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相続・事業承継から組織再編成・資本政策へより高度にアプローチ

YUIアドバイザーズが追求する資産税分野の最適解

株式会社YUIアドバイザーズ 代表取締役
税理士法人ゆいアドバイザーズ 代表社員/税理士
玉越賢治

株式会社YUIアドバイザーズ
株式会社YUIアドバイザーズ/税理士法人ゆいアドバイザーズ(東京都中央区)は、相続・事業承継対策、組織再編成、資本政策、M&A・MBO、国際資産税、民事信託、不動産コンサルティングなど、資産税分野に特化したサービスを展開するアカウンティングファームである。旗揚げしたのは、資産税特化事務所として業界でも有名な税理士法人タクトコンサルティング(東京都千代田区)の二代目社長を務めた玉越賢治氏(写真)で、 異なる大手会計事務所で資産税分野に携わってきた税理士が集結した結果、総勢29名の専門家集団が出来上がった。設立からわずか3年で書籍の出版やセミナーの主催も実現し、オフィスの拡大移転も果たして勢いを増す同社は、来たる5月にスタートする弊社主催のセミナー「同族会社の相続・事業承継 超深掘り実務講座」も担当することが決定している。 そんなYUIアドバイザーズの近況や将来的展望を玉越先生に伺うとともに、全4回+特典講座を予定するセミナーの詳細や注目点についても語っていただいた。(写真撮影 市川法子)

相続・承継を補完する新たな領域への挑戦

── 本日は、去る11月にオフィスを拡大移転された株式会社YUIアドバイザーズにて、代表取締役でいらっしゃる税理士の玉越賢治先生にお話を伺います。

令和3年に東京・日本橋で開業なさってから3年を経て、同じ日本橋にある新たなビルへ拠点を移されたということで、その経緯からお聞かせください。

玉越 はい。長らく勤めていた税理士法人タクトコンサルティングを退職して独立し、YUIアドバイザーズを創業したのは令和3年7月のことです。ちょうどコロナ禍だったため、世の中ではテレワークが推奨されていました。そういうわけで、弊社もスタート時点からその体制をとりましたが、特に業務に支障もないので、コロナが収束してからもそのまま各自の判断でテレワークや時差出勤も可としていました。

ところが、出社して仕事をするスタッフが徐々に増えてきたのです。そのほうが家庭と仕事を切り分けられる、集中できるということもあるでしょうし、やはり同僚と意見交換や相談をできることも重要なのでしょう。デスクはフリーアドレスにしていましたが、日によって満席になることも多くなり、それならもう少し広いオフィスを確保しようということになりました。

── JR新日本橋駅の真上に建つオフィスビルで、神田駅や三越前駅にも近く、とても良い場所ですね。

玉越 もともと日本橋で開業し、私もメンバーもそのロケーションが気に入っていたので、同じ日本橋にこだわって探しました。おっしゃるとおり、新日本橋駅の真上に建ち、神田駅や三越前駅、小伝馬町駅も徒歩圏内なので非常に便利です。

── 顧客にとっても、アクセスのしやすさはメリットですね。

ちなみに、貴社は相続・事業承継関連のコンサルティングを主に提供してこられましたが、その方向性は今も変わりませんか。

玉越 ご存じのように、私の前職は資産税特化型の会計事務所でして、そこで社長を務めていた時代に事業承継を軸にしようという柱を立てたんですね。また、会計事務所と提携する形で、先生方からご紹介いただく顧問先の案件を中心に取り扱うという方針も据えました。

独立後もその流れを汲み、創業当初から「相続・事業承継の専門家集団」であることを打ち出していましたし、今も請け負うお仕事の約8割は税理士、公認会計士、弁護士など士業の先生方からご紹介いただいています。ただ、現在のウェブサイトのトップページでは「相続・事業承継、組織再編成、資本政策の専門家集団」と標榜しているとおり、組織再編成と資本政策の仕事も数多く手がけています。

── そこには、新規事業を開拓する狙いがあるのでしょうか。

玉越 前職で相続・事業承継に目を向けたときもそうでしたが、私は自らああしよう、こうしようと戦略的に考えるよりも、「今後はこういうニーズがあるんじゃないか」という傾向を読み取ってサービスを提供してきました。実際、ここ最近は組織再編成や資本政策に関する悩みを抱える顧客が増えているものですから、ニーズに応えるためにその分野もアピールすることにした次第です。

と同時に、私が事業承継問題を扱い始めた頃はたしかに先駆的でしたが、今はそれを標榜する会計事務所も多くなってきたので、差別化を図るためにも組織再編成と資本政策を強調する意義はあると考えています。

