2022年12月号

会計事務所の法令改正対応と業務のデジタル化を推進する中核システム

弥生株式会社

ビジネスレポート

11月1日にリアル会場とオンラインのハイブリッド形式で、弥生株式会社(東京都千代田区)が報道関係者を対象とした事業概況説明会を行った。リアルの会場は秋葉原UDXにある同社のオフィス。

弥生代表取締役社長執行役員の岡本浩一郎氏が登壇し、弥生の現況と業務デジタル化に向けた取り組みについて説明した。

このなかで、会計事務所が改正電帳法や改正消費税法(インボイス制度)に対応しつつ、業務効率化を実現するための中核的なシステム「スマート証憑管理」が発表された。

あらゆる証憑類を包括管理し、会計事務所の法令改正対応を支援

「スマート証憑管理」は「証憑管理サービス(ベータ版)」として試験的に運用されていたシステムで、機能を強化したうえで年内にリリースされる。10 月21日に販売が開始されたデスクトップアプリケーションの最新版「弥生 23 シリーズ」は、「スマート証憑管理」との連携機能を備えている。

「スマート証憑管理」は紙を含むあらゆる証憑類を管理するシステムで、紙やPDF形式の証憑類をAI−OCRによりデジタルデータに変換する。これにより、会計システムや商取引システムで行われる後続業務の大幅な効率化を目指している。

インボイス制度においては、仕訳入力の前に請求書の適格・不適格の確認が不可欠になるが、これを手作業で行うのは極めて大きな負担となる。「スマート証憑管理」は、紙で受領した適格請求書から主要な情報を抽出したうえで、登録番号の実在性・有効性の確認、税率ごとの対価の額と税率ごとの消費税額の整合性などの検算を行う。これにより、インボイス制度における請求書の確認をある程度機械に任せることができる。

デジタルインボイス対応で後続業務の効率化をめざす

「スマート証憑管理」は紙の証憑類だけでなく、来春をめどにデジタルインボイスにも対応する。

デジタル庁が日本企業向けのデジタルインボイスの標準仕様Peppol BIS Standard Invoice JP PINT Version 1.0(以下、JP PINT)を公表している。この仕様に対応したシステムの開発はデジタルインボイス推進協議会(EIPA)参加ベンダーが中心となって業界横断的に進んでおり、かつてのベータ・VHS戦争のような仕様を巡る業界内の対立がないことは特筆に値する。

Peppolは国際的な標準仕様だが、それをベースに作られたJP PINTはわが国の適格請求書等保存方式に対応し、法令上の請求書(インボイス、変換インボイスなど)を識別することが可能。登録番号や適用税率、消費税額といった法令上必要な事項の記載もできる。日本の商習慣が考慮されており、複数の納品取引をひとつのインボイスに合算する合算請求書にも対応する。

また、適格請求書と区分記載請求書は明確に区別され、混同されることがないほか、送信時に内容が適正かどうかの確認が行われ、エラーがない状態でなければ送信できない仕様になっている。今後デジタルインボイスが普及していけば、請求書の確認といった証憑類に関する業務が完全自動化されるほか、後続業務の効率化も期待できる。

例えば会計業務においては、インボイスの発行・受領にもとづく自動仕訳が実現する。また、一連の請求は請求IDによる紐付けで売り手、買い手、銀行のシステムが連携して処理し、支払処理や入金消込といった業務を効率化する。

弥生は「スマート証憑管理」を核として、「弥生販売」「Misoca」「弥生会計」「弥生会計 オンライン」などが連携し、デジタルインボイスの送受信に対応する予定。前述の適格請求書の適正性判定を完全自動化させるほか、支払処理、入金消込業務の効率化についても今後対応を予定している。

なお、今回の一連の発表は、岡本氏がかねてから提唱している「業務3.0」(あらゆる業務の一気通貫処理)の実現に向けた継続的な取り組みの一環という側面をもっている。

bmsニュース
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