが「中小企業に対する私たちの役割」でした。

なぜこのテーマを選んだか
 ブロガーサミットには、いろいろな方が参加されます。開業税理士、勤務税理士、他士業の方、士業以外の方。立場の違いはあれ共通しているのが、それぞれがそれぞれの立場で、それぞれの思いを持って「顧客である中小企業に向かい合っている」ということ。
 意外とカタいかもしれませんが、ワールドカフェのツボは、「皆さんが自由に発言しやすいように、あえてボヤっと、広いテーマを設けること」。そして「狭い、断片的な、答えのあるテーマを選ばないこと」。そういった意味では、このテーマはベストだと考えました。
 ワールドカフェでは、全員が発言します。そしてそれを遮ったり、否定したりすることを一切しないのがルールです。会議や議論で必要とされる「結論」はあえて出しません。皆さんが考える「自分の役割」を融合して共有し、それぞれが新しい価値観を得て帰ってもらいたい。それが今回の目的でした。

開催地を選んだ理由
 ワールドカフェをメインイベントに、皆さんの発言を融合して新たな価値観を感じてもらいたいというコンセプトのもと、開催地は大阪が誇る「グランフロント大阪」の中心施設、ナレッジキャピタルを選びました。面白いことに、開催地をどうするか話し合った際、全員が考えていた候補地が一致したのです。このナレッジキャピタルのコンセプトは、「世界の『感性』『技術』を持ち寄り、交わり、コラボレーションすることで新たな価値を生み出す」こと。そういった意味では、今回のメインイベントのコンセプトに完全にマッチしました。
 オープンしてまだ半年足らずということもあり、とてもぜいたくな会場でした。「ワールドカフェ」と同様、この「グランフロント大阪」も、今回のコンセプトを強調する目玉のひとつでもありました。
 そしてこのナレッジキャピタルとの直接交渉は私の任務でした。話題の人気施設ですから、会場の予約を取るのも一苦労でしたが、ほかの幹事の方々のサポートのもと、何とか無事開催にこぎつけることができました。

実際にやってみて
 ワールドカフェの特徴は、その名の通り「カフェ」のようなリラックスした雰囲気で、ひとつのテーマについて、少人数に分かれたテーブルごとに自由な対話を行い、テーブルのメンバーを入れ替えながら他のテーブルで話してきたことなどを共有していく、「他花受粉」というディスカッション手法。みんなが自分の考えを自由に発言し、それを否定せずしっかり聞くこと。テーブルの模造紙に自由にメモを書いていきます。
 参加した皆さんは、それぞれの立場で中小企業に対する使命や考えを持っています。それをワールドカフェで融合していくのは、とてもわくわくする作業でした。
 開始直後はぎこちない感じもありましたが、そこはプロの方々。すぐに活発な話し声が響き渡り始めました。むしろ時間が来てストップさせるのが大変でした(笑)。
 ディスカッション後は、各テーブルで自由に書いた模造紙を1カ所に集め、見直しながらの全体共有です。
 ここではファシリテーターとして、今回この「ワールドカフェ」のアイデアを出してくれた近藤先生に全体をまとめていただきました。近藤先生には今回大変お世話になりました。あらためてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
 参加された皆さんに積極的に自分の意見を発していただいて、交流を最大限に図ってほしい。
そのような趣旨で採用した今回のワールドカフェ。幹事陣の実感としても、参加者の方からの感想としても、自分で言うのもなんですが、すごくよかった! すごく楽しかった! です。

意外な副産物・その1
 通常、ブロサミ本会(第1部)では、参加者が直接交流できる時間は限られていますが、今回はあらゆる参加者との対話がテーマ。ワールドカフェの意外な副産物として、第2部の交流会では、ワールドカフェでしっかり交流できたということもあり、スタート直後から存分に交流していただけたと思います!

意外な副産物・その2
 そして、もうひとつの意外な副産物。このブロサミで知り合った共同幹事3名。もちろん以前から知り合いではあったのですが、今回の幹事の仕事を通じて、すごく仲良くなりました(笑)。
 リーダーとして全体を仕切って引っ張っていっていただいた白川先生。意見を常に出していただき、細かい作業や外堀を確実に埋めていただいた菊水先生。一番年少者の私の奔放な発言にも、真摯に、丁寧にぶつかってくださいました。すごくよいバランスの3人組(?)だったと思います。両先生、本当にお世話になりました。すごく楽しかったです! そして、終わってしまうと少し寂しくもありました。

おわりに
 次回の第16回ブロサミは、埼玉県川越市での開催となりました。幹事は、ブロサミ創始者のひとり、大林茂樹先生です。今からとても参加を楽しみにしています。
 今回の大阪ブロサミは、本当にいろいろな方々の協力や助言のおかげでたくさんの方にご参加いただき、とても盛り上がった有意義な会とすることができました。幹事3名のみではここまでできませんでした。かかわった全ての方々に、心よりお礼申し上げます。
 幹事のひとりとして、本当に貴重な体験をさせていただきました。これからもますますこのブロサミが発展するように盛り上げ、そして参加していきたいと考えています。
 ありがとうございました!

プロフィール写真.jpg秋山 和久(あきやま・かずひさ)
昭和53年生。大阪府羽曳野市出身。近畿大学卒業。平成18年税理士登録。大学時代より税理士を志し、個人事務所、大手税理士法人にて10年のキャリアを積んだ後、新大阪で独立開業。得意とするIT効率化に特化する一方で、アナログの対人関係との両立で顧客満足の最大化を目指す。また、「必要なものを選択してもらう」料金体系で、従来の固定報酬型の顧問料とは一線を画す。明るいキャラクターと分かりやすい説明を強みとする。
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2013

第91回 第15回 税務会計系ブロガーサミット in グランフロント大阪よりワールドカフェ——中小企業に対する私たちの役割 白川浩税理士事務所 所長 税理士 白川 浩

第91回 第15回 税務会計系ブロガーサミット in グランフロント大阪よりワールドカフェ——中小企業に対する私たちの役割
       白川浩税理士事務所 所長 税理士 白川 浩

 9月21日、晴天の土曜日に、今春オープンしたグランフロント大阪のナレッジキャピタルにて、「第15回税務会計系ブロガーサミットinグランフロント大阪」を開催しました。
 シルバーウィークの最中、26名も出席してくださり、幹事を代表いたしまして、あらためてお礼申し上げます。誠にありがとうございました!
 今回の幹事は菊水浩税理士、秋山和久税理士、そして私、白川浩が務めました。
 今月のリレーエッセイでは、今回のテーマ「ワールドカフェ ~中小企業に対する私たちの役割~」について、私からお話をさせていただきます。

ワールドカフェとは
 「ワールドカフェ」。この字面からは、それが何かをイメージするのはなかなか難しいと思います。正直「どこにあるお店?」って思われた方もいたかもしれません(笑)。
 ワールドカフェとは、お店ではなく、「知識や知恵は、機能的な会議室の中で生まれるのではなく、人々がオープンに会話を行い、自由にネットワークを築くことのできる『カフェ』のような空間でこそ創発される」という考えに基づいた、「話し合いの手法」です。
 普通の会議とは次のような違いがあります。
 本物のカフェのようにリラックスした雰囲気で、テーマに集中した対話を行います。また、自分の意見を否定されず、尊重される安全な場で相手の意見を聞き、つながりを意識しながら自分の意見を伝えることにより生まれる、場の一体感を味わえます。メンバーの組み合わせを変えながら、4~5人単位の小グループで話し合いを続けることにより、あたかも参加者全員が話し合っているような効果を得られ、参加者数は12人から1000人以上でも実施することができます。

選んだ理由
 今回ワールドカフェを選んだ理由は、せっかくグランフロント大阪のナレッジキャピタルで開催するのですから、何かアカデミックな催しをできればということがありました。また、この形式なら、自分の考えを述べる機会が必ずあります、というより述べざるを得ません。皆さんの肩書や立場も違うので、興味深く聞いてくれます。話をして、聞いて、それをまとめてと、ほぼ全ての時間に参加することになり、参加された方の満足度も高くなるだろうと考えました(これは、実際にワールドカフェに参加された方から聞いた感想でもありました)。
 また、話し合いのテーマとして、「中小企業に対する私たちの役割」を選んだのは、この会に参加される方たちにとって、ちょうどよいものだったと思います。これなら参加される方が誰でも発言できること、そして少しぼやけたテーマにすることで、いろいろな意見が出ると見込んで決定しました。

結論を出さない会議
 大まかな進め方は、次のようになります。各ラウンドは、それぞれ15~20分間で行うのが通常ですが、今回は時間の都合上、各ラウンドを15分間で行いました。
 第1ラウンド
 最初に、テーブルに集まったメンバー同士がテーマについて話し合います。発言者はボールを持って思うところを述べ、ほかのメンバーはメモや思いついたことをテーブルの模造紙に書き込みます。話し終わったら次の人にボールを渡し、全メンバーが発言します。その後、質問や補足をしつつ、話し合いを深めていきます。
 時間が来たらテーブルホストを決めて、ほかのメンバーは机の模造紙などを参考に、ほかの気になるテーブルへとバラバラに移動します。
 第2ラウンド
 テーブルホストは集まったメンバーに第1ラウンドの内容を説明します。そして、ほかのテーブルから来た人たちと同じように意見を述べ合い、模造紙に書き込みながら、さらに話し合いを深めます。
 これがワールドカフェにおける「他家受粉」といわれるものです。これを行うことで、あたかも参加者全員で話し合いをしているような効果をもたらすのです。
 時間が来たらテーブルホストを残し、ほかのメンバーは最初に座ったテーブルに戻ります。
 第3ラウンド
 前のラウンドと同様に、テーブルホストが先のラウンドの内容を説明します。そして戻ってきたメンバーが、ほかのテーブルで話し合った内容を持ち帰ります。
 このあたりになると、模造紙の書き込みが随分と増えてきます。
 今回は時間の都合上、メンバーのシャッフルは1回としましたが、時間が許すのであれば、2回以上行うと、さらに「他家受粉」の効果が期待できると思います。
 全体ラウンド
 第1~3ラウンドの話し合いによってできた模造紙を貼り出し、ファシリテーターの進行で全体のまとめを行います。
 ここでの進め方としてはいろいろな方法がありますが、今回は時間いっぱいまで目に付いたキーワードをもとに、ほかの先生方の意見を聞いていきました。初参加のメンバーを中心に、多くの方に発言していただくことができました。
 そして、これもワールドカフェの大きな特徴ですが、この場ではあえて結論を出しません。各個人がこの話し合いで得たことを持ち帰り、今後のお仕事や人生に役立てていただく。これこそがワールドカフェの目的です。
 そうです、ワールドカフェとは「結論を出さない会議」なのです。

用意するもの
1.模造紙:テーブルでの書き込みに使う模造紙です。今回は76.5×108.5センチメートルのものを使いました。
2.ペン:カラフルなほうが見ていて楽しいので、色は多いほうがよいと思います。
3.トーキングオブジェクト:話す人に持ってもらうものです。クッシュボール(ウニのようなふわふわのボール)やカラーボールなどを使います。
4.トランプ:座席やテーブルホストを決めるのに使いました。
5.席札:テーブルの場所を表す席札です。カードケースとダブルクリップで作りました。
6.時計:タイムキーピング用の時計は、iPadの「プレゼンタイマー」という無料のアプリを使いました。
7.チャイム:話し合いの開始・終了の合図や、注目を集めるのに使います。アプリにもチャイム機能はありますが、今回は「エナジーチャイム」というキレイな音の出る、1本の鉄琴のようなものを使いました。
 当日は、「クッシュボール」と「エナジーチャイム」を近藤学先生にお借りして使わせていただきました。
 今回は場所の制約上用意できませんでしたが、カフェの雰囲気を出せるような食べ物・飲み物やオブジェなどがあるとよいともいわれています。

開催してみて・・・
 外側から眺めてみた感想になりますが、最初は戸惑い気味だったものの、時間とともに話し合いも活発化して、静かすぎず、煩
うるさすぎず、あたかもカフェにいるかのような雰囲気が自然とできあがっていきました。
 話し合いに参加された方も最初の5分は長く感じられたかもしれませんが、最後の5分はとても短く感じられたのではないでしょうか。15分という時間は今にして思うと絶妙だったと思います。
 今回はほどほどに知っている仲間同士で行いましたので、とても楽しく、かつ中身のあるワールドカフェになったと思います。ワールドカフェの開催には時間や場所、ある程度の人数と相応の準備が必要になりますが、当日いざ始まってしまうと、意外なほどあっという間に時間が過ぎていきました。
 実は、今だから言えるのですが(笑)、私をはじめ、今回の幹事にはワールドカフェへの参加経験がありませんでした。さらに、ほとんどの人に経験がないことから、盛り上がりに欠けてしまわないかという懸念もありました。
 しかし、好奇心旺盛なこのブロガーサミットのメンバーですから、きっと面白がって乗っかってくれるだろうという楽観的な目論見もありましたし、事実そのとおりになりました。

最後に
 今回の企画の発案者でもあり、全体ラウンドのファシリテーターを務めてくださった近藤学税理士には大変助けていただきました。この場をお借りしていま一度お礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
 また、3名の合同幹事ということで、私1人ではここまでの会にすることは正直不可能だったと思っています。私が一応年長者でしたのでリーダーのように立ててくださり、一緒に準備をした菊水浩税理士と秋山和久税理士にもお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 大変な役目ではあったものの、皆様方のおかげで私自身も楽しく過ごすことができ、貴重な経験をさせていただくことができました。
 以上、ワールドカフェについてお話しいたしました。今回のブロサミを機に、ご自分でワールドカフェを開催してみようという方、どこかのワールドカフェに参加してみようかという方々に、少しでも参考になれば幸いです。

白川浩氏.psd白川 浩(しらかわ・ひろし)
昭和41年7月7日宮城県生まれ。香川県出身。平成2年龍谷大学経営学部卒。大学在学中に日商簿記1級を取得し、税理士試験の受験を始める。平成10年に税理士登録。大阪市内の税理士法人に勤務後、平成23年大阪市中央区本町にて白川浩税理士事務所を開業し、現在に至る。そのほかに、初級システムアドミニストレータと、英文会計検定BATIC(AccountantLevel)を取得。
■ブログ
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第90回 「ユルいネットワーク」こそ事務所経営の財産、そして、「ブロサミ」の意義 木村税務会計事務所 所長 税理士 木村聡子

第90回 「ユルいネットワーク」こそ事務所経営の財産、そして、「ブロサミ」の意義
       木村税務会計事務所 所長 税理士 木村聡子

「ブロサミ」の名付け親
 平成25 年9月21日(土)、大阪ブロガーサミット(以下適宜「ブロサミ」と略します)は、今回の目玉「ワールドカフェ」をやってみようというアイデアを提供してくださった近藤学税理士のご協力、そして幹事3名(秋山和久税理士、白川浩税理士、菊水浩税理士)の仕切りのよさもあり、盛会のうちに幕を閉じました。
 「ワールドカフェ」の何たるか、大阪ブロサミがどのような内容だったかは、この後にバトンをつなぐ白川税理士がしっかり書いてくださることでしょう。ちなみに、大阪ブロサミの様子は、写真とともに「元祖ブロサミオフィシャルブログ」でもご確認いただけます。
 しかし、です。時は流れ、世の中の情報発信の媒体は、ホームページからブログ、ツイッター、フェイスブックと、まさに群雄割拠の様相となり、参加者の情報発信の方法・内容・頻度もバラバラ。そのようななか、「ブロガー」サミットと名乗り続けてよいものか、という疑問もちょっとありますが、2006年3月、ブログで出会った同業者が「ちょいと確定申告の打ち上げでもやりましょうか」とウェブ上で連絡を取り合い、洒落れっ気で名付けた「ブロガーサミット」という名称。この会の起源を示すということで、ま、ありといたしましょう。
 ちなみに「ブロサミ」の名付け親は、この私だったりします。最近、アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)さんというソーシャルメディアマーケティングで有名な会社が「ブロガーサミット2013」なるイベントを大々的に開かれましたが、ウチらのほうが老舗だったりしますんで、そこんとこヨロシク!

ブロサミ終了宣言?
 ところでこのブロサミ、東日本大震災による中断が1回あったものの、開催も15回を重ね、大々的な宣伝なしに毎回必ず20名以上の参加者を集めているというのは、会の発案者(大林税理士&私)ながらとっても不思議です。意義なく趣旨なくこの会を始めてしまったブロサミの「母」はうろたえています。
 今だから話せますけど、けっこうなイベントになってしまった変な重圧に耐えかねて、某サミットの開催前にその時の主催者さんと(どの回かは伏せておきます)、「今回で『ブロサミは終わりにしまーす』宣言しちゃおうか!」なんて、キャンディーズの解散宣言のノリ(年齢がばれる!)で企んだこともありました。
 でもこの企みが未遂に終わってよかったと、今回の大阪ブロサミで楽しそうにワールドカフェに興じている参加者の方々を拝見し、つくづくそう思ったものでした。

なぜブロサミはここまで続いたのか
 で、今回のこのエッセイでは、「なぜブロサミはここまで続いたのか」を分析してみたいと思います。
 いきなり分析結果ですが(結論、早っ)、ズバリそれは「ユルさ」にあるのではないでしょうか!
 ブロサミ草創期に参加者の中から、「こういったイベントは、何か成果物(例えば著書など)を出さないと苦しいのではないか「『ブロサミ宣言』のようなものを出して、中小企業に向けてメッセージを発信したほうがよいのではないか」という声が上がったこともありました。
 でも、背伸びをしてそういった会にしていたら、ここまで続かなかったことでしょう。幹事に過度の負担を強いてしまうことになりますし、参加者の新陳代謝も悪くなりそうです。
 ブロサミというイベントは、おのずと「次回幹事立候補or指名制」という流れになり、これまた自然に「内容は幹事一任」ということになりました。例えば、私は参加できなかったのですが、岐阜サミットは幹事の不破さんが、「サミット初期の単なる吞み会&カラオケという原点に立ち返る」という趣旨で開催されたそうです。このユルさゆえ、毎回内容が予測不能で、単純にそれが面白いんですよね。だから長続きしているんだと思います。
 また、先にも述べましたが、このように内容的にハードルが低くユルいことから、参加者の新陳代謝が非常によい。第1回からの参加者もいれば、毎回必ず初参加者がコンスタントにいらっしゃいます。しかも古参の参加者が先輩風を吹かせるということもありません。
 我々の業界も、いろいろなつながりがあります。その最たるものが「税理士会」です。「資格の前では人(税理士)は平等だ」とはいっても、税理士会の支部に顔を出すと、実際は先輩に気を使い、男性は野球部に半強制的に参加を迫られ、若手は「何かの部会に参加しろ」と詰め寄られる……。つながりというよりは「しがらみ」ですよね……。ま、それはそれで参加すれば意義のあることですが、小さな事務所ほど本業の負担になることが多々あります。
 その点、このブロサミは出入り自由。新旧メンバーの別なく、ざっくばらんに事務所の経営や実務について情報交換できます。ブロサミに意味を感じなくなれば、「卒業します」と宣言して去るのも自由。ブロサミを踏み台にして羽ばたいてくれるのも大いにあり。
 「それで、いいんじゃなーいー?」と、去る者を追わない雰囲気がここにはあります。もちろん「卒業します」と言ったあとで戻ってきても大歓迎。そんなユルユル具合がブロサミの魅力だと思います。

ユルいネットワークによる化学反応
 税理士に限らず、独立して事業を始めた場合、「しがらみがなく」「緩やかで」「ざっくばらん」に情報交換できる仲間が必ず必要になります。独立系の税理士・会計士の「ユルやかなネットワーク」形成の一助という役割を、このブロサミは果たしています。ここが長続きしている最大の理由なのでは!?
 そして成果を強制的に目指してはいないブロサミにもかかわらず、このユルいネットワークから、次のような成果も化学反応的に生まれています。

経理プロフェッショナル養成講座
アイ・シー・エス通商株式会社の中山社長は、とても有名な経理本ブロガーでいらっしゃって、第1回ブロサミの参加者です。そこで出会った吉澤大税理士プロデュースのもと発足したのが、「経理プロフェッショナル養成講座」です。講師の井ノ上陽一税理士もブロサミ参加者。そして恥ずかしながら私も、「資金調達支援編」で講師を務めています。まぎれもなく、ブロサミでの出会いがなければ成り立たなかった企画だと思います(http://www.icst.co.jp/seminar/professional.html)。

LLP(タックス・プリンシプル・ジャパン)
 ブログで出会い意気投合した関西の若手税理士中心のLLP。その母体となったのはなんと、メンバーのうち3名(前田税理士、木村税理士、大末税理士)が立ち上げた「超税理士俱楽部」という、事務所を超えたブログでした(http://www.llp-tpj.com/)。

 ほかにもきっと、ブロサミつながりを出発点として、成果をあげた例はあるのではないでしょうか。これまた私が参加しているプロジェクトで手前味噌ですが、先月号のエッセイで紹介されている松波税理士が中心となって立ち上げた銀行対策ラボ(B-LABO) もその一例です。ブロサミで松波税理士と出会い、その後定期的に情報交換をしていたことから、メンバーに加わらせていただくこととなりました。

まとめ
 このように、「ブロサミで何か成果物を!」と肩ヒジ張らなくとも、もともと「情報発信したい」という思いから、ブログというツールに手を染めた同好の士ということで、根底に「コミュニケーション重視」「伝えることに重きを置く」「ITにも税務にも勉強熱心」という共通項があるわけです。そこで出会ったメンバーの中でさらに気が合う人々とその後融合していけば、事務所経営にとって非常にプラスになると思います。
 というわけで、なぜ「ブロサミ」が細く長く続いているのかを、だらだらと分析してみました。第1回ブロサミの「税理士ブロガーで確定申告の打ち上げしよーぜ!」という軽いノリで始めたものがこうなってしまったという変化を眺めているだけで、「ブログをやってよかったなぁ……」と思います。
 おっと、でも、それだけではダメですよね……。ブログ、もっと更新しなくては!!(汗)

木村聡子氏.jpg木村 聡子(きむら・あきらこ)
木村税務会計事務所所長。税理士。法政大学法学部卒。一般企業に勤務後、2つの会計事務所に勤務。平成12年に開業。著書に「土下座と健太と経済学」(アチーブメント出版・共著)などがある。
「kimutax カフェ(きむカフェ)」


第89回 税理士業務と銀行対策支援の親和性 松波会計事務所 所長 税理士 松波竜太

第89回 税理士業務と銀行対策支援の親和性
     松波会計事務所 所長 税理士 松波竜太

書籍「借入は減らすな!」を出版
 「借入は減らすな!」という本を平成25年2月に出版しました。この本の内容は、平成24年12月にリリースした「銀行借入ドットコム」サイト(http://www.ginkokariire.com) が基になっています。同サイトはプロのウェブコンサルタントに依頼して作成してもらいました。
 サイトは、サービスの概要、銀行借入ノウハウ、用語集の3つのコンテンツから成り立っています。
 サービス概要は「お問い合わせ」と「サービスお申し込み」に誘導するためのページです。銀行借入ノウハウと用語集は、サービス概要へのリンクを増やすために、SEO対策としての役割を担っています。
 用語集に200字前後の銀行・融資・金融関連用語を400項目ほど配置しています。
 そして、銀行借入ノウハウは1000字前後の読み物で、25項目ほどの構成となっています。
 このように、多量のコンテンツから構成されるサイトですから、ブログシステムを使って構築しています。サイドバーへのリンクなどが自動生成されるので便利です。
 ところで、冒頭の書籍ですが、サイト構築の過程で銀行借入ノウハウを書き進めるうちに、4万5000字ほどの量になったので「どうせなら1冊の本にまとめてみたい」と考え、出版社に企画書を出したところ、運よく評価していただき、出版にこぎ着けたのです。
 ちなみに、企画書は4社の出版社に出しました。出版社の選定や企画書の書き方については、実務経営サービスさんから多大なるご支援を頂きました。
 結果はどうだったかというと、1社は出版社の得意分野と合わないということで×。もう1社は、雑誌的な内容で本として売るのは厳しいので、自費出版ならOKという評価で×。そして2社から商業出版でOKという返事を頂きました。
 本を出すのは初めての経験です。まさに手探りの状態で、1社1社アポを取って訪問しました。ですから、企画書もトークも1社目よりは次……、とだんだん進化していったと思います。
 また、出版社というのはそれぞれ得意分野があり、ある出版社ではダメでも、違う出版社では通ることがあると分かったのは収穫でした。

銀行対策は誰に相談する?
 ところで、「銀行対策は税理士に相談するもの」と考えている中小企業はまだ少ないと思います。しかし実は、税理士は中小企業の銀行対策のアドバイザーとして最適なのです。
 「銀行対策コンサルタントがいるのになぜ税理士が?」と思われるかもしれません。しかし、試算表から申告書・決算書作成まで、お客様の財務のサポートを一手に引き受けている税理士という立場だからこそ、中立的な立場でコンサルタントよりも自然な形で銀行と接触できるのです。むしろ、コンサルタントが同席すると銀行員が構えてしまう可能性があり、同席を控えることさえあるのです。
 また、「非弁行為」にあたるのではないかと心配される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、条件変更などの法律行為をする場合は問題になり得ますが、「平常時」の決算書や試算表の説明のサポートは全く問題ありません。むしろ、日頃会えない専門家の意見を聞けるということで、銀行員から喜ばれることのほうが多いのです。
 さらに、「税理士には銀行対策のアドバイスなど無理」という声も聞こえてきそうです。それは、「銀行と交渉して融資を引き出すなんて無理」と考えられたからではないでしょうか?
 確かに、「融資を引き出します」などというキャッチフレーズを謳うたうのは難しいと思います。そもそも、融資を100%の確率で引き出すことなど、保証できることではありません。むしろ、こんなことを言うのは胡散くさい輩で、銀行対策とはこういうものではないのです。

銀行対策支援に必要なものとは?
 では、銀行対策のアドバイザーになるためには何が必要でしょうか? 実はそれほど特殊な能力が必要なわけではありません。
 まず第一に、銀行が納得する決算書を作ることのできる能力が必要です。これは、私たちの職務の一丁目一番地なので問題ないでしょう。しかしながら、「税務会計」を中心に作っている会計事務所はまだまだ多いので、「透明性の高い決算書を作っている」というアピールが必要になります。
 第二に、銀行組織や融資に関する知識が多少必要になります。これは、「税務調査」対策において、「税の取扱い」や「税務署の組織」を知っていたほうが有利になるのと似ています。基本的なことを押さえたうえで、経験でカバーすることになります。
 そして最後にお客様にピッタリと合った銀行を紹介できることが必要となります。会社の規模やニーズに応じた銀行の選定はもちろんのことですが、何よりも「融資に積極的な支店や担当者を紹介できること」が銀行対策として極めて重要になります。この部分は情報量がものをいうのかもしれません。

コンサルタントと税理士の違いは?
 ところで、「銀行対策コンサルタント」は、私たちの顧問料の何倍ものフィーをもらいながら、どのようなサービスを行っているのでしょうか。
 彼らがすることは、まず、銀行ウケのよい決算書の作り方の指導です。多くが元銀行員ですから、この部分に関してはお手の物です。しかし、結局のところ、事業計画の策定と予実管理などの支援で、案件を継続的にフォローすると
いうのが儲けのタネとなっているようです。つまり、メシのタネは私たち税理士の業務とそれほど変わりがないのです。
 では税理士との決定的な違いはどこにあるのでしょうか?
 それは、「○○銀行の△△支店が融資に積極的」という情報を「面」で持っているか否かです。さすがにこの点においては、銀行対策を専業でやるのと、決算書・試算表作成と兼業でやるのとでは違いが出ます。
 そこで、この部分をフォローする仕組みを実現するために、このたび「超実践!資金調達情報交換会(略称B -LABO)」という組織を立ち上げることにいたしました。
 B -LABOには、会員同士で「融資に積極的な銀行・支店・担当者」の情報を交換できる場を作りたいと考えています。これによって、これまでは難しかった「初めて進出する地域での銀行紹介」が可能になるのではないかと考えています。
 また、「銀行対策は税理士に相談するもの」と考えていない中小企業は、恐らくインターネットで調べて銀行対策コンサルタントに相談することになるでしょう。ですから、B-LABOでは、金融業界やマスコミ等に対しても「会計事務所は銀行対策支援のベストアドバイザーである」ということを広く周知し、会員先生のブランディングにつなげていただけるようにしたいと考えています。
 B -LABOに関する情報は、随時、実務経営ニュースにアップしていきたいと思いますので、ご興味のある方は、いつでもお問い合わせをお願いいたします。