YUIアドバイザーズのウェブサイト画面
https://www.yui-advisors.com

株式会社YUIアドバイザーズ

開業3年で実現した書籍出版とセミナー主催

── 令和6年9月には、税理士法人ゆいアドバイザーズが編集した書籍『Q&A事業承継に役立つ組織再編・資本政策』も出版されましたね。
玉越 ええ。株式会社YUIアドバイザーズや税理士法人ゆいアドバイザーズに、コンサルタントやアドバイザーとして所属する税理士や弁護士が共同で執筆しており、まさに弊社が目指す方向性を集約した書籍です。「私たちはこういう領域に特化しています」ということをアピールするために出版したと言っても過言ではありません。

── これを読めば事業承継に関わる組織再編成や資本政策のノウハウがすべてわかる、というくらい充実した内容です。執筆には相当な労力を注がれたのではないですか。

玉越 我々は現場の仕事をしながら書くものですから、誰かにお尻を叩いてもらわないとなかなか締切に間に合わせられませんね(苦笑)。しかも税制は毎年のように改正されるので、発行時期に応じた最新の情報を織り込まなければいけません。その点が、税法に関する執筆の大変なところです。

── 読者からは、どのような反響がありましたか。

玉越 「事業承継の玉越」というイメージを持ってくださっている方々は多いようで、私はその世界ではそれなりに認知されていると思うんですよ。そこへ新たに組織再編成と資本政策も打ち出したということで、好意的に受け取っていただいていると感じています。

── 昨年10月31日にはビジョンセンター東京八重洲にて出版記念セミナーも開催されましたが、大盛況でしたね。

玉越 はい。YUIアドバイザーズ主催としては初のセミナーでもありましたが、税理士や公認会計士、弁護士の先生方を中心に多くの皆様にご参加いただくことができました。8割以上が同業の方だったこともあって、会場の雰囲気やレスポンスも非常に良かったと思います。セミナー終了後の懇親会も、とても賑やかでした。

── 弊社も協賛という形でお手伝いさせていただきましたが、満員というほどの集客を実現できたのは、貴社の皆様が各所へ丁寧にご案内された成果でしょうね。

玉越 セミナーにご興味のありそうな先生方には、私からも個別に案内をさせていただきましたが、どれだけ集客できるだろうかという点は不安でした。貴社をはじめ、税理士向けセミナーの企画・運営会社各社様にもご協力いただき、成功させることができました。

── 開業からわずか3年で書籍を出版し、大きなイベントも主催なさったことは、玉越先生をはじめとする貴社スタッフの信頼度の高さに負うところも大きいと思います。

ただ、運営サイドの裏話として、開催日を税理士の先生方が忙しい月末に設定して大丈夫だろうかという声もありましたね(笑)。

玉越 そうなんですよ。その点だけは、お誘いした何人かの先生からも突っ込まれました(笑)。月末だったために出席できなかったという先生もいらっしゃったようで、その辺の事情を考慮せずに開催日を決めてしまったことは反省点です。

── むしろ月末にもかかわらず、あれだけ多くの方々が集まられたのはすごいことです。

YUIアドバイザーズのメンバーが執筆した書籍『Q&A事業承継に役立つ組織再編・資本政策』(2024年9月刊/日本法令)。 出版記念セミナーの様子。
株式会社YUIアドバイザーズ
株式会社YUIアドバイザーズ

専門家集団としてより高度におもしろく

── 開業3年の節目を経てオフィスを拡大し、組織再編成や資本政策といった要素も取り入れて新たなステージに踏み出されたわけですが、次の3年、5年、10年について、どのような展望をお持ちですか。

玉越 私も今やそこそこの年齢なので、事務所をひとりで牽引していて、ある日、突然倒れるようなことがあったらどうなるのか。メンバーにとっても、それは切実な心配事だと思うんですね。ただ、最近は出版記念セミナーでも登壇した弊社のコンサルタント・税理士である荒井 大が精力的に全国を回っていますし、同セミナーで私と対談した財務省主税局出身の高橋達也さんもアドバイザーとして協力してくれることになりました。他にも弊社ウェブサイトの「主要メンバー」で紹介しているように、異なる出身母体で資産税実務を経験してきた多才なメンバーがそろっていますので、どのような案件に対しても、お客様が望まれる方向性に沿うアドバイスとサポートを個々のスタッフが提供できる体制は整っています。

