10月21日にリアル会場とオンラインのハイブリッド形式で、「TKCタックスフォーラム2022」が開催された。主催はTKC税務研究所、共催は公益財団法人租税資料館、後援はTKC全国会。リアルの会場は東京プリンスホテル(東京都港区)。
TKC税務研究所⾧の谷口裕之氏による挨拶のあと、TKC北海道会の研究グループが、「租税法律主義と税理士のあるべき姿」というテーマで研究発表を行った。登壇者は、菅野 浩氏(コーディネーター)、吉田幸広氏、李 香純氏、近藤勝美氏、佐藤理映氏。なお、研究には登壇者に加えて矢萩 努氏と鈴江 誠氏も参加しており、指導教授は北海商科大学名誉教授の中島茂幸氏が務めた。
TKC北海道会の研究グループは、租税法律主義のわが国において、税理士は法律以外の情報、つまり税務通達や質疑応答事例などにいかに向き合うべきかを考察した。
はじめに、この問題を考察するための判断の拠り所として、税理士法や、飯塚 毅博士の税理士像などをもとに、税理士の使命について確認をした。そして、税務通達などとは異なる見解で税務処理を行う場合の税理士の責任について検証をした。
続いて、馬券払戻金の所得区分が争われた有名な裁判などを事例に挙げ、租税法律主義と税務通達について考察した。そして、「裁判所は税務通達の存在を肯定しつつも最終的には法令により判断している。あくまでも法令が優先する」「税務通達は法令を解釈するための補完的役割を担うものであるから、税務通達の解釈が法令の解釈の範囲を逸脱してはならない」「税務通達の中には、法令を正しく解釈していないものもある」ということを確認した。
ここまでの考察をもとに、税理士のあるべき姿、日々の業務で取り組むべきことについて掘り下げを行った。
昼食のあと、東京大学社会科学研究所教授の藤谷武史氏が、「租税原則としての〈公平〉について考える」というテーマで講演を行った。
政府が成長と分配の好循環を目指す「新しい資本主義」の実現を目指している現在において、租税の「公平」が何を意味するのか検討を加えた。政府税調答申における「公平」のあり方について歴史的変遷をみながら考察し、抜本的税制改革により公平・簡素・中立の定式が確立された昭和61年、63年答申、時代変化を背景に「公平」の概念に重心移動が生じた平成12 年答申などが取り上げられた。さらに、法的観点からみた「公平」として、憲法14条1項から導かれる税制の設計における租税公平主義について解説したほか、法的な視角からの公平論の限界について言及した。これらの考察をもとに、今、租税の「公平」を論じる意味について検証した。そして、経済社会の構造変化、国家財政の役割の変化を意識した「公平」論が重要であり、租税を巡る公論の広がりが求められるなか、会計人はその重要な担い手になると訴えた。
休憩を挟み、国税不服審判所長の伊藤 繁氏が、「国税不服審判所及び審査請求の現在の状況について︱国税不服審判所創設後半世紀が経過して」というテーマで講演を行った。
創設から半世紀が経過した国税不服審判所や、審査請求の現在の状況について解説した。国税不服審判所設立の経緯や組織体制、有する権限と使命について説明があった。さらに、国税に関する不服申立制度の概要、審査請求における一般的な審理の流れ、裁決の種類について解説した。
平成26年に行われた行政不服審査制度の抜本的改正と、国税不服申立制度の改正の概要について説明した。
そして、現在の審査請求の発生状況や処理状況について、数字を挙げて解説した。
近年の取り組みとして、裁決事例の公表の充実、e-Taxによる審査請求手続きの実現、税理士などの民間専門家の国税審判官への登用、登用された税理士の声が紹介された。
最後に、公益財団法人租税資料館代表理事の河﨑照行氏が閉会の挨拶をした。
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