プロモーションとは?
 「サイトや書籍からの問い合わせはどれくらいあるのだろうか?」という疑問を持たれると思います。
 残念ながら、単体それぞれでの効果は薄いといわざるを得ません。
 しかしながら、セミナーを企画すると、サイトや書籍をご覧くださった方が参加してくれることがあります。このような方は「問い合わせ」の代わりに、セミナーを通じて私を「評価」しに来てくださっているので、その後のご相談からの成約率がかなり高くなります。プロモーションとはこういうものなのかなと、最近実感し始めました。
 今後はまず、より多くの方にサイトと書籍をご覧いただけるようにすること。そして、サイトから書籍へ、書籍からサイトへと誘導することでロイヤルティーを高める。最終的に、セミナーへと誘導してクロージングにつなげるという方向を模索していきたいと考えています。
 とはいえ、思っている通りに、うまくいくものでもないと思いますので、機会があればまた、ご報告させていただこうと思います。


DSC_0118.jpg松波竜太(まつなみ・りょうた)
税理士。平成15年に松波会計事務所を開業(埼玉県さいたま市、関東信越税理士会、浦和支部所属)。「決算書が読めない経営者でも銀行交渉ができる」をコンセプトに、200社を超える中小企業に対して、財務体質の改善や銀行交渉などのコンサルティングを中心とした会計・税務サービスを行っている。著書に「借入は減らすな!」(あさ出版)があり、雑誌等への寄稿も多数。銀行借入支援サイト「銀行借入ドットコム」を運営。




第88回 私にとってのSNS利用法 税理士法人ファシオ・コンサルティング パートナー税理士 公認会計士 鯨岡健太郎

第88回 私にとってのSNS利用法
    税理士法人ファシオ・コンサルティング パートナー税理士 公認会計士 鯨岡健太郎

14回ブロガーサミット
 2013年3月23日に開催された、「第14回税務会計系ブロガーサミット」に初めて参加させていただきました。
 参加のきっかけは、フェイスブックのイベントとして招待されたことだったと思います。後述しますが、私はSNS(Social NetworkService)でのつながりをオフラインで実現するという機会をとても大切にしています。
 さらに、今回のテーマ「中小企業円滑化法終了! 消費税増税! これからの中小企業を守るための資金調達・経営改善を考える」が個人的に大変興味深かったことから、すぐに参加を決意した次第です。
 思った通り、ブロガーサミットでは多くの新たな出会いに恵まれ、本当に参加してよかったと思います。今回は一方的に情報を頂いてしまいましたが、いつかは何か発信できるような機会を得られたらと思います。
 今回のエッセイでは、私にとってのSNSの使い方について少し書いてみたいと思います。

独立開業してみたものの……
 私は1998年に公認会計士第2次試験(当時)に合格後、大手監査法人に5年ほど勤務しました。入社当時は監査業務の奥深さに興味津々だったのですが、ある出来事をきっかけに税務の怖さと奥深さに目覚め、これはきちんと腰を据えて経験を積んでいかなければならないと決心し、系列の大手税理士法人に転籍しました。そこで6年ほど勤務し、2008年に独立開業しました。
 さて、いざ開業したものの、最初はどうやって生計を立てていったらよいのかと悩むばかりで、手探りの日々が続きました。この業界、お仕事を頂くにしてもご縁が大切ということで、すでに独立していた先輩や同僚などを訪ね歩きました。何とかお役に立つ機会はないものかと必死だったのです。そこでいくつかの案件を紹介いただき、それらをコツコツこなしながら半年ほど乗り切ってみましたが、およそ事務所の発展など望むべくもない、食っていくだけで精一杯という状況でした。

情報発信の重要性に気づく
 そのようななか、大学時代の先輩税理士と偶然再会しました。彼は一般事業会社在籍中に税理士資格を取得し、ゼロベースで独立開業して開業後3年で80社程度の関与先と10名弱のスタッフを抱えるまでに大きくなっていました。
 彼の営業方針はも基本的には「口コミ・紹介」だったのですが、それと同じくらい重視していたのが「情報発信」でした。ホームページに始まり、顧客に対しては毎月「事務所通信」として毎月のタイムリーな情報を提供。またメールマガジンやブログなどにも手を出していました。
 私とって、これは衝撃でした。思えば当時は、業務開拓といえば「口コミ・紹介」しかないものと信じ切っていました。こちらから情報発信するという発想は思いつかなかったのですね。
 確かに、関与先とのコミュニケーションツールにもなるし、私自身のこともよく分かってもらえるかもしれない。しかし、当時の私は根っからの筆無精でして(汗)、到底続けられないなあ……と思ったものです。ではどうしたものか。
 このときは思いもよらぬオプションが登場して決着しました。彼と私とで税理士法人を設立することとなったのです。実態としては、私が彼の事務所に吸収されるかたちになったのですが、情報発信機能については法人として行っていこうということになったのです。

ツイッターとの出会い
 実は、私は今でもブログをやっていないのです。私が業務として情報発信しているのは、「事務所通信」に毎月フリーテーマでコラムを書くことくらいです。その時々の税務に関するニュースを中心にすることが多いですね。
 確かに、コラムを書くようになってから、お客様とのコミュニケーションが活性化された気がします。年に数回しか訪問できないお客様であっても、毎月の私のコラムは何となく記憶に残っているようで、話のきっかけになっているという実感があります。
 どちらかというと、事務所を離れた一個人として、ツイッターでくだらないことをつぶやいていることが多いです(笑)。
 本当に、最初はちょっとしたきっかけでした。入院したときに、暇つぶしでツイッターを始めたのですが、その後多くの同業者がツイッターを利用していることに気づき、徐々に会計・税務に関するツイートをすることが増えてきました。そうして、私のフォロワーに同業者や受験生などがどんどん増えていくという状況になっていきました。
 フォロワー数がグッと増えたきっかけは「オフ会」です。数年前、IFRS(国際財務報告基準)に関する議論が華やかだったころ、「IFRSを語ろう!」というオフ会が企画されまして、これに参加することにしたのです。
 実際のところ、ちっともIFRSの話など出てこず(笑)、ただ普通の飲み会だったのですが、そこに参加されていた方々との出会いは今でも宝物です。同業者である会計士・税理士の皆様はもちろんのこと、上場会社でCFOをされている方、会計士・税理士を目指している方などがざっくばらんに語り合っているのです。さまざまな年代、さまざまなキャリアを持った方々と一気に知り合うことができ、ここで私の交流範囲が一気に拡大したと思います。
 今回のブロガーサミットでも大活躍の松波先生とは、ツイッターのオフ会で初めてお目にかかりましたし、ツイッターでは長らくフォローさせていただいている木村先生にも、サミットで初めてお目にかかれて大感激でした。
 ツイッターはSNSの代表格ですが、オンラインのみならず、オフラインでの素晴らしい人脈の広がりが何よりの宝物です。現在ではフォロワー数も1900名を超えており、リアルにお会いした方も100名を超えている状況ですので、この関係は今後も発展させていきたいと思います。
 こんな感じですので、今のところ、ツイッター経由でお仕事を頂くというルートはあまり期待していません。

フェイスブック
 ツイッター利用開始からほぼ1年後、フェイスブックも始めました。こちらも今のところ、業務利用はしていません。よりクローズなネットワークとして、ツイッターでは出せないような個人的な話や、興味のある話を中心にポストしています。
 ツイッターの利用法と少し異なるのは、私がセミナーや原稿執筆などをした際にはフェイスブックで告知をしていることです。限られた範囲での告知ではありますが、ビジネスパートナーやいろいろな出版社の方々にも見られていることから、少しでもアピールになればと思っているところです。
 ちなみに事務所としてもフェイスブックのページを作っているのですが、現在のところうまく活用できていないですね。情報発信ツールとして優れているので、テコ入れしていきたいと思います。

おわりに
 私にとってのツイッターやフェイスブックは、まだまだ個人的な利用の域を出ていないのだと思います。ただそのなかでも、多くの素晴らしい人脈に恵まれ、少なからず業務にも結びついてきていることを考えると、もう少しビジネスに特化した利用法を考える時期が近づいてきたのかもしれません。
 今回のブロガーサミットでも、参加者の皆様がブログ等を有効活用されている状況を目の当たりにし、SNSとのつきあい方を見直すきっかけになればと思いました。

鯨岡健太郎氏 .psd鯨岡健太郎(くじらおか・けんたろう)
税理士法人ファシオ・コンサルティングパートナー。公認会計士・税理士。1974年生まれ。1998年公認会計士第2次試験合格後、大手監査法人に入社。2002年公認会計士登録。2003年に大手税理士法人に移籍し、主に外資系企業に対する法人税務業務及びM&A関連税務業務に従事。2005年税理士登録。2008年に独立、2009年に税理士法人ファシオ・コンサルティングを設立し、現在に至る。

第87回 パソ通発、ホームページ経由、終点Facebook? 協同経理事務所(加藤公認会計士・税理士事務所) 加藤暁光

第87回 パソ通発、ホームページ経由、終点Facebook?
       協同経理事務所(加藤公認会計士・税理士事務所) 加藤暁光

財務専用コンピュータとの出会い
 私は監査法人勤務が長く、本当に「独立開業した」といえるのは2012年7月になりますが、実は1970年代後半には財務専用コンピュータに触れる環境にありました。協同経理事務所の創立は1973年10月で、それらのコンピュータが1978年頃には既に導入されていたのです。当時、私はまだ小学校5年生でしたが、左右に穴の開いたドットインパクトプリンタ用出力用紙に印刷された、数字とカタカナしかない仕訳モニターに定規を当てて、伝票との読み合わせをする手伝いをしていました。

パソコンとの出会い
 高校3年生の時(1985年8月)に、顧問先から頂いたPC-9801VMが最初のパソコンでした。当初は財務専用コンピュータに付属しているワープロを使って趣味の自主製作ヒットチャートを作っていたので、私にとってパソコンは完全なゲーム機でした。クラスの9割が女子という、根っからの文系クラスにいたくらいなので、BASIC等のプログラミングはあまりしませんでした。
 公認会計士試験合格(1989年9月)後、監査法人に入社すると、それまで使っていた一太郎、Lotus 1-2-3が当然のように仕事に入ってきました。その頃は、初代98ノートがようやく30人近くいる監査部門に1台入ったという状態だったため、最初のボーナスをすべてつぎ込んで、ハードディスク(何と40MB)内蔵で  i386プロセッサ搭載の、当時の感覚でいえば超絶的マシンを手に入れて、監査調書はほとんどそれで作るようになりました。

パソコン通信と監査への活用
 社会人になるまでハードディスクやモデムを買うお金がなかったので、パソコン通信は最初のボーナスの時(1990年7月)に始め、その9割以上は趣味のSIGやフォーラム、草の根BBSやチャットにのめり込んでいました。当時は、仕事にパソコン通信を活用するという発想自体が社会全体に乏しかったですね。
 他方、当時はニフティサーブにCPAネットというCUG(Closed Users Group)があり、そこを通じて部門の先輩から法人内のパソコン通信を利用した「朝日オンラインクラブ」に誘われたので早速加入し、部活動、例えば、イーサネットをつなぐ実験やデータ・ダウンロード技法(現在のコンピュータ利用監査技法の嚆矢)の練習をしていました。本筋から外れるので詳細は省きますが、主に、汎用機のEBCDICという文字コードをパソコンのASCIIコードに変換するソフトがあったので、それを使って主に債権や在庫のデータを分析していたのです。

インターネットとの出会い
 私は流行しているものにすぐには飛びつかないタイプだったのですが、周り中がDOSを使っていた時にWindows 3.0を使っていたので、周囲より多少は早かったのかもしれません。つまり、流行に飛びつきはしないけれど、いったんはまると早いのです。インターネットについては、プロバイダーとの契約が面倒なのと、Windows 3.1にwinsockを追加するのが面倒だったので、Windows 95が出る1995年11月まで様子見を決め込みましたが、それが出た瞬間にはまりました。しかし例によって、最初は仕事からではなく趣味からです。周り中の同一趣味人がリムネットやベッコアメでホームページを次々に開くのに刺激を受け、パソコン通信にはない広がりを求めて、1996年1月にホームページを開設しました。

成功体験が桎梏
 ホームページは大好評で、たちまち多数の同好の士を呼び寄せることになりました。また、10を下らない雑誌に取り上げられ、ヤフージャパン発足と同時にクールサイトになり、業界人からも取材されたりしました。仕事でも遊びでも、人間、初期にそうやって成功してしまうと、逆に新しいものに手を出すのが億劫になってしまうものです。監査法人での仕事も財務諸表監査からシステム監査に移ったこともあり、次第にあまり新しいことにチャレンジしなくなっていきました。システム監査とはいっても、コンピュータ利用監査技法だけではなくて、昔ながらのヒアリング主体の監査が主流だったからです。
 旧日本軍が、航空機主体の近代戦の時代になっても日露戦争時代の集団突撃戦法にこだわったのと同じで、当初の華々しい成功体験が仇となりました。まぁ、仮にそうでなかったとしても、監査法人勤務の身では積極的に情報発信する人はごくごく一部のスタープレイヤーに限られていたのも事実です。そのようなわけで、ブログやツイッターには見向きもしませんでした。唯一、ミクシィだけは2007年から比較的積極的にやったものの、それもほとんど趣味の範疇にとどまっていました。

独立開業以降
 2012年6月、それまで23年間勤めた監査法人を退職することになり、従来、組織の歯車のひとつであればスタンドプレーに他ならないことに、逆に積極的に取り組まなければならないという、天地が引っくり返るような経験をすることとなりました。
 その時点でブログもツイッターもしていなかったし、ミクシィは完全に趣味(というより実名ではないので、ビジネス利用に向かない)でしか使っていなかったので、必然、フェイスブックを使って発信していくことになりました。とはいっても、監査法人時代とは全く畑の違う仕事ですから、まずは諸先輩方の投稿を謙虚に眺めることにしました。ブロガーサミットへの参加もその一環です。

おわりに
 ブロガーサミットに参加されている皆さんのお話を聞いたり、実務経営ニュースを読んだりしていると、自分とは別次元の話ばかりでとても勉強になります。いずれ自分も皆様のお役に立てる文章を書きたいものだと念じて、これからも精進していきたいと思います。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

1(昔、中国で、開戦の合図に敵陣に鳴りかぶら(「嚆」は叫ぶ意)をつけた矢を射かけたことから)物事の初め。最初(三省堂大辞林より)。
2(「桎」は足かせ、「梏」は手かせの意)行動・生活などの自由を厳しく束縛するもの(三省堂大辞林より)。

87加藤暁光氏.psd加藤暁光(かとう・あきみつ)
公認会計士、税理士、システム監査技術者その他もろもろで、某監査法人を早期退職し、さいたま市桜区にて開業しています。事務所自体は来年で創立40年ですが、私が関わりだしてからは14年です。ご興味を持たれた方、友達から始めましょう(ねるとんみたい)。よろしくお願いします。ホームページはこちら

趣味は自主チャートづくりで、三十数年やっています。ホームページ「チャート梁山泊」を17年間続けており、2013年で18年目に突入しました。チャートマニアの方からのご連絡もお待ちしています。

チャート梁山泊

第86回 私のブログ(SNS)活用方法 税理士法人いび会計センター 代表社員 税理士 国枝宗徳

第86回 私のブログ(SNS)活用方法
      税理士法人いび会計センター 代表社員 税理士 国枝宗徳

 皆さん、こんにちは。岐阜県揖斐川町にある、税理士法人いび会計センターの代表を務めている国枝宗徳と申します。代表に就任して、今年で4年目になります。ようやく、代表者として認識され始めたかなと思われる昨今です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 現在はブログの更新を行っていませんが、3年ほど前までは、頻繁に更新していました。それを回顧していきたいと思います。ブログが続かないひとつの例として、参考にしていただければと思います。

ブログを始めたきっかけ
 ブログを始めたきっかけは、同じ趣味を持つ、顧問先のある社長がブログを始めたことでした。ちなみに私の趣味のひとつにクラシック音楽鑑賞があります。それと共通した趣味を持つのがその社長でした。
 「先生、ブログ始めましたよ! いろいろと見ていたところ、ヤフーブログ、使ってみるとなかなか使いやすいですよ! あまり広告も入らないし、レイアウトもきれいだから!」と、ヤフーブログに記事を掲載しているところを見せてくださいました。「先生、ブログを始めようしているならお薦めですよ」と。以前から、ブログブームということもあり、やってみたいなあと思っていた私は、社長の言葉を聞いた直後に、ブログ作成を開始したのです。

多くの方にブログを知っていただく
 社長には、すでに交流のあるブロガーがいらして、そのブロガーさんたちに、私のことを紹介してくださったのです。「私が仲良くしているブロガー」というような内容でしたね。それをきっかけに、全くアクセスのなかった私のブログページが、徐々に見ていただけるようになってきました。
 やはり、誰かに見ていただける、そしてコメントをいただけるというのはブロガー冥利に尽きます。ヤフーブログの面白い仕掛けであるアバターを、いろいろ変化させることでメリハリをつけたり、デザインを変えて楽しんだりしました。
 ブログ記事に対して、読者から何らかの反応が返ってくるのはとてもうれしいものです。そして、記事や写真をほめていただけると、さらにうれしいものです。時が経つのも忘れ、ついついはまりこんでしまいました。深夜まで「ブログ記事を書く」「他のブロガーさんの記事に対してコメントする」「コメントされたものに対してコメントを書く」という、ブログ漬けの毎日を送っていたこともありました。

ブログを書く目的は?
 「ブログに何を掲載するのか?」「何のためにやるのか?」という質問に、「営業=顧問先拡大を主要な目的に使っていたのではなかった」と答えます。ブログをやる目的は、ひとつには絞り込めません。ひと括りにするならば、自分が伝えたい多種多様なことを、写真と文章を交えながら「公開」することでしょう。
 多くの方に見ていただいて、評価をしていただくために、まずは身近にブログを始められた方がいたのはよかったと思います。でなければ、すぐに挫折してしまったことでしょう。

税理士法人いび会計センターについて
 私の運営する事務所「税理士法人いび会計センター」は、地元揖斐川町を基盤とする事務所です。当事務所の収入の約2分の1は、揖斐川町にある企業さんから得ています。揖斐川町は人口2万4000の町であり、当事務所の周りは田んぼがかなり目立ち、近くには800メートル級の山が聳えているというところであります。そのような事務所環境にありながら、事務所のスタッフ数は14人を数え、大垣税務署管内では有数の規模にあります。
 これは、地元の企業さんの支えと、事務所スタッフの献身的な働き、そして創業者である父のリーダーシップと先見の明、地元への深い郷土愛によるものでありましょう。
 それらが伝わってくるようなブログを書きたいというのが、ひとつ眼目にありました。
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ブログで伝えてきた内容
 ブログは、いつでもどこでも見ることができるというメリットがあります。私のブログでは、父の郷土愛を引き継ぎ、そしてエッセイが得意で、毎日のように日記をしたためている母の血を受け継いだものであるように思います。
 ですから、揖斐川町の主なイベントである、5月の「揖斐祭り」、8月の「いびがわの祭り(ありがとう花火)」、11月の「いびがわマラソン」に関する記事については必ず紹介していました。ほぼ3カ月おきにある地元の行事。これらイベントのたびに、あれ? 揖斐ってこんなに人がいたのだなあというくらい、多くの人が集まってきます。揖斐川町出身で遠くに住む方々に対しても、子供のころ楽しんだ郷土の祭りはどうなっているのかなという思いで見てくださるといいと思います。そのような郷土の様子を伝えるブログを展開してきたつもりでいます。
 あと、四季折々の揖斐川が醸し出す風景。ブログは、写真を織り込むことで説得力が増していきます。それを文章で表現するということも、私の楽しみのひとつでありました。とりわけ揖斐川町谷汲の華厳寺の山門前に立つと、四季折々の風情がとても色濃く感じられます。春の桜、初夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色など、飽きさせない魅力があります。観光地としての谷汲山華厳寺をもっと知っていただきたいということもありました。
 そのほかに、自分の趣味であるクラシック音楽鑑賞についての話題。とりわけ、クラシック音楽という共通の趣味のおかげでブログのお友達ができ、それをきっかけに素晴らしい音楽祭に出会えるという収穫もありました。毎年夏に松本で行われる、「サイトウキネン」音楽祭です。音楽監督は世界的マエストロの小澤征爾さん。世界的な水準の音楽を夏の松本で味わえるのですね。これは、ブログをやっていなければ、知り得ないことでした。
 私は中日ドラゴンズのファンでもあります。ドラゴンズは、たびたびセ・リーグを制覇することはあるのですが、なかなか日本一になることができませんでした。死ぬまでに一度くらいドラゴンズの日本一が見たい! その思いがかなった日本一の喜びを、落合監督賛歌とともにブログに載せて共感を得たことも忘れられぬことです。
 また、お客様なしでは私たちは成り立ちません。お客様を紹介することも、ブログではやっていました。ただ、顔写真を撮らせていただけるお客様ばかりではなく、かなり顔写真となると嫌な顔をされるのですね。私は、相当顔写真を載せていますが、ホームページにスタッフの顔写真があると安心するでしょう? ただ、あまりお客様には喜んでいただけなかったのかもしれません。恥ずかしながら、載せさせていただいたお客様の多くは、今は私たちの顧問先ではなくなってしまいました。
 会計事務所のお仕事の話もあるべきでしょうから、当時の税務署のPRのようになりますが、「電子申告ってこんな感じなのですよ!」といったことについて写真を多く用いて説明したりしていました。当時は、あまり電子申告は広まっていなかったと思いますが、最先端のことを伝えていきたい、時流に乗ったことを話さなければならないという認識を常日頃から持ちながら、税理士業務をやっています。

なぜ、ブログがストップしてしまったのか?
 なぜブログの更新がストップしてしまったのかといいますと、ブログを通じて、質の高い友好的な交流がやりたかったのに、それが思わぬ方向に向かってしまったことが挙げられます。
 ブログの匿名性ゆえに、よからぬことをされる方もおられるのですね。ブログを始めるきっかけを作ってくれた顧問先の社長ともそれが一因となって、仲が悪くなってしまいました。残念なことに、ブログのこともあって顧問契約解除に。
 コメントや、多くの方からの閲覧を期待してのブログ運営に疲れてしまいました。それに、ブログの匿名性に不信感を持ってしまったことも。
 「ブログ=更新を常日頃からしないといけないもの」という呪縛から解き放たれることができず、負担感ばかりが積み重なったために、更新がストップしてしまったわけです。

現在は、フェイスブックのみです
 現在、SNSとしては、フェイスブックのみを活用しています。「いいね!」を気軽につけていけるのがとてもよいと感じます。コメントをしなくても見たことが分かるのは、便利な機能です。2年前に入会した「いび倫理法人会」の広報に使っていますが、当事務所のものは使用しきれていません。今後、セミナー告知にも積極的な活用をしていかなければと考えています。
フェイスブックは匿名性が排除されて、リアルの友達が実名で登録されているのがよいと思います。名刺代わりにもなりますので、自分のプロフィールを詳しく掲載しています。私がどんな人物か、フェイスブックを閲覧いただければお分かりいただけるはずです。

86国枝宗徳氏.psd国枝宗徳(くにえだ・むねのり)
昭和43年8月生まれ。岐阜県揖斐川町出身。中央大学商学部会計学科卒。税理士法人いび会計センター代表社員。税理士。税理士会において、調査研究部に4年間在籍。納税者の視点を大切にした税制に対する提言をまとめる一員として活躍している。「税を身近に」ということを常に考える税理士である。また、「経営者の心の成長なくして、企業の成長なし」との観点から、経営者として心を磨くため、2年前にいび倫理法人会(社団法人倫理研究所)に入会。毎週水曜朝6時からの勉強会参加を継続中。同会の専任幹事を務める。趣味はクラシック音楽鑑賞、旅行、古い町散策、野球観戦など多彩。学生時代は男声合唱部に在籍していた。毎年TDRに行くほどのディズニー好きである。

税理士法人いび会計センタ−
昭和47年、現会長の国枝隆氏が開業。平成16年11月、税理士法人設立。スタッフ数は17名。地元出身者が多数を占めるなか、最近は兵庫県、静岡県出身者も加わり、多様な人材がそろう。「お客様の喜びこそ、私どもの喜び」を実践しようと日々努力している。会計税務の枠を超えて、お客様の経営をサポートできるよう邁進し、「お客様の売上増進、利益増」に貢献できる事務所づくりを進めるため、「企画塾」の増販増客センターの一員である。


第85回 「第14回税務会計系ブロガーサミットin東京新宿」を終えて 佐藤亜津子税理士事務所 代表税理士 佐藤亜津子

第85回 「第14回税務会計系ブロガーサミットin東京新宿」を終えて
        佐藤亜津子税理士事務所 代表税理士 佐藤亜津子

 去る3月23日、無事に第14回税務会計系ブロガーサミットin東京新宿が終わりました。お忙しい中、総勢35名の方々にお集まりいただきました。まずはこの場で感謝を述べさせてください。ありがとうございました!
 今後もブロガーサミットが続いていくように、私の幹事としての舞台裏を明かしてみたいと思います。ますますこの会が盛り上がっていきますように。

 前幹事の不破さんからご連絡いただいたのが、第13回が終わった直後、9月末のこと。ブロガーサミット(以下ブロサミ)は、幹事が日程・会場・内容・次期幹事の全てを決めることができるルールになっていると聞いていたので私に選択肢はなく、この段階で首都圏開催が決まりました。そして、そこから過去に行われたブロサミの開催地・テーマを確認し、まずは日程を決め、会場を押さえました。よし、これで最初の一歩。
 続いて、内容をどのようにするか考えました。直近のブロサミのテーマを振り返ると、
第13回 岐阜「ブロガー交流会」
第12回 高岡「会計事務所の伝える力」
第11回 さいたま「ニッポン復活サミット」
第10回 大阪「税理士業の未来形」
と、それぞれ幹事の方々の個性が溢れる内容です。さて、どうしたものか……。
 私が当初考えていたのは、
せっかく大勢の方にお集まりいただくのだから、今後のために何か持ち帰ってもらえそうな内容にしたい
みなさんの興味のあるテーマにすることにより、今まで参加したことがなかった人たちにも参加してもらいたい
という2つでしたが、そこで思考が止まってしまい……。そのまま繁忙期に突入してしまいました。刻一刻と迫る開催日……。もういい加減間に合わない! ということでアドバイスいただき、ようやく決定しました。

「中小企業円滑化法終了! 消費税増税!
これからの中小企業を守るための資金調達・経営改善を考える」

 同時に講師の方を探すことに。ここでもまた苦戦! 無理を言って吉田学先生にお願いすることになりました。
 第2部の会場も「せっかくだから、夜景のきれいな『THE東京』のイメージがいいなあ」「気兼ねなく交流できるように、個室がいいなあ」と探しに探し、第1部の会場からは遠いけれども、もうそこは許していただこう! となり……。会費もまた独断で決定。
 残るはいかに多くの方にご参加いただくか。
 このブロサミがスタートしたときはブログ最盛期でしたが、その後はツイッター、フェイスブックなど、ブログ以外のサービスで情報発信をする方も増えました。私も含め、今はフェイスブックでの投稿が多いようですので、イベントを作成、みなさんに告知、メッセージする方法を中心に参加を募りました。
 公式ブログも更新です。ライブドアブログは使ったことがなく四苦八苦しましたが、なんとか更新。もうあとは細かい準備をしながら祈るのみです。

 さて、当日のお話をさせていただきます。好天にも恵まれ、みなさん続々とお集まりいただきました。
 ここで、痛恨のミス! 実は、私は司会進行について、何も準備せずにいたのです。しまった、ただでさえアガリ症なのに……。結果は実際参加されたみなさんはご存じのとおり……。それでも場の雰囲気に助けられました。
 まずは第1部。名刺交換からスタートです。大勢の方々と懇親を深めるのが最大の目的ですから、最初の段階で緊張をほぐしていただこうという作戦です。しかし、さすがはブロサミ。みなさんすでにお知り合いの方も多く、盛り上がりすぎて予定時間をオーバーしました。あまりにも盛り上がっているので、このまま30分くらい続けていようかと考えたくらいです。
 その後、協賛会社の皆様のご紹介とご挨拶を。皆様それぞれの立場から、会計事務所を、中小企業を応援していこうという気持ちに溢れていました。本当にありがたいものです。
 そして、いよいよ吉田先生のご講演です。この日のために本格的なレジュメもご用意いただき、税理士がいかに頼りにされているか、今何をすべきかをお話ししてくださいました。
85ブロサミ写真.psd
 銀行が法人をどのように評価するのか、国の政策がどのような方針になっているのか、それを理解した上で、やはりいかに売上を上げるか。「リスケや条件変更が事業再生のゴールではない」という言葉がとても印象的でした。
 また、ブロサミのメンバーで、新たな試みとして「銀行対策特化型会計事務所ネットワーク」を構築する活動をしている松波竜太先生、木村聡子先生のお話を伺いました。第1回幹事であり、このブロサミ発起人でもある木村先生の「このブロサミのような、緩やかな横のつながりが今後の会計事務所、中小企業支援のために重要」という力強い言葉が印象的でした。
 最後に吉田先生、松波先生、木村先生と、このブロサミのもう1人の発起人、大林茂樹先生を交えてディスカッションをしました。私が用意した質問は3つ。
消費税に関連して、大きな設備投資をするときに、消費税率が上がる前・上がった後のどちらがよいかという質問にどのように答えていますか?
業績のよい会社に対して、銀行融資の営業が頻繁に来て、「いくらでもご融資します」という話があることがありますが、全て受け入れたほうがよいのでしょうか?
業績が上がらない会社に対して、今後も見込めない場合、いかにソフトランディングさせるかという考え方がありますが、「どのタイミングで」「何を基準に」助言するべきでしょうか?
 それぞれの方から、とても考えさせられる回答をいただくことができました。
 また、途中質問を受け付けたのですが、その質問された方のクライアントが実際に遭遇されている内容で、とても複雑な案件でした。いかに会計事務所がクライアントに頼りにされているか、いかに現実が複雑化しているか、大変象徴的だと思いました。
 第1部を無事終了し、第2部大懇親会へ! 下見をする時間も取れなかったのですが、料理もおいしく、大盛り上がりでした! ご挨拶にいくたびにお酌していただき、いやはや、楽しい時間はあっという間に過ぎました。こればかりはぜひ会場で体感していただきたいと思います!
 そして第3部はカラオケ大会! あの先生がAKB48を、この先生がアニメを、とみなさんの意外な素顔に驚き、笑いながら東京の夜は更けていったのでした。

 次回は大阪開催ということになりました。幹事は自ら立候補をしてくださった白川浩先生に決まり、ほっと一息ついたのはいうまでもありません。今度は参加者のひとりとして大いに楽しんで、みなさんと交流を深めることで、さらに会計業界を盛り上げ、中小企業の発展に貢献できるようにしたいと思います。
 本当にありがとうございました!