── 当初から「専門家集団」であることを標榜してきましたが、この先もプロフェッショナルなネットワークづくりをいっそう強化していかれるのでしょうね。

玉越 ええ。実践的なノウハウを持つ税理士・公認会計士の集団という強みを活かし、より高度といいますか、自分たちがおもしろいと感じられる仕事をしていきたいですね。

── その地盤を固めるうえでも、全国の会計事務所との業務提携を推進し、彼らが抱える難易度の高い事業承継、組織再編成や資本政策などの案件をサポートしていくと。

玉越 おっしゃるとおりです。この3年で約100箇所の会計事務所と提携を結んできましたので、これからも増やしたいと考えています。

これには、関わってきた多くの方々のご助言やご協力のおかげもあり、事業承継コンサルティングという分野を自ら開拓してきたという自負もあります。その甲斐あって、3年前に独立したときも、親しくお付き合いさせていただいていた多くの先生方が私との関係を継続してくださりました。

ですから、やはりこの分野は自分のフィールドなのだという意識で業務拡大に臨みたいですし、これからも順調に広げていけるだろうと思っています。自分が培ってきた人脈を活かしながら、セミナーの講演や書籍の出版のような昔ながらの広報手法を積み重ね、新たな人々との関係も築きたいですね。

なお、弊社編集の書籍としては、令和6年4月に『改訂版 Q&A国際相続の実務と国外転出時課税』も出版しました。これは私が前職に就いていたときに出版した書籍を、執筆の中心であった中山史子(現 弊社コンサルタント・税理士)が再び中心となって改訂したものです。今後は、この本で解説しているような国際相続にも力を入れていきたいと考えています。

2024年11月に移転した新オフィスの様子。日本橋にこだわって選んだという東短宝町ビルはJR新日本橋駅の真上に建ち、神田駅や三越前駅、小伝馬町駅にもほど近い。

株式会社YUIアドバイザーズ

会計業界の必須課題を深掘りする実務講座

── さて、貴社の先生方には、5月からスタートする弊社主催のセミナーに登壇していただくことも決定しました。「同族会社の相続・事業承継 超深掘り実務講座」という題目ですが、その内容についてご説明いただけますか。

玉越 私たちはこれまでも相続・事業承継に関するセミナーを各所で行ってきましたが、今後はこれらに加えて組織再編成と資本政策にも力を入れていきたいという考えから、今回は書籍『Q&A事業承継に役立つ組織再編・資本政策』を土台に多様なテーマを取り上げます。これを機に、書籍にまとめたようなことを深く知っていただきたいですし、会計事務所の皆様が弊社との提携をご検討いただくきっかけにもなったら良いですね。

── 相続や事業承継を将来に控えた顧客企業をお持ちの会計事務所の皆様にとって、大いに参考になりそうです。

玉越 従来から指摘されているように、現在、戦後に起業された方々、あるいはその2代目の方々が続々と引退されているので、多くの会計事務所にとって取引先の事業承継問題は避けられない課題です。成長した起業グループの組織再編成や資本政策の見直しも重要な課題です。とはいえ、一般的な税務・会計とは異なる部分も多く、基本知識を学んだうえで、実務においては弊社のノウハウを活用していただければ効率的ではないでしょうか。

── 基本的な知識を得ておけば、顧客から相談が来ても困らず、ある程度の対応はできると。

玉越 はい。より専門的な業務は弊社のような専門家に委ねていただくとしても、お客様としては入口は顧問の先生にアドバイスしてもらったほうが安心ですから。いきなり「その問題に関してはYUIアドバイザーズを紹介します」と突き放すのではなく、お客様の第一義的なご相談に応じられる程度の知識は持っておいたほうが良いでしょう。

── 講座は全4回のシリーズで、先ほど話題にのぼった荒井 大先生と中山史子先生の他、髙橋大貴先生と岡 隆充先生が講義をしてくださる予定です。

それに加えて第5回には、おまけの特典講座も用意されているのですね。

玉越 そのとおりです。講座の締めくくりとして、昨年10月の出版記念セミナーに登壇した高橋達也さんと私で、「事業承継税制、その本質と将来像」というテーマであらためて対談を行います。

彼は20年以上にわたって財務省主税局に在籍して資産税分野の税法の創設・改正を担当した経歴を持ち、特に平成21年に施行された事業承継税制を創設した中心人物です。その後も国税庁所管の税務大学校で教鞭をとったり、沖縄・金沢・高松の各国税不服審判所で所長を務めたりして、令和6年に退官・独立しました。

彼との付き合いはもう10年近くになりまして、民間の税理士になったのだから一緒に何かやろうよということで、弊社の手伝いをしてもらっています。そんな高橋さんと私の対談を、目玉のひとつにしようというわけです。何しろ彼は事業承継税制を作った張本人なので、私たちが知らない世界を教えてくれるだろうと。当然、言えないこともあるでしょうけれど、かなり奥深い話を聞けるはずですよ。実際、10月に行った対談も1時間弱ではありましたが、大好評でしたから。

