2024年12月号

TKCタックスフォーラム2024

TKC税務研究所、公益財団法人租税資料館、TKC全国会

ビジネスレポート

TKC税務研究所は、10月18日に品川プリンスホテルで、大規模フォーラム「TKCタックスフォーラム2024」を開催した。共催は公益財団法人租税資料館、後援はTKC全国会。職業会計人にとって重要な課題をテーマとした研究フォーラムで、受講者は640名(オンライン参加320名)。

研究発表

TKC税務研究所長の谷口裕之氏による開会の挨拶のあと、TKC東・東京会研究グループが研究「相続税・贈与税の一体課税」を発表した。

研究メンバーは、若杉明裕氏、坂部啓太氏、駒木根剛氏、小澤朋人氏、大胡和也氏、樋口貴夫氏、木村圭佑氏、廣瀬智矩氏、中川西隆志氏、鈴木博之氏、野田賢治氏、山口貴子氏。

研究の背景として、資産移転の時期の選択に対して中立な税制として、相続税・贈与税の一体課税の議論が高まりつつあることが挙げられる。

一方で、理論的な相続税・贈与税の一体課税は、資産の取得者、移転時期、移転方法に関わらず全く税額が変わらない、完璧に中立的なものであろうが、その構築は難しく、諸外国においても完璧に中立的な相続税・贈与税の一体課税を実現している国はないと言わざるを得ない。また、日本において相続税・贈与税の一体課税が検討された背景に、次世代への資産の早期移転や租税負担回避への対応などがある。こうした状況も考慮に入れつつ、現在の日本における相続税・贈与税の一体課税の方向性を考察した。

研究グループは、相続税・贈与税の歴史および変遷と概要について調査し、そこから相続税と贈与税それぞれの機能と課税根拠について考察を深めた。

続いて、わが国における相続税・贈与税の概要を整理するため、相続税の課税方式の類型、現行の相続税制度、現行の贈与税制度、そして相続時精算課税制度の概要や特徴をまとめた。

さらに、諸外国の相続税・贈与税との相違点を明らかにし、考察をさらに深めるために、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどの国々の贈与税・相続税の概要と特色を整理した。そして、諸外国の相続贈与一体課税について総括的にまとめ、考察をした。

次に、わが国における相続税・贈与税の一体課税の課題と方向性を明らかにするために、理想的な相続税・贈与税の一体課税について検討し、一体課税に関する近年の議論を整理した。

そしてここまでの議論を踏まえ、わが国における一体課税制度のあり方を検討した。  研究グループは、相続税・贈与税の一体課税を実現するために、平成15年度改正で導入された相続時精算課税制度について、今回の研究で、その趣旨や必要性等は理解できたものの、実務家にとって未だ使い勝手のよい制度でないと指摘している。

相続税が、法人税や所得税などのように事業年度や暦年単位といった定期的なスパンで税額を計算するものとは異なり長期にわたっており、そのなかで相続時精算課税制度の選択をどのような基準に基づいてなされるかは極めて難しい判断にならざるをえないと指摘している。

また、納税者・税理士などが、長期にわたり贈与内容を把握し続けることの困難や不安も、選択適用を躊躇する要因のひとつではないかと指摘している。

研究グループは、相続税・贈与税の一体課税を実現するための解決策として、相続時精算課税制度の一本化と、デジタル化やマイナンバーの普及等が必要であること、さらに中長期的な課題として、課税方式を現行の法定相続分課税方式から遺産取得税方式に移行することを検討する必要があると指摘している。

また、現在は平成15年の相続時精算課税制度創設時と比べ、社会環境も変化しており、相続時精算課税制度への一本化が可能になったと考えられるが、一本化以外の方法の有無については、今後の研究に期待したいと述べている。

講演

昼食の後、国税庁長官官房審議官の斎須朋之氏が、「税務行政の現状と課題」と題して講演を行った。  休憩を挟み、神戸大学大学院法学研究科教授の渕 圭吾氏が、「租税法解釈の急所 所得課税を中心に」と題して講演を行った。

閉会の挨拶は、租税資料館代表理事の増田英敏氏が行った。

ビジネスレポート
セブンセンス税理士法人の大野修平氏
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