85プロフィール画像20121114.psd佐藤亜津子(さとう・あつこ)
税理士。横浜出身。平成14年2月、29歳で「佐藤亜津子税理士事務所」を開業。
起業5年以内の創業期の法人・起業家を中心に60業種、延べ100件以上の実績を持つ。資金も人材も余裕のない会社の「社外財務担当」として資金調達、経理合理化支援などさまざまな貢献をもたらす。税理士らしからぬ「底抜けの明るさ」で相談しやすい一方、たとえ社長相手でもはっきりモノを言い質の高さはもちろん、対応スピードは業界随一と評判である。自らが制作するポッドキャスト(インターネットラジオ)「今さら聞けないココだけの起業の話」は登録数8000番組あるiTunesstoreビジネス経営マーケティング部門で常にトップ50位内、最高で3位にランクインしている。平均年齢60歳代、女性の割合がわずか12.7%の税理士業界では若さとキャリアを併せ持つまれな存在である。プライベートでは、ロックをこよなく愛する3児の母。


第84回 スマートフォンのスマートな活用方法 山本祥嗣税理士事務所 所長 税理士 山本祥嗣

第84回 スマートフォンのスマートな活用方法
        山本祥嗣税理士事務所 所長 税理士 山本祥嗣

 私は平成24年7月に地元の田舎町で開業しました。独立開業にあたっての情報発信にフェイスブックを活用しています。そこで知り合った方を通じ、岐阜でのブロガーサミットに参加する機会に恵まれました。「エッセイを……」というお話を頂いて悩みましたが、少しブログ活用の話題を離れ、スマートフォンについて最近思ったことを書いてみたいと思います。

ある日、電車の中で
 ある日電車に乗ろうとした私は、愛用しているスマートフォンを自宅に忘れたことに気付いた。
 戻る時間はないので仕方なく電車に乗り、つり革をつかんで通路に立ちながら、手持ち無沙汰に車内広告や車窓の景色に目を向ける。ふと、目の前の女性が持つスマートフォンに目が留まる。デコレーションされたケースに覆われたそれを両手で包み、長い爪をよけながら、親指の腹を縦横にスライドさせている。フリック入力で「電車なう」といったところか。その隣には、学生と思われる青年。スマートフォンを顔の前にかざし、高速で画面を指でたたく。何かのゲームだろう。その隣には、サラリーマンが右手のそれを眉間にしわを寄せて眺める。その隣には女性が。左手に開いた本を持ち、右手で何やら入力中だ。その隣にも、その向こうの人も。偶然なのか、このベンチシートに座る8人が全員、顔の前にスマートフォンないし携帯電話を掲げている。電車の床から1メートルほどの高さに、おのおのに飾られたスマートフォンたちが横一列に並ぶ。8人はおおむね無表情で、わき目も振らずその四角い領域に焦点を合わせる。その光景はあらためて、不気味に思えた。
 そういう自分はどうか。普段なら電車に乗ってから降りるまでの間、左ポケットのスマートフォンを取り出し、まずメールチェックから。独自ドメインのメール、Gメール、各種メルマガやメーリングリストなどすべてこの手のひらの中に集まってくる。次にフェイスブック、LINE(ライン)、ブログなども更新。日経電子版で新聞記事も紙面のまま読めるし、気になることはSafari(サファリ)を立ち上げて検索。乗り換えがあるなら次の電車を検索。天気が気になれば検索。銀行残高にセール情報、ニュースや為替・株の値動きに。ひとしきり終わると、新着アプリや税務会計に関する新刊図書のチェックもしたい。地元から名古屋駅まで約30分の電車の旅だが、仮に2時間あっても退屈しない自信がある。

会計事務所の業務にスマートフォンを活用したい
 私は税理士になる前、新卒でシステム開発の会社に入社した。公共システムやクレジットカード会社の会員サイトなど、いくつかのプロジェクトを経験し、人がシステムを活用して事務処理を進める仕組みづくりに携わった。その流れから、自分で事務所を立ち上げるなら、ICT(※)に力を入れようと思ってきた。パソコンもさることながら、スマートフォンを操ることは、実験であり、研究であり、試作であり、まあ、趣味でもあった。
 スマートフォンでのメール、グーグルカレンダーの共有はもちろんのこと、もらった名刺も名刺管理アプリに登録すれば同時に電話帳にも登録される。最近感心したことは、スキャナーアプリが進化していたこと。書類をカメラで撮影すれば、エッジを認識して切り取り、斜めになっていても縦横を補正し、明るさとコントラストで読みやすくして保存してくれる。昔は、コピー機のないお客様のところへ小型のコピー機と紙を抱えてお邪魔したそうだが、スマートフォン1台でほぼ同じことができてしまう。スキャンしたデータはドロップボックスなどのクラウドストレージを活用すれば、事務所で同時に入力を進めることもできる。
 スマートフォンに限定しなければ、お客様が別途使っている請求ソフトやインターネットバンキングなどの外部データを活用することもできる。これまで手入力してきたことに比べれば、一定の効率化が見込めるだろう。一部のベンダーのソフトでも対応しているし、少し知識があれば、会計ソフトへの取り込みデータを自動で生成することも可能だろう。
 スマートフォンをはじめICTは日進月歩の進化をしており、今日に明日に、新しい便利なアプリや新技術が紹介されているといっても過言ではないだろう。常にアンテナを張り、自分やお客様に有益な情報をキャッチして吟味する。実験して成果を見極め、必要な人に届ける。何事もそうではあるが、新しいものへの取り組みの積み重ねが、差別化につながると信じている。

※Information and Communication Technology(情報・通信に関連する技術の総称)

スマートフォンに喰われる?
 常にアンテナを張る。今日のインターネット上に流れる情報のすべてにアクセスすることは到底できないけれど、少しでも多くの情報に目を通そうと思ってきた。その結果、日常生活においてスマートフォンをいじる時間がどんどん増えてしまった。朝の犬の散歩の時から、昼休み、自宅で過ごす時間、幸いにも防水ではないので入浴中は除き、寝る前の布団の中まで、自由時間の多くをスマートフォンに費やしていた。
 ある日、妻とのつまらない口論の中で指摘を受けてはっと気付く。スマートフォンに向き合う時間は家族との会話を奪う。スマートフォンに向き合う自分は、はたから見ると何をしているのか分からない。仕事をしているのか、遊んでいるのか、悩んでいるのか、楽しんでいるのか。私も、電車の中で見た横一列の一人なのでである。スマートフォンは自在に私を操り、すでに私の家庭に口論という小さなくすぶりを生んでいた。
 「マトリックス」という映画を思い出した。我々が現実だと思っている世界が仮想現実であり、本当の現実は別のところにあると。そこでは人間はエネルギーを放出するためのいわば家畜であり、人間が作り出した人工知能に支配されている、という話だと理解しているが、それに通ずるところを感じた。私のスマートフォンは、あちこちのアイコンに赤丸の数字を付けて私を誘う。メールの書き出しを通知領域にちらっと見せて私を誘う。ここ掘れワンワン? こっちの水は甘いぞ? 操っていたつもりが、操られていたともいえる。スマートなのはスマートフォンであって、私ではなかったようだ。

新しい取り組み
 改善案として、スマートフォンは自宅では固定電話化することに。自宅内の一定の場所に充電器でつないでおくというルール。ふと会話の中でよく知らない言葉が出たりすると、もう手が反射的にスマートフォンを探してしまう。もちろん、あとで調べるのだが、使う時間にメリハリをつけるようにしようという試み。

 スマートに操れるようになるにはまだ時間がかかりそうですが、ICTとの上手な付き合い方、膨大なインターネット上の情報のさばき方や、プライベートの楽しみ方も、これから研究すべきテーマですね。


山本祥嗣.psd山本祥嗣(やまもと・しょうじ)
昭和50年愛知県生まれ。
大学卒業後、システム開発の経験を経て税理士試験に挑む。
平成19年より税理士法人プライスウォーターハウスクーパースにて外国税額控除、タックスヘイブン(租税回避地)、移転価格税制といった国際税務コンサルティングサービスに従事したあと、平成24年7月より山本祥嗣税理士事務所を開設。
ICTに強い事務所を目指して鋭意模索中。

□Facebook


第83回 私のSNS活用方法 勝野弘志公認会計士事務所 所長 公認会計士・税理士 勝野弘志

第83回 私のSNS活用方法
         勝野弘志公認会計士事務所 所長 公認会計士・税理士 勝野弘志

ブログとの出会い
  平成19年7月の独立開業以来、早いものでもう5年が経ちました。独立を決意してから半年の間は準備期間、まずはホームページを作成し、税務会計情報発信用としてライブドアブログを始めました。これが私のブログとの出会い、SNS活用の第一歩となりました。

現在のSNS活用の概要
 その後、ライブドアブログから始まりFC2へ引っ越しましたが、アメブロが検索に強いらしいということで、アメブロを個人の趣味ブログとして始めるという移り気の多さは、私の性格なのかもしれません。現在はFC2とアメブロは休止状態で、独自ドメインの下にワードプレスで3つのブログをぶら下げて運用しています。SNSでは、フェイスブックとツイッターを中心として、主にそれらからブログまたはホームページへの誘導をするために活用しています。

独立当時のブログ活用方法
 独立当時はライブドアブログで税務会計情報を発信していました。しかし、発信といってもなかなか骨の折れる作業です。なんといっても税務情報は法律情報ですから、間違えたり誤解を与えるような書き方ではいけません。さらに、会計や経営・コンサルティング等の情報は、逆に守秘義務の観点から、深いところまでは書けないということもあります。あるいはそれがその人のノウハウそのものであると、ノウハウの流出になってしまいます。
 そのうち国税局のホームページが充実してきて、我々末端の税理士が発信できる有用な情報とは何だろうかというような、そもそもブログを書く理由という壁にぶつかります。これはブログ等で情報発信して自身を知ってもらおうとする会計人にとって、避けることのできない道なのかもしれません。
 ブログを書く目的のひとつとして、会計人としての人となりを知ってもらうということがあります。士業はちょっと敷居が高いと思われる職業ですから、実はこんな趣味があるとか、日常生活の一部を表現するとか、そういった使い方で「親しみやすい士業の先生」という印象を与える方も多いと思います。
 私もその方向に、とも思ったのですが、たったひとつのブログで「有用な情報の発信」と「私ってこんな人」という情報を入れこんでしまうことに、なんとなく抵抗を感じていました。そこで、自分の人となりを知ってもらうための個人用ブログをアメブロで始めました。
 ライブドア(のちのFC2)で有用な税務会計情報を、アメブロでと私の人となりを発信し、それぞれの記事を公式ホームページへリンクすることで、ホームページの被リンクを稼いで検索順位対策とする──。これが当時のブログ活用の主目的でした。

ツイッター、フェイスブックの登場
 事務所の移転を決めた開業4年目(平成22年)、とある経営者の会でツイッターと出会います。私が住んでいる桑名市はIT先駆地域で、ツイッターをはじめとしたSNSをビジネスに活用していくための仕組みや勉強会が当時から既に立ち上がっていました。
 そこで知り合った経営者のお誘いで、ITをビジネスに活用していくための勉強会に参加しました。IT意識の高い個人事業者や経営者との交流を深めていくなかで、いくらITやSNSといっても基本は人と人との関係性なのだと痛感しました。
 その後はフェイスブックの登場です。実名主義のフェイスブックが日本で本当に浸透するのか、というような議論もありましたが、問題なく受け入れられた感じがあります。私も平成22年にフェイスブックに参加し、そこでの出会いや交流を通じて、自らの思考や信念を自分の周囲の人々に伝えることができました。このインフラがなかったら今ごろどうなっていたのだろう? といつも感じています。

ブログがおろそかに……
 特にフェイスブックは短期的に爆発的に普及していきました。私の周りでは、ほとんどの人が登録しています。ビジネス用アカウントであるフェイスブックページも簡単に作成でき、さらには検索にもめっぽう強いなど、これをビジネスに利用しない手はない! というくらいの勢いでした。
 士業、特に税理士という職業は、高級商品を販売する業態であると考えています。購入に至るまでには「信頼関係の構築」という何段階ものステップを踏む必要があります。つまり、不特定多数を対象とする商売というよりは、特定の関係者からの紹介を中心とした販売促進が適切であると思います。その意味では、特定の個人との信頼関係を前提としたフェイスブックは、税理士向けのSNSであるといえるでしょう。
 特にフェイスブックは完全に実名主義ですので、信頼感があります。時間がなくても、地理的に遠い友達であっても、PCの前で会える。しかも毎日でも。私は、フェイスブックは時間と空間を超えるコミュニケーションツールだと思います。
 その結果、これまでのFC2で発信していた専門情報はフェイスブックページで発信し、アメブロで発信していた個人情報はフェイスブック個人アカウントで発信するようになりました。これまでの、ブログ発信による公式ホームページへの被リンクで検索順位対策とするという目的から、より人間的なお付き合いをする場所としてのSNS利用というように目的が変わっていきました。

コンテンツは独自のブログやホームページに集中させるべき
 SNSというのは基本的に無料です。無料だからこそのリスクもあります。フェイスブックもいつ有料になるか分かりませんし、蓄積していた記事データがクラッシュしても文句は言えないのです。
 このようなリスクに対応するためには、過去に発信してきた情報の保護を、すべて無料のSNSに頼っていてはいけません。やはり独自ドメインの元にホームページやブログを設定し、そこにコンテンツをしっかりとため込んでおく。バックアップもしっかり取る。そのうえで、フェイスブックやツイッターなどのSNSツールで個人間の良好な関係を構築しながら、そこからホームページやブログに誘導する。これが本来あるべきSNSの活用法なのではないか、そのように今は考えています。
 アメブロなども商用禁止となり、予告なく突然アカウントが削除されるケースもあるようです。外部の有名なブログサービスは読者がつきやすい面もありますが、やはり独自ドメインでのブログ運用はデメリットが少ないといえます。

独自ドメインで3つのブログを運営している理由
 以前は、検索順位対策としてたくさんの被リンクがあることが重要だったそうですが、最近は少し違うようです。ポイントは3つ、

テキストの量
更新頻度
アクセス数

 といわれています。自分の公式ホームページの検索順位を上げたいのであれば、まずこの3つを頭に入れておくべきだとSEOに詳しい友人が教えてくれました。
 外部の有名なブログサービスやフェイスブック等にいくら情報発信して記事をため込んでも、上記の3つに影響は全く与えないのです。
 そのため私は、独自ドメインに公式のホームページのみならず、公式のブログ・セミナー情報発信のブログ、個人の趣味を発信するブログ、この3つをぶら下げて運営しています。3つともワードプレスで作成していますが、やはりウェブ戦略上は1目的に1サイトというのが原則のようです。3つの運営は大変ですが、目的が違うものをひとつにまとめてやっても意味がないし、ターゲット(訪問者)が迷ってしまいますから。

まとめ
 今の時代は情報があふれる時代です。情報があふれる時代とは何か? それは、何かを買おうと思っている人は、売り手を自分で探しだす時代だ、ということです。それほど、検索エンジンというものが発達してきたといえます。
 では、売り手はどうしたらよいのか?
 答えは簡単で、買い手がほしいと思っているもの、あるいはほしいと思っている情報を、しっかりと発信していくことです。これは税理士などの士業も同じだと思います。
 お金も時間もノウハウもない個人事業主が勝つためには、大企業よりも早く、そしてコツコツと実績を積み重ねるしかないのです。これからもそれを地道にやっていきたいと思っています。


ブロガー.psd勝野弘志(かつの・ひろし)
勝野弘志公認会計士事務所所長。
両親の事業失敗・倒産を目の当たりにし、中小企業経営者には「数字力」と「参謀役」が必要不可欠と痛感。社長の右腕となるべく公認会計士・税理士の道を選ぶ。知っているものだけが得をするこの世の中、「中小企業の経営者が賢くなるための基礎」を提供することを使命として活動中。
座右の銘は「袖触れ合うも多生の縁」。

□事務所HP

第82回 三重県東紀州からの情報発信「税理士の使命とブログの可能性」 税理士・FP 塩谷真人

第82回 三重県東紀州からの情報発信「税理士の使命とブログの可能性」
      税理士・FP 塩谷真人

私のブログの根底にあるもの
 私には忘れられない思い出があります。それはまだ名古屋市内の会計事務所に勤めていたときのことです。
 平成19年のサブプライムローン問題に端を発した、米国の不動産バブル崩壊。世界的に景気が悪化するなか、日本の中小企業も例外ではなく、私たちのお客様である中小企業の経営者の皆さんも苦しんでおられました。
 さらに追い打ちをかけるように、平成20年9月、リーマン・ショックが起こり、世界的な金融危機に突入したのです。
 「明日には仕事がなくなる」
 従業員を抱える経営者さんの苦悩を耳にしても、どうすることもできないつらさ。
 「日本経済の根っこの部分を支える中小企業を元気にしたい」
 そのような思いで税理士を志してこの業界に入ったものの、世界的な不況を前に何もできない自身の力のなさに愕然としました。
 そんな最中、私の知人にあたる中小企業の経営者さんが自ら命を絶ちました。製造業を営む方でしたが、世界的不況の影響により、それまで順調だった経営が瞬く間に傾いてしまったのです。
 その方のお宅に伺った際に目にした小さな骨箱。何もできなかった自分が悔しくて、号泣しました。そのときに誓ったのです。
 「もう二度とこんな悲劇を繰り返してはいけない。力をつけてやる」と。
 そのときに垣間見た、残された家族の苦悩、中小企業の経営者や個人事業主が経営に行き詰まるとどうなるか、という現実。中小企業を経営するということはまさに命がけの戦いなのだと痛感しました。
 その後は資金繰り、資金調達、倒産および自己破産に関する書籍を読みあさりました。ただ、倒産や自己破産にまで行き着いてしまうと、税理士にとって実務処理のアドバイスを行うことは難しく、その道に精通した弁護士などの専門家に橋渡しをすることがベストだという結論に至りました。
 いかに普段から、中小企業の経営者さんに世界的大不況のような緊急時に対する備えをしていただくか、危機感を持って経営を行っていただくか。そのようなアドバイスができるのは、なかんずく、外部から冷静に企業を見ることができる税理士以外にいないのではないでしょうか?
 税理士として、そういった命がけで戦う経営者の方々に、どのように関わることができるのか? どういった有益な情報を発信できるのか? 私のブログの根底にはそういった思いがあります。

営業のツールとして
 私はいわゆる2世税理士ですが、名古屋で修業した後、地元に戻りました。父の事務所では、相続税申告に特化しているにもかかわらず、個人事業主・法人合わせて約100件の顧客を抱えている状態でした。大変ありがたい話のように思えますが、その顧客の代表者は、父と同世代かそれ以上の世代の方々ばかりです。
 地方ならどこも同じような悩みを抱えていると思いますが、私の住む三重県東紀州エリアも例外ではなく、事業をされている方は後継者問題で悩んでいます。なかには立派な後継者が育ち、明るい未来の展望のあるお客様もいらっしゃいますが、顧客の大半は後継者がなく、10年後、20年後事業を続けていらっしゃるか分からないような状態です。
 つまり、今の顧客を守りつつ、徐々にでも若い世代の顧客を増やしていかなければ、将来的に事務所の存続すら危うい状態に陥る可能性があるのです。
 しかし、私が所属する尾鷲支部には税理士が17名しかいないという状況です。営業をする際は、ほかの税理士の先生にも配慮が必要になります。
 そういった意味でブログという手段を使い、比較的若い世代にターゲットを絞って、柔らかい形の営業活動を行っています。最近は共感コメント、メッセージ等、多数の反響をいただき驚いています。
 また、街でも意外な人から「ブログ読んでるよ」とお声をかけていただけるようになりました。ブログを始めてまだ1年半ですが、少しずつ読者が増えていっているのが実感できます。

初めてあった問い合わせ
 ブログを書くということはある意味、世界中の方に読んでいただけるチャンスがあります。
 現に私のブログは国内で月間4500以上のユニークユーザーからのアクセスがあります。米国、韓国、中国を始め、月間100以上の海外ユニークユーザーからもアクセスがあります。
 ただ、現実にお客様になっていただくことを考えると、遠くても片道1時間程度の距離にお住まいの方に限られてくると思います。そういった意味で、いわゆる見込み客は私の事務所の場合、わずか3万8000人。何十万人、何百万人という商圏人口がある事務所に比べ、圧倒的に不利と感じていました。
 ブログを始めた当初は、取りあえず3年続け、3年間で3件の問い合わせがあり、うち1件成約できれば成功と、漠然と目標を定めていました。
 ブログを始めて半年ほどたったころ、「私のブログを見た」という若い経営者さんから問い合わせがありました。かなりブログを気に入ってくださっていたようで、私のブログを隅々まで読んでくださっていました。結果的に先代が健在の今、先代からの税理士さんを替えることができないという理由で成約には至りませんでしたが、十分に手応えを感じる問い合わせでした。

中小企業を元気に!
 この税理士という仕事を通して感じたことはたくさんあります。そのひとつが「この社会は知っている人のみが得をする制度がたくさんある」ということです。
 中小企業等投資促進税制にみられるような税額控除しかり、雇用や設備投資に対する助成金しかり、健康保険の傷病手当金しかり、きちんと情報をキャッチし、自ら申告や申請した者だけが得をする。
 少し大げさな表現ですが、ある意味、玉石混交の情報から有用な情報をキャッチし、有効に活用する。情報を制する者のみが生き残れる社会になりつつあるのかもしれません。
 そういった意味で、本来であれば企業経営者は、「税理士」はもちろん、「弁護士」「社労士」などの専門家から上手にアドバイスを引き出し、企業経営に生かせるものは取り入れていくことが望ましいと思います。
 ただ実際のところは、顧問料負担等の関係から、中小企業の大半が相談相手は税理士のみというところが多いのではないでしょうか? そのようなことから、中小企業は情報弱者に陥りやすいといえるのかもしれません。
 そのような情報弱者である中小企業の経営者や、経理担当者の方々に読んでいただき、少しでも役に立てていただきたい。そのような思いで日々のブログを綴っています。
 今は税理士に限らず、たくさんの専門家がブログを通して分かりやすく有益な情報を配信しています。
 私のブログを読んで、少しでも経営に役立てていただけるのなら、税理士ブロガーとしてこれほどうれしいことはありません。
 日本の中小企業を元気にしたい。そこで働く社員さんとその家族が元気で幸せであってほしい。中小企業経営の厳しさを知る税理士なら、誰もが心の奥底に抱く想いだと思います。
 自身に力がないと嘆くより、自分にできることを探して行動する。まずは目の前のお客様を大切にすることに徹していきたいと思います。


塩谷真人.jpg塩谷真人(しおたに・まこと)
税理士・FP。昭和51年8月三重県紀北町生まれ。創価大学卒業。
平成23年税理士登録。
大学卒業後、名古屋市内の公認会計士事務所でキャリアを積んだ後、帰郷。父が営む税理士事務所に2代目として入所。
現在、「中小企業を元気にします!」「三重県東紀州を元気にします!」を合言葉に日々、お客様のために奮闘中。

□事務所HP
□ブログ
□フェイスブック
□ツイッター



第81回 ペーパーレス化による事務効率SuperUp術 安田会計事務所 所長 税理士 安田信彦

第81回 ペーパーレス化による事務効率SuperUp術
      安田会計事務所 所長 税理士 安田信彦

はじめに
 皆さんこんにちは。
 埼玉と岐阜のブロガーサミットに出席させていただきました安田信彦です。
 ブログと付き合い始めたのは事務所のホームページのコンテンツのひとつという位置づけからでした。ホームページをいかに仕事に結び付けるか? という命題のもとにブログに行きつきました。そうです、SEO対策の一環でした。

・所長は不定期に更新
・スタッフは原則1週間ごとに

と最初は半強制的に始まりました。
 半強制的に始まったブログですが、スタッフも個性たっぷり、意外とブログを書くことにも慣れてきたようです。今では、必ずチェックしてくれるお客様もいらっしゃって、ちょっとさぼっていると、「どうしたの?」とうれしいご連絡をいただくこともあります。
 仕事に結び付いているかというと……。
 まだまだこれからという状態でしょうか。

ペーパーレス化で事務効率アップ
 それでは、ブロガーサミットin岐阜でお話ししたことの続きを書いていこうと思います。

・事務効率SuperUp術
・会計事務所の差別化戦略としてのペーパーレス化

 皆さんもご存じとは思いますが、私は会計事務所の事務効率アップにITを使うことを実践し、その内容の情報提供を多く行ってきました。
 私たちの仕事は「差別化のない仕事」です。安田会計事務所の税額がほかの事務所の税額よりも安いということであれば、差別化が生まれるかもしれませんが、それはあり得ないことです。私たちは差別化のない商品を売っているのです。差別化のない商品の差別化はどこにあると思いますか……?
 そうです、「価格=値段」に求められてくるのです。インターネットでの低料金の広告が目につくようになりました。差別化が価格に表れてきた証拠です。これからの会計事務所は、差別化商品・分野を持っていなければ勝ち残れないと言っても過言ではないと思います。

