「なでしこM&A」で学ぶ・つながる・広げる
本日は、株式会社日本M&Aセンターの後援を受けて発足した女性会計人向けのコミュニティ「なでしこM&A」について、発起人であるアテナ税理士法人の池田祐香先生、みらいと税理士法人の惣福脇さな子先生、株式会社合同総研の篠原敦子代表取締役社長にお話を伺います。また、顧問を務める税理士法人大樹の村平進CFOと、活動をサポートする日本M&Aセンターの上夷聡史さん、和田梨沙さんにもご同席いただきます。
まず、発起人である3名の先生方に事務所の沿革をお聞きしましょう。
アテナ税理士法人は2024年設立で、福岡市中央区に拠点を構えております。特徴は、税理士3名のうち男性は1名で、他のスタッフは全員女性という「女性中心のチーム」である点です。
M&Aに積極的に取り組むようになったきっかけは、昨年の「税理士サミット」で日本M&Aセンターさんと出会ったことでした。そのときに上夷さんから会計事務所との連携に対する熱意を伺い、何か一緒にできないかとの想いから日本M&A協会に加盟しました。
みらいと税理士法人は福岡で2020年に創業し、2025年には大分にもオフィスを設置しました。福岡事務所の代表税理士は三重野和敏と私、大分事務所の代表税理士は岡本安功で、総勢約20名の体制で企業を支援しています。
ちなみに私は公認会計士でもあり、最近はIPOや成長企業の経営伴走に加えて、地元企業の事業承継に向き合う機会も増えています。そのソリューションとしてM&Aをより専門的に扱いたいと考えていた矢先に、池田さんから日本M&A協会をご紹介いただきました。
株式会社合同総研およびGO&DO篠原税理士法人は、約70年前に父が創設した事務所が前身です。現在は広島市中区に本社と支社を置き、代表の私を含む15名の税理士と約50名のスタッフを擁します。
日本M&Aセンターとは父の代から交流していますが、近年は顧客のニーズを受けてM&Aにいっそう深く関わるようになり、私も日本M&A協会の中四国支部長を担わせていただいております。そうしたご縁もあって、女性の活躍を促す「なでしこM&A」の発足に協力してほしいとのご要請をいただき、私としても意欲ある若い女性を応援したいということで参加させていただきました。

村平さんにも伺いましょう。
はい。私は愛知県の一宮と名古屋にオフィスを持つ税理士法人大樹のCFOを務めています。と同時に、日本M&A協会の東海支部長であり、MARINA(日本M&Aセンターが提供する会計事務所向けのM&A情報プラットフォーム)のアンバサダーでもあります。その関係で「なでしこM&A」に携わることになり、顧問を引き受けました。
そもそも「なでしこM&A」とは、どのような組織ですか。
ひと言でいうと、会計業界の女性がM&A業務を勉強するためのコミュニティで、①M&Aの基礎から実務まで体系的に学ぶ、②同じ志や課題を持つ仲間とつながる、③新たな知識や経験を通じてキャリアの可能性を広げる、という3つの価値を軸にしています。主な活動は定期的な勉強会や懇親会で、今年6月に福岡で第1回、9月に大阪で第2回を開催し、12月には東京で第3回を行う予定です。
女性ならではの視点で会計業界を活性化!
「なでしこM&A」が発足した経緯を教えてください。
もともと村平さんと惣福脇さんと私は京都大学の上級経営会計専門家(EMBA)プログラムの同期生で、ある会食の席で村平さんと私がご一緒する機会がありました。そのときに村平さんが、「女性の活躍を後押しする企画を構想している人物がいらっしゃる」と、和田さんの存在を教えてくださったのです。
和田さんから「女性の視点で会計業界を活性化する方策を模索している」と伺っていたので、そのことを池田さんにお伝えしたら非常に盛り上がりまして。そこから女性対象のM&A勉強会のアイデアが浮かび、企画が進みました。
村平さんが私の想いを池田先生につないでくださり、わずか2カ月ほどでコミュニティの立ち上げが決まりました。おふたりの行動力には本当に感謝しています。

なぜ「女性会計人×M&A」なのでしょう。
弊社は会計事務所様と連携したM&Aを促進していますが、その経験からすると、女性会計人の方々は顧問先様の財務状況はもちろんのこと、心情や悩みのような定性面まで深く理解されている傾向が強いと感じます。また、経営者様の想いを汲んで譲渡先を決断するフェーズにおいても、女性のほうがリードタイムが短い印象があります。
一方で、M&Aを「自分の業務ではない」と捉えている方が少なくないように思います。そこには働く女性ならではの不安が関係していると私は思うのです。つまり、結婚や育児などによるライフステージのめまぐるしい変化のなかで、モチベーションを維持し続けることが難しい時期も少なからずあるのではないかと。それなら、そうした懸念を超えて仕事に向き合い、M&Aを活用したいと望む女性会計人のポテンシャルを高めるお手伝いを弊社がするべきだと考えました。
「なでしこM&A」を通じて女性がM&Aを学ぶ機会を創出し、男性の先生方にもその可能性に共感していただけば、皆様の顧問先支援はさらに活性化するはずです。そして、このコミュニティが広がって女性会計人の知識や提案力が全国的に向上すれば、会計業界全体の発展にもきっと寄与します。「女性会計人×M&A」という発想は、そのような志から生まれました。
弊社は会計事務所様と一緒にM&Aを進めるなかで、時代に即した意識改革の必要性を常々訴えてまいりました。その一環として、「なでしこM&A」の効果にも期待を寄せています。今は勉強会が中心ですが、将来的には参加者の皆様が実践的な情報を持ち寄り、共有できるコミュニティに発展させたいですね。
私は以前から企業における女性の立場や働き方に注目していて、愛知県岩倉市の男女共同参画委員も担っています。そのなかで気づいたのは、個人では声を上げづらくても、皆で力を合わせれば大きな力になるということです。会計業界にもやりたいことができていない女性は少なくないという仮説のもとで「なでしこM&A」が発足しましたが、6月の第1回勉強会には予想を超える反響があり、驚きました。

M&Aに欠かせない寄り添うような伴走力
女性会計人がM&Aを扱う意義を、どのように考えていますか。
この先、会計事務所の定型業務の一部はAIに取って代わられるといわれています。その一方でM&A業務は経営者様ときちんと対話し、ニーズを引き出し、目的のために伴走することが大切で、それは人間にしかできません。私は男性女性というカテゴリー分けはあまり好きではありませんが、女性が会計業界で活躍するうえで、そこを磨くことは非常に重要だと思っています。実際、ライフステージの変化を経験してきたことは、経営者様に寄り添ううえで強みになり得ると思います。