── たしかに、あの対談はとてもおもしろかったですね。

玉越 そういうわけで、今回は時間も大幅に増やして、特典講座として開催することにしました。

── 本題の講座を受講された方のみ特典の対談を視聴できますので、読者の皆様にはぜひご参加いただきたいと思います。

先日の出版記念セミナーもそうでしたが、今回もライブならではの話題が飛び出すのでしょうね。

玉越 ええ。ライブはこちらにも会場の熱気が伝わってきますので、しゃべり甲斐があるんですよ。

── となると、玉越先生も高橋先生もサービスして、つい踏み込んだ話をしてしまう……ということもあるかもしれません(笑)。

玉越 彼が枠を取っ払ってどこまでしゃべってくれるのか、私も今から楽しみにしています。

── 先の出版記念セミナーの様子は動画配信もされているので、読者の皆様もご覧になれます(2025年3月末まで視聴可能)。ただ、深入りしすぎてしまった部分はカットされています(笑)。というわけで、今度の対談はぜひ会場にいらして、そこでしか聞けないお話をお楽しみいただきたいですね。

株式会社YUIアドバイザーズ

次なる一手で「玉越流」の未来を描く

── 最後に、玉越先生が描いていらっしゃる貴社の将来的ビジョンをお聞かせいただけますか。

玉越 私たちは一般的な会計事務所が行う税務・会計ではなく、資産税というスポット業務をメインに手がけています。最初にもお話ししましたが、今や「相続税の申告をやります、相続対策はお任せください」という事務所はあふれていますし、事業承継を業務に掲げる事務所も増えました。その意味においては、次の一手を打たなければいけないという想いを強く持っています。

かつて栄華を誇った企業が、競合が増えて価格競争に陥って淘汰されてしまうようなことも起き得るわけです。現状に満足して同じことを続けているだけでは徐々に存在価値は薄れていくだろうし、価格競争に巻き込まれてしまうだろうと。もとを正せば、そうした状況を避けるためにどのように差別化していくかというところで目を向けたのが相続や事業承継で、結果、それなりの知名度を得ることができました。ですから、相続・事業承継でビジネスが成り立っているうちに、次のことを考えておかなければいけません。それが事業承継と絡めた組織再編成であり、資本政策なのです。そこは今まで自分ではやりきれていなかった部分なので、しっかり追求していきたいと思います。

── 今後の展開が楽しみです。

玉越 もうひとつ、この先のテーマとして取り組みたいのは、少数株主問題でしょうか。

── なるほど。重要な課題でありながら、特に中小企業においては見落とされがちな領域ですね。

玉越 そのとおりです。株式に譲渡制限を設けていれば安全だと思われている人も多いようですが、そういう株式こそが狙われる現実もあります。また、狙われたことがわかってから慌ててどこかへ駆け込んでも手遅れになってしまう可能性もあるので、やはり事前に予防策を立てておくべきでしょう。

グリーンメーラーのような投資家が出てきたことで、上場企業は対策をとるようになりましたが、私はこの先、同様の事態が非上場企業でも起こり得ると考えています。ですから、支配株主側の視点から資本政策のいち分野である少数株主問題の支援に取り組みたいですね。

── 今なお、新たなジャンルにチャレンジしようというお考えは素晴らしいと思います。

玉越 基本的には顧客のニーズに沿ってやってきましたが、やはり税理士としてあれもやってみたい、これもやってみたいという想いはまだまだ湧いてきますね(笑)。

── 期待しています。本日は興味深いお話を聞かせていただき、ありがとうございました。また近いうちに、前進を続ける玉越先生の状況を伺いにまいります。

本記事をお読みになってYUIアドバイザーズの業務に興味を持たれた方は、ぜひ「同族会社の相続・事業承継 超深掘り実務講座」を受講してください。なお、提携を検討されている方は、下のQRコードからアンケートにご回答いただくと、YUIアドバイザーズの担当者から追って連絡が行きます。

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プロフィール
玉越賢治(たまこし・けんじ)先生

玉越賢治(たまこし・けんじ)先生

関西大学経済学部卒業後、商工組合中央金庫、株式会社リクルートを経て、1994年に株式会社タクトコンサルティング入社。2002年に税理士法人タクトコンサルティングを設立して代表社員に就任し、2012年に株式会社の二代目代表取締役社長に抜擢される。さらに2020年に取締役会長に就任するも、翌年に独立してYUIアドバイザーズ/税理士法人ゆいアドバイザーズを立ち上げる。中小企業庁「中小企業の事業承継・M&Aに関する検討会」委員、日本商工会議所「税制専門委員会」学識委員、東京商工会議所「事業承継対策委員会」学識委員なども歴任し、事業承継分野に関する書籍も数多く執筆する。
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