  最も強い者が生き残るのではなく
  最も賢い者が生き延びるのでもない
  唯一生き残るのは、変化できる者である

とCharles Robert Darwin(1809〜82年、英国の地質学者・生物学者)は言っています。これは間違いなく私たちの世界にも言えることではないでしょうか?
 事務所のあり方をもう一度見直し、「変化」を遂げることではないかと思います。
 そのひとつとして、「会計事務所の差別化戦略としてのペーパーレス化」を実践してみてはいかがでしょう? 決して難しいことではありません。紙で行っている仕事を電子の世界に置き換えて、管理・閲覧・保管をするということだけです。この方法をしっかりと自分のものにすれば、顧問先にノウハウとして提供することもできます。
 例えば顧問先が弁護士事務所であった場合、会計事務所と同様に「紙」であふれかえっている状況が思い浮かびます。事件ごとに情報を整理し、ひとつのフォルダーに管理しておけば、その事件に携わっていない他の先生でも簡単に回答できます。
 ここで、実際にあったお話を紹介します。
 損害保険の代理店を営んでいるN氏。駅の階段を上っているときに急に息苦しくなり、うずくまってしまいました。救急車で病院に運ばれ、診断結果は「気胸」でした。
 「僕の机の右側の引き出しの上から2番目に……」
 病院の個室に入り、従業員と携帯電話でこのようなやり取りが続きます。
 データが電子化され、統一されたフォルダーに順番に資料が入っていれば、こんなことは起こらなかったでしょう。
 この会社には、ペーパーレスの導入をお勧めしました。今では、資料等はすべて会社のファイルサーバーに保管をして、閲覧はインターネットを通して手元のタブレット端末で確認し、契約書の作成等もすぐにできるようになりました。
 ファイルについても、全てのスタッフが自分の担当でないお客様の資料をすぐさま確認できるようになり、N氏もこれで心置きなく入院できる? と笑ってらっしゃいました。
 いかがですか? 事務所の効率化をすることにより、事務所の差別化もできることになるのです。
 では、どのようにすればよいのでしょう?
投資金額は?
1. 電子ペーパー作成ソフト:1万5200円
2. 2台目ディスプレー:1万円
3. 2台目ディスプレー接続アダプター:7000円(ノートパソコンであればこれは必要ありません)

このように、合計3万2200円で可能となります(PCの金額は含みません)。
 この構成は最低最小構成の金額です。規模が大きくなればなるほど、安全性を求めれば求めるほど、高額になってきます。いつでもご相談に乗ります。

どのようにすればよいのか
1. 電子ペーパー作成ソフトにより、今まで紙で打ち出していたものを、プリンター感覚で電子ペーパーとして画像化し、画面に表示して確認をする
2. 1.で電子ペーパーとして作成された画像をディスプレーで確認しながら、もう1台の画面で入力等の仕事を行う
3. 1.で作成された電子ペーパーを、事務所の書庫のファイルの背表紙を参考に、ファイル体系を作成して保管する
4. 1.以外の資料を電子化して3.の電子書庫に保管する。過去の申告書をスキャナーなどでスキャニングして電子化し、3.で作成した電子書庫のファイルに保管する
5. 電子化されたデータはウィルス・停電・故障にはとても弱いので、万が一の対処には十分配慮する

 どうですか? まずはお金をかけずに行ってみてください。
 お持ちのパソコンをまず2画面にすること、そして電子ペーパー作成ソフトを導入することから始まります。電子ペーパー作成ソフトを販売しているメーカーでは、無料の使い方教室を開いてくれています。ぜひ参加してみてください。
 今回は会計事務所の差別化戦略としてのペーパーレス化のほんの入口しかお話しできませんでしたが、次回があればもっともっとお話ししたいと思います。


安田信彦.jpg安田信彦(やすだ・のぶひこ)
安田会計事務所所長。税理士。1956年生まれ。
商社勤務後、平成2年税理士登録。「一期一会」がモットー。NHK出演など業務効率化のためのIT活用では特に有名。
2010年の東京税理士会情報フォーラム「税理士事務所IT化コンテスト」で最優秀賞受賞。
東京税理士会情報システム委員として税理士へのIT啓蒙活動にも情熱を傾ける。

□ホームページ


第80回 東日本大震災とブログ 阿部尚武税理士事務所 代表 税理士 阿部尚武

第80回 東日本大震災とブログ
      阿部尚武税理士事務所 代表 税理士 阿部尚武

ブログやSNSの意味
 この原稿を書くにあたり、過去の履歴を調べてみると、自分がブログを始めたのが、2008年10月からで、ちょうど4年間書いていたことが分かりました。早いものです。そして、過去の記事を見ると、自分が当時やっていたことが分かり、なんだか懐かしいような恥ずかしいような、そんな気分になりました。
 それはさておき、「ブログやSNSって、何の意味があるの?」という質問を受けることがよくあります。そこで今回は、自分がブログをやっていてよかったことのうち、2011年3月11日に発生した東日本大震災関連にまつわる話をもとに、自分の思うブログの楽しさについてお話ししたいと思います。
 皆さんは、ブログを自分の事業にどう活用されていますか? 自慢ではありませんが、自分は具体的な収入につながったことは、ありません。例えば、実務経営サービスで時々セミナーをされているY先生みたいに、情報商材を相当数販売したとか、そんなすごい話は全然ありません。また、最近はあまり更新をしていないので、ますます偉そうなことはいえません。
 ただ、ブログをほぼ毎日更新していたときは、2つの目標を持っていました。

1.SEO(サーチエンジンオーガニゼーション、検索エンジン最適化の略)対策
2.ブランディング

 SEOもブランディングも、ウェブではすっかりおなじみのキーワードですが、ブログを書き始めたときはこれらの意味がさっぱり分からず、ただやみくもにブログ記事を書いていました。そうしたら、私の友人である出版コンサルタントのM・Y氏から、

「商業上、目的が明確ではないブログは意味がない!」

と全否定され、以来、ブログを書くことについて明確な目的意識を持って、記事を書くようにしています。

インターネットでの露出度を高める工夫
 ブランディングは、自分をどう見せるか、どう見せたいかという達成目標およびその手法なのですが、自分をどう見せたいかを確定しなければならないところが厄介です。そこで、全体のブランディングはひとまず置いておいて、取りあえずシリーズ物の記事をいくつか作り、経営と税務に詳しい税理士である点をアピールすることにしました。
 SEOとは、特定のウェブなどを、検索結果の上位に表示させることを目的とする手法のことです。ここで、ブログのアクセス解析機能が役に立ちます。
 ほとんどのブログ管理システムには、アクセス解析機能が付いています。詳しい説明はここではしませんが、特にアクセス数と検索キーワード機能を参考にしています。
 アクセス数は目標管理のために使います。毎日、前日以上のアクセス数を目指すことにしていました。
 検索キーワード機能は、自分のブログに来てくれた人が、どのような検索キーワードで探したかが、ランキング形式で分かるものです。ブログやホームページは見てもらえないと意味がないので、ブログを書く前に、まずは検索キーワードをチェックし、その上位キーワードを盛り込んだ記事を書いていました。どうしても書きたい記事とキーワードが相いれない場合は、記事を2つアップしていたと思います。
 東日本大震災が発生する前は、検索でよく引っかかるキーワードは「滞納処分」、「差押」でした。自分は国税徴収法に合格していて、そのときの知識を使い、参加差押や交付要求などのシリーズ物(シリーズ物は相互リンクを多く使えるので、SEO対策のひとつになります)のブログを書いていました。また、リスケジュールのお手伝いも当時いくつか受任していたので、割と書きやすかったのも理由のひとつです。
 調べてみると、この手の話題でブログを書いている方は少なく、それが理由で検索上位に来ていたことが分かりました。

「そうか! 競合が少ない記事だと検索上位になるんだ!」

税理士でなければできないインターネットでの情報提供
 そこで、何か他にネタがないものかと探していたところ、2011年2月ごろに、宮崎県の新燃岳の噴火の記事があり、災害税制のことを試しにちょっと書いてみました。すると結構反響があり、これはいけると思って、災害税制に関する情報を集めていたのです。そのようなことをしていたときに、東日本大震災が発生しました。
 地震当日は、ずっと事務所にいました。地震で事務所の什器が全て倒壊し、パソコンのディスプレーが机から転げ落ちました。また、廊下の壁には大きな亀裂が入り、ビルが倒れるかと本気で心配しました。また、事務所の窓から、コスモ石油千葉製油所の大爆発が見え、駅の周りには電車が動かないのに多くの人がワラワラと集まっている風景が本当に恐ろしく、今でも鮮明に思い出すことができます。
 夕方になっても電車は動かず、帰ることもできなかったのですが、幸い建物は倒壊しなかったので、しばらく事務所にいました。電話はほとんど不通で、家族にも連絡が取れない状況でした。ただ、なぜかインターネットだけはサクサク動いていましたので、見ているとも思えなかったのですが、取りあえず今の状況をブログに書いておきました。そして、やることがなかったので、ずっと電子申告をしていました(笑)。
 次の日、地震の被害状況が尋常でない様に恐れ戦いていたところ、当時の野田財務大臣から報道発表があり、国税庁から申告期限等の延長が通知されました。これは国税通則法第11条(災害等による期限の延長)に基づく措置で、宮崎県新燃岳で災害税制を勉強していたためか、自分でもすぐに理解することができました。そして、「これだ!」とわが天命を知るところとなり、一気呵成にブログを書き上げ、3月16日に「災害に関する税制がすべて解る! フローチャート」を上梓したのでした。
 結果、これが大当たり……まではいいすぎですが、多くの人の目に留まるところとなりました。ユニークアクセスだけで月に2万件を軽く超えていて、1日に1000アクセス以上ある日もありました。また、その後も更新を続け、5月の連休前までほぼ毎日更新していたと思います。そのおかげで、自分のホームページのアクセス数もかなり上がり、検索結果も上位に出てくるようになりました。
 そのようななか、具体的な反響はというと、お客様からの問い合わせは、実はほとんどありませんでした。税制について聞きたいという問い合わせはあったのですが、それで顧問契約になったものはありませんでした。しかしその代わりに、講師や執筆の依頼がちょこちょこ来るようになりました。
 東京税理士会のとある支部から、災害税制に関する講師のオファーを頂き、電車が地震で止まりながらも研修会を行いました。また、株式会社ぎょうせい発行の「月刊 税理」に、消費税における災害税制に関する執筆の依頼があり、その後もいくつかの記事を書かせていただきました。
 結果として、「災害に関する税制がすべて解る! フローチャート」を書いたおかげで、今まで出会うことのなかった方々と交流を深めることができました。

人に出会うためにブログを書く
 一方、M・Y氏から有難ーい助言をもらった頃に、ブログをライブドアからアメブロに変更しました。そのときに、たまたまアメブロガー同士のオフ会があり、ブログをきっかけとしたリアルな出会いの面白さに気づくことができました。アメブロには本当にお世話になったと、今でも思っています。また、このブロガーサミットに参加したのも、ちょうどそのような時期だったと思います。
 結局のところ、ブログをやる意味は、リアルな人との交流です。世にあまたあるSNSも、結局はリアルな出会いにつながらないと、その面白さは分かりませんよね?
 自分は、人に出会うためにブログを書いています。


阿部尚武.jpg阿部尚武(あべ・なおたけ)
阿部尚武税理士事務所代表。税理士・行政書士・2級FP技能士・農業経営アドバイザー。昭和46年千葉県生まれ、41歳。日本大学理工学部卒。
30歳で税理士登録し、平成22年に現在の幕張本郷に移転。独立開業後、全国でもまだ珍しかったHPをいち早く立ち上げ集客を行う。また自らが経営を実践し、その実践に基づいたアドバイスにて経営者からの相談を積極的に受け経営を支援する。主な著書に『実務家のための役員給与の税務(共著)』(ぎょうせい)など。

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□ブログ

2012

第79回 「第13回ブロガーサミット in 岐阜」開催報告 こちら中小企業総務部 不破茂夫

第79回 「第13回ブロガーサミット in 岐阜」開催報告
     こちら中小企業総務部 不破茂夫

 こんにちは、ライブドアブログ「こちら中小企業総務部」を書いています、岐阜の不破茂夫です。9月8日(土)に岐阜で開催された「第13回税務会計系ブロガーサミット」で幹事を務めさせていただきました。今回のエッセイではそのサミットの開催報告をいたします。

第1部~ブロガー交流会
15:00~17:45 参加者19名 場所Cdr多目的る~む
 今までのサミットでは、講演、パネルディスカッション、グループディスカッションなどの企画を中心に実施し、懇親会で参加者同士の交流を図るという流れでした。今回は特に税務会計系の企画を用意せずに、第1回サミットのような参加者が自由に交流する時間を多くとりました。
 第1部の最初は参加者全員に自己紹介をしていただきました。今回はフェイスブックからの参加者が多かったため、自己紹介時にブログとツイッターをやっているかどうかを話していただき、それを参加者名簿に書き込めるようにしました。その名簿を見れば、帰宅後に他の参加者のブログなどをチェックすることができます。
 ひととおり自己紹介が終わったあとは、自由に交流できる時間にしました。今回の会場はWi-Fiの使える部屋だったため、名刺交換をしたあとにフェイスブックの友達リクエストをする人もいらっしゃいました。
 開始から1時間経過して、参加者の方々ものどが渇いてきた頃です。実は今回の会場は喫茶店の2階にある部屋なので、1階の喫茶店からドリンクとおやつを運んでいただきました。ドリンクを飲んでくつろぎながら、協賛企業のPRを見ていただけるようにしました。今回は3社に協賛していただき、各企業に5分程度のPRをしていただきました。
 その次は、参加者の安田信彦税理士に約10分のプレゼンテーションをしていただきました。事前にプレゼンテーションの内容を知らされていなかったので、どんなお話になるのか、私自身もとても期待していました。プレゼンの内容は、近日発売される予定のウィンドウズ8の紹介と最近のペーパーレス化の方法についてでした。参加者の皆さんは、プロジェクターに映し出された画面を真剣な表情で見ていました。今回のサミットで特に出し物を用意していなかった私にとって、安田税理士のプレゼンのおかげで、〝税務会計系〟らしいイベントになりました。安田先生、ありがとうございました。
 プレゼンのあとは再び30分ほど自由に交流できる時間にしました。やはり、安田税理士に質問される参加者が多く、自己紹介的な話よりも〝税務会計系〟らしい話が多くなってきました。また、ドリンクと一緒に用意してあったシナモントーストのおやつが全部なくなってしまいました。おいしかったですね。
 交流会は開始から2時間になろうとしています。今回のサミットのために私が作った25ページの資料を参加者に配りました。その資料には、過去13回の歴史を簡単にまとめたもの、今読んでいただいている「リレーエッセイ」の数名分の過去記事、そして9月下旬から開催される「ぎふ清流国体」「ぎふ清流大会」のPRを載せました。
 なお、「ぎふ清流大会」というのは全国障がい者スポーツ大会のことで、今回が第12回で毎回国体のあとに開催されています。実は、過去のサミットに参加された北九州の相浦圭太税理士が、この大会に陸上競技のコーチとして参加されると聞いたので、国体後に開催されるこの大会も知ってほしいと思いました。そこで、相浦先生にお願いして、近況と障がい者大会のPRメッセージを書いていただき、そのメッセージを参加者に紹介しました。
 実は、今回のサミット前に大林税理士から、「リレーエッセイ」の執筆者が足りないので、サミットのなかで執筆者募集の時間を取ってくださいと依頼がありました。先ほどの資料の紹介が終わったあとに、執筆者募集の話をしました。しかし、いつの間にか私が参加者にゴリ押しのような形で執筆を承諾させていました。その結果5名の税理士先生が今後の「リレーエッセイ」の執筆をしてくださることになりました。今後の「リレーエッセイ」にご期待ください。
 第1部終了の時間が近づき、次回の幹事・開催地を決めることになりました。自分から立候補される方がいなかったので、私が指名するという幹事特権を行使することになりました。開催地は首都圏。幹事はサミット後に私が過去の参加者に交渉してお願いすることにしました。
 ということで第1部の交流会が終わり、徒歩10分のところにある第2部懇親会の会場へ向かいました。

79-1.jpg79-2.jpg

第2部~ブロガー懇親会
18:15~21:00 参加者:18名 場所:宴陣
 第1部で交流を図った仲間たちが、場所を変えて食事をし、お酒を飲みながらの懇親会を行いました。都合が悪く第1部のみで帰られた方が3名。逆に、この懇親会のみ参加の2名が加わりました。
 冨岡税理士に乾杯の音頭を取っていただき、懇親会がスタートしました。第1部で名刺交換はおおかた済んでいて、参加者のことも分かってきたので、かしこまった感じもなく、最初から最後まで飲んで食べて、いろいろな話で盛り上がりました。この懇親会は飲み放題3時間のコースで設定したので、あまり時間を気にすることなく楽しんでいただきました。また、東京や大阪へ日帰りで帰られる人は適当な時間で退席し帰宅されました。岐阜は日帰り圏内で、思ったほど遠いところではないことも分かっていただきました。
 時刻が21時になり懇親会は終了。無事に第13回ブロガーサミットは終了しました。

サミット開催へ向けた準備の難しさ
 第13回ブロガーサミットはあっという間に終わりましたが、この日を迎えるまでは、とても長く感じました。
 今年3月に高岡で開催された第12回サミットの懇親会の席で、幹事の坂野上満税理士から次回サミットの幹事として私が指名されました。特に断る理由もなかったので、次回幹事就任をその場で受けました。サミットの翌日に用事があったので、その場では幹事のことは特に気にしていませんでした。しかし、用事が済んでサミットのことが頭に浮かぶと、これは大変な役を引き受けてしまったなと思いました。懇親会の席上、下呂温泉で開催してほしいというリクエストがあったので、下呂で開催できるのだろうかとそのことばかりが頭に浮かんでいました。
 結局、私の住んでいる岐阜市から下呂温泉に行くのに予想以上に時間がかかり事前準備が難しいため、下呂温泉開催を断念して、岐阜市で開催することに決めました。決断したのは5月中旬でしたが、岐阜市内での会場のメドをつけたうえで6月上旬に公式ブログで発表しました。
 開催地を岐阜市内と決定したので、次は具体的な会場の決定です。第1部(交流会)と第2部(懇親会)に分けて開催することは自分のなかで決めていたので、少なくとも2カ所は会場候補が必要です。参加人数を20~35名と考えて、岐阜駅周辺を中心に数回会場探しに行きました。特に、懇親会を行う居酒屋などの飲食店会場は人数の変更がいつまで可能かというのがとても大事なポイントでした。結局、2~3名の変更なら、当日の午後3時までOKといっていただけた居酒屋に決めました。また、第1部の会場は参加予定者が25名以上か以下かで2つの会場を仮予約しました。
 次にサミットの内容の決定です。内容は幹事の自由となっています。最初から第1回サミットのような交流会形式と考えていたので、講師を探したり、参加者にパネルディスカッションのお願いをしたりするという必要はありませんでした。そのため自分で司会進行役を務めることにしました。また、サミットの協賛企業については実務経営サービスの板垣常務に、協賛していただけそうな企業に声をかけていただいたので、実務経営サービスさん以外に2社が協賛してくださいました。
 6月上旬に公式ブログとフェイスブックのイベントページにて告知を始めました。今回も公式ブログにはあまり反応がなく、ほとんどの参加表明がフェイスブックに書き込まれました。告知を始めて3日間で10名ほどになりましたが、その後は数字がほとんど変わりませんでした。自分自身も社労士試験の受験勉強をしていたので、試験が終わる8月下旬まで特に参加者を募りませんでした。
 開催まで2週間を切った段階で参加表明はまだ13名。第1部会場の最終決定期限も迫ってきています。結局、第1部の会場は25名以下収容の会場で10日前に最終予約をしました。
 開催まで1週間に迫った9月1日と2日には、私のフェイスブックの友達約20名と第3回名古屋サミットで名刺交換をした約10名にメッセージを送りました。約10名から返事をいただき、そのうち2名に参加していただくことになりました。とにかく参加者を集めるのは大変でした。

今回は大失敗、
でも次回は大丈夫でしょう!
 今回の岐阜サミットは参加者20名と少人数での開催となり、少し残念でした。それ以上に残念だったのが、女性の参加者がわずか1名だったことです。女性参加者1名というのは大失敗だったので、次回は女性参加者をぜひとも増やしたい。それなら女性に幹事を引き受けていただけばいいのではないか。9月下旬に名古屋、横浜、さいたまの各サミットに参加された佐藤亜津子税理士に幹事就任依頼のメールを送りました。翌日、幹事就任を引き受けるとの返信をいただきました。女性幹事の誕生で、次回サミットは今までとは違った感じのサミットになるのではないかと思います。少なくとも女性参加者が確実に増えること間違いなしです。次回サミットは来年3月に首都圏で開催されます。よろしくお願いします。

不破茂夫.jpg

不破茂夫(ふわ・しげお)
岐阜県岐阜市生まれ。@@@@@@@@@@
現在、岐阜県内の従業員120名の中小企業の
総務部に勤務。総務の仕事だけでなく、経理
・労務・人事の仕事も担当。@@@@@@@@
現在、社会保険労務士と行政書士の資格取得
のため勉強中。資格取得により実務能力のさ
らなる強化を目指す。@@@@@@@@@@
税務会計系ブロガーサミットには第1回から
参加。今年9月に開催された第13回サミット
で幹事を務める。@@@@@@@@@@@@
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第78回 仕事も一緒、プライベートも一緒 安藤税務会計事務所 税理士 樋口裕紀

第78回 仕事も一緒、プライベートも一緒
        安藤税務会計事務所 税理士 樋口裕紀

 安藤税務会計事務所にて勤務税理士、ウエスタンコンサルティング合同会社にて役員をしています、樋口裕紀です。
 安藤税務会計事務所は私の夫が所長の税理士事務所で、ウエスタンコンサルティング合同会社は夫が代表の会社です。

初参加のブロサミでリアルの大切さを実感
 ブロガーサミットは第9回の横浜でのサミットが初参加でした。
 当時、ブロガーサミットは当初の税務会計系のブログをしていることという参加条件の他に、ツイッター枠、フェイスブック枠ができたころでした。
 私はプライベートのブログしかしていませんが、サミット参加の皆さんはブログで税務会計に関する記事を記名で発信されている方が多いと思います。そのような情報発信の活動を活発に行っている全国の参加者の方とリアルに会うことができました。セミナー受講後は、おいしいお料理に舌鼓という楽しい時間を過ごし、たくさんの刺激を受けることができました。
 同業者とは近所でいくらでも会う機会はあるので、何も横浜まで同業者の集まりに行かなくてもいいのでは? とも考えましたが、ブログ記事を読んだり、ツイッターでお話ししたりしているので、とても親しみを感じて興味がわきました。
 リアルでお会いするとやはり、ネットで発信されているパワーの何倍ものメンバーばかりで大きく刺激を受けて帰ることができました。
 ネットだけでなく、リアルでお話しする機会もとても大切だと思いました。
 そしてその初参加の横浜の次の大阪では、弊事務所が幹事を楽しませていただきました。
 大阪ではこれからの税理士事務所はどうなっていくのか!? といったテーマでの討論が行われ、活発に意見が交わされました。その後の懇親会では気軽に皆さんとお話しできたように思いましたが、どうだったでしょうか。

夫婦で事業をするメリット・デメリット
 夫婦で税理士事務所を営み、趣味の乗馬も一緒、仕事でもプライベートでもほとんど一緒にいることはとても珍しいようです。
 税理士は勉強している期間が長いためか、夫婦で税理士資格をもつ人も多いように思うのですが、同じ事務所でというと「嫌だなぁ」と思う人が多いようですね。
 そのせいか、ブロガーサミットでもパートナーとの関係について尋ねられることがとても多くありました。
 質問の多い順でいうと、

⑴よくまる1日一緒にいられますね? 仕事も遊びも一緒って嫌ではないですか?
⑵安い給料でこき使われているのではないですか?
⑶けんかになりませんか?
⑷ずっと一緒にいられていいですね。
⑸役割分担はどうなっているのですか?
⑹仕事のことを家庭に引きずらないですか?
⑺家でも税金の話をしているのですか?
⑻どうして姓が違うの?

