未来会計を推進したいが具体的にどうすればよいか分からない、最近ではクライアントがAIを使いこなすようになり、情報量で勝てる自信がない……。このような思いに悩む会計人も少なくないのではないだろうか。会計人は中小企業の頼れる相談役であるだけに、寄せられる期待は大きい。それに応えるために未来会計に取り組む事務所もあるが、高難易度業務で成果を挙げるのは容易なことではない。戦略的パートナーAI「TERASU」は、そのような課題を抱える会計人のために、税理士であり、特定社会保険労務士でもある矢萩 努氏が10名の専門家チームを率いて開発したプラットフォームだ。「TERASU」は、会計事務所の月次面談業務を支援するAIであり、未来会計などの高度な業務に取り組む会計人の分析力や考察力をアシストする。特筆すべき特徴は、人間なら見過ごしてしまうような微かな経営上のシグナルまで見つけ出す強力な経営分析能力をもつことである。試算表などの数字をただ分析するのではなく、経営者との過去の面談の内容も含めて横断的な分析を行い、経営上の異常を明らかにし、的確な改善策を提示する。そのようなことが可能な背景には、税理士などの専門家の暗黙知をAIに宿し、まるで人間の専門家のように分析と提案を行うという驚くべき特許技術がある。「TERASU」を活用すれば、会計人は月次面談に自信と余裕を持って臨めるようになり、未来会計業務を推進し、経営者の相談役という本来の役割を発揮することが可能だ。本稿では「TERASU」を開発した矢萩氏に、システムの概要や活用例、そしてこの取り組みに込めた思いを伺った。(取材:城越謙太朗。写真は「TERASU」のマスコットキャラクター「テラスくん」を手に持つ矢萩先生)