などなどあります。簡単なものからお答えしていきますと、
 ⑻の姓が違うのは、税理士登録時に同じ姓だと、電話などのときにややこしいという、それだけのことです。
 ⑺の家でも税金の話をするかどうかですが、ニュースなどを見て話題としてすることはありますが、具体的な案件について家でやりとりするということはないです。
 ⑴、⑶、⑷、⑸はほぼ同じ疑問ですね。長い時間同じ人と一緒にいるストレスは相当なものだろう! よく我慢してるねということのようです。
 まず長時間一緒にいる。仕事の時間も遊びの時間も生活の時間も一緒。
 これは事実で「ほとんど一緒」です。
 でも実は、中小零細の会社では多いパターンですよね。
 日本フルハップのテレビCM(関西ローカルかもしれません)を見ると、いつもクスッと笑ってしまいます。
 家族の協力で事業を進めていけるのが、事業を始めたときには一番心強いことは、お客様企業からも学ばせていただきました。
 反面、うまく回らないときの気持ちのデメリットも大きいと思うので、その点は一緒に事業をされている奥様が何を不満に思われるかなど、気持ちはよく分かります。そのため奥様へのアドバイスはしやすいということはありそうです。
 仕事が一緒でつらくなるのは、お互いが向き合ったときだと思うのです。でも仕事では本当に向き合うべきはお客様ですよね。
 ですから、わが家が営んでいる事務所でご縁をいただいた事業者の方々が、わが家の(私たちの)事務所と関わってよかった!! と思ってもらえるようにと思うと、夫婦で仕事をすることに対する不満はとても小さくなります。
 こういった気持ちの面さえクリアできれば、あとは遠慮せずものが言える、外にお金が出ないなど、メリットが大きいですね。
 それでは、⑵の安い給料(笑)はどこからの発想なのでしょうか?
 「安い給料でこき使われている」についてですが、どうして私の給料が安いとばれているのでしょう? と思うのですが、安そうな感じなのでしょうね。ここは反省しなくてはならないところです。
 確かに安いです。
 専従者や、自由業カップルの奥様からも安くいいように使われるのは嫌だから一緒に仕事はしないという声はたまに聞きます。うちの場合は家計のお財布はひとつなので、そういうふうに考えることはありません。
 事務所経営の面では夫にまかせっきりになってしまっているので、そのあたりは自分で開業されている方々と仕事への意識の差があまり出ないように気をつけようとは意識しています。
 「安い給料でいいように使われる」のが嫌ということなので、家族だからということで甘えが出て際限なく仕事をしなくてはいけないような気がするということでしょうか。
 よく分かりませんが、使われるではなく、一緒に事業を盛り上げると考えることができれば、とても楽しくなるのではないでしょうか。
 苦労もその結果の喜びも一緒に楽しめます。
 いい結果を得るためにした、たくさんの苦労を知っているからこそ、結果が出たとき、その価値が理解できるのだと思うので、その過程を一緒に味わえるということは、とてもいいことだと思っています。
 ⑹は仕事とプライベートの切り替えをどうしているかということですね。仕事とプライベート、両方とも同じ人と過ごすとなると、仕事とプライベートの切り替え方がさらに複雑になるように感じますよね。
 確かに仕事で怒られた日に、家でニコニコ過ごせるかといいますと、気分がすぐれないときもあります。
 ただ、それは相手が夫であっても、そうでなくても同じく、仕事でのムカムカ気分を引きずるときは引きずるのではないかなぁと思います。
 私たちも引きずるときはあるのですが、まったくタイプの違う性格、嗜好のせいか、同時に引きずるということがありません。
 ただ、お互い仕事の時間は集中する、プライベートはしっかり休むということをずっと開業以来しています。

おわりに
 私がよく聞かれることについて書きましたが、お客様においても起業した夫を気持ちよくサポートするというのは永遠のテーマのようなので、思うところを書かせていただきました。
 ほんと、夫または妻と仕事をしていると、「これくらい言わなくてもやっといてよ」という気持ちが出てきたり、いろいろな思いが出てきてまったくやってられんと思うことも多々あるのが普通だと思います。10年一緒にやってきて思うのは、やっぱりデメリット以上のメリットが夫婦で事業をすることにはあると思います。
 夫婦で事務所、夫婦でお店、など仕事をともにするのもそんなに捨てたものではないように思いますがいかがでしょうか。

樋口裕紀.jpg

樋口裕紀(ひぐち・ゆき)
結婚して20年、夫の安藤税務会計事
務所の開業とほぼ同時に事務所に勤
務を始めて10年、税理士登録をして
4年になります。家でも事務所でも雑
用、面倒なこと、単純作業の担当で
す。税理士はお客様と一緒に成長し
ていけるのがとても魅力的な職業だ
   と思っています。
安藤税務会計事務所

第77回 独立開業からブログ作成まで 佐近静雄税理士事務所 税理士 佐近裕太

第77回 独立開業からブログ作成まで
        佐近静雄税理士事務所 税理士 佐近裕太

事務所開業当時……
 開業1年目。都内から富山に戻り、父と税理士事務所を開業しました。お互いに税理士登録後間もないなかで、PC環境から顧客獲得に至るまで、まさに手探りの状況でした。とにかく、事務所ホームページだけでも作成しようと、ホームページビルダーを購入しましたが、開業当時の忙しさのあまり、そのまま放置状態になってしまいました。
 2年目に突入。近所の口コミなどで顧客が若干増え始め、家族だけでやっている当事務所のホームページ作成は、ホームページビルダーではきついと判断しました(妥協していました……)。
 本来ならば、ブログ作成から始めるべきでした。しかし、事務所のホームページを作成したいという願望が強く、ブログの重要性のみならず、ネットにも疎く、広告も電話帳にとどまるような、特徴のない事務所でした。

携帯電話の故障とフェイスブックの導入
 開業後3年目。公私ともにバタバタしてしまい、この年も以前と同様にネットに疎い事務所で行くのかと思っていたのですが、そんなとき、私の携帯電話が壊れてしまいました。突然、携帯電話の電源が入らなくなってしまったのです。バックアップも取っていなかったため、相当焦りました。その当時から携帯キャリア主要3社はスマートフォンやiPhoneなどしかなく、店員さんに薦められるがまま、私は高いスマートフォンを購入しました。このことがきっかけで、フェイスブックに触れることになりました。
 その新しいスマートフォンには、フェイスブックやアメーバ、ツイッターなどがダウンロード済みだったので、好奇心からフェイスブックとツイッターに挑戦することにしました。フェイスブックはアメーバ、ツイッターと異なり、実名登録しないといけませんので、ハードルが高い……、と感じました。
 しかし、実際にフェイスブックを始めてみますと、そこには感動がありました。私は千葉県生まれなのですが、その当時の幼馴染みや海外に赴任している友人から友達申請があったのです。富山県の田舎にいながら、遠くの友人たちとコンタクトが取れるようになりました。友達からは医療費控除や住宅ローン控除などの質問等が来るようになり、メッセージで回答していきました。同級生や幼馴染みなので、直接顧客獲得にはつながらないのは事実ですが、他業種との情報交換など、自分自身の知りたい情報を取得することができました。
 また、スマートフォン導入と同時に、ツイッターも始めました。しかし、互いにフォローし合っているうちに、膨大な量のツイートになってしまいました。「なうネタ」を書き込む面倒くささ、実名ではないために、税務ネタを書き込んだときの自身の責任などを考慮すると、肌に合わないことを実感しました。結局、しばらくはフェイスブック一本で行くことに決めました。

フェイスブックページと事務所ホームページ作成への再挑戦
 フェイスブックを始めてから数カ月経ち、フェイスブック友達(以下、友達)の同級生から、「事務所ホームページはあるの?」と突っ込まれました。作成途中だったこともあり、「今やらねばいつやるのだ‼」と奮起し、2011年の年末に「みんなのビジネスオンライン(みんビズ)-Jimdo」で一気に作成しました。
 みんビズを選択した理由として、ホームページビルダーには以前のトラウマがありました。また、撮りためた写真を貼り付けるだけで容易にできること、私自身Gメールを使用していて、グーグルと提携していたこと、フェイスブックとのリンクが張りやすかったこと、そして何よりも作成が「無料」、かつレンタルサーバー&ドメイン手数料が開設後「1年間無料」であったことです。フェイスブックページを作成し、友達に事務所ホームページを閲覧してもらうと同時に、税制改正や税務上の留意点などを事務所からのお知らせという形で掲載しました。
 初めのうちは、友達からの「いいね」をたくさんもらうことができました。また、友達から偶然、仕事の依頼もありました。しかし、私自身、増税等のお知らせで「いいね」は疑問(「残念!」があればいいですね……)ですし、税務のお堅い解説だけでは顧客獲得につながらないと感じてきました。そのままの解説ならば、国税庁ホームページを見ればいいわけです。また、税務のみならず、私的な食べ物ネタやドライブネタも結構掲載していましたので、それに対する「いいね」と混同されることもありました。
 そもそも、「いいね」については、本当の興味関心で「いいね」ではなく、義理的なものが多いとも思いました。

ブログの作成と諦め、そして出会い
 フェイスブックに事務所のお知らせや、私的なエピソードを掲載し始めたころ、それと同時にアメブロも始めてみました。実験的ですが、匿名で登録して私的なブログのみを日々、掲載していきました。正直、日記のようなものになってしまい、皆さんにお見せできるものではありません。
 もちろんアメブロを通じて、ネット上の友人もできましたが、あくまで趣味の範囲内なので、税務会計とは程遠く、飽きっぽい性格からかブログの更新も滞るようになりました。日々の業務を理由に、事務所ホームページのお知らせも滞るようになり、結局全てが止まったままになってしまいました。
 ブログの重要性が分からないまま、時が経過したある日、税理士会で税務会計系ブロガーサミットに参加されている先生とお会いし、このサミットに参加することになりました。サミットに参加された先生方のブログを拝見すると、ただの税務解説ではなく、先生方の個性や顔、表情が見えてくるようなブログになっていました。その内容も興味深く、誰にでも分かるような語り口でした。
 さらに、熊坂仁美氏(株式会社ソーシャルメディア研究所代表取締役)のフェイスブック活用事例セミナーにも参加しました。フェイスブックは、直接売上に貢献するものではなく、ファンを増やすためのものとのことでした。すなわち、つながりを作るためのツール、口コミを起こすためのツールということです。事例は、税理士業以外でしたが、紹介された事例の全てが、看板商品のみならず、スタッフや職人さんたちの顔、しぐさ、作業光景など手に取るように分かるものでした。
 また、税務会計系ブロガーサミットの先生方のブログや熊坂氏のセミナーの事例で共通しているのは、ブログと公式サイト(ホームページ)、フェイスブックが連携している点です。窓口が多いと、それだけネット上で見る機会が増えるのです。私の場合は、ホームページとフェイスブックはつながっているものの、ブログとは連携していませんので、早急にブログを再開させなければと焦っています。

おわりに
 本来ならば、税務会計系ブロガーサミットのエッセイにはふさわしくありませんが、このエッセイにも挑戦させていただきました。むしろ、行わざるを得ない状況を作るのは、いい機会だと感じています。喫緊の課題として、アメブロを生かすのか否か、それとは別のブログを立ち上げるか模索中です。サミットに参加されている先生方には後れを取ってしまっている状態ですが、グーグルプラス、ピンタレストなどさまざまなものに挑戦することにより、もっと素晴らしい連携を見いだすことができると思っています。

ブロガー77佐近裕太.jpg

佐近裕太(さこん・ゆうた)
昭和56年、千葉県生まれ。さそり座のA型。
都内で税理士法人に勤務後、富山で平成21年
に独立開業。「事業承継対策の法務と税務」
(共著)などがある。
フェイスブック
ブログ/工事中

第76回 私を独立開業に導いてくれた、ブログによる独立開業までの6年間の奮闘記 税理士事務所トライズパートナー(Trise Partner)代表 税理士 秋山和久

第76回 私を独立開業に導いてくれた、ブログによる独立開業までの6年間の奮闘記
        税理士事務所トライズパートナー(Trise Partner)代表 税理士 秋山和久

はじめに
 私は平成17年にブログを始めました。もしそのときブログを始めていなければ、おそらく現時点で開業はしていなかったでしょう。それほどブログというツールの影響は、私には大きいものでした。

税理士試験・見えてきたゴールとブログとの出会いまで
 大学在学中に税理士の勉強を始め、漠然と将来の開業を夢見ていました。そして大学卒業後、小さな個人事務所に勤めました。高齢の所長のもと、数名のスタッフが内部作業を行う体制。ここで作業面の基礎を学びました。2年ほど勤めたあと、ルーチン処理でない業務を求め、転職しました。
 次の事務所も同規模の個人事務所。そこは公認会計士事務所で、扱う業務が前の事務所と全く異なり、特殊な実務経験を多数させていただきました。
 平成17年、税理士試験を終え、受験科目に受かっていれば税理士試験合格という状況になって、先のことを考えるようになりました。
 小さな事務所の一職員という立場柄、割と内々の作業が多く、また、それまで仕事以外の時間の大部分を税理士試験という魔物につぎ込んできたので、私にはこの仕事をするうえでの「人脈」がほぼ皆無でした。資格を取るまでは、人脈よりも、それに専念したいと思っていたからです。
 そこで、手始めにやってみようと思ったのがブログでした。当時まだ今ほど気軽に誰でもしているような環境ではありませんでしたが、平成17年11月に、「一会計事務所職員の日記」として、趣旨もよく分からないタイトルで始めました。初めのころは何をどう書いたらいいのかも分からず、更新頻度も緩く、まさに手探りのスタートでした。

一気に動き出した立場の変化と決まったブログの方向性
 同年12月、官報合格を果たしました。正直、期待していなかったので驚きました。手応えがあっても裏切られ続けた試験だったので……。 ここで、一気に状況が急転しました。ブログなど、先のことを考えて少し動き出した矢先のことでした。
 平成18年初めに無事、税理士登録。もちろん勤務の立場なので、補助税理士です。税理士登録と、よく分からずブログを始めた、そのタイミングが偶然にもほぼ重なったのです。
 もともと、漠然と将来の開業を夢見ていた私は、このタイミングで、ブログの存在意義として、「開業するまでのこと、その時々に考えたこと、準備等々、補助税理士が開業に至るまでの奮闘記を書いたら……」と、ふと思いついたのです。そこで、ブログタイトルを「ある補助税理士の日記~独立開業への道~」に変更しました。「何を書いたらいいか」のテーマが決まった瞬間でした。リアルな気持ちを書きたい一方で、本名は出さず、匿名でブログを本格スタートさせました。

ひとつの決断とブログに対する反応に感激
 27歳で税理士となり、開業をしようと思えばできる立場になりました。しかし、大きな葛藤がひとつ。それは、「社会人として、会社組織に属してみたい」というものでした。独立までに、もっと社会・世間を経験したい。「実務作業」という意味ではなく、圧倒的にそちらの「経験」が足りないと思いました。開業は時期尚早の結論。
 とにかくいろんな経験を積みたい! 今までの勉強との両立の鬱憤をはらすほど、この仕事で思いっきり働きたい! いろんな人脈を作りたい! そんな思いを抱えていたころ、ある超大規模税理士法人・経営コンサルティング会社と出会い、お世話になることに。大きな出会いでした。
 ブログでは当時の葛藤、それに関わる出来事等を書いたりしていました。驚いたのは、そんな私の拙い日々の奮闘に対して、多数の反応があったこと。励ましや共感をもらったこと。そしてそれを通じたリアルの知り合いができたこと。今まで感じたことのない喜びでした。
 専門的なことも書いたりしていましたが、それよりもいわゆる「奮闘記」的な日々を綴る記事のほうが圧倒的に反響が大きいことを目の当たりにし、何を書いていくべきか、徐々につかんでいきました。
 また当時書いていたのが、自分がどんな税理士になりたいのかという自問的記事。これは反響というよりは、後日自分が見たときに、当時の気持ちや感覚を確認できる、よいツールになりました。

ブロガーサミットとの出会いと 超大手事務所の衝撃
 同年秋、その超大規模事務所入社と時期を同じくして、お誘いいただいて第2回ブロガーサミット(大阪開催)に参加しました。手探りで始めて、ようやく方向性が決まってきた時期。同業種の方で、同じようにブログを活用されている方と触れ合う。当時の私には、ものすごく刺激的な経験でした。
 しかしそれを上回る衝撃が、転職先の会社にありました。それは求めていたことでもありました。まさに組織! 知識面では十分に初めから通用しましたが、個人事務所ではなかなか身につかない、「社会常識」「モノの考え方」「人材育成」。これらの衝撃がすごかったです。まさに毎日が新発見。
 そのなかでも特に、「職員生産性」の考え方。個人事務所では、職員は内部作業に追われ、自分がどれだけの売上に貢献しているのかという考え方があまりありません。私自身そうでした。ところが、その事務所には、一人ひとりに損益計算書がありました。一人ひとりに予算があり、実績との詰めが日々行われ、誰でも全社員の損益計算書を見ることができる環境。会社に多くの利益を残すことができれば、それに応じた報酬がルールに基づき返ってくる。まさに驚嘆でした。
 担当者は処理者ではなく、いかにお客様に提案をし、お客様に役立つことができるか。役立つことができれば、生産にも直結する。それが「できる」「できない」の基準。徹底度合いに共感し、働くのが楽しくて仕方なくなりました。下世話な話ですが、1年で年収が数倍になりました。

開業への思いの薄れと距離を置いたブログ、ブロガーサミット
 同社で早々に管理職となり、部下も持ち、ただ夢中で仕事に没頭するうち、「骨を埋めても」という気持ちが芽生えてきたのです。ブログ更新が遠のいていきました。その後のブロガーサミットもすっかり疎遠になってしまいました。ブログを始めた当初に目的としていた「人脈」も社内で自然と膨らんでいき、その意味でもブログの必要性が薄れてしまいました。
 平成19~21年後半にかけては、更新頻度が本当にまれになり、後ろを振り返ることなく、ただ目の前の仕事に没頭していました。

転機となった入院生活と戻ってきたブロガーサミット
 平成21年末、顎の手術をすることになり、1週間絶食入院という時間を過ごしました。ただ走り続けてきて、初めてじっくり振り返る時間を得ました。そしてそれを助けるのに、書き連ねてきたブログの存在がありました。これまで自分が書いてきた文章を全て読み返してみました。自分はどんな気持ちで税理士になりたいと思ったのか、なぜ、資格を取ったあとに組織に属してみたいと思ったのか、そして自分の最終的な目標は、何だったのか。いろいろと考えました。
 退院して職場に復帰した私は、少し変わりました。細々とブログを再開するようになったのです。同じように仕事をしていても、常に、「自分の事務所だったらこうするのに」という目線で物事を見るようになりました。組織の不自由さや弱さも見えてきました。そして時間はかからず、「やっぱり独立したい」と考えるようになりました。
 そんな最中の平成22年秋。運命のような第10回ブロガーサミット大阪開催。迷わず参加しました。空白の4年の間に、サミットは大きくなっていました。新しい人脈が、また加わりました。開業への歩みが、再び始まりました。

開業への歩みの加速とフェイスブックでの爆発的な人脈の繋がり
 平成22年中に、会社へは独立の意向を伝えていました。貴重な人材と見ていただいて、私も大好きな会社だったからこそ、時間をかけなければならないと思い、早くに意思を伝えました。平成23年に入って、退職が8月末と決まり、ついに独立することになりました。
 ブログの内容は、日々を記すことが直接的に開業までの進捗を記すものとなっていました。退職を決めてから、モチベーションを保つことの難しさ。自分の城となる事務所の物件探し。事務所の屋号やロゴを決めた手法やエピソード。独立への希望、不安。自分のお客様とのやりとりやエピソード。
 平成23年春にはフェイスブックを始め、より繋がりが加速。ブログをしてきたことが下地となり、リアルな人脈が一気に広がりました。独立準備を進めている最中で、この現象が起きました。繋がっていった人たちは、今、一緒にお仕事をさせていただいている方、そして自分のお客様になっていただいた方などもたくさんいます。
 このSNSの手段を通じて世界がどんどん繋がっていくにつれ、「独立」への不安が少しずつ消えていきました。記事への反響、応援、リアルな出会いとそこからの展開。開業準備はブログに支えてもらったといってもよいと思います。
 逆にいえば、この人脈の繋がりで自信を深めることができなければ、おそらく私は勤務の安定した生活から、一歩を踏み出せなかったのではないかと思っています。

そして独立……たくさんの方に助けていただいての幸せすぎる開業
 生々しく開業へのプロセスを記し、開業前にして反響は日に日に大きくなりました。具体的な声もかかるようになってきました。何とかやっていける、まだ独立前でしたが、それくらい思えるようになってきました。独立直前になって、勤務していた会社の仕事も一部外からお手伝いすることとなりました。
 なんてありがたい環境での独立なのでしょう。ゼロからのスタートのつもりでした。ところがスタートから自分のお客様もいて、大好きだった会社の仕事も手伝う……。よいのだろうかというくらい、誰から見てもうらやましい環境のなかでの開業。
 全ての環境が整い、無事、平成23年9月に、開業を果たしました。

独立から1年間を経過して
 スタートからたくさんのお仕事があるなかでの開業。そしてずっとブログに書き連ねてきた自分のコンセプト、手法、関わりたいお客様、そういったものがこれまでの蓄積で明確に整理されていったこと、そしてそれを発信し続けてきたこと。自分はどういったアプローチでお客様を求めるかがはっきりしていました。それがよかったのか、開業して1年ほどですが、お客様とは当初考えていた以上に関わることができました。
 今、忙しくも楽しく毎日を過ごしています。まだまだこれからですが、これからもあまり気負わず、細々と、リアルな自分の発信を続けていきたいです。まだまだ、いろんな人と知り合いたい! 出会いたい! ワクワクしたい! そう思っています。

ブログをどう活用して私は何を得られたか
 私はただ漠然とした気持ちでブログを始めましたが、いろいろと試行錯誤してきて、SNSにおいて「税理士」として人脈を広げるために必要な発信内容は、⑴人柄、⑵考え方、⑶誠実さ、 ⑷「なるほど」の情報。その4つが共感できる、興味を持ってもらう要素だと思っています。
 ポイントは、「共感を生む」ことだと思います。「独立奮闘記」は、まさに共感を多く生む素材だったのだと思います。
 どんな仕事でもそうですが、人間関係はアナログの付き合いあってこそ成り立つものです。きっかけとして、人間性に共感していただかなければ、その後の関係は進展しません。
 今の時代だからできる、リアルな人脈をつかむための情報発信手段。そしてその時々の履歴を記し、振り返ってこれまでの自分を確認できるツール。それが私にとっての、ブログの存在だと思っています。
 いろいろなタイミングも重なったのですが、このブログを始めたことが、私を独立へ導いてくれたのだと、振り返って強く感じています。

秋山和久.jpg

秋山和久(あきやま・かずひさ)
昭和53年生。大阪府羽曳野市出身。近畿大学 卒業。
平成18年税理士登録。大学時代より税 理士を志し、
個人事務所、大手税理士法人にて10年のキャリアを
積んだ後、新大阪にて独立開業。得意とするIT効率化
に特化する一方 で、アナログの対人関係の両立で顧客
満足の最大化を目指す。また、「必要なものを選択し
てもらう」料金体系で、従来の固定報酬型の顧問料と
は一線を画す。明るいキャラクターと分かりやすい説
明を強みとする。
事務所HP
ある補助税理士の日記~独立開業への道~ (開業までの道のりをリアルに綴ったブログ)
税理士・秋山和久のブログ(開業してから のドタバタを綴ったブログ)
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第75回 Blogと歩んだ公認会計士人生15年 いちご会計事務所 足立知弘

第75回 Blogと歩んだ公認会計士人生15年
        いちご会計事務所 足立知弘

そういえばブログって、いつ頃からやっていたかな?
 私がブログを始めたのは、2001年前後だったと思います。おそらく、始めたのはかなり早かったほうだと思います。でも実は、私には「ブログを始める以前」があるのです。
 公認会計士に合格した1998年頃から、自分でホームページを作って、経済分析や株式相場分析について、自分なりの意見を記事に書いたり、趣味の飛行機の写真や話を載せて、ネットにアップしていました。
 まぁ、そんなつまらないものを書いて何がしたかったのかというと、当時はインターネット黎明期でしたから、時代に乗り遅れずに、自分が考えていることを世界に発信して反応を見たかった、というところでしょうか。若かったんです、はい(苦笑)。
 でも、こんなつまらない記事、誰か読んでくれる人がいるのかなとか考えていたら、結構な数の人が読みに来てくれたのです。自分の掲示板に「読みましたよ。○○の話、面白いですね」などと書いてくれるんです。そして、ネットだけでなくリアルの世界でも、同僚や友人が読んで、「面白かったよ」「今度はいつ書くの?」と言ってくれるんですね。
 まだブログもなく、ホームページも発展途上の時代だったので、珍しかったこともあるのでしょうが、感想をもらえるのが嬉しくて、結局、コンテンツは私のエッセー風の日記だけが更新されるようになりました。

ブログとの出会い
 そんな自分がホームページで盛り上がっているときに、ブログに出会いました。
 出会いのきっかけは、2001年9月11日、米国での同時多発テロの記事でした。
 当時、米国国内では、個人がブログで「911」における自らの体験や事件当時の写真、意見などを公開して、かなりのアクセスを集めていたんですね。ブログに書かれたことに皆がコメントを出し合い議論をすることで、心の傷を癒やしているというのです。
 これは、面白いなと思いました。自分でホームページを作っていたときから、インターネットは新たなコミュニケーションを作ることができると思っていました。自分の記事を書くだけのホームページがあってもいいじゃないかと考えていたからです。
ていたので、さらに興味が湧きました。
 そしてブログにはホームページにはない、記事に直接コメントを残す機能や、関連記事にリンクを繫ぐトラックバック機能というのがつい
 あと、ホームページの更新というのは、結構手続きが面倒なんですね。ホームページ制作ソフトを立ち上げて、ファイルを更新して、ネットに上げて、ということをチマチマ手動でしなきゃいけない。その点、ウェブ上でブラウザを使って更新ができるのがすごく斬新で、すぐに気に入って乗り換えてしまいました。

本格的なブログ運用と気づき
 ブログをやり始めてからは、さらにブログ更新に熱が入るようになりました。
 自分でホームページを作っていたときとは、比べものにならないくらい読みに来てくれるわけですから、それは熱も入るってもんです……。といっても、1日100人程度ですが。当時はホームページのときより、多くの人が見に来てくれたのが嬉しかったのです。
 ブログに乗り換えた頃から、記事にも少しこだわるようになりました。
 2001年当時はテキストサイトブームと呼ばれた頃で、もともと面白い話に独特のネットスラングを使い、文中の文字サイズや色を巧妙に変え、行間をうまく空けることによって上手なお笑い芸人のような、笑いの「間」を作り出した読み応えのある面白いサイトが増えていた時代でした。
無駄な行間やフォントサイズ、色などを、今でも普通の文章を書いていても使いたくなってしまいます。
 私も刺激を受け、うまいアルファブロガーさんのまねをして書いていました。そのせいか、
 そんな感じで、「いかにウケるか?」を考えながら、いろいろ工夫したりしながら記事を書いていたら、ひとつの傾向があることが分かってきたのです。それは、自分のつまらない個人的話題が、結構盛り上がるということでした。
 たぶん、人がどうしているか、どんなことを考えているのかということに、みんな興味があるんでしょうね。
 そこで、いっそのこと自分のことばかり書いたら面白いのではないかと思い、やってみることにしました。これが大変ウケて、アクセスを増やしたのです。
 そして、今の自分のブログスタイルも、どちらかというと情報発信というより、プライベートな話が中心になっています。まぁ、どんなに立派な記事や情報を載せても、来てくれないことには読んでもらえないのでどうしようもないですし、自分自身も書いていて面白くないので、このスタイルでよいと思っています。
 結局、「911」の記事のように、ブログとは一方的に情報を発信するツールというよりも、人と人が交流するコミュニケーションツールであるという側面が強いのでしょうね。

自分の会計事務所とブログ
 私は2005年10月に監査法人を退職し、地方の税理士法人に一度勤め、その後2008年6月に独立開業しました。独立開業するにあたって、いろいろな開業指南本を読みました。すると、ほとんどの本にホームページとブログが必要であると書かれていました。このとき、やはりブログというツールは強いのだなぁと思いました。
ないと思います。製造業や小売業のように、明確な成果物や商品があるわけではないので、仕事上の個性や成果といったことをアピールしにくい業界です。そこで、事務所の活動や個性、雰囲気などをブログで発信することで、会計事務所の分かりにくさを和らげてくれるのではないかと思ったのです。
 そもそも、会計事務所というのはどんなところなのか、おそらく業界外の人たちには分から
 先ほども書きましたが、ブログとは一方的な情報発信のツールではなく、人と人とがコミュニケーションを取る、新しいツールとして生まれたものです。そこを忘れると、ブログは一方的な税務情報や経営情報を書くだけのものになってしまい、読むほうも書くほうも面白くないのではないでしょうか。やはり、読む人と書く人のコミュニケーションができるような記事をエントリーできたら、ブログは面白いのだと思います。
 ちなみに、私の事務所はそういった考えから、当初からブログも重要なコンテンツの一部という位置づけでホームページを作りました。できるだけフレンドリーなものをということで、ある意味ウケを狙いに作ったつもりです。おかげさまで、いろいろと賛否両論のブログとなりました(笑)。一度ご覧いただけたらと思います。

ブログからフェイスブック、そしてまたブログへ
 しかし、このようにブログを語ってきた私ですが、最近はフェイスブックにすっかりはまり込んでいます。そのぶん、ブログはおろそかになってしまいました。私とブログの出発点が、人と人のコミュニケーションであったことを考えると、確かに究極の形はフェイスブックなんですよね。私の場合、事務所のお客様も何人かやっていらっしゃるので、フェイスブックでメッセージのやり取りをすることで、仕事の日程が決まったりすることもあるくらい、フェイスブックが仕事に入り込んでいます。
 ただ、フェイスブックの場合、今度はコミュニケーションが濃密になりすぎている感があります。これはちょっとビジネス用には距離が近すぎるのではと、最近は思うようになりました。そういった意味では、最近はまたブログに回帰しようという気分になっています。
 昔はブログくらいしかなかったものが、今はいろいろとあります。いろいろとインターネットのツールを使ってきて思うことは、それぞれの長所を組み合わせて、使い分けていく時代が来ているということです。

終わりに
 日本でインターネットが普及し始めた頃から、いろいろと活用してきました。ホームページに始まり、ブログ、ツイッター、フェイスブックと、我ながらよく流行に乗ってきているなと思います。これらのツールを使いながら思うことは、知っている人同士も知らない人同士も、あっという間に繫がれる時代になったということです。でも、多くの人と人とが簡単に繫がれる時代になったからこそ、一回一回の出会いは重要になってきているように思います。
 21世紀になって、情報テクノロジーはかなり進歩しましたが、大事なことは「一期一会」の気持ちのような、人としての成長だと思うようになりました。出会えたことにお互いが感謝できる、そんな人になれるように成長したいですね。
 私の次の21世紀的課題は、出会えた人にお互いが感謝できる、人としての成長だと思っています。

足立知弘.jpg

足立知弘(あだち・ともひろ)
公認会計士・税理士。1973年4月熊本生まれ。
2005年中央青山監査法人を退職後、地方の税
理士法人を経て、2008年独立開業。主に独自
メソッドでの中小企業の黒字化支援を行い、中
小企業再生に活動している。
「いちごちゃんの経営のお薬ブログ」
「いちご会計事務所」


第74回 ブログがもたらしてくれる無限の財産 かや

第74回 ブログがもたらしてくれる無限の財産
        かや

お腹痛くなってきた
 昨年の9月27日。あ~…、19年前のこの日、ドラクエⅤが発売されたんだっけ。当時、人気ソフトの発売日にはよく見られた行列。その「行列」というものを体験してみたくて、友人と初めて行列に並んだっけ。今となってはいい思い出だなぁ。

 買えなかったけど。

 そんなくだらないことを考えつつ、午前中の外回り終了。昼休みにミクシィをチェックしてみると、新着メッセージのお知らせが。ん? 誰からだろう?
 そもそも私にとって、ミクシィにメッセージが来ること自体が珍しいので、ちょっとテンションが上がったのはここだけの秘密ね。で、送り主は……、大林さん!?
 こりゃまた、珍しいこともあるもんだねぇ! え~っと……、内容は……? …………。実務経営ニュースのリレーエッセイの執筆依頼!?

 ヤバイ。プレッシャーでお腹痛くなってきた。

 えぇ、かやさんはめっちゃプレッシャーに弱いですとも。しかも大林さん「詳細は後ほどW」って! 草なんか生やしちゃって!

 なんか恐いよぅ!

すべてのはじまり
 今思えば、「俺、ブログ始めたんよ」という友人の一言がすべてのはじまりだった。そのときはソッコーで「は? ブログって何?」って返したけど。当時は2005年。まだブログってそんなに広まってないときでしょ? あっ、いや、ちょっと待て。ウソ書いたらマズイな。ちゃんと自分の過去記事読んで確かめてみよっと(一番最初の記事確認中)。

 あっ……、すでに2005年の時点で「ブログの認知度50%超えてる」って書いてる。

 えっと…、前言撤回ってことで(軽く流してみた)。とにかく、「ブログ」というものを知ってから、友人のブログにコメントを入れたり、興味のあるブログを見たりする日々が続いたけど、日増しに膨らんでくる「ある思い」   が……!

 自分もブログを書いてみたい!

 どうやらブログ自体は簡単に作れるようだ。ってことで、早速作ってみよう!
 実はブログを始めるにあたって、2つほど自分のなかで決めていたことがある。それは、(1)①会計事務所職員の日々を綴る、(2)読者のことを考えてできるだけ読みやすく書く、の2つ。
 (1)については、税務に関することはすでに税理士の方々が専門的なブログを立ち上げているし、同じようなブログを作っても面白くない。せっかくなら、職員側の立場から書けるものを書いてみようと思ったわけ。なんか偉そうなこと書いてるけど、

 結局は「職員のごくフツーの日記」に落ち着いたともいう。

 (2)については、やっぱりブログを書くなら、ひとりでも多くの人に読んでもらいたい。読みやすくするにはどうしたらいいだろう……? 考えた結果思いついたのがデカ文字。デカ文字を使って視覚的に文章に強弱をつけたら読みやすいのでは? うん、絶対そうだ!(思い込み)というわけで、このデカ文字スタイル(勝手に命名)はブログ開設当初から変わらずというわけ。
 ただ、作ってみたのはいいけど、めちゃくちゃめんどくさがり屋なのに、続けることができるのか……? しかもブログを開設したのが2月。会計事務所職員にとっては繁忙期真っただ中。

 おいおい……、自殺行為じゃないか?

 まぁ、何とかなるでしょ?
 はい。こんな人でもブロガーやってるんで、ご安心を。

「出会い」から「出会い」、え?ブロガーサミット参戦……!?
 ブログを始めてしばらくして、同じ業界の人や同じ趣味を持つ人からコメントをいただけるようになってきた。「はじめまして。いつもブログ読んでいます」のコメント。う、嬉しすぎる! 会ったこともないけど、ブログを通じて広がるネットワーク。これか~、ブログの魅力は! 出会いはドンドン次の出会いに広がり、そしてその出会いはついに、「ブロガーサミット」への参加へと繋がっていくのであった。
 サ……、サミット……、ですか? 税理士でもなんでもない、フツーの職員がふざけた内容のブログをやってるだけなのに、参加していいんデスカ……?
 ドキドキしつつ、でも一方では、日々コメントをし合っているブロガーの方々と会える、というワクワクもある。不安と期待が入り交じりつつ、第2回ブロガーサミットに初参戦! いわば、2期生というわけである。

 なぜ、AKB48っぽくいった?

 はい、スルーしてくれて結構ですから。
 サミット会場で会う人たちとは、実際に会ったことはもちろん、しゃべったこともない。でもなぜか……、何となく誰だか分かる!「あっ、もしかして○○さんですか?」、「××さんですよね?」そんな会話が飛び交う。なんなんだろう、この不思議な感覚は?
 これはもしや、自分のなかのスタンド能力が目覚めたのでは……?

 そんなわけない。

 マズイ、マズイ、いつもの癖でつい、ジョジョネタが……。
 それはともかくとして、こんな感覚は初めてだし、こんな出会いも初めて。ブログをやってないと、おそらく一生会うこともなかった人たちもいるのではないだろうか? でも、古くからの友人に会うような、そんな感覚なんだよなぁ。ホントに不思議。これはもう、ブログの魔力としかいいようがないね。

まだまだ広がる出会い
 気がつけばブログを始めてから7年以上経っている……。自分でもこんなに続くとは思ってもみなかった。

 ダラダラ続いているだけともいう。

 まぁ、それはいいとして(よくないだろ)、実は今でも「はじめまして」コメントがある。この言葉はブロガーにとって一番嬉しいし、何より更新する活力になる(単純)。たまに、「今までROMってましたけど、初めてコメントします」という方もいらっしゃる。

 もう、遠慮せずにドンドンコメントください!

 ……って、ただの寂しがり屋か!? とにかくこの広がりって、ブログを続けているかぎり、ずっと続いていくんじゃないだろうか。そう、そこには無限の広がりがある……。と、ちょっとDo As Infinityっぽくいってみた。はい、自己満足は置いといて。
 でもなんだかんだいって、ブログが長続きしている一番の要因はやはり、「コメントのやり取りがあるから」だろう。ブログを投稿すると、読者の方々からさまざまな反応が返ってくる。自分と同じような考えを持った人もいれば、予想外の反応をしてくれる人もいる。たま~に、記事の内容を勘違いされてコメントされることもあるけど、それはまぁ、ご愛嬌ってことで。
 いつものみんなにまた会える。新たな出会いが待っている。そう思うと、ブログの更新をせずにはいられない。

 完全にブロガーの性が染みついちゃってる。

 ログイン画面は新たな世界への入り口なのだ。

数ある情報発信手段のなかで
 今、世の中にはブログのほかにも、SNS、いわゆるミクシィやフェイスブック、そしてツイッターなど、さまざまな情報発信手段がある。つまり、それだけネット上で自分自身を表現する手段があるってことだ。そのなかで、どうしてブログにこだわり続けているのか。答えは簡単。

 自分の思いをあれこれ書きたいから。

 これに尽きる! ツイッターじゃあ、文字数が全然足りな~い! えぇ、私にはツイッターは向いてませんとも(開き直り)。実は、ミクシィに引っ越そうかと迷っていた時期もあったけど、「ブログのほうが気軽に読めるから、このまま続けてください!」っていうコメントに心を揺さぶられ(大げさ)、結局そのままブログを続けることに。やっぱり、ブログが一番私に合ってるってことでしょうね。ブログを通じた出会いだけでなく、過去に投稿されたすべての記事は、自分自身にとって大きな財産になっているのは間違いないし。
 これからも私の独特なデカ文字ワールドがブログで展開されていくと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします(マニアックネタに食いついてもらえると、とても嬉しく思います)(爆)。
 ではでは、今日もブログを通じて、みなさんに会いに行こうと思います!

かや

かや
会計事務所に勤務する、ごくごくフツーの職員。
と同時に、税理士を目指して勉強中の毎日。
弱点は、なかなか合格できないことに触れられること。
確定申告時期にCoCo壱の10辛カレーを食べて
気合を入れていることは、もはや有名(らしい)。
税と戦う、中小企業のサポーター!☆tuned by kaya☆


第73回 日本海側の小さな街でブロガーサミットを開催しました!! 坂野上満税理士事務所 坂野上 満

第73回 日本海側の小さな街でブロガーサミットを開催しました!!
      坂野上満税理士事務所 坂野上 満

富山県高岡市の税理士、坂野上満です。実は、私は平成20年の第23回(平成20年4月号)の執筆者で、今回が2回目の寄稿となります。といいますのは、去る3月24日に「第12回税務会計系ブロガーサミットin高岡」の幹事を務めさせていただいたことによるものです。

幹事を指名され引き受けることに
 税務会計系ブロガーサミットは、当コーナーの読者であればご存じとは思いますが、毎年春と秋に全国各地持ち回りで開催され、そのときの幹事が次の幹事を指名するというルールになっています。そこで、去年秋に開催された「税務会計系ブロガーサミットinさいたま」の幹事である松波竜太氏から次回幹事として指名され、引き受けることになったわけです。
 当初、半分冗談と思っていました。なぜなら、当税務会計系ブロガーサミットは、第1回の銀座サミットを皮切りに大阪、名古屋、福岡、札幌、神戸、千葉(浦安)、京都、横浜、大阪、さいたまと「誰もが知る」都市で開催されてきたのに対し、今回は日本海側の人口わずか17万人余りの「知る人ぞ知る」富山県高岡市という、行くぞ‼ と一大決心をしなければ一生行くことのないような、マイナーな場所でやることになるからです。しかも、3月下旬というと雪こそ積もっていないものの、天候次第では交通機関がどうなるか分からない……、という不安を抱えながらの開催となりました。
 そうはいっても決まってしまった以上、やらなければなりません。実際に準備に動き出したのは年明けからでした。これまでのブロサミ参加時にどんなことをやっていたかを思い出しながら、まずはテーマの選定と場所の確保です。大体30人くらいかなと思って準備を始めたのはいいのですが、早速大きな壁にぶち当たります。

30人で会議をできる部屋がない‼
 参加者のほとんどはJRを利用して来られるでしょうし、しかも泊まりで来られるわけですから、駅に近いに越したことはありません。しかし、このような人数で会議をする部屋が高岡駅周辺にはないことが分かったのです。嘘やろ??? ビジネスホテルはたくさんあるのに……。
 会場確保をしないと案内をすることができません。会場の空き具合によって開催日を決めなければならないことになってしまいました。本当に開催できるのかな……。一抹の不安がよぎりましたが、幸い、テーマは決めていたので、会場さえ押さえられればスムーズに進むと思っていました。

会計事務所の伝えるチカラ
 テーマは「会計事務所の伝えるチカラ」です。これしかないと思っていました。我々会計事務所は中小企業のお客様を通して、実に大きな影響力を持っています。我々がお客様の力になって差し上げることによって、お客様の会社がよくなります。お客様の会社がよくなれば、その会社の従業員さんや取引先によい影響が及びます。これが拡大していけば、地域、ひいては国全体によい影響が及び、みんな生き生きとした生活が送れるようになると信じています。ところが、お客様に悪意を持って接する会計事務所は存在しないと思いますが、残念ながら、会計事務所の意図することが十分に、誤解なくお客様に伝わっていない場合が少なくないのが現状だと思うのです。
 そこで、「伝えるチカラ」。これは情報の垂れ流しではなく、「聴き手に自ら動いてもらう」ためのコミュニケーション術です。これを取り上げてみようと思ったわけです。
 そうこうしているうちにテーマ、やることの内容、懇親会場と二次会会場が決まっていきました。そしてついにサミット会場についても朗報が飛び込みます。私は10年余り地元の商工会議所の青年部活動をやっていますが、その関係筋から高岡の駅前に、誰からも貸会議室と認識されていない部屋があるとの情報が入ったのです。すぐに連絡してみたのですが、24日なら2部屋空いていると。やはり持つべきは地元の仲間だな、とこのときほど人に感謝の念を抱いたことはありませんでした。
 そんなこんなで日時と場所が決定。これさえ決まってしまえば、あとはトントン拍子に事は進んでいきます。ブロサミ初(?)のオプショナルツアーも企画しました。これはサミット翌日に自家用車かマイクロバスで「世界に3つしかない景観(※)」と「世界遺産五箇山」を観光に行こうというもので、せっかく都会からリフレッシュをしに片田舎まで来られる参加者のために、ここでしか体験できないおもてなしをしようと考えてのものです。
※富山県高岡市と氷見市の境くらいから富山湾越しに見える立山連峰。海の向こうに3000m級の連峰、山脈を望むことができるのは世界でもこことイタリアのヴェネツィア(アルプス山脈)、南米チリのバルパライソ(アンデス山脈)くらいしかないといわれています。

いよいよ開催
 2月初旬に開催の告知をブロサミのHPにアップし、あとはどれくらい集まるかなと思っていたのですが、意外に集まらないものです。やっぱり、場末感漂う日本海側に泊まりで来る人って限られるんだな、と。当初30人くらいを予定していましたが、とてもじゃないけどそこまで集まらないという感じになってきました。それでも無理に地元の人を連れてきて数合わせをしようとは思いませんでした。やっぱりブロサミが好きな人にだけ参加してほしかったですし、あまり多いと、「伝えるチカラ」といっている割には参加者に内容が十分に伝わらなくなる可能性があると考えたからです。
 さて、サミットについては2時間半の3部構成とし、第1部では当誌のアクティブ編集者、板垣誠氏に会計事務所の営業事例をお話しいただき、全国の元気な会計事務所の集客実例を学びました。
 第2部は、地元富山県では、顧客が大きな成果を上げていることで超有名なビジネスコーチの中村慎一先生にコーチングと質問術をご講演いただきました。やはり、コミュニケーションの重要なところは「聴くこと」ですから、逆にいうと、上手に質問して「相手に話させること」ということになります。その質問のスキルを教えていただきました。この講演では参加者にワークをさせることによって、より内容が実感できる工夫がなされていたため、まさに「身に染みて」理解することができました。
 休憩を置いて、第3部は私が「伝えるチカラ」のまとめをさせていただきました。「聴き手である相手に自ら動いてもらうコミュニケーション」を一から十まで説明するとなると、三日三晩でも足りないくらいの内容となってしまいますから、今回は「自己紹介編」を取り上げることにしました。
 ただの自己紹介ではないんですよ。「その後に名刺交換の行列ができる」自己紹介です。つまり、自己紹介を聴いた相手が「名刺交換をしてください」と、自ら行動を起こすような自己紹介なのです。これもいくつか実際にワークをしてもらいながら、コツを説明させていただきました。
 そして最後はお待ちかね(?)のスプーン曲げ講座。これはかねてから私が得意としている宴会芸(?)で、カレースプーンやコーヒースプーンをらせん状に曲げるのをみんなでやってみようという一大企画(!)です。これもコツを説明したあと、みんなでやってみました。総勢19人のうち、数名のスプーンがその場でぐにゃぐにゃと曲がっていきました。これはいつもの傾向ですが、男性より女性のほうが曲がりやすいようです。
 以上でサミットは終了し、懇親会へ。会場はなじみの居酒屋。いろいろ無理をいって刺し身などをふるまってもらいました。幻の高級魚「のどぐろ」も頼んであったのですが、あいにくこの日は上がらなかったとのこと。こればかりはどうしようもない……。それでも皆さんに、白エビやホタルイカに舌鼓を打っていただき、とても満足されたようでした。

ブロサミ初「オプショナルツアー」
 翌日は朝から自家用車でオプショナルツアー。何と、季節外れの雪が降っているではありませんか‼ まさか雪国の「なう」を実体験してもらえるとは夢にも思っていませんでした。海は景色がよくないと思われる天候だったので、早速高速道路を飛ばして五箇山へ。トンネルを越えると……、そこは雪国でした。3月下旬ともなると、我々の住む下界は雪も解けてそろそろ夏タイヤに履き替えようかという時季ですが、やはりそこは山。雪のシーズン真っ只中でした。
 帰り時間だけが決まっている気まぐれ旅。私を含め、5人の団体で合掌造りの家や世界遺産に登録されている町、そして温泉を巡りました。予定外の立ち寄りどころが増える、増える。でもこんな気まぐれ旅が一番面白いんですよね。まさか温泉につかるなんて夢にも思っていませんでした。そんなこんなで名残惜しくも雪国と別れを告げて下界へ。山から下りてくると、「知る人ぞ知る」高岡の街が妙に都会じみて見えるのも不思議。
 最後に、今回のオプショナルツアーで一番印象に残ったものは何かを尋ねたところ、都会から来られた参加者の方からは「180度、一面に広がる空」との回答も。やっぱり田舎でサミットをやってよかったな、と実感しました。

ブロサミ開催をふり返り
 当初、本当に開催できるのか悩みながら準備を始めた今回のブロサミでしたが、サミット、翌日のオプショナルツアーとも無事成功裏に終わり、とても充実したものとなりました。これまでの幹事さんのご苦労をしのばせていただくとともに、今回参加していただいた皆さんに最大限の感謝の意を表したいと思います。
 「一泊しないと来ることができないような田舎でのサミットにご参加いただきまして本当にありがとうございました‼」

坂野上 満.jpg

坂野上 満(さかのうえ・みつる)
昭和45年1月富山県高岡市生まれ。
平成4年3月明治大学商学部商学科卒業。
平成4年4月富山県小矢部市のプラスチック製造会
社に就職。ーーーーーーーーーーーーーーーーー
平成7年10月退職し、税理士試験勉強に専念。
平成9年9月富山県射水市の税理士事務所に入所。
平成10年12月税理士試験本合格。
平成11年11月税理士登録。
平成14年4月富山県高岡市に税理士事務所を開業。


第72回 へべれけブログ 税理士法人おしどり会計社 河合 明弘

第72回 へべれけブログ
    税理士法人おしどり会計社 河合明弘

自己紹介
 さいたま市で税理士法人おしどり会計社(役員も含めた総スタッフ数6名)を経営しております。一度、当事務所を本誌の記事で取り上げていただいたことがございます(2010年1月号)。

ブログを始めた理由
 私がブログを始めたのは、2008年10月です。ブログというものの存在を知ったのはもっと前ですが、三日坊主の私とは無縁の世界だと思っていました。
 ブログを始めた理由は、ブログを見てお客様が少しでも増えればいいと思ったことです。当時事務所を移転したばかりで家賃が2倍になり、資金が不足気味でした。また、パートのみで回している事務所経営に限界を感じ、税理士法人を設立することで、優秀な正社員の採用をしたいと思っていました。そんなことで、まだまだ運転資金が必要と思い、少しでもお客様が増えればよい、という非常に単純(不純?)な動機でした。

ブログが続いている理由
 その後、なんと3年半もブログが続いています。これは私のなかでは快挙です。
 子どものころの小遣い帳は1週間も続かず、当然、夏休みの日記も8月31日にすべて書き上げていました。
 なぜ続いているのでしょう?
 一番の理由は、自分の好きなことを書いているからだと思います。初めは、前述したように「自分のブログを見てお客様が増えてくれればいいなぁ」と、営業ツールとして考えていました。しかし、集客用のツールと考えてブログを書いていたら内容に制約が生じてしまい、なかなかブログが更新できなくなってしまいました。そして、自分とは何か違う別人の「いい人」を演じるのに疲れてきました。
 そう、私は昔から「毒舌」と言われており、妻にも「コブ」(=コブラ→毒を吐く)と言われているのです。そこで、「やっぱり書きたいことを書かなきゃ!」と思い直し、現在に至っています。最初は「です・ます調」だったブログが、ある日を境に「である調」になりました。
 次の理由は、携帯電話から記事が書けることだと思います。移動中の電車等で、ちょろっと書けるので思った時に投稿できます。忘れないうちに記事にできるのです。最初はパソコンだけから投稿していたのですが、「これ絶対書こう!」と決めたことを忘れて書けなくなったことも多々ありました。携帯電話から投稿を始めてからは、短いながらも頻繁に更新できるようになり、書こうと決めた記事を忘れることはなくなりました。
 さらに、このエッセーを書かせていただくことになり(原稿依頼は1年程度前でした)、継続しなければいけないという使命感が生じたことも事実です(笑)。
 そんなことで3年半ブログが続き、開始当初はアブアブだった娘も4歳になりました。

ブログに書いている内容
 アメブロは自分のブログのジャンルを登録するのですが(他のブログのことは知りません)、初めは「経済」などの堅いジャンルでしたが、開き直ってからは、趣味の「競馬」と好きな酒の「へべれけ」で登録しています。本当にへべれけで書いていることも頻繁にあるので、翌日読み直すと、何が言いたかったのか自分でも分からない文章だらけです。さすがに何度か消そうと思ったのですが、顧問先のお客様(30代前半)に「先生、人間ぽくっていいじゃないですか! ぜ~んぜん問題ないっすよ!」と言われて、消すのをやめました。
 一時期は、民主党にイライラして政治の記事も多かったのですが、民主党に呆れ果ててからは政治の記事は少なくなりました。現在では、記事の半分くらいが競馬になっているような気がします。

ブログに期待していること
 後付けになりますが、「私」という存在をもっと身近に感じていただければそれでいいと思っています。先日ある建築士の方と話をしていて、その方は次のようにおっしゃいました。
 「我々の仕事は、新規のお客様に成果物を見ていただき、気に入ってもらうことで、注文を頂戴することができますが、会計事務所さんって成果物を見せるのが難しいですよね」
 確かにその通りです。そこで、自分をさらけ出すブログは、新規のお客様に自分の事務所の体質(税務に対する考え方や私の趣味や性格)を知っていただき、敷居を下げるという意味で重要ではないかと、自分に都合よく解釈しています。また顧問先が増えれば私自身が顧問先を訪問する回数も減ってしまいますので、既存の顧問先との関係を維持するツールとしてブログが大事になるのではないかと、さらに都合よく解釈しています。
 前述した内容と矛盾するようですが、結局ブログは私にとって営業ツールなのです。

業界にとってのブログ
 会計事務所の仕事を経験すれば経験するほど、偽物との出会いが多くなっている気がします。お金のあるところには、ハイエナのような人たちが群がってきます。自称コンサルタントの9割くらいは偽物だと思います。もちろん素晴らしいコンサルタントの方もいらっしゃいますが、「なんでこれで100万円なの?」などと思うことはよくあります。
 少なくとも我々会計事務所経営者は、自分で会計事務所を経営して顧問先の数字を毎月見ているわけです。すると当然、生の情報にスピーディーに触れる機会が多いわけで、自称コンサルタントよりもよい、それも有資格というオマケ付きのコンサルタントだと思っています。そこで、税務会計系ブロガーがさまざまな成果をブログに書いていくことで、「会計事務所は事後的な計算しかしてくれない」、「会計事務所は高圧的だ」等のお客様の先入観をなくして、「会計事務所こそ、最高のコンサルタント。なんでも会計事務所に聞いてみよう!」と広く認知されるようになるのではないでしょうか?
 そうなれば、「顧問料が高い」等の不満もなくなり、一定レベルの以上の顧問料を頂戴しながら、顧問先との良好な関係が構築できると思っています。
 ブロガーのみなさん、一緒にがんばって顧問料デフレを回避しましょう。またブログ未経験の方々も、まだ見ぬ顧客と既存顧客、そして税務・会計業界のためにブログを始めてみてはいかがですか?

今後のブログ
 今後ブログは、このエッセーの執筆が終わったので、いつやめてもいいと思っています(笑)。
 冗談はさておき、今まで通りの自由気ままなブログをダラダラ続けていくと思います。お暇な方、競馬好きの方は、一度ご訪問ください。

河合明弘.jpg

河合明弘(かわい・あきひろ)
公認会計士・税理士。1968年1月生まれの44歳。
家族は妻と娘+今年7月に1名増加予定。-------------
2003年独立開業後、同じ資格を持つ妻と2008年
「税理士法人おしどり会計社」設立。------------------
趣味は、競馬と麻雀(全自動麻雀卓が自宅にあり
ます)、株式投資、スキー、飲酒。愛煙家(単に
意志が弱い)。将来の夢は、麻雀で天和をあがる
こと。このエッセーが第72回のようなので、密か
に「カブ」だと喜んでいます。---------------------

■ブログ
「おしどりブログ」
ツイッター、フェイスブックは未経験。

■ホームページ
「税理士法人おしどり会計社・河合公認会計士事務所」


第71回 ブログの挫折にはじまって得られた気づき 宮原裕一税理士事務所 宮原 裕一

第71回 ブログの挫折にはじまって得られた気づき
    宮原裕一税理士事務所 宮原 裕一

ブログをはじめて、間もなくの挫折
 私がブログを始めたのは2009年のこと。自身の開業にあたって何をしたらよいのかと思いを巡らせていたころです。士業に限らず多くの方がそうだと思いますが、開業を前にすると、ついつい情報を求めすぎてやるべきことの整理がつかない時期があるんですよね。私もいろんな士業向け開業本を読みあさり、自分の存在を知ってもらう方法にはどんなものがあるのかと研究していたんです。そのなかで、どの本にも共通して書いてあるのが、『ブログ』だったんです。そして、流されるままに、何となくブログをはじめてみたわけです。
 「独立開業奮戦記」みたいなのがいいんだろうか? 「税務解説講座」みたいなのがいいんだろうか?
 ある日はその日の出来事をつらつらと書きつづった日記になってみたり、またある日は条文を引っ張りだして解説してみようと背伸びしてみたり。とにかく何かを書いて発信し続けていけば、何らかのリアクションがあるのだろうと勝手な期待をしていました。
 でも、そんな甘い夢から現実に引き戻されるのは一瞬でした。ブログを始めて1日、2日、1週間、1カ月……。アクセス数ゼロが続くばかりです。たまにアクセスがあっても、それはもともとの知り合いが見にきてくれたというものでした。
 今思うと、そこには何の戦略も、伝えたいテーマも統一感もなく、そして続けることの大切さも分かっていなかったんです。原因がないところに結果はついてきませんよね。
 そんなこんなで最初のブログへのチャレンジは、何の結果を見ることもなく放置されることになりました。

ツイッターへのチャレンジ
 ブログから遠ざかってしばらくが経ち、2010年。今度はツイッターなるものが話題にのぼるようになりました。ブログを挫折した原因のひとつには、果たして読まれるかどうか、いや、読まれないに違いない文章を長々と書かなければならないというしんどさがありました。
 それに比べて、140文字以内で好きに情報発信していけばよい、フォローするもしないも自由、という気軽さに惹かれ、早速ツイッターをはじめてみました。
 アカウントを取得して、初めてのつぶやきがなんだったかと振り返って調べてみましたが、「初ィート」とつぶやいていました。う~ん、サムイ。
 ツイッターに勧められるままにユーザーをフォローしていくと、なるほど、どんどんとフォロー返しがあり、そのフォロワーからまたフォローされ、というような感じでフォロワーが増えていきます。
 そして、慣れない「なう」を使いながら、つぶやきを繰り返していきますが……。何か自分にはしっくりこないようです。何がしっくりこないのかを考えてみました。
 まずは、滝のように流れていくタイムライン。フォロー数が増えていけば、それだけ多くのツイートが展開されているので、当然といえば当然ですが、何せ自分は気が小さいもので、生真面目にちゃんと読まなきゃとか思っちゃうんですね。もちろん、リストを作成して特定のユーザーだけに絞って読めばいいのですが、じゃあなんで読まない人をフォローしたんだって自問自答が始まっちゃうわけです。
 つぎに、匿名で登録できることによるのでしょうが、誹謗中傷などが目立つときがあることです。私はフォローされたときはフォロー返しをするものだと思い、積極的にフォローしていました。そんななかで、同じ人物と思われる方が複数アカウントで不快に感じるつぶやきを展開していたりする場面に出くわしてしまったのです。もちろんつぶやく内容は自由ですし、そのユーザーをフォローしたのは自分ですから、その方を悪く言う筋合いではないですよね。でも、もしかしたら自分もそんな風に感じられているのかもしれない、意図せずしてしまっているかもしれない、とツイッターの使い方を考えさせられた出来事でした。
 そして、よくいわれる「つぶやき疲れ」に陥ってしまいました。

フェイスブックで得た気づき
 SNSというものは次から次に新しいものがやってくるものです。2010年の映画「ソーシャル・ネットワーク」の後押しもあり、今度はフェイスブックが脚光を浴びてきます。これまでチャレンジしてきたブログやツイッターなどは、匿名で行うことができることもあり、ある程度の交流があっても現実のお付き合いには至らなかったり、時にはへこんでしまうような書き込みがあったりと、うまく使いこなすことができずに続けていくことができませんでした。
 そんなところに、実名登録が前提のフェイスブックです。これまでとは違うようだな、と2011年初めにフェイスブックへ登録しました。ツイッターなどで、いたずらにフォローすることへの反省もあったため、友達リクエストはなるべく現実にお会いした方に送るようにしています。長々としたコメントの必要がない、「いいね!」をクリックする手軽な交流方法がいいですね。
 フェイスブック上の交流を見ていると、「いいね!」が集まってくる方に共通してあるのは、本人が著名だとか、多くの友達を持っているということだけではないようです。やはり、その方の等身大の思いが見えてくるときや、みんなの役に立つ情報であったときに「いいね!」がついたり「シェア」されたりするのでしょう。実名ということで、自分をよく見せようと、ついつい「いいこと」を言おうとか思ってしまいますが、本人と分かっているだけに実物とかけ離れたことは言えないですよね。フェイスブックを利用しているうちに、いろんな気づきを得られたような気がします。
 誰だか分かっている安心感のせいでしょうか、いまのところ「いいね疲れ」は起こさずにフェイスブックを続けられていますよ。

そして再びブログへ
 そんな紆余曲折を経て、またブログにチャレンジしています。
 今度は、自分がどんなことができるのか、読んでくださる方にお役にたてる情報を発信できるのかということを第一に考えています。そして、発信するのに無理がないペースで、自分のできる範囲で身の丈に合ったブログを展開していきたいと思っています。
 前半ではブログやツイッターでの後ろ向きなところが目立ってしまいましたが、それぞれのツールをどういう風な位置づけにするかを考えて使っていくと、それはしっかりとつながって相乗効果を生んでくれていくようです。ツイッターでコンパクトかつ有益な情報発信をする→リツイートされたり、プロフィールから検索してもらったりする→より詳しく書いているブログなどへアクセスしてもらえる→信頼を得て問い合わせを頂く、というような流れができあがったりするのです。
 しっかりとブログのテーマを方向づけての再チャレンジだったせいか、最初にブログをやっていたときとはアクセス数や反応が比較にならないほどになりました。今は記事を投稿するのが楽しみになってきましたよ。

おわりに
 ブログやSNSって、現実ではありえないつながりができてしまうところが面白いですね。何百キロも離れたところにいらっしゃる方と、まるで面と向かっているようにやりとりができたり、同じ趣味のつながりからオフ会へと発展していったり。正直なところ、一時の挫折はあったものの、開業から現在に至るまで、ブログやSNSの力に助けられてきたと思っています。
 このリレーエッセイもブログの縁があってのことですし、またあらためてブログへのかかわりを考えることができました。この機会を頂いたことに感謝します!
 そうこうしているうちにも、Google+やLinkedInなど、面白そうなものがたくさん出てきますね。これまでの経験で失敗から得るものもたくさんあると思っていますので、新しいものにも臆せず手を出していってみようと思います。ここ最近の課題は動画配信へのチャレンジです。

宮原裕一.jpg

宮原裕一(みやはら・ゆういち)
1972年鹿児島生まれ。やぎ座のB型。-------
会計事務所に10年勤務後、2009年独立開業。
市販で人気の会計ソフト「弥生会計」に精通--
した税理士として、自身が運営する情報サイト
「弥生マイスター」は開設後50万PV達成という
好評を博している。---------------------------
著書・監修に「黒字会社はここが違う」「確定
申告なら、必ずトクする青色申告」など。----

■ブログ

■Twitter


第70回 ブログの可能性を信じて 大阪の補助税理士H.K

第70回 ブログの可能性を信じて
    大阪の補助税理士H.K

プロローグ
 考えてみると、私が「実務経営ニュース」のこの「税務会計系ブロガーサミット・リレーエッセイ」に執筆させていただくことができていること自体、奇跡的なことだと思います。まずはこの場をお借りして、このようなご縁を作ってくださった税務会計系ブロガーサミットと、その関係者の方々に感謝したいと思います。
 現在はブログのみならず、ツイッターやフェイスブックなど、ソーシャルメディア全盛の時代です。今後も展開次第では、大きく可能性が広がる状況になりました。この機会に、これまでの私のブログを中心とするソーシャルメディア活動を振り返ってみたいと思います。

私とブログとの出会い
 私が初めてブログを始めたのは結構古く、2004年4月のことです。ブログの内容も、今のような税務会計に関するものではなく、税理士受験を中心とするものでした。
 当時はちょうどブログが流行し始めた頃、受験に専念するため、前の仕事を退職して頑張っていた私は、試験勉強のログを残すことで自分自身やる気を出すことと、試験勉強の息抜きを兼ねてブログを立ち上げたのでした。週1回は更新することを原則としつつ、気が向いたときには随時更新するというように気楽に続けていました。
 続けていくなかで、税理士受験をテーマにブログをされている他の方ともつながりができ、お互いに讃え合い、励まし合いながら続けることができ、大きなモチベーションアップにつながりました。
 そして、その甲斐もあって、その翌年の税理士試験で官報合格。
 そのときの喜びを胸に、ブログを一気に書き上げたことは、ずっと忘れられません。
 その後、そのブログは税理士試験の合格体験記などを書きながら細々と続けていたのですが、仕事が忙しくなるにつれて更新頻度が減っていき、残念ながらいつしか開店休業状態になってしまいました。

ブログがつなぐリアルなつながり
 現在私が更新を続けているブログ「大阪の補助税理士 きままに税務会計」を立ち上げたのは2010年9月のことです。このブログを始めるに至った最大の理由が、「税務会計系ブロガー・サミット(以下「ブロサミ」)」でした。
 ブロサミとの出会いもブログが始まりでした。といっても、自分自身のブログではありません。さらに、税理士業界とは直接関係ないところから始まりました。
 それはネットサーフィンをしていたときに偶然見つけた、ライフハック、仕事術など、仕事を楽しむことをテーマとしたブログ。そのブログを運営する方が、なんと以前勤めていた会社でお世話になった先輩でした。その先輩が会社を退職されて東京に行かれて以後、連絡をとることもなくなっていたのですが、ブログを通じての「再会」になりました。
 そして、そのブログを購読していると、2009年1月に、先輩が講演されるイベントが大阪で行われることを知り参加。現実にも再会することができたのです。
 開催されるセミナーが私にとって関心があるものだったこともあり、その後もブログを見てセミナー情報を入手し、都合が合えば参加していました。そのなかで、セミナー後の懇親会で同じくセミナーに参加しておられた税理士の方と名刺交換させていただき、そのご縁でブロサミの存在を知ることとなりました。
 そのときは第9回のブロサミ開催前で、開催地は横浜。日程の都合がつかず、私は参加できませんでしたが、その半年後、大阪で行われた2010年秋のブロサミに始めて参加することができました。
 ただ、そのときはブログは立ち上げていない状態。参加要件には税務会計系ブログやツイッターで情報発信をしていることとありました。ツイッターはしていましたが、やはり「ブロガーサミット」ですので、ブログを持っている状態で参加したいと思い、急遽ページを作成して、投稿数ゼロの状態で参加しました。

初めてのブロガーサミット、そしてブログ初投稿
 ブログを通じてつながったブロサミ、刺激的なものでした。既成概念にとらわれず活躍される同業の方。特にそのときのテーマが「税理士業の未来形について」でしたので、今後自分自身がどこに軸足を置いていかなければならないかを考えさせられる、よいイベントになりました。
 そして、その感動を胸にブログ初投稿。記念すべき初エントリは、2010年9月14日「第10回税務会計系ブロガーサミット参加!」でした。

ブログ毎日更新へのチャレンジ
 しかし、その後のブログの更新は今ひとつ。忙しさにかまけるとそのまま開店休業状態になってしまい、年内の更新件数はたったの6件。このままでは、自分自身も自信がつかず変われないと思い立ち、2010年12月31日から毎日更新することにしました。
 最初は本当に頑張れるか不安でしたが、「ダメならダメで」と、少し肩の力を抜いて更新をしていくうちに、繁忙期でもブログだけは書き上げて寝るようになり、気が付けば2011年中できっちり365エントリの投稿を果たすことができました。
 イベントでお会いする方からも、「ブログ見ていますよ」などと声掛けしていただくことも増えてきました。アクセス数も、おかげさまで日々の増減はありますが、じわじわと伸びてきています。

SNSで大きく変わったブログのアピール方法
 ブログを周りの人に見てもらえ、全体のアクセスも伸びてきているのは、ツイッターの効果が非常に大きいと思います。
 これまでは、検索サイトなどで検索されなければ見つかることもなかったブログですが、ブログ投稿が行われる都度、ツイッターに更新情報を自動投稿する仕組みにしているため、タイムリーにブログ更新をアピールすることができます。ブログにもツイッターの画面を表示しており、検索サイトなどからブログに来てくださった方がツイッターでフォローしてくださって、それにより更新を確認されるという相乗効果も生まれています。
 また、ツイッターでブログの更新情報を見た方が、リツイート(他のユーザーのツイートを引用形式で自分のアカウントから発信する機能)をすると、さらに人の目に触れることが増え、アクセス増につながっています。
 ブログの投稿に対するコメントも、ブログそのものに残していただくよりも、ツイッターを通じてコメントをいただくことが多い状況です。ツイッターなくして、これだけ続けていくことはできなかったと思います。
 現在は、フェイスブックの流行著しく、この1、2年で私の周りでも利用者が大きく増えています。フェイスブックでブログをアピールすることができれば、また違う層にお知らせすることも可能になります。

おわりに――今後のブログと私
 私は、現在のブログを、現在のところは自分自身の税理士業の営業活動としては使っていません。あえて実名は出さず、営業色のないブログとしています。
 更新の目的は、読者の方に税務会計や社会保険労務について、「なるほど!」という発見をしていただくことです。この、「読者の方に役立っているか」についての分かりやすい指標として、アクセス数は気になるところではありますが、その動きに一喜一憂せず、ひとつでも多く役立てる投稿を増やしていきたいと考えています。
 ブログは続けることが大事とよく言われます。根気よく続けることで、自分自身で考えもしなかった展開が待っているかもしれません。大きなことを期待しすぎることはしませんが、今後もブログの可能性を信じて情報発信を続けていきます。

大阪の補助税理士H・K
大阪の税理士法人で勤務する補助税理士。
6年間ソフトウェア技術者を経験。---------
その中で、中小企業の役に立ちたいと感じ、
一念発起して税理士試験に挑戦。-------------
在職中より勉強を始め、退職後受験専念、2
年で官報合格を果たす。資格取得後は、一貫
して中小企業のよきサポーターを目指して
活動。-------------------------------------
今後は、在職中に取得した社会保険労務士の資
格を活かして、さらに幅広く顧客の役に立つべ
く奮闘中。-----------------------------------

■ブログ
『大阪の補助税理士 きままに税務会計』

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第69回 現場一筋26年、元国税調査官、日本初メンタル税理士 アート・アセスメント飯田真弓税理士事務所 飯田 真弓

第69回 現場一筋26年、元国税調査官、日本初メンタル税理士
    アート・アセスメント飯田真弓税理士事務所 飯田 真弓

『国税勤務26年』という肩書
 「国税勤務26年元国税調査官、現在は産業カウンセラー、エコラージュ®・セラピスト、メンタル税理士の飯田真弓です!」
 これは講演や研修を行う際の私のお決まりのご挨拶です。
 「えっ元国税? 26年も?」と、場内は一瞬どよめきますが、ツカミはOK! というわけで興味津々、皆さん一生懸命メモを取りながら私の話を聞いてくださいます。講演が終わって、懇親会が設定されているときは、質問の嵐に襲われることになります。
 「『元国税』って、『マルサ』やったんですか?」
 これは必ず聞かれます。『マルサの女』という映画が上映されてから20年以上経ちましたが、未だにこの映画のインパクトは大きいようです。次に聞かれるのは、
 「税務調査ってホンマに『マルサの女』みたいなことするんですか?」 という質問です。
 「はい! 同じようなことをさせてもらってました。でも、私は『マルサ』に所属したことはないのです。」 と私はさらに話を続けることになります。

『強制調査』と『任意調査』
 『マルサ』が行う税務調査は、『強制調査』です。捜査令状を持って調査に入ります。『マルサ』の使命は、調査対象者を脱税犯として刑事告発することにあるからです。かたや、私が行っていたのは『任意調査』です。『任意調査』の『任意』とは、刑事ドラマでよく耳にする、 「じゃあ、任意同行願えますか?」というアレです。
 『任意調査』はあくまで『任意』なので、『マルサの女』のように、強制的にスパナでドアのチェーンをちぎって自宅に侵入したりできません。『任意調査』は『強制調査』と違って、調査対象者の同意なしには行えないのです。これは何を意味するのかというと、『強制調査』よりも『任意調査』のほうが、調査官としては説得力、すなわち、調査能力を要するということです。私はそんな仕事を、気がつくと26年間も続けていたのでした。
 なぜ、親方日の丸で将来安泰の国家公務員を辞めたのかについては、ブログのプロフィールを読んでいただくとして、ここでは経営者であれば、誰しも興味を持たずにはいられない、元国税調査官だから言える税務調査の本質について、少し書きたいと思います。

税務調査の『お土産』って何?
 「この前、税務調査に入られたんですけどね、いったい何を調べに来てるのか、トンチンカンな質問ばかりして、『じゃあ、それはどの法律の何条に書いてあるのか言ってください』って言ったら、その調査官は答えられなかったんですよ。そんなにしてまで、取りたいのかって思いました。」
 これは最近調査を受けた経営者の方からお聞きした話ですが、その税務調査は結局、『申告是認』で終わったのだそうです。
 「えっ? 『申告是認』って、追加の税金無しで調査が終わるってこと⁉」
 「『お土産』を用意しとかないといけないんじゃないの?」と思われたでしょうか?
 『お土産』とは、わざと指摘されるであろう項目をあらかじめ作っておくことです。そして、その項目に対して修正申告をし、追加の税金を払ってまた何年か後に調査に来られるのです。
 ちょっと目先を変えて調査官の気持ちになってみてください。前回の調査で『申告是認』(=何も悪いところがない完璧な経理をしていた)という記事が残されている企業に、調査に行きたいと思うでしょうか。調査日数が3日付与されるとして、調査官の日当3日分をかけても追加の税金を見込めないのであれば、上司もその企業に調査に行くようには指示しないだろうということは、費用対効果を常に考えている商売人であれば、誰でも分かると思います。

何を基準に選定しているのか?
 じゃあ、何を基準に調査対象を選定しているのでしょうか? ここがミソなのですが、国税当局はKSK(国税総合管理)システムというものを導入し、全国津々浦々の情報を管理しています。「同業者と比較して急激に売上が上昇した、外注費割合が多い、期末の棚卸の変動にばらつきがある、……。」という具合に、すべての勘定科目について分析をし、それを基に調査対象者を選んでいきます。あくまで1次選定は机上論。『悪いことをしている度合い』で選んでいるわけではないのです。
調査の選定は、データベース以外からも行われます。それは投書やタレコミです。国税庁や国税局、税務署にはメールや手紙、電話などでたくさんの投書が寄せられます。民間企業でもクレーム処理という業務があると思うのですが、それと同じと考えていただくとよく分かるでしょう。クレーム処理担当は、すべてのクレームを処理するように指示されていると思います。国税も同じこと。クレーム処理は厳しく言われています。どんなにつまらない内容の投書であっても、その実態を確認し、『処理済み』にしないといけないのです。

『内部の事情に詳しいモノ』とは?
 「それなら大丈夫、うちは怨まれるようなことは何もないから!」 と思われた経営者の方、ホントに大丈夫ですか?
 私のところには、昨年も数件「『マルサ』に入られたんですけど……。」という経営者の方が相談に来られました。『マルサ』は1年以上内偵調査を重ね、立件を目的にしているため、私に相談に来られたからといってどうなるものでもありません。それでも経営者の方はお話をされるので、ひと通りお聴かせいただくのですが、皆さん異口同音に「私は何も悪いことはしてない!」とおっしゃるのです。
 なぜ『マルサ』に入られたのか? それは『マルサ』が確かな情報を入手したからと考えるのが普通です。
 『内部の事情に詳しい者の犯行』
 というフレーズはニュースなどでよく耳にしますが、今まで右腕だと思って信頼していた専務や妻、愛人などが不遇を感じたときの常套手段がタレコミなのです。

高級な外車は調査官を引き寄せる?!
 「今期は儲かったから、節税対策に社長は高級な外車を買ったらしいけど、私らにはボーナスを出す気はないみたいですよね。」と社員が口々に言う企業があったとします。経営者が高級な外車を買うのは勝手だと思いますが、それを見た社員や近所の方はどう思うでしょうか?
 「おたくは儲かってて、よろしいですなぁ!」程度なら可愛いものですが、その気持ちがエスカレートすると、あることないことを言いふらしたり、それでも気がすまない場合はタレコミをしたり……。そして、その高級な外車の存在は、調査官にも知られることとなります。
 「高級な外車を買ったということは、他にも仕事に直接関係ないモノを経費に入れているかもしれないな!」と調査官に思わせることになり、 「あともう1件調査に行かないといけないんだけど、どの事案にしようかな?」というときに、「あっ、そうだ! あの高級な外車を買った経営者の会社を選んでおこう!」ということになりかねないのです。

メンタル税理士の任務とは?
 今、私が企業研修などでよくお話させていただいているのは、
 「税務調査に入られたくないのであれば、まず、社内のコミュニケーションをよくしましょう!」ということです。
 経営者の皆さんは、コミュニケーションをよくすることが大切と知っていても、何をどのようにすればいいのか分からないという方がほとんどではないでしょうか。誰しも、今の人材で業績をアップさせたいとお考えでしょう。それはそんなに難しいことではありません。社員一人ひとりにやる気を起こさせればよいのです。
 では、やる気を起こさせるにはどうすればいいのか? それには、社員一人ひとりの潜在意識を顕在化し、内発的動機づけを呼び覚ませばよいのです。
 その方法として、私はドイツで開発された簡単な絵を描く心理テスト『星と波テスト』と『ワルテッグ描画テスト』、心理学を基に私が発案した「エコラージュ®・セラピー・ワークショップ」をやらせていただいています。
 この研修を定期的・継続的に行えば、社内のコミュニケーションがよくなります。すると、メンタルダウンしている社員を早期に発見できたり、予防することもできるのです。
 「エコラージュ®・セラピー・ワークショップ」とは、「コラージュ療法」という心理療法を基に私がアレンジし、商標登録した心理療法なのですが、「コラージュつくり」はSMAPの香取慎吾さんもストレス解消法として取り入れていらっしゃるそうで、ミーハーな私は、いつか『慎吾ママとエコラージュ®』という感じで、香取慎吾さんと一緒にお仕事ができればと思っています。

私にとってブログとは!
 私はほぼ毎日ブログを更新しています。実は小学生のころから文章を書くのが好きで、新聞の投稿欄に投書して、掲載されたこともありました。実家の父が私のブログを毎日チェックしていることを知ってからは、離れて暮らしている両親に近況を報告する意味でも、毎日ネタを探して書いているという次第です。
 私の記事を読んで読者登録をしてくださる方もあり、とても励みになっています。私は特に営業活動をしていないのですが、テレビや雑誌、新聞の取材や、大学での講演など、さまざまなお仕事の依頼があるのは、ブログをしっかりと書いてきたからだと思っています。おかげ様で、ブログの読者登録は600人、ツイッターのフォロワーは6000人、フェイスブックのお友達は800人を超えています。これからも毎日、楽しくてみなさんのお役に立てるブログを書いていきたいと思っています。長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。いつもブログの最後に書かせていただいているフレーズで終わりたいと思います。
 最後まで読んでくださってありがとうございます。
 今日も一日感謝の気持ちで過ごしましょう。

飯田真弓.jpg

飯田真弓(いいだ・まゆみ)
税理士・産業カウンセラー・認定心理士。
初級国家公務員(税務職)高卒女子1期生。
税務大学校大阪研修所に首席で入学。-----
大阪国税局管内の税務署に配属後国税調査の
仕事に従事。-------------------------------
出世よりも子育てを選択、現場一筋26年。
700件にも及ぶ経営者の調査を実施。------
2008年、国税を退職し、独立・開業。メン
タル税理士として、経営者向けの講演、企業
研修を行っている。------------------------

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「経営者必読!『税務調査』3つの錯覚!

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第68回 会社の社員を黒字社員にするための、私のブログ活用法 香川会計事務所 公認会計士・税理士 香川 晋平

第68回 会社の社員を黒字社員にするための、私のブログ活用法
    香川会計事務所 公認会計士・税理士 香川 晋平

はじめに
 はじめに告白しておきますが、私は少し変わった会計人です。
 普通の会計人は、会社の決算書を見て、「この会社は儲かっている(=黒字会社)」、「この会社は厳しい状況にある(=赤字会社)」とチェックしていると思いますが、私の興味の視点は、会社で働く社員です。
 社員の何気ない会話や仕事ぶりを見て、会社の利益を増やす人(=黒字社員)と、会社の利益を減らす人(=赤字社員)を見抜く、そんな会計人です。
 私は大手監査法人に7年間勤務したあと、30歳で当時急成長中だったリフォーム会社の株式会社オンテックスに入社しました。経理部門の責任者候補として採用を検討されていた私は、社長面接でこんな質問をされました。「ところで、君にこれだけ給与を払って、ウチはどれくらい儲かるのかな?」と。
 恥ずかしながら、当時の私は、「会社の利益」については会計理論で詳しく解説できたものの、自分の仕事が「会社の利益」にどうつながっているのか? など考えたこともなく、この質問に、ただ「がんばります!」としか答えられませんでした。
 この質問から、私の価値観は大きく変わり、それからの私は、「この会社では利益貢献を自ら証明しなければ評価されない」と感じて、自分がするどんな仕事も利益換算をするようになりました。
 そうすると、周囲の仕事ぶりまで利益換算してしまうようになり、いつしか何気ない会話のなかからも「赤字社員」と「黒字社員」を見抜くようになってしまいました。
 その「赤字社員」と「黒字社員」の違いについてまとめたのが、私の処女作「東大卒でも赤字社員 中卒でも黒字社員」(リュウ・ブックスアステ新書2010年刊)です。

赤字社員と黒字社員の見分け方
「赤字社員」と「黒字社員」は、何気ない会話のなかからも見抜くことができます。
 拙著「東大卒でも赤字社員 中卒でも黒字社員」では、左記の「赤字社員」、「黒字社員」チェックテストを掲載しました。

▢ 「かなり」や「少し」といった言葉をよく使う
▢ 「業界別・給料全比較」などの特集雑誌に目がない
▢ 「会計本」を読んだが、仕事への活かし方が分からない
▢ 仕事は「気分が乗ったもの」から取りかかる
▢ 会議で自ら発言することはほとんどない
▢ 根拠はないが、自分の会社は「潰れない」と思う
▢ ドンくさい新人は、辞めればいいと思う
▢ 自分の給与なら「会社にいくらの利益が必要なのか」知らない
▢ 自社の「ビジネスモデル」を答えられない
▢ 会社の利益を上げる方法を10個言えない

 右記のうち、5個以上該当する人は「残念ながら赤字社員です。本書をお読みください。」という導入にしています(それぞれの趣旨については本文で詳しく解説していますが、ここでチェックが入らないと誰も読んでくれないので、あえてチェックが入りやすい表現にしています)。
 本書は入社3年目くらいの方を想定読者として書き上げたのですが、その想定読者にはなかなか手に取ってもらえず(苦笑)、一番反応があったのは実は経営者の方々でした。ありがたいことに社員研修の教材として、多くの会社に「まとめ買い」をしていただきました。その経営者の方々に、読後の社員の感想をお聞きしたところ、面白い傾向が判明しました。
 経営者の評価が高い社員ほど、自分のチェックが入った箇所を気にして、「反省の弁」を述べる傾向があるのに対し、逆に経営者の評価が低い社員ほど、「こんな赤字社員いますよね~」と、まるで他人事……。このような「デキるつもり」の自称・黒字社員が、実は、会社にとっては一番迷惑な存在なのではないかと考え、新著「『デキるつもり』が会社を潰す」(中公新書ラクレ2011年刊)を出版しました。前著と同じように、帯に「『デキるつもり』度チェック」として、下記の項目を挙げています。

▢ 名刺交換した枚数を自慢する
▢ トイレで新人の悪口を言う
▢ つねに「できない理由」を探す
▢ 「契約命」で、強引にセールス
▢ 長時間労働を誇る

私のフェイスブック、ブログ活用法
 こういった赤字社員や自称・黒字社員を「本当の黒字社員」に変えて、クライアント企業だけでなく、日本の中小企業を活性化させていくことを「私の使命」と考え、フェイスブックやブログで情報発信を続けています。
 昨今、会計士の就職難が社会問題になるなど、「会計人余り」の時代に突入した感が否めませんが、このような時代のなか、「会計人」が自分ブランドを構築するために重要なのは、「自分の強み」と「キャラクター」の確立ではないかと私は考えています。
 「自分の強み」は、「会計人」である以上、税務や会計が得意なのは当たり前なので、もっと深く掘り下げて、「〇〇に強い会計人」という、「〇〇」の部分を見つけることが重要です。そして、その「〇〇」の部分が本当に「強み」であることを立証するために、ブログなどで自分のコンテンツを出していくことが、自分ブランドの構築につながると考えています。
 私のブログタイトルは、「黒字社員への道」。私自身の出版や講演活動の紹介をさせていただいたり、趣味の読書を活かして、「黒字社員におすすめの本」を紹介したりしています。
 自分ブランド構築に必要な、もうひとつの要素である「キャラクター」については、フェイスブックでプライベートな部分も垣間見せられるように心がけています。

アナログも、まだまだ必要
 一方で、私の事務所のクライアントの状況を見ていると、ブログやフェイスブックに関心を持っていただけない方も多く、まだまだ紙媒体も必要と考えています。当事務所では、毎月クライアントや見込客、他士業に対して「ニュースレター」を発行しています。
 A4表裏2枚(4ページ)で、以下のような4部構成になっています。

1.香川晋平の近況報告
  フェイスブックで投稿した記事から、自分のキャラクターが出せて、なおかつ、ネタになりそうなトピックを選んで、1000字程度にまとめています。

2.スタッフ(税理士)によるワンポイントレッスン
  スタッフ税理士が税務の旬なトピックを選んで解説しています。

3.おすすめ書籍
  毎月テーマを決めて、過去にブログで紹介したものから、2冊を選んで紹介しています。

4.お客様紹介
  毎月クライアントの1社を訪問し、その会社の紹介記事とクライアントから当事務所へのメッセージを頂き、それを「お客様の声」として
  活用させていただいています。

 実はこの「ニュースレター」が、当事務所の最大の集客ツールとなっており、これからもアナログな「ニュースレター」を継続するとともに、ブログやフェイスブックでの情報発信も充実させていきたいと考えています。
 私の事務所では、父の代から「明日の経営をともに考える」を経営理念として掲げており、「お金」や「数字」だけを見るのではなくて、お客様の将来の経営までを『一緒に考える』というスタンスを大切にしています。
 経営は、やっぱりそこで働く「人」しだい。社員の意識が黒字社員化すれば、会社は必ずよくなるはず。当事務所のクライアント社員の黒字社員化はもちろんのこと、全国の社員を総黒字社員化できるように、今後も出版やブログなどで情報発信をしていきたいと考えています。

香川晋平.jpg

香川晋平(かがわ・しんぺい)
大手監査法人を経て、リフォームの株式会社
オンテックスに入社。__________
「社員1人当たりデータ」の導入で、社員の生
産性を向上。入社後90日で管理本部取締役
に就任。_______________
在任2年の累計利益は業種別No.1となる。
その後5期連続50%超増収のベンチャー企業
や従業員平均年収1000万円超の少数精鋭企
業などの会計顧問や非常勤役員を務める。_
関西大学非常勤講師。__________
著書に「東大卒でも赤字社員 中卒でも黒字
社員」、「『デキるつもり』が会社を潰す」。

■事務所HP
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■facebook

2011

第67回 おもろいヤツがモテるねん! 友松悦子税理士事務所 税理士 友松悦子

第67回 おもろいヤツがモテるねん!
    友松悦子税理士事務所 税理士 友松悦子

おもろいヤツがモテるねん!
 関西の小学校で、『誰が一番モテる?』って聞くと、『この人』と、たいていの子が同じ男の子の名前をあげると思います。『なんでモテてるん?』って、理由を尋ねると、これもたいていの子が声をそろえて、『おもろいねん!』と返してきます。
 ほかの地方は知りませんが、関西では間違いなく、おもろいヤツがモテるんです! 関西人同士の会話では、面白い人に対して、『あんた~、吉本行ったらぁ!』とよく言います。取りあえず吉本新喜劇のごとく、関西人の会話には、「ネタ」を入れ、そして「オチ」もつけるのが当たり前なんです。当然そこには「ツッコミ」が入ることを計算して、「ボケ」も入ります。小さいころから、家族や友達との会話のなかにその要素が入ってますので、自然とその起承転結(?)を学んでいるんだと思います。
 んじゃ~、なんでおもろいヤツがモテるのかと言うと~。まず、おもろいヤツは楽しいんですよ。そして、活気もあります。もちろん「ノリ」もいいんです。つまり、誰かが振ったネタにもちゃんと食いついて、積極的に笑いにつなげようとします。
 ですから、周囲の人はそのおもろいヤツと一緒に居ると楽しいし、ずっと話を聞いていたいし、顔を見ていたいし、そばに居たいし、かかわっていたいと思うワケです。……そらモテますわ。これでイケメンやったら言うことない……。(あ、イケナイイケナイ)
 ほな、モテへんヤツってどんなヤツかって考えてみますと……。まず気分にムラのある人。んで、人の話を聞かないで、自分の話ばっかりする人。さらに、自分の意見を押し付ける人。そんな人は、結局空気の読めない「ノリ」の悪い人ですわ。 こういうヤツは、誰かが振ったネタ(意見)にも、たいてい否定から入りますよ。終了。チ~ン、ですわ。……残念。

モテる大人
 これって、小学生がモテる話限定ではなく、大人の社会でも同じやと思うんです。やっぱり楽しい人はモテますよ。異性としてモテるかどうかは別として、人としてモテると思うんです。そらネガティブな人より、明るくポジティブな人のところが居心地ええやないですか。その人との相性の問題は別として、みんなが気を使うような人と、わざわざ一緒に居たくはないですよね。

「笑う門には福来る」
 よう言うた言葉ですわ。自分も周りも常に楽しいと思うような、そんな雰囲気だと、すべてが集まってきて何もかも上手くいきますよね。まぁとりあえず、すべてのものからモテるんですわ。つまり、モテる人のところには、人だけでなく、お金もビジネスチャンスも集まってくると思うんです。

ネットでもモテる
 今や、インターネット上でのお付き合いを無視することはできない時代ですが、ネット上でも、その情報発信者の『人となり』って分かると思いませんか? ブログでのコメント等でのやりとりや、twitterやfacebookでの会話など、確かに相手の顔や表情は見えない(顔写真は出てるとしても)。けど、それでもその人の『人となり』が見えてくるような気がするんです。
 最初に画面を見たときから、この人とは会ってみたいと思う人もいます。そう思う人は、結構人気ブロガーさんが多いです。いや、ミーハーな気持ちではなく、……です。いやいや、イケメンでなくても、……です。なんか感じるものがあるんでしょうね。楽しい記事というだけではない場合も多いです。その感じるものは、もしかしたら、最初の「ボケ」と「ツッコミ」ではないですが、「ノリ」が同じというか居心地がいいというか、それを感じるんだと思います。twitterやfacebookでも同じことです。
 人気ブロガーさんは、まさに人気がある。ファンが多いってことですよね。きっと気遣いもいろいろあり、おもろい記事も書き、読者の方とのお付き合いも上手くやってのけ……、って感じなのでしょう。でもそれだけではなく、やっぱりその人の「ノリ」やその人が持ってる「雰囲気」などが、多くの読者の心を射止めているのだと思います。自分の記事の読者が多いということは、それだけ自分を分かってもらえる機会も多く、また実際に分かってもらえているってことだと思います。
 その人気が、そのままビジネスにつながるかどうかは分かりませんが、ビジネスにもつながりやすいことは確かだと思います。つまり、やっぱり人気がある(モテる)っていうことは、どんな場面においても、人、お金、ビジネスチャンスなど、いろんなモノが集まってくるんだと思うんです。
 ブロガーサミットにご参加の皆様は、人気ブロガーさんが多いですよね。最近はブログを書くというよりは、twitterやfacebookの使用頻度が高いのかもしれませんが。ブログでもtwitterでもfacebookでも、やっぱりモテていらっしゃると思いながら読ませていただいてます。
 ブロガーサミットに参加させていただいたときも、ネットでの交流から予想した通りに楽しかったです。個性豊かというか、それぞれの味が際立っているというか。人間関係もビジネスも成功していらっしゃる陰には、仕事に対する努力はもちろんのこと、人間としての魅力を磨く努力も惜しまれていないのだと思ったのでした。

どんな自分を目指す?
 こんな風に思っていたとしても、果たして自分が周囲から楽しい人だと思ってもらっているかどうかは分かりません。
 そやけどね。いつも周囲の人たちとの楽しい時間を共有したいと思ってるんです。しんどいときもあります。悲しいこともあります。でもそれはみんな同じやし。ネガティブになっても、しゃーないやん! そら、元気に明るくしてるほうが楽しいに決まってるやん!
 理想としては、いつまでも、みんなから楽しいと思ってもらえるキャラでいることです。つまり、目指すは「おもろいオンナ」ですわ。
 ちなみに……、おもろいオンナはイケメンからは、ま~ったくモテませんが……。

友松悦子.jpg

友松悦子(ともまつ・えつこ)
1967年京都生まれ。_______________
一般社団法人事業承継学会一般会員。_______
NPO法人もっと素敵に☆宝塚監事。________
NPO法人C.U.P理事。______________
趣味は陶芸。特技はツッコミ。夫・子供の3人家族。
今後は、会社の設立から次世代への事業承継、そして
先代の相続まで、会社の存続・繁栄のためのお手伝い
をしたいと考え、現在は事業承継学会で学術的な側面
からの事業承継を研究中。また実際に次世代への事業
承継を進行中の中小企業へのインタビューを通じて、
生きた研究とアドバイスを実践している。_____

事務所HP
NPO法人もっと素敵に☆宝塚
NPO法人C.U.P

第66回 0を1にする力 税理士 小田 圭介

第66回 0を1にする力 
      税理士 小田 圭介

告白します。「私はブロガーではありません」。

 皆さん、こんにちは。私は京都で税理士をしています、小田圭介と申します。
 最初からものすごい告白をしてしまいました。ブロガーサミット(以下「ブロサミ」と略します)なのに、なぜブロガーではないあなたが参加できたの? という声が聞こえてきそうです。
 私が初めてブロサミに参加したのは、第8回京都での開催の時でした。もともとブロガーではありませんが、同業者のブログはよく読んでいた私は、ブロサミの存在自体は知っていました。しかし、ブログを書く煩わしさや開催地の遠さから、ずっと参加を見送っていました。
 そんな折、いよいよ地元京都でブロサミが開催されるというニュースが飛び込んできました。しかも、この京都での開催からTwitter枠が設けられ、ブログを書いていなくてもブロサミに参加できるというおまけつき。
 ブログは書きたくないが、ブロサミには参加したいというズボラな私の願望は、見事に地元京都での開催で叶ったのです。早速Twitterのアカウントを取り、「Twitterはじめました。」(いったい誰に向かって言ってるの? と突っ込みを入れつつ)とだけつぶやき、めでたくブロサミに参加することができました。
 当日は著名な税理士の先輩方とお話しすることができ、ミーハーな私はとても楽しい時間を過ごすことができました。さらには、当日の晩、このブロサミリレーエッセイの原稿の依頼まで頂きました。Twitterでの1回のつぶやきでブロサミ参加はもとより、エッセイを書く機会まで得ることができ、インターネットのすごさと自分の運の良さにとても驚いたのを今でも鮮明に覚えています。

いざ原稿を書いてみる
 さて、運よくブロサミリレーエッセイを書く機会を得たものの、棚ボタ的に得た機会であったために、原稿を書く段階でとても苦労することになります。90年代後半、学生時代からインターネット関連のバイトをするなど、インターネット歴は長い私ですが、インターネットにおいておそらく一番の成功体験といえば、今回の「Twitterでの1回のつぶやきでブロサミへ参加し、このエッセイを書く機会を得たこと」だと思います。
 特にブログについてネタもないので、まずは何かヒントを得ようと先輩ブロガーたちのエッセイを一から読んでみました。しかし、この行動はすぐに後悔に変わります。
 なるほど、皆さんブロサミ参加のブロガーだけあって、しっかりとブログについての考え方や成功体験を持っていらっしゃいます。しかし、これらのエッセイはこれからブログを書くヒントにはなっても、今から書く原稿のヒントにはなりません。むしろ、私ごときがブログについて、エッセイを書いていいものなのかという心境になっていきます。
 しかし、そんななかで気付いたのは、ブロサミリレーエッセイというブロガーたちのエッセイにもかかわらず、意外にもブログを継続して書けていない人が多いということです。
 そこで私もくよくよ考えずに、開き直ることにしました。この開き直りにより、私にひとつの妙案が浮かびます。
 それは「ブロガーではないのでブログについては深く書けない。それならば、ブロガーではないという立場を利用して、今からブロガーになるための私自身のブログプランを読者の皆さんに見てもらおう(見てもらった以上、ブログを続けざるを得ないだろう)」というものです。
 多少の下心もあり、かなり図々しい考えですが、読者の方のなかにも、「ブログを活用することで、いろいろなチャンスが広がるというのは理解できるもものの、ブログを始めるということ自体が難しい」と思われている方も多いのではないでしょうか。
 物事をスタートするのは、とても力がいることです。だからこそ、スタート前に最低限決めておかなくてはいけないことがあります。大抵の場合、物事が失敗するのは、それらをしっかりと決めていないからです。これを考えることは、マーケティングの考え方にも繋がります。
 私も前月号でエッセイを担当された公認会計士・税理士の正鬼先生と一緒に、士業のためのコンサルタント養成塾「サムライコンサル塾」に参加し、マーケティングやマネジメントの基礎をみっちり学習し、実践してきました。
 まだ完全に自分のものにはできていませんが、多少なりとも読者の皆様の参考になるように、そこで学習したマーケティングのキーワードを踏まえて、私がこれから作るブログについてのプランを綴っていこうと思います。

「誰が」「なぜ」
 ここは非常に重要です。会社でいえば、「経営理念」といったところでしょうか。まずは、どのような立場でブログを書くのかをはっきりさせなければなりません。
 ブログ開設のきっかけはブロサミですので、当然「税理士」というキーワードは外せません。単に「税理士」というだけでは何の特徴も出ないので、ここに「若手」(現在34歳。税理士業界では若手です)と「男前」(完全に自称です)を入れることにし、「若手男前税理士 小田圭介」が書くブログということにします。
 次のブログをなぜ書くのかについては、自分の置かれた立場によって変わっていくものですし、また変わっていくべきものだと思います。まだまだ税理士としては駆け出しですので、「人気ブロガーになって……」的な不純な動機は押し殺し、若手らしく爽やかに、「税理士として税務・会計を中心とした情報をブログで発信することにより、日本の中小企業を元気にしたい」ということを、ブログを書く理由にしようと思います。

「誰に」「何を」
 次に重要なのがこの部分です。誰(ターゲットとなる客層)に、何(商品やサービス)を売るのかというのは、マーケティングでも核となる部分です。ターゲットを絞りきれていない商売が総花的でうまくいかないように、ブログが続かない理由のひとつに、この部分がはっきり決まっていないというのがあるのはないでしょうか。
 私のブログは「20代、30代の若手経営者・起業家」を対象にしようと思っています。少し範囲が狭いようにも感じますが、ブログの読者をここに絞った理由は、私自身商売をしている友人が多く、「同年代の方を積極的に応援したい」という気持ちと、自分のブログに対して「同年代の方からの反応をもらいたい」という気持ちが大きいことです。
 対象が決まれば、何を書くかは自ずと見えてきます。同年代という強みを活かし、若手経営者が興味を持つような話題を厳選し、分かり易く伝えていこうと思います。税理士が書くブログですので、「税務・会計」が中心となりますが、それだけではおそらく飽きられてしまうので、前述のサムライコンサル塾で得た「マーケティング」や「マネジメント」の基礎についても書くつもりです。

「いつ」「どこで」「どのように」
 これらについては、現実の商売でいえば、「誰に」「何を」と同じ位マーケティングの核となる部分です。
 「いつ」「どこで」については、ブログにおいてもSEOなどを考慮すれば重要なのかもしれませんが、今現在の私はそこまでの知識を持ち合わせておりませんので、フィーリングと知名度でサクッと決めました。毎週水曜日、Amebaブログにブログを書きます。
 最後の「どのように」ブログを書くのかについては、特徴を出すために税理士としての見地から、「損得をはっきり書くブログ」にしたいと思います。これはほとんどの経営者からの相談が、結果的に損か得かという質問に集約されるためです。考えてみれば、経営者が損得を気にするのは当然のことです。いやらしい話ですので、普段はお客様にぼかしてお話しすることも多いのですが、そこはブログ。はっきりと書きたいと思います。

どのようなブログになったのか
 さて、これまで出てきたキーワードについて考えることにより、自分の書くブログの骨子がほぼでき上がりました。キーワードを繋げて書いてみると次の通りです。
 「このブログは若手男前税理士小田圭介が、日本の中小企業を元気にするために、20代、30代の若手経営者・起業家に向けて、税務・会計を中心に、マーケティングやマネジメントについても分かり易く書いたものです。毎週水曜日、Amebaブログにて記事を書きます。このブログの売りは、損得をはっきりさせることです。」
 なんということでしょう。キーワードを繋げただけで、私のブログプランが出来上がってしまっているではありませんか。決して完璧ではありませんが、多少の修正を加えていくこともまたブログを続けるうえでの楽しみと考えれば、まずまずの出来かと思います。
 以上。マーケティングのキーワードを入れつつ、私のブログプランを綴ってきました。プランさえ考えれば、あとは実行するのみです。実行が一番大変ですが、取りあえず始めたブログよりも長続きしそうな気がします。これからブログを始めようとしている方も、私が書いてきた流れで、まずはプランを立てることから始めてはいかがでしょうか。

おわりに
 最後まで読んでいただきありがとうございます。読み返してみると、つたない文章で恥ずかしい限りですが、現状の私の文章力ではこれが精いっぱいです。これから書くブログでは、文章力アップも課題になりそうです。
 原稿の執筆中に、あるセミナーで聞いた「1を2にしたり、2を3にしたりとステップアップするのは意外と簡単だが、0を1にするのが一番力がいるし、難しい」という言葉を何度も思い出しました。インターネットの発達により、知りたい情報はすぐに手に入れることができる時代になりました。それゆえに、私も含めて安易にノウハウを入手しようとする風潮があるように感じます。自分のブログのプランを考え、原稿を書き終えた今思うのは、そんな時代を生き残るのに必要な能力は、まさに「0を1にする力」ではないかということです。そして、その能力の修行の場として、ブログを活用できたらと思います。
 いささか強引な結びではありますが最後はやはりこの言葉でお別れしたいと思います。

 「ブログはじめました!」

小田圭介.jpg

小田圭介(おだ・けいすけ)
1977年福岡県福岡市生まれ。_______
県立福岡中央高校・同志社大学経済学部卒業。
博多生まれのロックンロール育ち。ロックと_
豚骨ラーメンをこよなく愛する34歳。____
好きな名言は「おもしろきこともなき世におも
しろく」(高杉晋作)。__________
お客様の頼れる右腕となれるよう日々奮闘中。

■twitter

第65回 誰かに出会うためのインターネット 正鬼公認会計士事務所 公認会計士・税理士 正鬼晋太郎

第65回 誰かに出会うためのインターネット
    正鬼公認会計士事務所 公認会計士・税理士 正鬼晋太郎

ブログとのかかわり
 私がブログを始めたのは2006年8月のことだと思います。正直言って、ほとんど真面目にブログを書いたこともなく、今現在もまともに書いているとは言えません。そんな私がこのページを書かせていただくのは大変申し訳ないことですが、思いつくことを書いてみます。
 私は継続がどうも苦手で、ブログについて、いまだにまともに続いたことがありません。twitterで少しつぶやく位のものです。自分で情報発信はあまりしていませんが、開業当時の暇な時期には、ずっとネットにかじりつき、情報発信をされている先輩税理士先生方のブログを拝読していました。

ブログによる出会い
 監査法人で4年働き、その後独立したので、税務実務については不安がありました。会計事務所流の仕事のやり方を誰かが教えてくれるわけでもないので、先輩税理士先生のブログの文脈を読みながら、いろいろと学んでいきました。また、通常の申告業務のみならず、コンサルティング力を高めたいという思いを持っていましたが、なかなか情報も得られない状況でした。
 ある日、ふと木村聡子先生の『税金マニア』(現在、ブログの更新を停止中)という有名なブログを見ていましたら、『税理士コンサル化プロジェクト』(http://www.z-consul.com/)というものが、目に入りました。「おー、これだこれだ」と、即座に申し込みました。京都の近藤学先生が主宰されるSNSでした。

ブログ経由でのリアル人脈
 『税理士コンサル化プロジェクト』に申し込みをすると、京都の近藤先生から直接電話をいただきまして、かなりびっくりしました。ネットで見ていた人から電話がかかるとは当時は思ってもいませんでした。テレビに映っている芸能人から電話があったようなものです。
 このSNSでも私はほとんど情報発信をしていませんが、先輩税理士の方々の発言を読むにつけ、「なるほど」と数多くの悩みが解消していき、とても助けられています。
 『税理士コンサル化プロジェクト』を見ていたら、ブロガーサミットなるものの記事が出てきて、参加者を募っていました。ネット上では見聞きしていたものの、ブロガーというほどのブログも書いてない私は参加資格がないと思っていました。その時は偶然twitter枠という話もあり、まあ、twitterも少しやっているし、業界の有名人の顔でも見に行こうと物見遊山で横浜まで出掛けました。

ブロガーサミット参加
 軽い気持ちで参加したブロガーサミットでしたが、そこには若手税理士界の有名な方々、本を書かれている方々など、多士済々で埋め尽くされていました。
 駆け出し税理士の私からすれば、恐れ多い方々ばかりですが、話をさせていただくと、普通に対応してくださり、大変有り難かったです。
 すごい方たちばかりですが、違いは情報発信しているかどうか、よい情報に触れているかどうかだと感じました。ブロガーサミット参加で多くことに気づき、その気づきによって、その後の自分の行動が変わっていきました。

その後のネット活用
 ブロガーサミットでの気づきから、よい情報を得ようとネットを活用し、よいセミナーがあれば、東京でも大阪でも出掛けるようになりました。衝撃的だったのは、サムライコンサル塾という12回連続のセミナーです。私はコンサルティング力をテーマにしているので、この塾にも参加し、まだまだ修行中ですが、よい学びをいただいています。その学びにより税理士業界のみならず、コンサル、講演家、著者などいろいろな方々との交流が増加し、それが新たな発想をもたらしてくれています。

情報の直輸入、情報の卸売販売業
 いろいろな情報を入手して思うのは、地域間格差、世代間格差が大きいことです。ネットをたたけばいくらでも情報は出てきます。それでもネットを使わない人もいるし、たとえ、情報を知っていても、それを実行に移さない方のほうが多いと聞きます。ここに、まだ我々の業界でもやるべき術があるのかなと感じています。
 アメリカで流行したものを日本に直輸入して大ヒットする、という事例が多くありました。同じく、東京もしくは都市部で流行ったものを地元でやってみる。独創性はないかもしれませんが、著作権に触れない範囲で徹底的に真似て実行する。
 まだまだ、このような手法でも我が地域では目新しいものらしく、やっていけそうだと感じています。それがいつまで続くか分かりませんが、取りあえずは、情報を都市部から直輸入して、情報の卸売販売業として、事務所運営を続けられたらよいなと思っています。

最後に
 それにしても、インターネットやソーシャルメディアなどは恐ろしく変化が早いですね。ブログ、メルマガ、twitter、facebook、次はGoogle+ですか。ついて行くのがやっとです。ですが、どうせやるなら早いほうがよいといろいろ実験し、取り入れようと頑張っています。ネットはあくまでも入り口で、最後はどちらにしてもリアルに繋がることが重要だと思います。本来ならば、出会うことのできなかった人に、ネットを通じてリアルに繋がれる。繋がれることに感謝です。これまで繋がってくださった皆様に感謝です。ネットの先にはきっと繋がるべき誰かがいると信じています。

正鬼晋太郎.jpg

正鬼晋太郎(まさき・しんたろう)
1973年1月29日山口県岩国市生まれ。
慶応義塾大学商学部卒業。_____
広島銀行に入行後、丸2年勤務し退職。
ちょうど金融危機を目の当たりにして、
手に職をつけようと一念発起し、公認会
計士試験にチャレンジ。数年後合格。_
監査法人トーマツに入所。4年の勤務を
へて、2006年8月に独立開業。___
『地域を元気に』『地元から上場企業を作
る』を合言葉に地域密着型公認会計士、
税理士として日々奮闘中。______

■事務所ホームページ
■facebook
■twitter

第64回 ブロガーサミットに参加して世界が広がった こちら中小企業総務部 不破茂夫

第64回 ブロガーサミットに参加して世界が広がった
    こちら中小企業総務部 不破茂夫

 こんにちは、ライブドアブログ「こちら中小企業総務部」を書いています、岐阜の不破茂夫です。私はブログのタイトル名の通り、中小企業(従業員120名)の総務部に勤務しています。当社には経理部が無いため、総務部ですが税務・会計の仕事もしています。税理士ではないのですが、税務会計の仕事をしているため、税務会計つながりで「税務会計系ブロガーサミット」に何回か参加させていただいています。

ブログを始めたきっかけ
 私がブログを始めたのは2005年2月11日でした。ある雑誌にこれから流行るだろうと予想されていたウェブログ(ブログ)のことが大きく取り上げられていました。その記事を読んで、とてもおもしろかったので、早速自分のブログを作ることにしました。この日は祝日で仕事が休みだったので、3時間以上もパソコンに向かってブログの設定をしていました。簡単な自己紹介を記事にして最初の投稿をしました。楽しい気分でした。

ブログの更新が楽しくなった
 ブログを始めた最初のころは、自分の仕事ぶりを誰かに読んでもらえたらという気持ちもあって、仕事日記をメインにして記事を書いていました。始めてみると毎日ブログの記事を書くのが楽しみで、仕事が終わって帰宅すると、すぐにパソコンに向かっていました。ブログは意外と自分に合っていたのか、それまでは日記を書いても三日坊主でなかなか続きませんでしたが、ブログの更新はずっと続いています。
 ブログにだんだん慣れてくると、記事を書くだけでなく、ほかの人のブログも見るようになりました。同じ総務・経理の仕事をしている人や税理士、ファイナンシャルプランナー等のブログを探して記事をチェックするようになり、コメントやトラックバックのやり取りを通じて、ブログ上で仲良くなる人が増えてきました。その中には、のちにブロガーサミットでお会いすることとなる税理士さんも何人かいました。

ブロガーサミット参加へ
 2006年になると、木村先生や大林先生のブログで「税務会計系ブロガーサミット」の開催告知を見るようになりました。初めはおもしろいイベントをするんだなぁと、他人事のように見ていましたが、しばらくすると、ブログ上で仲良くなった税理士ブロガーの人に会ってみたいと思う気持ちが強くなりました。税理士ではない私は、ブログ上で幹事様の参加許可をもらい、正式に参加を決めました。記念すべき第1回税務会計系ブロガーサミットは、2006年3月に東京銀座で開催されました。サミット当日は緊張しながらも、ワクワクした気持ちで東京へ向かいました。

第1回ブロガーサミット
 ついに第1回税務会計系ブロガーサミットが始まりました。参加者は全国各地の税務会計系ブロガーと協賛企業の人たちで、合わせて40名ほどでした。当然初めて会う人ばかりでしたので、名刺交換をしながら参加者との交流を深めました。私は仕事の都合上、匿名でブログを書いていたので、自己紹介をする時に、自分のブログ名もいっしょに紹介していました。すると、「そのブログ見たことありますよ。」と何人かの人に言われました。参加者の人たちは、自分と同じようにブログ記事を書くだけでなく、ほかの人のブログもよく読んでいるのだなということが分かりました。また、初めて会っているはずなのに、ブログ上でコメントのやり取りをしていることもあって、すでに何回もお会いしているような不思議な感覚がありました。これはほかの参加者の人たちも、それぞれのブログ記事に書かれていました。そんなこともあって、参加者同士すぐに親しくなり、2次会のカラオケは深夜まで盛り上がりました。もちろん私も参加しました。

その後のサミットにも参加
 第1回サミットで味わった全国各地のブロガーとの出会いに感動し、いろいろなブロガーの人たちとお会いして、もっと刺激を受けたいという気持ちが強くなりました。その後半年ごとに各地持ち回りで行われることが恒例となった、第2回以降のブロガーサミットにも、都合のつく時はできるだけ参加してきました。
 第1回の東京以降も、大阪、名古屋、福岡、札幌、神戸、千葉、京都、横浜、再び大阪と、全国各地でサミットが開催されました。それぞれのサミットで、また新しいブロガーと出会い、過去のサミットで仲良くなったブロガーと再会し、限られた時間ですが、楽しく参加させていただきました。頂いた名刺は100枚を超えました。
 ブロガーサミットは開催されるたびに、それぞれのサミットの幹事さんがいろいろと工夫を凝らした企画を考えてくださいました。懇親会だけでなく、税理士やほかのブロガーの講演やパネルディスカッション、テーマを設けて実施したグループ討論など、普段聞けないような話がたくさん聞けてとても参考になり、同時に大いに刺激を受けました。

個性的なブロガーたち
 税理士をはじめ税務会計に携わっている人たちは決算、確定申告、相続など税務会計で、すばらしいお仕事をされていますが、職業柄もあって地味で堅いイメージが強いです。しかし、ブロガーサミットに参加されている人たちは、個性的で楽しい方が多く、各地でご活躍されています。自分のブログで個性的な記事を発信し、読者が多いカリスマブロガー、本を出版している人、地元でセミナーを開催している人、相続や不動産など、自分の得意分野を明確にして仕事をしている人、仕事以外の趣味・特技を前面にアピールしている人、最近ではtwitterやfacebookなどで個性を発揮している人などもいます。
 ちなみに、私はサミットごとにオリジナルの名刺を作ったり、サミット会場の事前下見をしてその写真をブログ記事にアップしたり、ブログ上でサミットのカウントダウンをしたりして、ちょっとした話題になりました。

サミットに参加して世界が広がった
 第1回のブロガーサミットに参加してとにかく感動しました。ブログ上での交流だけでなく、実際にブロガーの人たちとお話ができて本当によかったです。先ほども書きましたが、個性的なブロガーの人ばかりで、税務会計の話にとどまらず、仕事・職場のこと、地元のこと、趣味・プライベートのことなど、いろいろな話を聞かせていただき、世界がとても広がりました。
 第2回以降のサミットにも参加して、新しいブロガーとの出会いでまた違った話が聞け、サミットが全国各地で開催されるため、札幌、福岡など今まで行ったことがない所へも行けて、さらに世界が広がりました。twitterを教えていただいたのもブロガーサミットでしたし、ブログ上で分からないことを教えていただいたり、いろいろな本を紹介していただいたりしたのもブロガーサミットでした。
 最後に、今年(2011年)3月のサミットは東日本大震災の影響で残念ながら開催できませんでしたが、再びサミットが開催されれば、今後もできるかぎり参加して、さらに世界を広げていきたいです。ブロガーサミットは私の中の世界を広げてくれる、すばらしい集まりです。今後ともよろしくお願いします。

不破茂夫1.jpg

不破茂夫(ふわ・しげお)
岐阜県岐阜市生まれ。____
現在岐阜県内の従業員120名の
中小企業の総務部に勤務。__
総務の仕事だけでなく、経理・
労務・人事の仕事も担当してい
る。____________
現在、社会保険労務士と行政書
士の資格取得のため勉強中。_
資格取得により実務能力のさら
なる強化を目指す。_____
税務会計系ブロガーサミットに
は第1回から参加。_____
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